実はシリーズ1作目の感想とかをあげていなくて改めてアップしようかな思い立ち久しぶりに観たのが、このしょぼくれたおじさんがキレたら実は凄かった系アクション映画『ジョン・ウィック』です。でもこれがマトリックス後のキアヌ・リーブスの再ブレーク作になるんですから世の中何がどうなるのか分かりませんね。ということで「舐めた相手が〇〇」だったパターンとして名高い作品『ジョン・ウィック』について今回は語ってみようと思います。
その男、元殺し屋
元は殺し屋だったり凄腕のプロ(兵士や警官)だった主人公がトラブルに巻き込まれて再び己のスキルをもって立ち向かうというお話は結構あって、例えば「ランボー」もその作品群に含まれます。でもウィックに関して言えば、「殺し屋」であるという部分が大きいかと思います。だいたい殺し屋映画だと現役か、足を洗おうかと思っていたというパターンが多く舐めた相手が〇〇パターンでも、現役パリパリだったりしますけどウィックは最初は殺し屋というよりはしょぼくれたおじさんって体です。もっとも乗ってくるクルマが良すぎて目をつけられちゃうんですが。
またガススタンドで因縁付けてくる若造も分かりやすいチンピラ感を出しているんですが実はその若造の父親が昔、ウィックのクライアントであったロシアンマフィアの頭目であったという事から話が血で血を洗う事になってきます。クルマもなんですがチンピラ、ワンコを殺したのは拙かった。いやワンコ殺しちゃダメですよ。そりゃウィック切れても当然です。しかもウィックを堅気にさせた最愛の人、妻の形見なんだからそりゃロシアンマフィア壊滅させられてもしょうがない。(なくない?)ちなみにクルマはマスタング。『フォードvsフェラーリ』のキャロル・シェルビーもフォードとのコンビネーションはレースだけじゃなくカスタマイズされたマシンとしてマスタングをチューンしたシェルビー・コブラGT350とGT500っていうマシンを送り出しているんですけれど同時期からその後も映画などで使われたマッハ1というマシンです。これがまためっぽうカッコイイので。そりゃそっちも取られたら怒髪天を突くってもんです。
tonbori堂所有のフォード・マスタングのミニカー/サントリーBOSSのおまけ |
この辺り耐えて、耐えてでもというのは本当にそういう系譜の作品のセオリーに則っていてそこからジョンの独壇場になっていくのもそうなんですがそこで後の続編へとユニバースを拡げる事となる大きな要素がありました。それがコンチネンタル・ホテルです。
コンチネンタル・ホテル
これが無かったら多分続編のあの殺し屋アンダーワールドファンタジー、とでも言うべき闇社会を戯画化した世界観は出来なかったと思います。この手の作品で主人公が一度は反撃に出てサクサクと復讐を進めていくと必ずと言っていいほど中盤で敵の逆襲に遭い、時には致命傷寸前までに追い込まれた時に助けてくれるサポーターが登場します。それは知り合っただけの看護師だったり、昔の馴染みだったり。殺し屋時代の仲間、闇の商売人とかいろいろありますけれど、『ジョン・ウィック』では独自の通貨(コイン)で支払いしその内部だけは完全にグリーンゾーン(ホテル内部での殺しはご法度)というコンチネンタルのシステムのおかげで、そういう闇社会の掟や構造が他の作品との差別化となり2や3はそのコンチネンタルが大きく関わり、そういうシステムが存在できる理由としてハイ・テーブルという言わば闇社会の国連みたいな組織が上位に存在するという世界観が出てきました。
でもこの『ジョン・ウィック』ではまだそこまでのものではなくあくまでも愛妻との思い出を踏みにじられた男の怒りをオーバーキルな描写で描いた映画でした。でもその拡がりそうな世界観が提示された事で(ロシアンマフィアの懸賞金目当てでご法度破りコンチネンタルでジョンを殺そうとした殺し屋がコンチネンタルの支配人ウィンストンが粛清するシーンがそうです。)その後もこの世界観が『ジョン・ウィック』ユニバースのキーとなっていきました。
