ざっくり観れる映画 日活無国籍アクションで一掴み編 by Amazon Prime Video-Web-tonbori堂アネックス

ざっくり観れる映画 日活無国籍アクションで一掴み編 by Amazon Prime Video

2020年5月4日月曜日

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 COVID-19感染症による緊急事態宣言は5月6日以降も続くことになりました。どちらにしてもゴールデンウイークはステイ・ホーム、おうちにいましょう週間。ということでこのざっくり観れる映画シリーズもざっくりと観れる作品をまたまたご紹介。今回は調べてみると往年の日活アクション映画がプライム特典になっているの発見いたしましたのでそれをご紹介。名前だけは聞いたことがあるよとかいう方もいらっしゃるかと思います。なかでも今回ご紹介する作品の1本は先般、逝去なされたアクションスター、エースのジョーこと宍戸錠主演の作品です。そしてそのエースのジョーと渡り合う抜き撃ちの名手、竜役などで人気を博した和製ジェームズ・ディーン、トニーこと赤木圭一郎の主演作の2本です。どちらも2時間もない上映時間というまさにアクション映画の鏡…といいながらもエースのジョーさんの作品はいわゆる問題作でありまして…まあとりあえずトニー、赤木圭一郎の主演作品からまいりましょうか。

紅の拳銃

紅の拳銃|YouTubeムービー|提供元NikkatsuMovies|プレビューあり

 以前にもこの作品はご紹介したことがあります。その時は殺し屋映画列伝というエントリでしたが実はこの日活無国籍アクションもこの後ご紹介する『殺しの烙印』も併せて殺し屋映画だったりします(https://tonbori.blogspot.com/2017/11/blog-post_26.html)冒頭いきなり1人の男が画面からこちらに語りかけます。殺し屋なんて実際にいないと。男は別の男から殺し屋を仕立てあげろと依頼されているのです。

 男は戦時中の上官だった小寺に頼まれ敵対する組織のボスを殺す殺し屋を仕立てあげろと命令されている石岡(垂水吾郎)です。軍隊時代に射撃の名手だった石岡は2年前にも今では組織のボスになっている小寺(芦田伸介)のために殺し屋を仕立てましたが残念ながら返り討ちあい、実行を渋りますが戦争で片腕を無くした石岡は小寺に従う他ありませんでした。石岡はクラブ『銀の城』で酒を煽っているやさぐれた青年、中田(赤木圭一郎)に目を付け彼を誘います。するとあっさり引き受ける中田。そして石岡の下で射撃の腕を磨くのですが…というあらすじです。

 この作品なんというか血気盛んというか竜とはまた違うニヒルでありながら、ふとした瞬間に優しさを見せる赤木圭一郎がとにかくカッコいい。そして銃の捌き方も当然上手い。そして身のこなしも軽やか。どこを切っても赤木圭一郎の魅力に詰まっている作品なんですが、中田に殺しの業を教え込む石岡を演じる垂水吾郎もまた渋い。戦争で片腕を無くし、目の見えない妹のために社会の片隅で悪事に手を染めながらも生きている男を好演しています。またボスの小寺を演じる芦田伸介、謎の中国人を演じる藤村有弘。それ以外にも小沢昭一、小沢栄太郎という重鎮がこの頃は脇の悪役で場を賑わし、ヒロインの石岡の妹、菊代の笹森礼子、クラブの女、千加子に白木マリ(万理)。日活アクションの中でもその雰囲気からtonbori堂がこよなく愛する1本です。

Amazon.co.jp: 紅の拳銃を観る | Prime Video

殺しの烙印


殺しの烙印(冒頭)|YouTubeムービー|NIKKATSUチャンネル|OPシーンのプレビュー。

 これはなかなかの問題作なんですが好きな人は大好きというカルトな人気が高い作品でもあります。宍戸錠のニヒルな魅力も炸裂していますがなんといってもこの映画、監督が鈴木清順監督なのです。そしてこの作品で日活を干されてしまいましたが、後に『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』という大正浪漫三部作を監督し押しも押されぬ巨匠となりました。もっとも最初からこういう耽美で夢幻な作風というわけではなかったのですが(一度、清順監督の日活での初期作品でこれも宍戸錠主演の『探偵事務所23くたばれ悪党ども』を観た事があるんですがこれはウェルメイドなアクション活劇でした。)渡哲也主演の『東京流れ者』の結末で会社と揉め、そして最後のチャンスとされたこの『殺しの烙印』でそれが決定的になったとか。といわくありげなこの作品。晩年の清順監督が続編構想などをミックスしてリメイク的に撮ったのが江角マキコ主演の『ピストルオペラ』ということも付記しておきたいところです。『ピストルオペラ』にはモデルの山口小夜子も重要な役で出演していました。ただこの作品は未見なのです…一度はどこかで観てみたいと思っているのですが…。

