あなたのブツは、どこに/映画『ラストマイル』雑感/考察【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

あなたのブツは、どこに/映画『ラストマイル』雑感/考察【ネタバレ注意】

2024年8月31日土曜日

drama movie

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 ということでヒットしているようで何よりな映画『ラストマイル』、初日に観に行って次はいつ行くかなと思っているところですが、そろそろ感想を書いておくかという事で少々お付き合い頂ければ幸いです。というか実はまだ未発表キャストがいるのは既に観た人は知っている事なんですが、その辺りに触れちゃいそうなので【ネタバレ注意】といたしました。その前にざっくり感想としてはBlueskyにポストしたんですけれどこういう事になるかと思います。

『ラストマイル』早速レイトで鑑賞。野木亜紀子脚本らしい問題を抉りつつもちゃんとストーリーに落とし込んでいる骨太。これそのままだったら多分お客入らない部類の映画。だがTVでは扱い難しい題材(巨大ショッピングサイトはスポンサーでもある)この題材は元は塚原監督からの届いた荷物が爆発したらという発案らしいが結果2024問題や諸々のテーマを内包しいく事になった。シェアード・ユニバース推しな宣伝だけどおかげで画面がリッチになっている。客演も必然があるし(そこはMIU404の時で実証済)総じて良い映画だった。このユニバースでまた何かやって欲しい。

— tonbori堂 (@tonborido.bsky.social) Aug 24, 2024 at 10:07


『ラストマイル』予告映像—シェアード・ユニバースPV—【8月23日(金)公開】/YouTube/東宝MOVIEチャンネル



 シェアード・ユニバース・ムービーという風に銘打たれた映画ではありますが、同じようなシェアード・ユニバース作品アベンジャーズのような感じを思うと最後にアンナチュラルのUDIラボチームが証拠を見つけMIU404が追跡しみたいに思うじゃないですか、でもそれだと『ラストマイル』にはなんないんですよ。この作品はあくまで舟渡エレナと梨本孔、そして最後に品物を運ぶ佐野親子の3日間のお話なんです。MIU404は容疑者を追う警察の一員として登場するし、UDIラボは爆弾事件で死傷したご遺体を検死するために出てくる。無理矢理ねじ込むような感じでもなく、さりとてといったところでしょうか。でもこの3作品のテーマは違うけど通底しているものが同じように思いました。だからこその「シェアード・ユニバース・ムービー」なんだろうなと。ということでネタバレ無しの感想はここまで。簡単あらすじに続いてはちょっと思ったところをこの爆弾事件の真相や大手ショッピングサイトの流通問題も含めて書いてみたいと思います。

ブラックフライデー/STORY

 世界規模のショッピングサイト「DAILY FAST(デイリー・ファスト)」通称デリファスからブラックフライデーのプレセールの荷物が届いたアパートの一室が爆発炎上した。


 翌日、デリファスの日本支社・西武蔵野ロジスティクスセンターに新任のセンター長、舟渡エレナが着任する。ブラックフライデーのため派遣社員も増員し活気に溢れるセンター内だが、その後も次々と配達された商品が爆発する事件が発生。警察も西武蔵野署に捜査本部を設置し捜査を始める。エレナも部下のチームマネージャー、梨本孔とともに事態の収拾を図るが、依然爆発事件は止まらず警察は出荷を止めて全商品の押収検査を命じる。生命線とも言える配送を止める事は出来ないと抗うエレナたち。そして爆弾事件の犯人を追う警察。果たして爆弾事件の真相は?そして爆弾は止められるのか。長い長いブラックフライデーの4日間が始まった。

2.7㎧→0 70㎏

 事件の真相に関わるワードとしてネットでも考察されているこの数字は開かずのロッカーの扉裏に書かれていたものです。tonbori堂は『MIU404』で志摩が作ったルーブ・ゴールドバーグ・マシン(ピタゴラ装置)を想起しました。この数字は以前このロジスティクスセンター(LC)にいた社員がロッカーに遺したもので、それが代々のチームマネージャーへと申し送られていたものなんですが、今回の事件が起こるまではスイッチになってなかった。見て見ぬふりをしていた。そして事件が起こってからそれを見たエレナは答えはそこにあったのかと思わず溢れるものがこみ上げてきたという風にとっています。


