ファイブスター物語/FSSに登場する戦闘兵器ゴティックメードを製造できる「才能」を生まれ持って備えているガーランド。彼らゴティックメード・ガーランドのネーミングは銃器(砲)、火器メーカーというのは前回ご説明しましたが、そこから各ガーランドの元ネタである銃器(兵器)メーカーを解説してみました。星団三大ガーランドと呼ばれている、ブラウニー(ブローニング)・ライド、ゼビア・コーター(コルト)、ストーイ・ワーナー(諸説あり)の3人です。特にエルディアイ・ツバンツヒことストーイ・ワーナーに関しては原作者の永野護による説明がないので考察と言うより妄想に近い感じで探ってみましたがいかがでしたでしょうか。ツバンツヒ姐さんについては今後もネタを探ってみたいと思っていますが、今回は三大ガーランドに数えられていないもののジョーカーのGTM史を語る時に避けては通れないガーランド達の元ネタを紐解いてみたいと思います。
F.S.Sファイブスター物語第13巻表紙|[SNOWFLAKES]|(C)2015 EDIT/永野護/KADOKAWA刊 |
今回のGTMガーランドのネーミング元ネタ探訪は?
システム・カリギュラのマウザー教授、フィルモア帝国のシャープス博士、そして姿は現していないけど物語の初めからその存在感を表しているパラベラム・スターム公。この3人をピックアップしました。マウザー教授は『花の詩女 ゴティックメード』に登場後、GTMボルドックスの設計者としてクローズアップされた感じがありますよね。そしてシャープス博士はラミアス≠ファントムの設計、スターム公は言わずと知れたヘルマイネ≠グロアッシュ、デヴォンシャ≠バヤデルカ、バルンシャ≠ライモンダの設計と3人ともF.S.Sの根幹を成すGTMを設計したガーランドです。
ユーゴ・マウザー教授
マウザー教授は『花の詩女 ゴティックメード』でもツバンツヒ姐さんと共に印象的に登場したシステム・カリギュラのガーランドで、ベリン達を襲撃しトリハロン殿下のカイゼリンに撃破されたX-3ボルドックスの設計者です。当時の最新鋭ゴティックメードとしてボットバルトも驚いていた騎体ボルドックスですが現在の魔導大戦でもウモスの主力ゴティックメードとして用いられている名騎体です。ボルドックスのフレームであるパンターフレームはキルス・レミントン伯爵(この方もまた後に元ネタを解説したいと思います。)とともに開発しジョーカー星団でその後に開発された多くのGTMに使用されている名フレームの産みの親でもあります。設計したマウザー教授もカリギュラの一員としてエキセントリックな言動が『花の詩女 ゴティックメード』でも印象深い人物ですが、デコースがダッカスのフルオーバーホールを頼むことにしているということで現在のジョーカー星団にやってきていることが示されています。登場こそはまだですが本編に姿を現すのもそう遠くないでしょう。
そんなマウザー教授の元ネタはマウザー、Mauser、日本ではモーゼルとして広く知られている銃器メーカーが元ネタです。モーゼルはドイツの有名な銃器メーカーとして特にボルトアクションでその名を知られていますが、拳銃も特徴的な大型拳銃を製造していたことで知られています。
画像はWikipedia|モーゼルKar98|モーゼルより |
ボルトアクションはドライゼという(この名前も覚えておいてください)人が発明したドライゼ銃によって生み出されましたが現在に続くボルトアクションを完成させたのはマンリッヒャーM1888とモーゼルGew88だと言われています。やがて3大ボルトアクションと呼ばれる事になるGew98がモーゼルの代名詞となりました。第二次世界大戦後解体され再建されたものの元のモーゼルはラインメタルなどに吸収合併され消滅。その意を汲んでいるのがヘッケラー&コッホ(H&K)というメーカーです。このヘッケラーもGTMガーランドの名前としてありますね。
また拳銃としてのモーゼルも大型で扱いにくいという反面、遠距離射撃にすぐれ装弾数も多く(初期型はクリップから排莢口より装填するという方法を取っていた)ピストルとサブマシンガンの間のような使い方をされていました。中国大陸にも多く出回り、人民解放軍、中華民国軍ともに使用されていた事もあります。中国の馬賊のピストルとしてある一定の人にはなじみがあるかもしれません。日本軍でも個人で使用していた人たちがいるようでその特異な形からブルームハンドル(箒の柄)とも言われています。
画像はWikipediaより|モーゼルC96 |
マウザー教授はクロスビンのダッカスをオーバーホールをしたということですが彼自身もガーランドであり超帝國騎士(重合人間)ということで今後は自らの作ったGTMで出撃するということがあるかもしれません。
バルミドラン・シャープス博士
カラミティ/フィルモア帝国のガーランドであるシャープス博士は主にホルダ型のメンテナンスと改良を手掛け新型ドージョージ型GTMラミアスを設計した人物です。前皇帝レーダー陛下やファティマ・ガーランドのクープ、元帝国最高吟味役のド・ラ・フィルモアとともに帝国老人クラブの一角でもあります。ラミアスはGTM改変前にはファントムと呼称されていたモーターヘッド(MH)で、それを設計したのは剣聖イペル・シュバリエであるマドラ・モイライ(別名というより別人格のスパーク)のために設計したものと明言されていました。しかし今回レイスルのナオが搭乗したラミアス(ハロ・ガロ)を見たソープが、あれはカイゼリンという吹き出し外台詞をいったことでさらにブラウニー博士以来のフィルモア皇帝騎として設計されたのでは?という疑問も出てきました。それは今後の展開かデザインズで明らかになるかどうかは分かりませんが。