ただあくまでも第1作目はまだ愛する者を奪われた男の復讐譚でしかなかったのがここまでブレイクする理由には弱すぎます。『ジョン・ウィック』がブレイクしたのは先にも少し書いたオーバーキル気味な描写も実は大きな理由だったのです。スタントマンでアクション監督だった今作の監督チャド・スタエルスキがこだわりぬいたアクションシーンを存分にそれぞれのシーンに込めていくという部分でした。
ガン・フー
その『ジョン・ウィック』のもう一つの魅力は『ガン・フー』と言っても過言ではないと思います。現在アクション映画で大流行りのCQCやコンバットシューティングをベースとしたガン・フー(シューティングとクンフーを組み合わせた造語)シーンは外連味がありながらも実践的なシューティング・スタイルもベースにしており、そこは数々の映画でアクション・コレオグラファーとして活躍したスタエルスキならではのもので、こだわりぬいたアクションシーンが続出です。ジョンがロシアンマフィアのぼんくら息子を追っかけて彼がかくまわれているクラブを襲撃するシーンでは近距離でガードを銃撃、ダブルタップだけじゃなくトリプルで最後に止めの一発とか組みついてヘッドショット、ほんとうに息もつかせぬシーンが続出します。
John Wick (4/10) Movie CLIP - Club Rampage (2014) HD|Movieclips|YouTube
よくこの映画が後発のガンアクションを変えたとも言われますけど、それまでにもそういう映画は幾つかあって例えば『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』での主人公を演じたジェームズ・カーンのコンバットシューティングスタイルの銃撃シーンやクリスチャン・ベールが主人公を演じたSFアクション『リベリオン』での未来の近接拳銃格闘術「ガン=カタ』がその範疇だと思うのですが、tonbori堂は『ジョン・ウィック』のガン・フーはその2本の正当進化かなと思っています。
一見、正統スタイルのツーハンドホールドでも腕を曲げ胸に近づけて斜めに構える、その構え方はCAR SystemというCQB(近接戦闘)に特化したスタイルで、それまで映画ではたまに警察の特殊部隊突入シーンとかでなどでしかお目にかからない構え方でしたが、この『ジョン・ウィック』で一躍有名になった構え方と言ってもいいでしょう。必ずしもCAR Systemばかりではないんですがその独特な構え方から『ジョン・ウィック構え』と言われているとか(ぐぐってみるとイラスト投稿サイトpixivの運営しているピクシブ百科事典にCAR Systemの項目がありそう言われていると知ってビックリです(笑)
C.A.R.システム (せんたーあくしすりろっく)とは【ピクシブ百科事典】
銃器についてもチャプター2でのコンバットシューターのタラン・バトラーによる協力からパラベラムまで彼がアドバイザーを務めているようでウィックの銃が2からは彼の手によるカスタムになっているのですが今作ではH&KのP30Lを使用していたりとか凝っているけどカスタマイズなどは抑え気味でしたね。(いちおうコンペンセータ付きでしたが)それでも銃はかなり大量に出ています。ということでミニコーナー的にアレ行っておきましょう。
拳銃は最後の武器…ではない、最初の武器だ!『ジョン・ウィック』に出てきた銃たち
ウィックが劇中で使う銃は色々あるんですがなんといってもH&KP30ははずせません。チャプター2では銃器ソムリエにウィック様はH&Kをお好みになんていわれてましたからね(笑)劇中ではコンペンセータ付(反動減衰のための銃口に取り付ける機器)なんですが東京マルイから出ているのは電動エアハンドガンで10歳以上用のモデルでAmazonで取り扱いのあるのはシルバースライドモデルのみでこれはメーカーでもカタログはそれだけだからのようです。ちなみにフルオートです。でも1作目のジョンを気取るなら東京マルイのであればUSP(リンク先はAmazon/USP電動ハンドガン18歳以上)という手もあります。ただコンペンセーターは付いてないので自作するしかないですね😅ちなみに電動ハンドガンのUSPはサイレンサーやダットサイト用のマズルアダプター(銃口につけるアタッチメント/リンク先はAmazon)があるのでガスブローバックよりはやりやすいかも?
