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Around the Naganoworld/ファイブスター物語/FSS/ 月刊ニュータイプ2024年4月号/巻頭特集Design the world DESIGNS永野護デザイン展|感想【ネタバレ注意!】

2024年3月9日土曜日

FSS manga

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 月刊ニュータイプ2024年4月号の巻頭特集、「Design the world」に引っ掛けて懐かしいトイズプレス刊行物をもじったタイトルにしてみました。そして永野護にとっては師匠筋の富野由悠季監督と『シェルブリット』で組んだ幾原邦彦監督のインタビュー記事には、いやよく取れたなと感心しました。古い話ではありますが『マモルマニア』で当時のニュータイプ編集部に『ファイブスター物語』を止めさせるために乗り込んだエピソードや、『マモルマニア』にも『ファイブスター物語』特にファティマについての嫌悪感についてを書いてある寄稿文を寄せており、その頃から変わらない富野由悠季監督に改めてリスペクトを感じました。クリエイターはかくあるべきという部分ですよね。それと怠惰を見逃さない鋭い視点と指摘には先年亡くなられた高畑勲監督が富野監督の絵コンテをごっそり直し、オンエアでそれを観て目から鱗が落ちた監督がそれを自らが発見した原石に対してのエールでもあるのかなと感じます。ということで特集「Design the world」の感想行ってみましょう。

月刊ニュータイプ2024年4月号/KADOKAWA刊
特集「Design the world」が掲載されている月刊ニュータイプ2024年4月号

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永野デザインと対峙するⅠ|富野由悠季

 「永野デザインと対峙する」という副題で3つのパートがありまずは、富野由悠季監督のインタビューです。読んでまず思ったのは富野監督、永野護が本当に好きなんだなって事ですね。特に『ファイブスター物語』を全部ほめているととってほしくないと語り、最後にここ2,3年のファイブスター物語についての厳しいダメ出しまでしているのを読むと、そこまで永野護の仕事をちゃんとチェックしているんだと。この2人の間には色々あったことは『DESIGNS永野護デザイン展』でのエルガイムやZガンダム、ZZガンダムの展示内容を見るといろいろ察する事も出来ますが、語りつくせぬところがあったことは明白です。そこでTwitter(X)のツイートで、今回の展示内容と20年以上前に発刊されたニュータイプ別冊「The five star storiesISSUE」ではという指摘にちょうど4月号を買う前に見て、本棚から引っ張り出して読んでいたんだけど、そこにある永野護×富野由悠季対談で、くりす(永野護)が富野監督に対して発破かけているんですよね。これ完全にエールじゃんと。実際当時の富野由悠季の年齢に近づいた永野護に対して、さらに高みを目指せと富野由悠季お得意の憎まれ口ながらの愛のあるエールを感じ取りました。最近の『ファイブスター物語』の連載についての指摘は的確で、tonbori堂はあまりそういう指摘はしないけれど漫画読みのベテランの方々ならば既に気が付いているかもしれません。監督がくりすを天才ではないと言いながらも欲を出して欲しいというのはその才能をもっと羽ばたかせて欲しいという監督の親心も感じます。それと監督ご本人が自らが最初に永野護のキャラクターとメカを好きになったと明言し「DESIGNS永野護デザイン展」にも展示されている永野護版Zガンダムをして、今までに無かったラインと指摘しているのが印象的でした。ファティマというアイデアも自分は好きじゃないけど認めるという部分もぶれないなと(昔は嫌悪するとまで言い切ってましたから幾分マイルドになったかもしれないけど根っこは『ファイブスター物語』を全部褒めてないという部分と通底していると思います。)こうなってくるとその監督の言う作家性を持つデザイナーが行きつくところはやっぱり新作アニメなのかな(今度こそ『ファイブスター物語』と関係のない)とも思いますが(演出はやはり別の人にしてもらうのか全体のディレクションまでやる『花の詩女 ゴティックメード』形式かは製作スタッフによるでしょうが)富野監督とのコラボレーションもやってほしいなと思いましたね(ISSUEの時にはくりすは自分以外のという流れを考えてたようですが。)

トイズプレス刊行の「MAMORU MANIA」/井上伸一郎著
毎度おなじみトイズプレス刊行の「MAMORU MANIA」/井上伸一郎著

「MAMORU MANIA」事実上の絶版なのが残念と言うかなんというか。願わくば現在に至る増補改訂版を出して欲しいなと夢想しております。

永野デザインと対峙するⅡ|幾原邦彦

 これはインタビュー記事の見出しが全てを物語っていると思います。「永野さんという人自体がロックでしょう?だからデザインもロック」、オーダーを出すとそれに応えたものを出しつつ僕はこうなんですというものを出してくる。人によっては何言ってんだコノヤローってなるけれど、そこが面白がれるならばセッションのようにさらに高められる。これはどっちがいいという話ではなくそういう「スタイル」という話で、そこに応えた幾原邦彦監督もまたそういうロックなところを持っていたんだなと思います。普通「お仕事」として捉えると「オーダー」は絶対なものですからね。ちゃんとそれに応えたものを出さないといけない。もちろんそのオーダーに対する解釈が違ってダメ出しという話もあるからラフデザインから決定稿まででシルエットが大幅に変わると言う話もあるけれど、それとは本質的に違うやり取りの話で、そこからも富野監督がくりすはデザイナーではなく作家性を持つ人間と指摘した事にもつながります。ようはそこにバックグラウンドというものを考える時(キャラクターデザイナーや特にメカデザイナーはそういう視点が大事ではないかと思います。この辺りは一度メカデザイナー論みたいなのをしてみたいけど大変そうなので難しいかも)永野護はオーダーから考えることをさらに膨らましてオレならこうする、こう考えるとなってくるんでしょうね。このインタビュー記事では『燃えるキリン』についても語られていたんですが、一つ残念なのは幾原監督がメカ物にいかないと決めたという事。メカ物にはそれに必要なインフラが必要でそれを整えないのいけないのが自分には出来ないからという事でしたが、うーんそういうのをサポート出来るシステムってのは構築出来ないもんなんでしょうか。幾原邦彦監督のメカ物観たいんですけれど。実際『燃えるキリン』は凄く観たいんですよね。なんなら『シェルブリット』アニメ化でもいいんですけれど。