そんなシャープス博士はアメリカの西部開拓時代を切り拓いたシャープス銃から来ていると思います。ちなみにシャープスというのは開発者の名前でクリスティアン・シャープスと言います。単発で大きな口径の強力な装弾により西部の人々に愛用されたライフル銃で単発ながら素早く装弾出来るのも魅力だったそうです。
画像はWikipediaより|シャープス銃軍用カービン |
旧式な雷管式から最終的には金属式薬莢の時代まで基本機構を上手く移行したライフルとしても知られており、ダス・ラント時代からのホルダを改良し、ブラウニー博士の基本機構をいかしてラミアス(ドージョージ型)を設計したシャープス博士ともそこがだぶっているのかなと、これはtonbori堂の勝手な想像ですが(笑)
パラベラム・スターム公
ファイブスター物語/F.S.S初期から名前が出ているMHマイトでGTM改変後にはGTMガーランドであるスターム公。デヴォンシャ、バルンシャ、ヘルマイネを製作した名工と謳われるMHマイトでGTM改変後はヘルマイネはグロアッシュ、バルンシャはバヤデルカ、デヴォンシャはライモンダとなっているそうです。DESIGNS4ではロッゾ帝国の筆頭GTMガーランドとの表記がありましたのでロッゾに深くかかわる人物だったようです。
またその姿が本編に出る事が無かったラインシャル・ヒューメトリはボイスオーバーGA2となってエピソード『ツラック隊』に登場したのは記憶にあたらしいところです。ミラージュ騎士ウラッツェンのお兄さんダックナードも登場し親父殿といわれているのは時代劇っぽいなぁと思いましたがまあこれは余談として。ちなみにスターム公ご本人の登場は無く名工という感じで、今のところ本編では名前だけがよく出る人扱いです。いわゆる日本刀なら正宗や虎徹、銃ならサミュエル・コルト、ブローニングという感じがします。いわゆるブランドネームみたいな感じですがゼビア・コーターもマギーさんのキャラ設定が起こされるにあたって急にでてきましたから今後姿だけでも出てくる?かもしれません。(追記:存命なのかどうかが設定改変であやふやなのですが、以前は既にお亡くなりになってたようにも思います。)
そんなパラベラム・スターム公って元ネタが2つかかっていて、パラベラムはルガーP08やワルサーP38に使用されている9mmパラベラム弾というカートリッジ(拳銃の弾薬)の事だと思われます、そもそも「パラベラム」というのはラテン語で「戦いに備えよ」という意味があり弾薬の他ルガーP08を生産していた武器メーカーDWMのモットーだったとか。正確には『平和を望むなら戦いに備えよ」だったと思います。
画像はWikipediaより|9×19mmパラベラム弾 |
スタームはアメリカン・ルガーといわれるスターム・ルガーから来ていると思われます。ドイツのルガーとはつづりが違うのですが(ドイツはLuger、アメリカはSturm, RugerでLとRです)よく混同されます。なのでこの名前を見た時にミリオタ、ガンマニアはニヤリとしたのではないでしょうか(笑)。スターム・ルガーは漫画『ドーベルマン刑事』で主人公、加納が使用しているスターム・ルガー スーパーブラックホーク44マグナムで有名です。加納はこの銃を前任者の虎沢から受け継いだもので、『ドゴーン!』という発射音とともに覚えている人も多いかもしれません。
画像はWikipediaより|スタームルガー・ブラックホーク |
またアメリカではコルトやスミス&ウエッソンのような老舗ではなく比較的新しいメーカーなのですが堅牢な作りながら安い値段でアメリカでは人気のある銃器メーカーです。この辺りもパラベラム・「スターム」公にかぶっているように思います。
今回はここまで。
DESIGNS4覇者の贈り物/tonbori堂所有/長年読み込んでいるので白いカバーが焼けています |
次回は最近のニューカマー、キアリ・セトメ博士やマーサ・クルップ博士の元ネタを探っていきたいと思いますが、未だに不明なのがルミラン・クロスビン博士です。現在も時々調べているのですが一向に手掛かりがなく不明なのでありますが幾つか仮説ができつつあり、こちらもそのうちに仮説としてちょっと書いてみたいと思っています。基本的にこのシリーズ、デザインズ4に載っていたGTMガーランドは抑えてみようと思っていますのでよろしくお願いいたします。ではまた次回に。
リンク|前回のエントリ|
ガーランドのネーミングについて。Vol.1 GTM編『ファイブスター物語』
ガーランドのネーミングについて。Vol.1.2 GTM編『ファイブスター物語』
リンク|参考資料|Wikipedia
0 件のコメント:
コメントを投稿
お読みいただきありがとうございました。ご意見、ご感想などございましたら、コメントをよろしくお願いいたします。【なおコメント出来る方をGoogleアカウントをお持ちの方に現在限定させて頂いております。】