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『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』最終話で気になった件【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2017年6月14日水曜日

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 とうとう最終回を迎えました、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』。まあ何というか鍛冶局長はやっぱり相棒の小野田官房長のような方でした。ただ小野田さんは右京さんはアンコントロールドだけど方向性をつけて、事後処理を自分の意に沿うようにしていたのでやはり一枚上手かなと。

CRISIS公安機動捜査隊特捜班/ロゴはイメージです
CRISIS公安機動捜査隊特捜班/ロゴはイメージです

 ですが『規格外のラストにあなたは戦慄する』の惹句は伊達ではありませんでした。それはオチを含めての部分で事件解決自体は割と想定していましたが、しかし金城さん、やっぱり『BORDER』で石川をラインを越えさせた人です。今回もやってくれましたね。

CRISIS最終回を迎えて気になるポイントは?

 爆弾を仕掛けてドアを壊し特捜班をオフィスに閉じ込めた結城。オフィスに残した携帯に結城から通話が。稲見は『お前を必ず捕まえる』と宣言します。不敵に笑い『ガチガチにやりあおうぜ』という結城。そしてオフィスに仕掛けたパイプ爆弾を起爆させます。間一髪、取調室に爆弾を放り込んだ稲見のおかげで爆風で吹き飛ばされただけで済んだメンバー。もっともこれは結城の挨拶代わりで黒色火薬を使ったもので近くなら死傷する代物ですが適切に対比すれば軽傷程度で済むものでした。


 オフィスは吹き飛ばされましたが、大山がUSBにこっそり仕掛けておいたウィルスで結城の現在地を割り出すことに成功。急きょ、潜伏場所に急行する特捜班。しかしネットからPCが切断され、通信が途絶えてしまい、まだ潜伏していることに望みをかけてPCの最後の座標地点に急ぎます。バンガローから出てくる車に結城の姿が。稲見は拳銃を構え立ちはだかりますが撃ちません。まっすぐ稲見に向かってくる車。田丸が飛び出し稲見を突き飛ばし、その間に結城の車は逃走しました。

テロリストの挨拶

 逃亡した結城は首相官邸前のマンションに姿を現し住民を脅して部屋に侵入。岸部首相を弓で狙撃します。首相は肩を射抜かれすぐさまその場を退避し、結城も凶器を残してその場から立ち去りました。その頃ウィルスから結城のPCより抜き取ったデータより結城と親しい間柄の女性の写真を見つけた特捜班。田丸の記憶から1年前のカフェでのガス爆発の被害者と分かります。結城の脱柵の原因は彼女の死に関係があり、それは政府が、ひいては関係者の誰かがその事故に関係していたのではないかと推測する特捜班の面々。

標的は一人

 その頃鍛冶局長は負傷した首相に面会するため病室に。そこであることを依頼されます。そして特捜班の仮オフィスに出向き彼らに新しい命令を与えます。任務は岸部首相の長男、大介の警護。実は大介は1年前のガス爆発事故にかかわっていました。というよりガス爆発ではなく過激派に属していた大介の爆弾テロでもともとは東京駅に仕掛けるつもりが土壇場で怖気付いた大介がカフェに放置した爆弾が爆発したというもの。事件は政府によって隠蔽され、恋人が死んだ結城は大介に復讐するために首相を負傷させ見舞いのために戻る大介を狙う計画だったのです。


 鍛冶は稲見に『結城が現れたら、ためらう事なく撃て』と命じます。空港で大介をピックアップした特捜班は追跡してくるマスコミ対策のために病院にではなく一度オフィスに立ち寄ることに。しかしそれこそが結城の思うつぼで車列がすくなくなり特捜班だけになったところにバイクで突撃、爆弾を放り投げます。爆弾の爆風で田丸が昏倒、爆炎に紛れて現れた結城はヘルメットで大山を打倒し、樫井の銃を奪いとりこめかみにあてて吉永に銃を置くように言います。その間に稲見は大介とともに建物に避難。一瞬のスキをついて銃を奪おうとした樫井を撃ち、突進してきた吉永も格闘の末に昏倒させビルへ2人を追いかける結城。


 エレベーター出入口で待ち構える稲見と激しい格闘戦になる結城。銃を使わない稲見は結城の銃を叩き落としますがナイフで向かってくる結城に苦戦します。左腕にナイフを受けて肉を切らせて骨を切る、ナイフをも叩き落し殴り合う2人。そこへ銃を拾った大介が、隙を付いて銃を向ける結城に抜かなった拳銃を向ける稲見。殺してなんになると言いますが、死んだ女性は結城にとって大事な人でした。生きながら死んでいる自分には復讐しかないという結城。銃をもぎ取り稲見も無実の人間を国家のために殺してしまった自分も同じだと告げ、俺がお前を解放してやると引き金を引きます。


