『ファイブスター物語/F.S.S』第2巻/永野護著/KADOKAWA刊(リンクはAmazon/2005エディション/写真は初版です。) |
ファイブスター物語/FSSに登場する惑星ジュノー、ロンド大陸の中央部にある国家。それがコーラス王朝です。コーラス王家、その親戚であるバランカ家、そしてマネ地方の王族と縁を結び出来たマイスナー家の3つの王家からなる国家です。そしてコーラスより分家したメロディ家、ハリコンの事をおさらいついでにコーラスの事についても書いてみようと思います。
※【ネタバレ注意】ファイブスター物語/FSSの単行本の内容、及び連載分現時点(2018年5月時点)でのコーラス王家についての情報に関して記述しております。
ロンド大陸の覇者
コーラスと言えばファイブスター物語/FSS第1部第2話運命の3人の女神~クローソーの章で主役となったサード(三世、正しくは23世)。第1部、第1話ラキシスの章でも存在感をしめしたコーラス・サード。若い頃のモラード、そしてウリクルとの出会いや、ラルゴ・ケンタウリとの因縁などなど短い生涯ながらも印象的なエピソードをたくさん残した人物です。しかもモータヘッド(現在はGTM)はマイト(現在はガーランド)しか作れない設定がはっきりと提示されることになった現在、サード、いやコーラスは騎士なのに(しかも天位級)マイト(ガーランド)の才を持つ非常に稀な才能を持つ設定で特別な血を持つという設定も付加され、天照と対を成す、人間側の代表的な立場のキャラクターとして設定されています。
モータヘッド時代、ハリコンが駆ったコーラスの旗騎。アルルが持ち出しハスハに。GTM設定となりHL1(ハイレオン)、メロディ家の騎体は「アハメス」という個体名に
GTM改変後のコーラスの旗騎HL1、ボークス/ガレージキット/(c)EDIT/テストモデルのため無塗装 |
コーラス王朝の興り
コーラス王朝のあるサザンド太陽系はジュノーは若い星で大地は安定しておらず、人々はロンド大陸に集中して暮らしています。ただ他の大陸に人がいないというわけでもなく、現にDESIGNS2ADDLER:JUNOにおいてコーラス王朝の祖は農民の出なれど騎士の能力をもち、南半球のエレシス大陸からロンドに出てきたとの事。そこからコーラス王朝を建国したわけですが、成立したのはAD世紀から星団歴前後の話のようです。表舞台に名が出てくるのは年表によれば(最新の14巻の年表によれば星団歴1000年前後になるようですが、その力は星団列強とも肩を並べるほどの強国であることは第1部第1話からでも分かります。
王は騎士である
コーラス王朝は武勇をもってなる国家です。その勇名は星団に轟いていますが、そのコーラス王家の長子はほぼ間違いなく騎士として生まれてくるというのも、コーラス王朝の謎です。しかも先に長女が産まれた場合、そちらも騎士として生まれてきますが、やはりその後に長男が生まれると、これまた騎士として生まれてくるというのです。という、なんともとんでもない家系です。騎士の遺伝子というのは劣性遺伝子の塊のようなものでミッション・ルースも超帝国の血を引くものながら血が出るのが遅く、死ぬような苦しみに耐えたもののその力は最低ランク(本人申告)だそうですが、普通の遺伝子を破壊するほどの強力な血(遺伝子)は発現率も低いとされています。だからこそ騎士の寿命は短いとも。そんな中コーラスのみのこの現象、ファティマ・ガーランドでもあるバランシェはこう言ったそうです。「コーラスの祖先に超帝国の皇帝の血を引く者がいる」と。この辺りはDESIGNS2からの引用ですが、さらにこうも書かれています。超帝国剣聖プロミネンスとコーラスが会う時、この謎は解明されると書いてあります。
超帝国剣聖ララファ・『ジュノ―ン』
その剣聖プロミネンスとの邂逅で謎が明かされる一端のヒントが第14巻にて示されました。ベラ攻防戦、ガマッシャーン共和国のナオ・レイスルは恋ダウドのファティマ、パシテアの力を借りていた時に、恋ダウドに転生しているミキータ・オージェの力(グリント・ツゥインゲン)スコーパーによりララファ・ジュノ―ンが形成されつつある人物としてその者のイメージを投影しました。そこにはコーラス・フォース(4世)と守護者としてクローソーがいましたが、その後2018年5月号の連載掲載分にてコーラスの剣聖、ハリコン・ネーデルノイドが詩女フンフトの想い人、コーラスのメロディ家の王子カモン・ピアノ・メロディとして登場し、自らを死んだことにして自らのパートナーであったAFタイ・フォンの旅に付き合うかたちで星団を離れ、そして今また一人戻ってきたという事が語られました。そして妹であるフォルテ王女の息子、カモン・ピアノ・メロディ王子として生きているという話なのですが、タイ・フォンのモナーク・セイクレッドへの旅につきあったため年齢の進み方が通常と違う空間にいたために見た目が年齢と合わない若々しい姿で現れました。
