マルチバースの扉は開かれたVol.4|ホワット・イフ…?/What If…?感想/考察【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

マルチバースの扉は開かれたVol.4|ホワット・イフ…?/What If…?感想/考察【ネタバレ】

2021年11月3日水曜日

anime MARVEL

X f B! P L

 第7話と第8話、そして最終回と怒涛の連続アップも今回で最終回ですが、『ホワット・イフ…?/What If…?』のアナウンスがあった時に公開されていたチームアップが最終回にあるこの構成。それまでのエピソードもそれぞれ独立しているけれど要所要所に伏線が散りばめられててそうなったか!と。ただちょっとだけ?なんか急すぎません?ってのもあったんですがそれはまた別の理由があったとか。ということでそれも含めて第7話、第8話、そして最終回の気になるところと感想いってみましょう。


Finale | Marvel Studios’ What If…? | Disney+|YouTube

※本編内容に触れておりますのでネタバレ注意とさせて頂きます。

※前回のエントリ→ マルチバースの扉は開かれたVol.3

「もしも...ソーがひとりっ子だったら?」

 全エピソードの中でも愉快なコメディタッチの一篇です。アスガルドの王子、ソー・オーディンソン。オーディンが連れ帰ったロキと共に育てられた事で神聖時間軸ではあのような歴史を紡ぎだし、そしてロキはロキで『LOKI』でああなっているんですがもしもオーディンがヨトゥンヘイムの氷の巨人たちにロキを返していたなら…そこで起こった分岐でソーはオーディンが眠りについた後、ウォーリアーズ・スリーにシフを引き連れパーティ三昧で宇宙中をお騒がせしているパリピ・ソーに育っていたという話です。これ、『マイティ・ソー バトルロイヤル』でクリス・ヘムズワースが完全に振り切ったお笑いタッチを会得したことでこのパリピ・ソーも全然違和感無いんですよ(笑)そこにジェーンとダーシーがセルヴィク抜きで関わってくるというのも上手い(セルヴィクは台詞で言及されるのみで登場、忘れられている訳ではありません)ジェーンはジェーンで観測データである星が消滅した時のエネルギー波形がソーの出現時と同一だったため宇宙人の侵略では?と思ったものの、何故かラスベガスでどんちゃん騒ぎを始めたソーと意気投合してしまうというのも、これが『マイティ・ソー』第1作目でも良かったかもと(笑)そしてバトルロイヤルに出てきた面子もヘラ以外出てくるしラヴェジャーにハワード・ザ・ダックにスクラル人まで。そしてそんな騒ぎの中動き出したSHIELDの長官代理マリア・ヒル。本来のフューリー長官はソーに即時退去を求めに行ったらコーグに吹っ飛ばされ意識不明の重体という😅この非常事態に彼女は最終手段を取ります。


 フューリーのポケベルで宇宙のかなたからキャプテン・マーベルを召還。ヨトゥンヘイムからロキ王子(氷の巨人の元で育ったから普通にデカくなってるのには驚きましたよ)も来て宴は最高潮のパリピ・ソーはいう事を聞くはずもなくキャプテン・マーベル対ソーのバトルが展開されることに。実際M.C.Uでも最強パワーの一角である2人の激突は全地球規模。パリからイギリス、アメリカはネバダの砂漠でどつき合いという😂なかなか見れない夢のカードではあるんですけれど勝負が付かず場所を選んで再戦しその時は地球をも砕くフルパワーでというキャプテン・マーベル(それはそれでヤバイ)このままでは地球の危機(別の意味で)ということでジェーンはなんとか回避策をとそこでダーシーがポツリと親に叱ってもらうのがいいんじゃないかとそこでヘイムダルを経由してソーの母フリッガに面会したジェーンは地球でのどんちゃん騒ぎを納めてもらうように依頼。そんなこととはつゆ知らずキャプテン・マーベルとソーはシベリアに場所を移して最後の対決、そして後方で監視していたヒルたちは念には念で核弾頭をそこに撃ち込む準備をしていました(!)ですがそこに現れたフリッガの一喝で核ミサイルは発射されずキャプテン・マーベルもその場を離れ地球は護られたのでした(笑)まあこの後の後片付けも超大変でしたがやっぱり何時の世も母の一喝が一番なんですよねというお話でした(笑)