東京マルイ No.5 HK P30スライドシルバー フルオート 10歳以上電動ブローバック/Amazon |
同じくUSPを使ってジョンを気取るならKSCのUSPを使うのもありかもしれません。銃口部にヘビーウェイトを装着したモデルです。見た目も押し出しがあって劇中でジョンが使ってた感じがします(笑)あくまで感じだけですが。
※KSC USP45マッチ スライド ヘビーウェイト/Amazon
ジョンがロシアンマフィアのボスを襲撃する時につかったショットガンもまた東京マルイさんでモデルアップされているモデルです。ケル・テック KSGという見た目はオートのようだけど実はポンプアクションショットガンで銃身の下のチューブマガジン(2本並列)を包むように配置されたフォアエンドを前後させて排莢と装填を繰り返します。ちなみにブルパップスタイルで頬付けするストックに薬室がありストック下へ排莢するシステムになっている映像映えするショットガンです。
※東京マルイ KSG 18歳以上ガスショットガン/Amazon
同じくジョンが狙撃に使用するボルトアクションライフルもDTA SRSというブルパップの狙撃銃。デザート・テック(Desert Tech)社のライフル銃らしいんですが正式ライセンスを受けた、劇中のとはルックはちょっと違いますけどエアソフトガンがAmazonにありました。凄いな!Amazon(笑)いや凄いのはエアソフトガン業界か😆このエアガンは中華メーカー(香港)製なんだそうですがお値段もけっこう良い値段してます。
※SILVERBACK SRS A2 M2 22インチ [ミドルレンジバレル] プルボルト BK // エアコッキング Desert Tech デザートテック SBA-BLT-12BK/Amazon
デザート・テック SRS/Wikipediaより/.308口径 |
他にもジョンのバックアップはグロック26(リンクはAmazon)でしたね。それにロシアンマフィアのグロッククローンやM92Fアイノックス(リンクはAmazon/東京マルイクロームステンレスモデル)が登場していますがこの辺りがtonbori堂の気になったところでしょうか。
キャスト&スタッフ
『ジョン・ウィック』はタイトルロールのジョン、キアヌ・リーブスの事がクローズアップされる事が多いですが、脇を固める面々も中々渋いメンバーが揃っています。ジョンの友人で表向きはカーショップの経営者。裏では盗難車の解体及び販売ルートを握っているオーレリオにジョン・レグイザモ。様々な役で幾つもの作品に出演しているいわゆる米の名バイプレーヤー。米の実写版スーパーマリオの映画ではルイージを演じた事も(笑)ロシアンマフィアのボス、タラソフにはスウェーデンの名優、ミカエル・ニクヴィスト。『ハンターキラー 潜航せよ』でロシアの潜水艦艦長役が遺作となりましたがここでは親ばかのボスを演じていました。タラソフの友人でありジョンとも友人である狙撃の名手マーカスには『プラトーン』のエリアス軍曹を演じたウィレム・デフォ―。ジョンの亡くなった妻ヘレンには『世界侵略:ロサンゼルス決戦』に出演していたブリジット・モイナハン、コンチネンタルの支配人ウィンストンには『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』で凶悪な海賊黒ひげを演じたイアン・マクシェーンという渋いメンツで固められています。
監督はチャド・スタエルスキ、先にも書きましたがスタントマン、アクション・コーディネーターやセカンド・ユニット(アクション撮影を担当する)監督を歴任した人物で、『ハンガーゲーム』『シビルウォー/キャプテン・アメリカ』を担当。『マトリックス』でキアヌのスタントを務めたことで彼と知己を得たようです。そのため今作の製作総指揮をも務めるキアヌの元に脚本が届いたときにスタエルスキと同じくスタントマンでアクション監督のデヴィッド・リーチが設立した”87イレヴン”というチームにコンタクトをとったのだとか。今作のアクションを実現するには最高のチームが必要でそれが出来るのはスタエルスキとリーチであるという事だからだそうです。(公式サイトより)リーチは製作ですがほぼ共同監督という形だったそうです。その後リーチは『アトミックブロンド』と『デッドブール2』の監督となります。そして製作総指揮を買って出たキアヌ自身も肉体改造や格闘、射撃などの訓練を積みカースタントなども彼自身が務めるほどの熱の入れようでそれは作品を観てもよく分ります。2ではシューティングレンジでのトレーニングシーンがYouTubeで公開されたりしていました。
映画『ジョン・ウィック:チャプター 2』特別映像「トレーニング」|ponycanyou|YouTube
最後に
コンチネンタル・ホテル設定がそこまで拡がりハイ・テーブルと呼ばれる殺し屋ギルドみたいなのと、NYの地下帝国との戦いになっていきそうな気配が漂っている『ジョン・ウィック』ユニバースですが、そもそものガン・フーアクション炸裂という部分は第1作目に全てが詰まっていますので是非ともご覧いただきたい1本だと思います。ありきたりと言われるとそうかもしれないストーリーではありますが、失意に追い込まれた男の逆襲ってのは燃えますからね。そういうシンプルで力強いところも『ジョン・ウィック』の美点ではないでしょうか。それにやりすぎアクションではありますが現実感をぎりぎり保っているのもいいと思うんですよ。パラベラムはもう完全にファンタジーの域ですから。(嫌いじゃないですが)ジョンの始まりの物語として是非ご覧ください。
ソース引用元|映画『ジョン・ウィック』オフィシャルサイト
※Amazonプライムビデオで配信中。プライム会員特典(2020.05.10現在)
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