キングコングの武器関係のエントリでも同じタイトルを使いましたが、この「拳銃は最後の武器」というのは『忍者部隊 月光』の有名な台詞を元にしています。OPで手裏剣、体術、忍者刀で任務に当たる隊員の中で女性隊員が小型拳銃を発砲。すると隊長の月光が『馬鹿!拳銃を使うやつがあるか、拳銃は最後の武器だ。我々は忍者部隊だ。』という台詞です。今回は『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』と『コードネームミラージュ』から登場した拳銃について解説エントリを書いてみようと思います。
最後の武器は最後の手段
実は『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』関係のコラムなどを読んでいるとリアルサウンド映画部のコラムに、最終話まで拳銃を発砲していないという一文がありました。
CRISIS公安機動捜査隊特捜班/ロゴはイメージです |
「この国の、未来のために」小栗旬ら特捜班が進む道とは? 『CRISIS』の意味から紐解く|Real Sound|リアルサウンド 映画部
そう言えば初回も銃は携帯していません。基本日本の警察では警邏のお巡りさん、地域課の巡査などが常時携行していますが職種により拳銃(警察ではけん銃と表記する)の扱いは違います。捜査をする刑事が拳銃を持つするのは実は稀で最近ではそれに沿った描写が多くなりました。これは『踊る大捜査線』以降でドラマでもそういうリアルな描が写されるようになった気がします。フィクションなので昔の刑事ドラマよろしく常時携行っていうのも有りと言えばあり何ですが任務が多岐に渡るため拳銃の取り扱いも通常と同じように取り決められている…というよりこれは原案、脚本の金城さんの意志なのかもと感じました。と言うのも、同じく金城さんの『SP警視庁警備部警護課第4係』でも拳銃は携行するシーンもありましたが発砲シーンは殆ど無かったのではないかと思ったからです。ちなみに警護課のSPはその任務上、拳銃の携行は認められているのかな?その辺りは詳しくは調べていないんですが携行していても相手の武器や脅威度を見て抜いてる感じはあります。4係メンバーの一人、真木よう子演じる笹本は射撃の名手という設定でしたが構えるシーンはあっても発砲シーンがあまり記憶にありません。確か銃の発砲は『CRISIS』と同じく最終回でしかも犯人射殺シーンでは無かったかなと。但し映画では発砲シーンが増量されており野望篇ではそれほどでもなかったのですが革命篇はかなり銃を使うシーンが多かったように思います。
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|Amazon.co.jp: SP THE MOTION PICTURE 革命篇を観る | Prime Videoこれは金城さんの考えもあるのだと思います。拳銃と言うのは強力な武器です。しかも撃つ時は確実に仕留めないと相手の反撃を許すことになります。これはエントリでもご紹介した『フリーファイヤー』(リンクはエントリ)という映画でも描写されていましたが急所に当たらなければ致命傷でも失血死するまで案外人間は生きているものです。またそれだけ強力な武器だからこそ撃つ時はワンショットワンキルでなければならないという事もあり、特捜班の面々はプロだからこそ簡単に発砲しないという事でリアリティを形作っているのではないかという事です。
稲見は自衛隊時代に任務で発砲したことがあります。それは彼にとっては思い出したくない過去であり、心に澱んだ滓です。ですがプロとして発砲することもあります。ただ撃つ場合は相手を確実に無力化する事叩き込まれているのです。だから警察官として確保するため拳銃は最後の最後まで撃たないという矜持があるのではないかと推察しました。これは吉永班長や田丸、樫井、大山など他のメンバーも同様でしょう。
コードネームミラージュ/ロゴはイメージです |
一方、最初から相手を無力化する警察内でも存在していないユニットK-13のエージェント『コードネームミラージュ』のミラージュはサイレンサー付の拳銃で相手を一撃で無力化していきます。目標と立っている立場の相違ですが最初から生きる屍のように無表情で任務をこなすミラージュは稲見のあり得たかもしれないもう一つの未来のようにも見えます。
海外ドラマでは