『シェルブリット』幾原邦彦/永野護/KADOKAWA刊
幾原邦彦×永野護のビジュアルストーリー『シェルブリット』今は文庫版がでているようです。

※シェルブリットの単行本は入手が難しいかもしれません。ですが後に出た文庫ならまだ手に入り易いかも。Amazonのリンクを貼っておきます。

Amazon.co.jp: シェルブリット I ADEN ARABIE (角川文庫) : 幾原 邦彦, 永野 護: 本 

Amazon.co.jp: シェルブリット II ABRAXAS (角川文庫) : 幾原 邦彦, 永野 護: 本 

※イメージアルバムも出ていました。

Amazon.co.jp: シェルブリット サナフス68: ミュージック 

永野デザインと対峙するⅢ|立体物制作者

 Ⅲ部ではガレージキットの原型やドールの原型を作っている方々の声を集めてありますが、ざっと読んでみて「緻密」「デザインの足腰の強さ」「これはどうだっ」「最新デザインが一番」「歴史的なコスチュームに基づいた説得力」「30年を超えても飽きる事が無い」「ひとつひとつの線の謎解き感」やはり立体物制作者の方々は2次元を3次元にする上で芯を掴んでらっしゃるなと。これらの立体物も「DESIGNS永野護デザイン展」で展示中です。その立体物から制作者と方々とくりすのセッションを楽しんでほしいと思います。

アワートレジャーのツゥアラトゥストラ・アプター・ブリンガー/原型/谷明
アワートレジャーのツゥアラトゥストラ・アプター・ブリンガー/原型谷明/©EDIT/永野護

バーガ・ハリKK ツラック隊/アワートレジャー/原型LIXA
バーガ・ハリKK ツラック隊/アワートレジャー/原型LIXA/©EDIT/永野護



DESIGNS永野護デザイン展

 開催期間も後2週間、3月24日の日曜日まで(延長は無いみたいです、この後 THE仮面ライダー展の巡回があるのは決まっているみたいなので。)なので、この特集を読んでまだ行っておられない方がいらっしゃいましたら今のところ巡回する予定は無さそうなので足をお運び頂ければと思います。特に関東近辺の方は盛り上げて頂ければ、もしかすると次に繋がる可能性もあると思うのです。(編集後記の編集長のつぶやきにも近いそれはそういう事ではないかと。)それと月刊ニュータイプ2024年4月号のアンケートに要望だすのも良いかもしれません。(tonbori堂は書きましたし、現地でのメッセージボードの付箋にもそう書きました。)要望を出す事は大事です。小さな事からコツコツとby西川きよし師匠ですから。ということで今月号の特集を持ってまた「DESIGNS永野護デザイン展」を周るのも良い経験になるかと思います。是非楽しんで来てほしいと思います。(同特集では芸人の男性ブランコ浦井とエルフ荒川の「F.S.Sを浴びる」を見ても案外F.S.Sを知らない人でもなにこれ?凄いってなるやもしれませんし。)

※追記2024.03.25:無事、ところざわサクラタウンEJアニメミュージアムでのDESIGNS永野護デザイン展は閉幕を迎えました。ですがその1週間前ほどに名古屋での開催がアナウンスされました。会場はテレピアホールというところです。会期は4/27~5/26まで。こちらも時間が出来れば展示物との再会とEJアニメミュージアムとの違いがあるのかなどなど確認してきたいと思っています。

リンク|テレピアホール - アニメの聖地へ!!



※DESIGNS永野護デザイン展観覧記はこちらから。(1)からお読みください。

DESIGNS永野護デザイン展に行ってきた!(1)|ファイブスター物語/F.S.S|

DESIGNS永野護デザイン展に行ってきた!(1)|ファイブスター物語/F.S.S|

初日と2日目『DESIGNS永野護デザイン展』を見てきました。その観覧記です。続きます。

※DESIGNS永野護デザイン展に行ってきた(2)はこちらです。

DESIGNS永野護デザイン展に行ってきた!(2)|ファイブスター物語/F.S.S|

DESIGNS永野護デザイン展に行ってきた!(2)|ファイブスター物語/F.S.S|

ファイブスター物語/FSS感想や考察【ネタバレ有り】を中心に。tonbori堂が好きなものを語るブログ。

※今回の都行きの雑感です。施設周りと行き帰りの話、お宿の事など。

tonbori堂の都行き|tonbori堂四方山話

tonbori堂の都行き|tonbori堂四方山話

永野護デザイン展への観覧の旅、その旅の方の記録です。四方山話としてお聞き下されば幸いです。

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