ヨーン・バインツェルが駆るアゲハは天照家のGTMとして星団暦初頭から存在するGTMです。MH時代にはAUGEと呼ばれていて、DESIGNS7によると最初にデザインした日本の野武士のようなロボットがバッシュとなり、もう1体が中東の民族衣装を意識したオージェという事でした。この初期デザインはDESIGNS/永野護デザイン展図録にも収録されています。まだ肩のビヤダルのようなシールドはマント風のものでしたがやがて拡がるように大きくなり、オージェのラウンドバインダーへ変化していきました。今回はこの辺りを色々掘ってみたいと思います。
懐かしい角川書店のムック、エルガイムⅢ(OVAエルガイムⅢフルメタルソルジャーをメインに取り上げている)表紙は永野護書き下ろしオリジナル・オージェ |
※モルフォといえば『ウルトラQ』に出てくるモルフォ蝶をどうしても思い浮かべてしまうんですが実際に生息する蝶の一種です。ちなみにWikipediaに項目があったのでリンクを貼っておきます。大型で翅が青い光沢をもった色で美しい蝶です。アゲハチョウ上科、タテハチョウ科、モルフォチョウ亜科に属するそうで、なるほどタテハやなんやはこの辺りからネーミングが来ているようです。
天照家のGTMアゲハ型/モルフォ・ザ・スルタン
モルフォ・ザ・スルタンは天照家に代々伝わるGTMという事で、その「代々」というのはどのくらい?なのかはぼやかされています。そもそもモーターヘッド(MH)時代には星団暦以前のAD世紀のマシンメサイアと呼ばれていたロボットでした。マシンメサイア(マシンメース、マシーンメイスとも)は超帝国末期に建造されたロボットと考えていいと思います。GTMに設定変更されたとはいえ、当時に建造されたGTMのその力は3000年代のジョーカー星団のGTMよりも強力な力を持つものと考えても良いと思います。ただし炎の女皇帝が率いるヘリオス剣聖騎士団の駆るGTM、轟焔時君ディグツァイト・シュッツィエンは別格としても、弱体化していると炎の女皇帝ナ・イ・ンが断じる今のロボットよりも遥かに強力な力はあるもののDESIGNS1のMHオージェの解説ではアルルのエンゲージ・オクターバー(現GTM HL1)の戦いではMHに合わせてデチューンしていたとあるので、現状無双出来るほど鬼強いではなく、通常の3倍程度かもしれません(ヲイヲイ)それでもパワーは申し分ないでしょうし後は騎士の力量次第ということになるかと思います。(それはダッカスVSダルマスの戦いでも単純にパワー比べならばダルマスに分があるのにダッカスでも十分対抗しえるというところが証明していると思います。)
モルフォはMH時代のようなラウンドバインダー内にスロウランサーという誘導兵器のたぐいは装備しておらず、両腕のソードストッパー(ダス・ゴーストのそれはガット・ストッパーと言うので多分今はその名前でしょう)があり装甲は薄くGTMメロウラいやナキメーカじゃなかった今度はパンシーカになるんだっけ。まあホルダ19と同じ駆逐型と考えられます。そういえばシュッツィエンも未だその全貌は分からないけれどスパチュラを滅ぼした時のように放熱用の可動アイドラフライヤーにワイヤーフレームがくっついているとしたら同じような?押し出しの強いシルエットを持ちそうですよね。こちらも駆逐型になるんでしょうかと脱線(;^ω^)
閃エンジン
DESIGNS7には閃エンジンについてもリストが記載されており、閃エンジンの初期型901に(亜奈美設計、超帝國ペダンエンジン)とあります。閃エンジンについては天照家のGTMに用いられるハーモディックエンジンでネーミングは旧日本帝国海軍の零戦の栄や中島飛行機の寿、光エンジンからネーミングの源泉があるように思います。設計者の亜奈美・ヘンシェル・アトワイトはアトワイト家の祖でありガーランドで、アナミー・ヘンシェル・ガーランド社を設立、後にフラム・アトワイトがレオパルト・フレームを開発した天照家の言わばお抱えのようなGTMガーランドです。元はツィーイ・イー・ヘンシェル・クルップと言う人物がいて星団暦前後にブラウニー・ライドと亜奈美と家が分かれたようにあるので実はカイゼリンもモルフォも元を辿ればという事にもなるのですが閃エンジンがペダンエンジンというのは別に驚きでも何でもなくGTMの動力がハーモイドシステムであればHLエンジンやSMエンジンも元はペダンエンジンを模したもので今の騎士の力に合わせ使いやすくしていると考えた方が良さそうです。エンジンというのは馬力も大切ですが使いやすいトルク特性や立ち上がりなども重要です。何より堅牢であり整備性も求められています。
ただその前のツゥアラトゥストラ・アプター・ブリンガー(Z.A.P)からの閃1000番系はどうやら別格でペダンエンジン並みの出力を備えたピーキーなエンジン特性を持つ強力なエンジンのようです。特にマグナパレス(M.G.P)の閃1014についての解説で「完全な別物」とされているのでアマテラス自身の設計であるという事です。(この辺りはMHのイレーザーエンジンの設定と同じだと思います)つまり『ファイブスター物語/F.S.S』のハーモディックエンジンはペダンエンジンを祖に持つ(ペダン含む)と閃1000番台(1014以降)と分かれるという事が明記された事かと思います。