 2.7㎧はLCのベルトコンベアのスピード、これ以上早くても遅くてもだめで一番効率のいいスピード。それをゼロにするには過重制限以上の70㎏を置けばいいとこれを書いた社員は突然飛び降りました。彼のしたことは一見バカな事です。意識のあった時に本人も発しています。だけど本当にそうなのか?システムに抗うにはそうするほかに無かった。そういう何ともいやな空気も感じてしまいます。またそのゼロの書き方も下から上を回って下へでなく上から下を回って上への書き方で見ようによっては絞首の輪に見えなくもなかったのです。正直tonbori堂は飛び降りたという事が明かされる前にこの数字を見た時はまさか?首吊りとうがってしまいました。とは言えそれがまた別の悲劇のスイッチを入れてしまったのは間違いないと思います。彼のした行動はある人のスイッチを入れてしまったのです。

分岐点

 爆弾事件の真犯人にも、あるポイントで分岐点がありました。それに実はエレナも関わっていた。でも分岐点は爆弾のブラックフライデーに配達する方にスイッチが押されてしまった。これもまた『MIU404』で桔梗が言ってた「私たちは何時も間に合わない」を凄く思い出してしまった(これ『ラストマイル』の予告動画シェアード・ユニバース・ヒストリーPVで印象的な抜き出し台詞として挿入されています)、そしてUDIラボでの司法解剖の結果、ある事実が判明するとUDIの中堂が「見上げた根性だ」といいます。それに三澄ミコトが「そんな根性ならない方がいい」と返すのも本当に重い。『アンナチュラル』では事が終わってしまった後にそれ以上に人が絶望しないように死因(原因)をはっきりさせる。『MIU404』は事態が最悪になる前に止める事を(全てを止めることは出来なくても)、前を向いて抗い続けるという事が繰り返されたし安易な帰着にならないようにとしていたんですよね。今回の事件はスイッチが悪い方向に入ってしまってミコトたちも志摩&伊吹も間に合わなかったけれど、エレナは少なくとも自らの意思で動くことが出来た。もちろん遅すぎたかも知れない。でもボールは投げられたという風に受け止めました。キャッチした我々がどうするのかはあなたたち次第と言われた気がします。

誰がために働く

 脚本の野木さんや塚原監督が裏主人公と言ってた佐野親子(佐野と言う名字だけで爆上げな上に演じるのは宇野祥平、火野正平のWしょうへいというのもポイント高いです)は爆弾事件に巻き込まれているけれど警察にもエレナたちとも直接関係のない下請け業者です。同じ仕事をコツコツしていた父と勤めていた中小電器メーカーが倒産したため父の仕事を手伝う息子。言わばザ・ブルーカラーかつ今のワーキングプアとまでは言ってなくとも何かでそうなってもおかしくないギリギリの労働者たち。でも仕事にはそれぞれプライドを持ち、最後の最後でちょっと見せ場がある。多分今の本邦もこういう人たちのやりがい搾取の上に成り立っているのかと思うとこれまた重いボールを投げられた感じがあります。


 それでも倒産したメーカーに勤めていた息子の機転が最後の最後に生きてくるのは問題の根本解決には至っていないけど、ああ良かったとなったのも事実。いやいい仕事をするところを永く続かせるのもやっぱり我々(カスタマーである)次第なんですよね。本当にエンタメとして見せ場作っておいてもなお考えさせるとは、恐るべし野木脚本&塚原演出です(;^ω^)