 銃弾は壁を穿ちました。稲見はお前はこれで死んだ。これからは生き直せと諭します。そして特捜班は結城を連行してビルから出てきましたが銃声が響き結城は崩れ落ちました。鍛冶局長が警官隊を配備して出てきた結城を狙撃したのです。それは首相の依頼でもありました。息子を囮として国家を揺るがす犯人は処理せよ。それが首相の依頼でした。

闇の奥へ

 事件は解決しましたが青沼はこのまま特捜班を存続させるのかを鍛冶に尋ねます。顔がマスコミに割れてしまったメンバーは暫く休ませてほとぼりが冷めてからまた走らすと嘯く鍛冶。しかし稲見が撃てば全てが収まったと自分の見立ては外れていたのかと自答します。樫井は撃たれましたが偶然胸のツールが銃弾を受け止め九死に一生を得ていました。そして元のオフィスで趣味の爆弾の設計図を引いていましたが、上には警視庁の文字が。大山は元のハッカー仲間たちと集めたCDを眺めてチャットルームに。そこには平成維新軍の残党が入室してきました。

 吉永は警視庁公安部長に呼び出され、話をしようと告げられます。そして田丸はあの男と接触しました。その顔は険しく決意した顔でした。稲見はまるで死人のような顔で自室にこもっていました。彼の天使と登録しているバーで知り合った彼女の電話番号を見つめながら生気の無い、表情の無いマシーンの目にもどっていました。そしてニュースキャスターがこう告げるシーンで幕を閉じます『緊急ニュースが入りました。』

鍛冶局長にとって特捜班とは

 これまでもグレーゾーンなやり方で捌いてきた、鍛冶局長はやはり特捜班は道具としてしか見ていないことがはっきりとしました。国家権力を支えるために小の虫を生かして大の虫を助けるというのはよくある話ですが、局長はそれを越えるかのような素振りを見せつつも結局は己の野望のための飼い犬の欲していたのだなという事がはっきりしたように思います。つまり競走馬と例えていましたが(こけたら処理すればいいとも)どちらかというと番犬。ただ忠実なだけではなく個々の能力を最大限活かして活動できる猟犬を求めていたように思います。ですが稲見の抱える闇を鍛冶局長は少し甘く見ていたのかもしれません。そこが頭に書いた『相棒』の小野田官房長との違いでしょうか。使い切れない道具だけども使い方を間違えなければよく切れる。ただし自分が傷つく覚悟も必要と。実際小野田官房長は殺されるときは杉下右京に殺されると思っていたと語っています。

 鍛冶局長に覚悟が無かったかというとそんなことは無かったと思いますが、どこかでコントロール出来ると思っていたのか。局長も覚悟はあるでしょうが、使い切れるとどこかで信じていた部分があるようです。そこは田丸に関してもそう思っていたフシがあり、しなやかに動いてといっていましたが、時には負を呑み込み、正義を成す捲土重来を期待していたのか。しかしこの結果は青沼と語った『藪をつついて蛇を出す』行為だったかもしれません。

ワイルドバンチ

 元々、性格や過去に傷をもつ者たち、組織のアウトローをあつめてというのはいろんな作品である設定で漫画の犯罪者を警察官として悪党を退治する『ワイルド7』ドラマの『大追跡』の遊撃捜査班。『大激闘』の対ジャパンマフィア部隊通称マッドポリスなどが有名です。『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』もその系譜に連なる作品と言ってもいいというのは前にもご紹介した通りです。


 ですが今回の結末は彼らはそういうはみ出し者のワイルド7ではなく真のアウトローになった?ともとれる曖昧なエンディングでした。『ワイルドバンチ』はアメリカの西部開拓時代に暴れていた強盗団で映画にもなった無法者です。彼らもそうなってしまったのでしょうか?それを予感させるエンディングでした。ラストの犯人射殺っていうのは『相棒』でもありましたね。また事件を隠ぺいするための射殺は劇場版2でもあった話です。まあ実際にそういう事が可能かどうかは別として真実は何時も小説より奇なりと言いますからあり得なくもないなと思うとすこしゾッとします。