MH・AUGE(オージェ)/HM・オージェ
旧設定ではモルフォはオージェであり、当然元々は重戦機エルガイムのヘビーメタル・オージェであるというのはマモルマニアなら常識だとは思いますがオージェもA級ヘビーメタルのオージェと物語の最後に出てきたポセイダルのオリジナル・オージェが登場しました。どちらもモーターヘッドAUGEにそのラインは引き継がれていますが、アトロポスがカステポーの命の水争奪戦で持ち出したオージェ・アルスキュルも出てくるのでここがこんがらがって分かりにくいという話になりますよね。
ボークスF.S.Sシリーズ展2024/4月撮影/マシーンメイス・アウゲ(AUGE) |
AUGEは旧設定ではモーターヘッドではなく星団暦以前に建造されたモーターヘッドになる前のマシーンメイスというロボットで騎士がダイレクトに操作する戦闘ロボットでした。そのため騎士も身体に端子を取り付けて操作していました。(ネイパーとアルルとの対決時、ネイパーはヘッドギアや身体とコードでつながれている描写がありますし、それ以前にも剣聖スキーンズがマシーンメイスに搭乗時にそういう描写がありました。)その設定としてアゲハ型/モルフォ・ザ・スルタンも星団暦以前に建造された天照家のGTMという設定になったという事だろうと思います。AUGE時代は作ったマイト(現ガーランド)は明言されておらず天照家が作りましたという話まででしたので。当時はまだふんわりとした設定なんでしょけどアトワイトの一族が作った設定は多分あってそこから細部が詰められたのかな?と想像しています。
ボークスF.S.Sシリーズ展2024/4月撮影/オージェ・アルスキュル |
モルフォ・トリバネルはオージェ・アルスキュルで頭部形状はまた違ってくるでしょうが大方のシルエットはアゲハ型を関するので同じではないかとこちらも想像しますがトリバネルはプディン・モルフォという名前もあるので再登場は…あるのかな?
AUGE-ha
永野護はこのAUGEという名前が好きなようで、エルガイム時代からずっと使っていますが今回はモルフォだしもうオージェじゃなくなったかと思ったらアゲハ型という名称でねじ込んで来ました(笑)いやここまで来るとなんか執念を感じます(;^ω^)もっとも型式に-haみたいなのが入るのは乗り物系では結構ある話なんでその辺りはモチーフも含めて毎回よく引き出してくるなと感心します。HL-1のハイレオンだって後ろの放熱用兼の背部のフィンもライオンのたてがみのように相手を威嚇するかのような部分も持ちつつ足のランダムストレートはエルガイムからの意匠を引き継いでいるし、そこは外してこないんですよね。モチーフを大事にしているというか。そこがくりす(永野護)のある種のシグネチャになっていると思っています(もう一つの大きなシグネチャは「デス・アンカー」だと思います。)
オリジン・オージェ
大元のデザインはDESIGNS7でも書かれているように永野護がデザインした最初期ロボットで一体は野武士の姿を模したロボットで、もう一体は中東の民族衣装のような姿を模したロボットでこれらは永野護デザイン展でもデザイン画が展示されていました。この2体は『重戦機エルガイム』のエルガイムに対抗するロボットとしてHMバッシュとHMオージェとなりました。その時から紆余曲折があり引き継がれているロボットでダッカスとともにある意味永野護デザインの顔の一つといってもいいかと思います。Z.A.P/LEDミラージュがエルガイムに出てこなかったブラッドテンプルというヘビーメタルが永野護最強デザインとしてファイブスター物語/F.S.Sで復活したようにバッシュ/ダッカスは永野護デザインの一つの背骨としてダッカスという本人が最強デザインとしてさらにブラッシュアップを遂げたとともに、アゲハ型モルフォもオージェという最強ロボットの一角としてゴティックメードとして新たに生まれ変わったと考えると感慨深いものがありますね。
徳間書店アニメージュ編集部編/ジ・アート・オブ・エルガイム/デザイン展でも展示された初期バッシュとオージェはこれで初めて見ました。 |
※ジ・アート・オブ・エルガイムは既に販売終了している書籍なので古本屋辺りに出回ったらご興味があれば。デザイン展の展示を図録と重ね合わせて見ても味わい深いものがあります。
※MHオージェ・アルスキュル(GTMモルフォ・レス・トリバネル)の活躍は「命の水争奪戦」は単行本第7巻とリブート4巻に収録です。トリバネルもほぼスルタンを踏襲しているデザインなんでしょうけどお披露目してほしいですね。
※ドリパス復活上映9/19詳しくはドリパスの『花の詩女 ゴティックメード』のページにて。
[映画]花の詩女 ゴティックメードを映画館で上映しよう! | ドリパス
※ブクログ/Amazonより
ファイブスター物語 第7巻 (ニュータイプ100%コミックス)
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