 ですがジェーンへの想いは『マイティ・ソー』のソーと同じで彼女をデートに誘うパリピ・ソーがデートの約束を取り付けて帰ろうとしたところに次元のゲートが突然開きそこにはウルトロン・セントリーの大群とウルトロン…胸にはインフニティ・ストーンが輝き、頭部のフェイスガードの奥の顔はヴィジョンの顔が。そうウルトロンが究極のボディを手に入れた世界からやってきたのでした。これはそう来たかと。いやウルトロンが出るというのは予告編でもあったのでいつ出るのかな?最終回かなと思っていたんですがまずパリピ・ソーのエピソードの最後に顔出しし第8話で彼の「ホワット・イフ…?/What If…?」が描かれるという構成はいいなと思いました。より深くウルトロンの有り得たIFのオリジンが語られる訳ですから。その第8話、まさにウルトロンだけではなくこれまで多くの世界を見てきたウォッチャーも物語の当事者となりさらにはホークアイとブラックウィドウをも深くかかわるエンドゲームへのリスペクトまで入ってくるとは…。

「もしも...ウルトロンが勝ったら?」

 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でヴィブラニウムと人工細胞が結合した究極のボディをへのアップロードをアベンジャーズが阻止出来ず本当のアルティメット・ウルトロンとなった彼は世界のインターネット中継点であるネクサスで核の発射コード入手を阻止しようとしたナターシャとクリント以外のアベンジャーズを打ち倒し核で世界を滅ぼしました。そして最後のインフィニティ・ストーンを手に入れようとやってきたサノスを瞬殺。全てのインフィニティ・ストーンを手に入れ彼の宇宙の他の生命体を全て抹殺し世界を平穏にするためその力で猛威を振るい始めます。


 この展開は『エイジ・オブ・ウルトロン』のあり得たイフである上に『エイジ・オブ・ウルトロン』でのウルトロンがあんなにあっさりやられる訳がない。彼は究極のAIであり人工知能としてもっと強いはずと主張する人たちにも満足な展開でしょう。でも強すぎてあっと言う間にアスガルド、サカール、ザンダー、その他銀河の隅々までを瞬く間に平定する彼を本当に倒す事が出来るのか?となります。そこに生き残ったナターシャとクリントは廃墟となったモスクワのクレムリンの奥深くに残されたKGBの書類の中から意識を電子計算機にアップロードしたヒドラの科学者ゾラのバックアップで対抗しようとします。目には目を歯には歯をというやつです。ここで『ファースト・アベンジャー』『ウィンター・ソルジャー』に出てきたアーニム・ゾラが登場するとは。『ホワット・イフ…?/What If…?』でも第1話に登場していました。


 ゾラは原典コミックスではボディを手に入れ胴体部分のモニターに顔を映し出したヴィランとして活動しているんですがそれをPCのモニター画面に差替えたウィンター・ソルジャー版ゾラは旧式の技術でもプログラムは数段進んだものを用いインサイト計画の要となるアルゴリズムを産み出しました。そのゾラのシステムならウルトロンを打ち破る事が出来る。「毒を以て毒を制す」このゾラのバックアップがあったのが元ソ連の核ミサイルサイロ。そうシビル・ウォーのスーパーソルジャー施設のような場所(もしかしたらずばりかも?)で押し寄せるウルトロン・セントリーたちとナターシャとクリントの決死の戦いが繰り広げられるんですがここでクリントが自らを犠牲にしてセントリーの一体を乗っ取ったゾラとナターシャを救うシーンは『エンドゲーム』でのヴォーミアの合わせ鏡。30分のエピソードにM.C.Uのインフィニティ・サーガの振り返りとリスペクトが濃密に詰め込まれています。


 一方ウルトロンは宇宙を平定し自らのプログラムが終了したことから自らの存在意義が見出せず発狂するしかなかったつまりこの宇宙はここで終る(緩慢な終りを迎える)はずだったのがインフィニティ・ストーンで全ての知覚が超常の域に達したウルトロンは多次元と自らを外から見ている存在ウォッチャーを感知します。新たな目標を見つけたウルトロンはその力でとうとうネクサス・ビーイング(多元宇宙を移り渡る者)となってしまうのです。とうとうサノスを越えるヴィランとしてまさかの爆誕。ウォッチャーをも手に掛けようとします。人工知能の暴走の作品は数あれどマルチバースに干渉するとはこちらもM.C.U実写映画にマルチバースからの侵略者として出て欲しい勢いですが、それら多元宇宙を見守るだけの存在であったウォッチャーはとうとうここで世界に干渉しないという誓いを破り世界を守るために干渉する事を決意しある男の元へ向かいました。その男とは闇落ちしたストレンジ。彼に助力を求めるのでした。そして物語はマルチバースを守る戦いへと移ります。