死にゆく者への祈り

 見出しはジャック・ヒキンズの傑作小説のタイトルですが、結城を送る言葉にはこれしかない気がします。結城は稲見の反転した姿でこれまでにも稲見は幾度か元の闇に引き戻されそうになりましたがギリギリで踏みとどまってきました。しかし潜伏場所で対峙したとき、結城の車に身をさらし、田丸に『自分を罰するために死のうとするな』と叱咤されます。田丸もまた稲見が見てきた闇を知っており何時自分が転ぶか分からないが、稲見に光を見出しているからそれを救いたいと思っているという事だと思います。しかしそれを打ち砕く権力『国家』、または組織と言い換えてもいいでしょう。それに対し特捜班はどういう牙を剥くのか?というエンディングのような気もします。

気になる部分

 ここからは別のところで気になった部分を色々と書いてみたいと思います。

『小さな巨人』『コードネームミラージュ』

 これどちらもこのクールに放送中のドラマで警察ものです。『小さな巨人』では組織の恐ろしさ、権力の恐ろしさやそこに抗う人を描いていました。『コードネームミラージュ』深夜の30分枠ですが、警察庁の内部で極秘に設立された特殊部隊が秘密裏に犯罪者を始末するという、特捜班よりさらに先鋭、過激化した話を描いています。こういったドラマが同時期に放送されるのはやはり何かのシンクロニシティなんでしょうか。

複合弓

 結城の使った弓ですが、こういう弓を使うというとランボーでお馴染みにコンパウンド・ボウです。が結城の使う弓はちょっと違ってて両端に滑車やスタビライザーの無いシンプルなものでした。現代の素材で出来たやはり殺傷能力が高く二つに分解できるボウなのは間違いなさそうです。そして狙撃地点から稲見が結城なら外すことはないというのも真実でしょう。最近の弓は相当に威力があります。しかも無音。射手によっては相当凶悪な武器になると思われます。そういえば最近はマーベル映画でも弓使いホークアイもいますし、『ロード・オブ・ザ・リング』の弓の名手のレゴラス。漫画『ドリフターズ』の那須与一など弓を扱うキャラクターも数多いですよね。

エンディング

 そのエンディングですが9話で書いたクリフハンガーとも、これで終わりで後はご想像にお任せしますという非常に曖昧だけど後を引くエンドとも取れる終わり方でした。今回最終回のキャッチフレーズは『規格外のラストにあなたは戦慄する』です。確かに主要なメンバーが闇落ちするかのようなエンディングはあまり例のない事で過去に思い出しても無かったように思います。一人、二人はあってもです。そういう意味でも冒険してきたなと思います。個人的にはこういうストーリー、アメリカだと割り切っているけど仲間のためにという事でというのが定番です。


 ですが『CRISIS』は国家は信用ならないという部分に切り込んでしまっています。組織の中で生きていくには個を殺すか、それともという事になります。なので自分としては続きが観たいけど、ストーリーとしてはこれで完結なのかなという気もしています。ただ稲見個人のストーリーとして決着は付けてほしいかな。『MOZU』も結局は日本の暗部というものであるダルマまで行きつきましたからね。もし続編があるならチャオこと長谷川博己さんをキャスティングしてほしいですね(笑)そういえばこの日曜に最終回を迎える『小さな巨人』組織として正しくあれるのかどうか人として正しくあれるのかどうかに切り込んでいます。まあCRISISほどに裏ではないですが分かりやすい闇です。やはり闇になんとか光を当ててほしいと思っている人が多くなっているのでしょうか。そんな事をふと思いました。

最後に

 『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』は規格外という事でスタートし、まさにそういうエンディングを迎えましたが、このようなドラマがもっと増えてくれると地上波のドラマもまた活況を迎えるのではないかと思っています。説教もいいし、情に訴えるのもいい、快刀乱麻に謎を断つのもいいでしょうがやはり、シリアスな題材に見ごたえのある本物のアクションはエンタテインメントの華です。これからも金城さんや小栗君には期待したいと思います。

 このエントリを書き終わった後にいきなりニュースが飛び込んできました。金城&小栗コンビによる『BORDER』のスペシャルドラマが2として放送決定とか。3年ぶりに石川のその後と周りのキャラクターたちも描かれるとか。サブタイトルに『贖罪』とついているのが非常に気になります。この動きが『CRISIS』にも関係してくるか?気になりますね。

 テレ朝でも公式サイトがオープンしています。前作を全話無料配信中だそうです。気になる方はチェックしてみるのもよろしいかと。かなりショッキングです。『CRISIS』にもひけはとりません。ちょっとファンタジーな部分もありますがダークファンタジーの部類です

リンク|テレビ朝日/BORDER2「贖罪」公式サイト

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