 『殺しの烙印』のあらすじは殺し屋ランキング№3の花田五郎と№1を目指してしのぎを削る殺し屋たちの物語です。言ってしまうとそれだけなんですがとにかく映像というかお話はあって無きがごとしでモノクロの映像と相まってなんとも不思議な映像となっています。OPは海外から戻った花田がかつての仕事仲間であった春日からカムバックするための組織の仕事を手伝ってくれと言われます。組織の仲介人である藪原からある人物の警護を頼まれますがそこに組織の№2の佐倉と№4の高が襲い掛かります。酒浸りの春日は高と相討ちになりますが花田は佐倉を倒し無事仕事を終えます。花田は変ったくせがあり、仕事の前や後に気が昂ると米の炊いた匂いを嗅ぐのです。そんな花田に今度は謎めいた雰囲気を纏った美沙子という女が現れ仕事を依頼します。しかし彼はその仕事をしくじってしまいます。組織は当然しくじった彼に制裁を加えようとしますがそれを返り討ちにしていきます。そして組織の№1がとうとう彼を殺しにやって来ました…。


 花田は殺し屋ランキングナンバー3の腕前でモーゼルを使います。そして春日は酔いどれ。短銃身のスナブノーズリボルバーを使うんですがこの辺りのモチーフは明らかに名作ギャビン・ライアルの『深夜プラス1』。主人公のケインの使う銃はモーゼル。そしてアル中のボディガード、ロヴェルの銃はスナブノーズのリボルバーなんですよね。ちなみに春日を演じているのは『ウルトラセブン』のV-3ステーションのクラタ隊長役南廣。ちょっとびっくりでした。


モーゼルM712(モデルガン)とM96(水鉄砲)/tonbori堂所蔵品
花田の拳銃と同型のモーゼル/M712(モデルガン)とM96(水鉄砲)/tonbori堂所蔵品

 で、この出だしのところは普通の無国籍アクション映画っぽいんですが、一仕事終えた後の後、謎の女、美沙子(真理アンヌ)と出会った辺りから徐々に花田の内面描写や彼の妻との情事、そして組織の思惑などが入り乱れ物語は徐々に清順世界に引き込まれていきます。殺しのチャンピオンは誰だ?それは…どんどん深みにはまっていくある意味インナーワールドにはまっていく感覚。確かに一般受けは、いやこれ普通にアクションを観に来た人も途中で「あれ?なんか変だぞ」ってなるかと思います。ただしやけに台詞とかがルパン三世っぽいんですよ。これは脚本の具流八郎が実は脚本家グループであり中心人物がルパン三世の脚本を書いていた大和屋竺だったからです。特に№1(演じるは悪役など個性的な役で鳴らした南原宏冶)のたたずまいはまるでルパン三世に出てくる敵役のキャラクターのようです。正直、ざっくり観るには頭に????が飛び交うかもしれませんが『紅の拳銃』が渋いながらもお話がどストレートなのでこれくらいぶっ飛んでるのもたまにはいいかも。OPとEDにかかる「殺しのブルース」は必聴ものなので是非。作詞は具流八郎、そして歌っているのが大和屋竺。味のある一度聴いたら耳から暫く離れない歌詞です。深掘りするといろいろある作品なのでともかく一度は観て欲しい1本です。

Amazon.co.jp: 殺しの烙印を観る | Prime Video

 あと只々渋いエースのジョーさんが観たい方にはこちら『拳銃は俺のパスポート』をおすすめします。プライム特典ではないけれどいちおうプライムビデオのラインナップにはいっているので。日活さんも『探偵事務所23くたばれ悪党ども』や『皆殺しのメロディ』あたりも配信していただけると嬉しいんですけれどね。他のU-NEXTとかにあるのかな?と、今回はAmazonプライムビデオからということなのでこのあたりでよしなに。

Amazon.co.jp: 拳銃は俺のパスポートを観る | Prime Video

最後に

まだまだ緊急事態宣言延長となり先が見通せない感じです。それに今後もお家でという話も出てきそうなのでまだまだプライムビデオもいろいろありますからまた一掴みでお送りしたいと思っています。(ちなみにゴジラ・シリーズもまだまだありますのでvsシリーズでとかミレニアムシリーズでとか)もっとも今はまた『熱海の捜査官』観てます(笑)くせになるんですよね。また別の『熱海の捜査官』っぽい作品を観たいものですが…。ということで次回もまたよろしくお願いいたします。

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