カモンはララファとして、ジョーカーにやってくるサタンたちを対峙していたことが示唆されています。この戦いは魔導大戦後のスタント遊星でも攻防戦が繰り広げられるのは年表でも明らかですが、ミス・マドラことアマンダ・プロミネンスが壊園剣を使ってもなお片腕をもぎ取られる激しい戦いであるという事が予告されています。セントリー、ツァラトゥストラ・アプターブリンガー、炎の女皇帝のシュッツエン、旗艦シングなどが全力でサタンの侵攻にあたるとも。その戦いへの布石のための挿話、そう感じました。
もっとも唐突な登場はやはり衝撃で、壊園剣をめぐるシステム・カリギュラとの戦いで若くして命を落としたとあるのでてっきり若くして亡くなっていたのかと。そしてフンフトの子が桜子だけではなかった事も衝撃を呼んでいます。アルルと桜子が異母姉妹だったはずなのに実の姉妹とか、じゃあ年齢合わないじゃないとかいろいろまた謎が増えたのですが、少なくともララファの転生が分家とはいえコーラスの王子に起こった、そして長子のみ起こる騎士として誕生する現象はララファと関係がある?と推測はできないでしょうか。何しろ彼彼女(DESIGNS6クロスジャマーにて女性との設定が明かされました)の名前は「ララファ・ジュノ―ン」名前にジュノーが入ってるっていうのは、そりゃなんらかのつながりがあってしかるべきではないかと(笑)元々ジュノ―ンはSR3につけられた名前であるのですが、第2巻ではこれはジュノーからとってジュノ―ンという話になっていたはずです。DESIGNS2の設定ではソープ(天照)によってSR3が改修され、SR4ジ・エンドレスになったとあります。これGTMでも同じようですが、対応表ではモータヘッド時代はSR4ジュノ―ンa.k.d。GTMになってSR4となった模様です。
ジ・エンドレスは現在のところクローソーとともに封印中ですが目覚めたときはある時代の終わりを告げる事でもありデルタ・ベルンが消滅する時でもあります。それが本編で描かれるかどうかという話もありますが、ジュノ―ンの名を持つ剣聖がコーラスとなんらかの関係性をもっていてもおかしくはありません。プロミネンスことミス・マドラはコーラスと会うというのはほぼ決定事項のようですから、たぶんアルルでしょうか、壊園剣の事がありますから、その時にコーラスの謎が明かされる?と思いたいですがどうなるでしょう。また新たな謎ができそうな…その時はもう近いような気がします。
トリオ・デ・コーラス
ディス・バイス
コーラス王朝がジョーカー星団列強と肩を並べたのは武帝とも言われるディス・バイス・コーラス19世のおかげと言われています。ディス・バイスは単行本5巻で天照のミコト様とフロート・テンプルがまだパトラクシェ島と言われてデルタ・ベルンにあるA.K.Dの王立図書館がある小島だった頃に島の先端にあるベンチで会話していた人です。
ディス・バイスの功績は星団法の制定に力を貸したというところです。声掛けをしたのはクバルカン法国の法王(DESIGNS2ではアルカード・サヤステになっていましたがDESIGNS4以降はマリーナになっています。)でしたが、フィルモアのヨミ・ルーカ・レーダー・フィルモア2(DESIGNS2ではユミになっていましたが)や天照のミコトとともに密接に連絡を取り合って星団法成立に導いたとされています。彼がコーラスの基礎を築き上げた話がしっかりとエピソードとして描かれることは無いでしょうがこの事からもコーラスの星団の中での重要度は高いということが分かります。
コーラスそしてカモン。
ディス・バイスの顔はサード、シックスとも面影が似ています。というかコーラスの王子はみな面相が似てくるようですが、これ基本的には『重戦機エルガイム』の主人公ダバ・マイロードの顔です。そもそもコーラス・シックスがダバ・マイロードの顔を持つといったほうがいいでしょうか。彼の妻となるディジナはファティマ・ウリクルの面影を持つといわれていますが、遡ればファンネリア・アムの面影を持つところからも明らかで(つまりウリクルはアムの面影もあるという事です)、物語のもう一方の雄として、そして天照が神様として設定されている以上、コーラスは人間の主人公として設定されていると考えていいでしょう。