シェアード・ユニバース

 思ってたほど『アンナチュラル』UDIラボメンバーや『MIU404』4機捜がガッツリじゃなかったという方もいらっしゃるだろうけどそれについては最初に書いた通り。これはそれぞれの作品の続編ではなく『ラストマイル』という独立した作品だからという事なんですが、それを差し置いても『アンナチュラル』から『MIU404』を繋いでいる西武蔵野署の毛利刑事と『MIU404』の刈谷刑事は活躍していましたよね。特に毛利刑事は実は鋭いとこもしっかり披露してるし、刑事として結構有能。桔梗さんは部下には恵まれている感じあります(ヲイヲイ)、毛利と刈谷の2人の相棒もちゃんと出てるし。もちろんそれぞれの作品のファンとしてはというのはあるんでしょうけど、それはどちらかの作品のシーズン2を期待したいところなのです。でも今日本で一番忙しそうなメンツばかりだものなあ…難しいかな。でもシェアード・ユニバースこれで打ち止めではなく緩く続けてくれるとなんか嬉しいですね。

あなたのブツは、どこに

 ちょっと大手ショッピングサイトでお買い物というかポチるのは正直やめられないだろうけど、置き配とかともかく不在票とかの再配達であまり手を煩わせなくしたいなとか、入るものだけを買うのは当たり前としても即日配送とかではなく負担の無い感じで(と言ってもプライム会員なので(ヲイヲイヲイヲイ)指定しないと普通に結構即配になってしまうので気を付けないといけないんですが)とか、それよりもお仕事の環境でやっぱり言うべきは言う、誰かに頼る。無理はしない。でも相手の事も考える(それはお客様も環境も)ウィンウィンではなく譲り合いの精神で。数字が全てじゃないけれどというところでしょうか。観てて実はあるドラマの事を思い出してて『あなたのブツが、ここに』っていうNHKの夜ドラなんですけれど、佐野親子のような下請け配送ドライバーの話です。DV夫から逃げるように離婚した元キャバ嬢がコロナ禍でキャバクラの仕事が無くなり親子が食べていくために配送ドライバーに転身して悪戦苦闘する物語です。ある意味これも佐野親子と同じギリギリの環境で仕事をする人たちのしかも物流の話で見ると色々考えさせられました。それを凄く思い出したんですよね。もしスイッチがちゃんといい方に入っていたらと…。荷物はひとりでに歩いてきません。ちょっとそういうところも考えて欲しい。そういう事でまた『ラストマイル』観たいと思います。

※良いドラマなので

あなたのブツが、ここに - NHK

リンク貼ってませんけどNHKオンデマンドで有料視聴は出来るかと思います。

※とは言えなんだかんだでAmazon(言っちゃった)にはお世話になってるところなんですよね(;^ω^)

※オフィシャルガイドブック発売中/ブクログ/Amazon

『ラストマイル』OFFICIAL BOOK (TVガイドMOOK)
『ラストマイル』OFFICIAL BOOK (TVガイドMOOK)

※この機にシェアード・ユニバース作品を観る、または再見するのも良いかもしれません。少なくともtonbori堂は『MIU404』改めて観ていいなと思いました。ちなみにシーズン1となっているのはAmazonプライムビデオの表示上の話でシーズン2はありません(切望ですが)

 MIU404 - シーズン 1を観る | Prime Video 

アンナチュラル【TBSオンデマンド】を観る | Prime Video 

※U-NEXT配信ならMIU404はディレクターズカット版が観れるそうですか円盤を買うと言うのもありかも?/ブクログ/Amazon


※以前に書いた『アンナチュラル』感想と『MIU404』感想。いま読み返すと色々恥ずかしいですがよしなに。

探索者たち|MIU404|感想【ネタバレ注意!】|tonbori堂ドラマ語り

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TBS2020年度春の金曜ドラマとしてスタートするはずだったノンストップ機捜アクション、『MIU404』についてキャラクターから感想を書いてみました。

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この冬クールで視聴していた中で一番良かったドラマ『アンナチュラル』最終回を迎えての自分が観て良かった点を3つほどあげています。「ストーリー」、「キャラクター造詣」「プロフェッショナル」。この3つ、お仕事ものの基本と思っているんですがツボをはずしていたりちょっとやりすぎな作品も見受けられる中、このドラマはそのツボをちゃんと抑えていました。ですがもっと深く楽しめる1クールだけではもったいないドラマでした。Season2を希望です。

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