割と拳銃は普通に発砲します。日本では相手が発砲することが稀なので、相手(被疑者、対象者)が武力をもっていると認められた場合にのみ、まず威嚇、その後に制圧という手順がありますが、米国などでは怪しい行動を相手がとった時に、躊躇すると撃たれる心配があるので、普通のパターンでも割と発砲が多く、実際にそれで産みだされた悲劇もあります。そのためアメリカのドラマでは基本的に警察官は刑事でも拳銃の携行は普通ですし単純な聞き込みでも、アンダーグラウンドでは発砲も日常茶飯事なので当然ドラマでも警察ドラマだと毎回銃撃戦ありますっていうのから、そうでないドラマでも不意打ちに銃撃シーンがあったりとかとにかく銃社会っていうのが切っても切り離せません。
日本のドラマでは
海外ドラマのそれをそのまま日本に持ち込むにはちょっと無理がありますよね。ですが過去には銃撃シーンが毎回あったドラマが普通にありました。『CRISIS』最終回のエントリでもご紹介した『大追跡』『大激闘』、そして石原プロの『大都会PARTⅡ』『大都会PARTⅢ』『西部警察』シリーズは毎回ド派手なカーチェイスに銃撃戦がお約束でした。日活ニューアクションや無国籍シリーズや東宝ニューアクションの流れを汲んでいるこの作品は、犯人は逮捕することもありますが、抵抗する悪党には銃弾をお見舞いします。基本的に犯人を射殺するというまるでワイルド7のような展開で大人のファンタジーという趣もありますが、このドラマを観て育った層も多くアクションは荒唐無稽ですが人気も高いシリーズでした。
ほぼ毎週銃撃戦を展開していました。|『Amazon | 名作ドラマBDシリーズ 大追跡 Blu-ray-BOX(3枚組 全26話収録) -TVドラマ
こちらも同様に。シーズンを重ねるごとに爆破が派手になり特殊車両が登場してきたのも人気でした。|Amazon|西部警察 PARTⅠを観る | Prime Video
ただ現実にはそれはちょっとやり過ぎな部分もありますのでどこにリアリティを求めてくるかというポイントを押さえればリアルな銃撃戦シーンを作り出すことは可能ではないかと思います。今のところファンタジーラインな設定だけど『コードネームミラージュ』は頑張ってると思います。人知れず事件を処理するバックアップ部隊の存在などツッコミの入る部分を上手くごまかしているというか、でも今の時代に西部警察的なドラマを作るならこれは一つの回答ではないかなと思います。
CRISISとコードネームミラージュで使われた銃
『CRISIS』ではメンバーの使用する拳銃はH&K USPでしたがミラージュが使うのはSIG P226のようです。サプレッサー(サイレンサー)という消音器をセットした殺しの武器です。『CRISIS』でも稲見の悪夢に出てくるUSPはサイレンサーを装着してしましたね。
CC 表示-継承 3.0, Link[[File:HK USP 9mm Pragl.jpg|thumb|H&K USP9|alt=H&K USP9]] |H&K USP 画像はWikipediaより |
By Sicario23 - Sicario, Public Domain, LinkSIG P 226 画像はWikipediaより |
追記:20170928:『CRISIS』では相手の武器は多種で例えばヤクザの密輸した拳銃グロックや、テロリストがベレッタM92Fが使ったりしていましたが、『コードネームミラージュ』ではミラージュがメインウェポンのシグ以外にもM4カービンをつかったり、御崎がもっている銃は警察が使用しているシグのP230だったり、ペリカンと呼ばれる逃走や拉致を組織的に行うチームがMP5をつかったりとバリエーションが豊富でした。銃関係の特効(ガン・エフェクト)にBIG SHOTさんが関っているのでそこはさすがに手慣れたものだなと思います。拳銃を常時携帯する機動捜査隊や『SP』でも使用銃はP230でしたが装弾数の少なさ(小型セミオートマチックピストル)のため『CRISIS』、『コードネームミラージュ』ともに大型のオートマチックピストルが主人公たちのデフォルトウェポンのようでしたね。:追記終わり
拳銃というのは小型で隠し持つことが出来るがゆえに危険な武器として認知されていますが、一方でその機能美などに魅せられる人がいるのも事実です。かくいう私もガンマニアのはしくれなのでやはりドラマで出てくる拳銃は気になります。ことさらスローにして確かめたりはしませんが変わった銃が出てきたり、これは分かってるなという描写が出てくると嬉しいものです。反面、分かってないなあという演出や銃の使い方をされるとがっかりすることも。正しい正しくないよりも、なんでしょうきっちり見せてくれるという部分がちゃんとしていれば多少の間違いはスルーできますが、拳銃は嘘のラインを見極めないと陳腐になる小道具という理解が進むといいなと思います。
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