そしてダバ・マイロードの別の名はカモン・マイロード。惑星ミズンのヤーマン族の末裔カモン王朝の最後の王です。カモン・ワーラー・Ⅵが彼の真の名前です。そのため初期のF.S.S(まだエルガイムが下地にあった頃でモータヘッド・LEDミラージュがヘビーメタル・ブラッドテンプルだった頃に遡ります)としてコーラス=ダバでした。カモンのくさびはその後コーラスのくさびの意匠として変化していっています。だから2018年4月号の連載でジェイン女王がカモン殿といったときに、もしやコーラスの関係者?とF.S.Sファンの間で話題になったのも無理からぬことなのですが、さすがにハリコンまでとは予想が付きませんでした。
ハリコンの妹でメロディ家を継いだフォルテの子として実は存命していたとは、かなり反則気味です。しかもいつのまにやらメロディ家のラ・ユリケンヌをめとっていたとか。『花の詩女 ゴティックメード』の製作前からの年表修正や設定追加はこのコーラスの設定と剣聖の設定、そして詩女の設定が初期のままでは矛盾をはらむための変更ではないのかと。既に年表と合わないなどの指摘は昔からファンの間ではあったのですが、実はクリス(永野護)もポカをしたとトイズのクロニクルの刊行の頃かCHARACTERS7の頃だったか、それとも単行本発売の頃か、どこかで語っていたように思います。そしてそれは誰もまだ気が付いていないと。まるで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の最後のイースターエッグは誰もまだ気が付いていないというジェームズ・ガンのようですが、あの話を聞いたときに、いやいやクリスの方が先行ってるなと思ったのは…多分tonbori堂だけでしょう(苦笑)
実のところエルガイムのキャラクターデザインと滅んだ王家の王位継承者という設定はコーラスの中に色濃く残っていて、それ故にエルガイム2、または俺エルガイムみたいなという話も予想されていたのが、実はさらに壮大なおとぎ話であったのは皆さんご存知のとおりですが、それでも黒騎士バッシュはやはりA級ヘビーメタル「バッシュ」であり、ブラッド・テンプルはL.E.Dミラージュの元になっているのです。そのための大筋は変更せずに(サードの死去、シックスがやがて反天照として立つ事など)魔導大戦と続くハスハの巫女=詩女へという流れで変更を完了させていったのだと思っていました。だから実はカモン・ピアノ・メロディがハリコンでいいのですが、でもそうなってくると今度はアルルと桜子の姉妹設定と年齢の矛盾が出てきます。
ここまで周到に時間をかけて修正?してきたのにここでご破算にするのはおかしな話で、どういうウルトラQがまっているのか、本当に「あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです。」ばりのモナーク・セイクレッドの不思議空間にまた巻き込まれそうな。もしくはこっちの手当てをしたらこっちの壁が!(ヲイ)かもしれません。それがはっきりするのは桜子とアルルが会う時でしょう。物語上設定されているかどうかは分かりませんが魔導大戦で暴風3王女が揃い、ちゃあとヨーンを探したり、フィルモアやクバルカンのファティマのケミカルケアやログナーに目を付けられちゃったりしている桜子、どこかで会う気がしてなりません。
謎多きコーラス王朝
今回は謎多きコーラス王朝について考察してみましたが、本当に謎が多い事に気が付きました。気質はヤンキー気質っぽいですという事はよく知られた事実ですが、(ヲイ)サードやディス・バイスだけではなくハリコンを含めて実は分かっていないことだらけ。それに新設定では南部(ナンブ)というガーランドネームまで付きました。(ナンブは日本の銃器設計者で有名な南部麒次郎から)
特にディス・バイスは聖宮ラーンのラーン教導学院の出身という設定までついています。(13巻が初出、これは後の詩女様との接点を設けるためかもしれません。)天照は神様ですからで済みますが、人の代表であるコーラス、その謎は深まるばかりです。ちょっと後付け感も感じる話ではあるんですが、クローソーのいる国家として、人の最後の希望としての役割は揺らいでいないと思います。謎はプロミネンスがコーラスと接触したとき。またはララファが目覚め懐園剣がプロミネンスの元に行くことになる時、それが明かされるのか?ということでしょうか。明かされることを期待したいものです。
※追記2022.04.24剣聖の系譜
新情報として「カーマントーの灯火」のエンディングで新たな事実が分りました。今回は「剣聖」の系譜として書きましたがコーラスの謎にも直結しています。
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