『もしも...ウォッチャーが誓いを破ったら?』

 ちなみにウォッチャーっていうのは一人じゃなくて種族なんだそうです。この物語の語り部であるウォッチャーはウァトゥという個体名を持つそうで。そう言えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(Vol.2)でもスタン・リーのカメオシーンはこのウォッチャーたちが今までスタンがカメオで登場したシーンの話を聞くというものでした。原典コミックスファンにはお馴染みの存在だそうです。そしてこの『ホワット・イフ…?/What If…?』でもずっと世界もウォッチする存在であったのですがウルトロンの世界を揺るがし破壊してしまうネクサス・ビーイングの力を止めるためにとうとう干渉する事を決意したのが前回までの話でした。


 今回はそのため多元宇宙の力を結集して危機に対処するためにストレンジを中心にキャプテン・カーター(ウォッチャーに召喚される場面が『ウィンター・ソルジャー』のハイジャックされた船への潜入シーンってのもまた胸熱です。)、”スター・ロード”ティ・チャラ(エゴにエネルギーを吸われているその世界のピーターの救出したところってのもこれまた胸熱)、そして陰謀が露見しシュリたちに追い詰められたキルモンガー、ニダヴェリアでインフィニティ・ガントレットを溶鉱炉で溶かしているガモーラ、最後にラスベガスでウルトロン・セントリーを相手に大暴れしているパリピ・ソー。この中でガモーラだけが突然現れました。しかもサノスを殺しサカールにいたという事で???ってなったんですが(相棒としていたのがアーマーにサカール風のマーキングが施されたハルクバスターを纏ったトニーってのも余計に気になります)これはCOVID-19パンデミックのためエピソードに入れられなかったそうです。(本来は全10話で計画されていた)シーズン2にそのエピソードは持ち越しだそうですがめちゃくちゃ気になりますね。最初のガモーラのエピソードは『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーVol.3』のプロットにかぶっていた部分があったそうで没になったとかでそこも気になります。基本的にはフリーハンドでなんでもOKだそうですが先の展開をやってしまうというのはやっぱり無理だったようです。やっぱりスタジオがジャッジしてるのかな?

ソース|Marvel’s What If…? Crew Explains Why They Went 3D Over 2D & A Scrapped Episode That Was Too Close To GOTG 3 

 そしてこの6人を「ガーディアンズ・オブ・マルチバース」としてウルトロンという巨大な災厄に対処することになるんですがインフィニティ・ストーンを砕くストーンクラッシャーなるガジェットが登場したり、ストレンジの魔法でゾンビのワンダを召喚したりとかこれまでのエピソードに関するものを余すところなく使っていくスタイルでこれだけでM.C.U映画1本分の密度。しかも30分だから濃縮されていて凄くギュッとつまっていて堪能できました。決着の付け方とか、最初の荒野だけの惑星からウルトロンに最初に滅ぼされたナターシャの地球へ誘導してとか。9話は8話と事実上連続になっており見ごたえのある最終回になっていたと思います。ポストクレジットシーンもしっかりあったんでシーズン2でもキャプテン・カーター活躍しそうですし。

でも決着の付け方もなんというか、ウォッチャーはその力があるのでようするにストレンジの元にいったのもインフィニティ・ウォーでストレンジが行った未来を見てきて勝ち筋のために人を集めたみたいな感じになってるんですよね。だからキルモンガーを加えたし切り札を持ってるナターシャの地球を最終決戦の場所にした。これ考えるといろいろストレンジにウォッチャー(監視人)をさせるとかいろいろ考察してしまうオチでした。でも最後の最後でまた一つウォッチャー、誓いを破っていましたよね。そういうところで人間臭くなってきたかなというのも面白かった。ウォッチャー/ウァトゥが誓いを破った事でどうなるのか?そこもシーズン2のお楽しみでしょうか。

最後に

 『ホワット・イフ…?/What If…?』最初は正直アニメだしなあと思っていたんですがキャプテン・カーターが『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』をなぞりつつも新たな展開を見せ続く第2話ティ・チャラがスターロードで完全にこのシリーズを好きになりました。毎回どんなことをやってくるのか?3話以降ビターエンドが続いたりトニーが出てくると毎回酷い目にあったり(というか殺される)というのもありましたけどガモーラの登場が唐突すぎた以外は本当に楽しんだシリーズだしあらためて多くの可能性を見せてくれたなと思います。シーズン2は来年になるとのことですがM.C.U本筋も進めばそれだけ「ホワット・イフ…?/What If…?」の数も増えるという訳で続けて欲しいシリーズになったと思います。またここから本筋へのクロスオーバーも期待したいと思っています。特にまたマルチバースの危機が訪れると思いますので次のアベンジャーズはガーディアンズ・オブ・ザ・マルチバースの側面を持つと思うので。そこも含めての今後の展開も期待したいところですね。ということで『ホワット・イフ…?/What If…?』はただ今ディズニープラスで絶賛配信中です。

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※これまでのエントリ


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