九龍城砦に集いし者たちの挽歌/『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』/tonbori堂映画語り/Amazonプライムビデオ編-Web-tonbori堂アネックス

九龍城砦に集いし者たちの挽歌/『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』/tonbori堂映画語り/Amazonプライムビデオ編

2025年12月31日水曜日

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 実は公開時に観てたんですが公開時に感想を起こせず、ちょっと時期を逸してそのままになっていました。XやSNSでは『九龍城砦(邦題トワイライト・ウォリアーズ)』はいいぞって言ってたんですが、年末(2025年)のAmazonプライムビデオで見放題になっていましたので改めて感想を起こそうかと思います。

 作品は噂に違わぬ面白さ。久しぶりに滾る映画を観たなって感じです。年代設定もいいし、(さすがに今を舞台にすると色々問題がある)ので、ある意味では作りづらいとされる黒社会ものを時代設定や色々な事を周到にして地雷を踏まないようにして、なおあの頃の熱さを内包し、そこに香港映画が輝いていた時代への郷愁も感じさせながらも、まだ俺たちはやれるという力強さや往時を感じる佇まいを持つ映画でした。実際には色々な困難もあったかもしれないけれど、作り上げた人たちの情熱を感じる1本でした。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』|超特報/Klockworx VOD/YouTube


あらすじ/STORY

 大陸から香港に密航してきた陳洛軍(チャン・ロッグワン)は身分証を手に入れるため大兄貴(大老闆)と呼ばれるボスの催す賭け試合に出て相手を打ち倒す。その力を見込まれ大兄貴に自分の配下になれと誘われるが洛軍はアウトローな黒社会に入る気はないとつっぱねる。そのため後日賭け試合の賞金と引き換えるはずだった身分証は粗雑なもので賞金も返してもらえず追い出され思わずその場にあった袋を奪って逃げだした。大兄貴の部下、王九(ウォンガウ)に追われる。命からがら古びたアパートの集まる建物群に逃げ込んだロッグワン。そこは一種の治外法権区といわれる九龍城砦だった。香港の司法の手が届かず、いろんな事情を抱えた人間の集まる場所である九龍城砦。そこで袋の中身が麻薬と知り、それを換金しようとそれらしき連中に声をかけるが若い男に見咎められ城砦内を逃げることになる。若い男、信一(ソンヤッ)のナイフを躱し、理容店に逃げ込むロッグワンは店主を人質に逃げようとするが、店主は鮮やかな技で一瞬でロッグワンを打ち倒す。店主は龍捲風(ロン・ギュンフォン)、かつて一帯を仕切る大ボス雷震東との戦いで配下で殺人王の異名をとる陳占(チャン・ジム)を打ち倒し九龍城砦の平穏を取り戻した伝説の男だった。


 龍はロッグワンにもめ事をもってくるなと言うが大兄貴に騙され一文もなく行くところがないと訴えるロッグワンにでは働けと諭す。そして自らロッグワンの盗んだ麻薬の袋と詫び金を大ボスにこれ以上あいつにかまうなと警告する。九龍城砦で荷役や雑役の仕事を始めたロッグワンは何時しか、顔にマスクをつけている医術の心得がある四仔(セイジャイ)や龍兄貴たちとかつて九龍城砦のために戦った黒社会の顔役、虎兄貴(タイガー兄貴)の若頭で城砦出身の十二少(サップイーシウ/サップイー)と交わり親交を深めていく。しかし香港の中国への返還を見据え城砦の利権に関して大兄貴に話が持ち込まれ、城砦の大地主で龍兄貴の義兄弟である秋兄貴(チャウ兄貴)がかつて妻子を無残に殺した陳占の息子を探し続けそれがある人物であったことから城砦に不穏な空気が立ち込める。果たしてロッグワンは仲間とともに城砦を護り切れるのか?

男たちの挽歌

 『男たちの挽歌(英雄本色)』はジョン・ウーのいわゆる香港ノワールと呼ばれる黒社会モノという作品の一つでありますが、同時に男たちの生き様と友情、信義を描いていました。この『九龍城砦』は功夫映画という側面もありますが、この香港ノワールの系譜も色濃く受け継いでいます。直接的には黒社会に身を置く者、またはかつて身を置いていた者たちの宿縁や業が今になってまた困難をもたらすというところと、血よりも濃い信義、仁義に生きる男たちのドラマであるという点です。


 あらすじではぼやかしましたけど観た人ならもう分かっているロッグワンと龍兄貴の縁、そして龍兄貴を慕う信一、セイジャイ、サップイー。その龍兄貴が命を賭けて護った城砦。それを取り戻すために戦う最後の戦いに挑む4人の熱さはこちらの胸に響きます。この時、龍兄貴との戦いで深手を負った大兄貴を始末して成り上がる王九がラスボスになるのは驚いたけど、無敵の技を持ち、4人が束になってもその強靭な肉体でまさに無敵を誇るなど、香港映画のラスボスらしい強さを見せつけるのもまたいいんですよね。そこに1人の力では太刀打ちできなくとも4人の力を合わせていくってのは昔、よく観た展開です。もちろん味方が全員やられてもつないできた勝機で逆転展開もってのも好きだけど、ちゃんとそういう部分も落とし込んでいる辺りも痺れました。

キャスト

 主人公、ロッグワンはレイモンド・ラム、正直このところの香港映画の役者さんって大陸の役者さんも混じってよくわからないけれどTVドラマなどで活躍してたようです(Wikipedia調べ)

リンク|レイモンド・ラム - Wikipedia 

 レイモンドはタフガイだけど純朴な、しかし義理堅いロッグワンを好演しています。信一(ソンヤッ)はテレンス・ラウ、彼も『九龍城砦』で初めて知った俳優さんですが、これまた龍兄貴の右腕を好演していましたね。セイジャイ役ジャーマン・チョンは香港電影でいうところの動作指導、アクション指導をも行うアクション俳優さんです。彼はかろうじて知った顔(といっても最後のマスクオフ状態まであまり分からなかった)でした。サップイー役、トニー・ウーも香港映画でよくいそうな顔立ちなんだけど多分初見だと思いますがこの4人組、本当にいいコンビネーションでしたね。


 そして龍兄貴役ルイス・クー、ルイス・クーのtonbori堂のイメージはジョニー・トー監督の『毒戦』、『アクシデント/意外』の狡猾に立ち回りながらも身を滅ぼす人っていうイメージがデカいんですけれど、刑事役もやるし、黒社会のボスもやるというめちゃくちゃ二枚目なんだけど硬軟取り交ぜた役柄をこなし主演作も多い人です。ちなみにめちゃくちゃマニアな人だそうでSF、アメコミ、特撮が大好きなんだとか。それが高じてNetflixでラウ・チンワン、ニック・チョンとともに『未来戦記』っていう映画に出てましてその製作を務めているという(笑)そんな龍兄貴じゃなかったルイス・クー、めちゃくちゃいい役ですよね。龍兄貴の背負ってものを体現したというか。漫画的アクションはルイス・クーの趣味かもしれないけど(ヲイヲイ)ちなみに殺人王陳占を演じたアーロン・クオックとはジョニー・トー監督『柔道龍虎房』でがっつり共演してるんですよね、そこも胸熱ポイントでした。

 

 大兄貴こと大老闆に我らがサモ・ハン、七小福のリーダーであり普通に大兄貴と呼ばれる香港電影の大物アクション俳優。年老いてなお一線で活躍している1人です。まあ我らの世代ではデブゴンの方が通りがいいかもしれません。フィックス声優は水島裕。今回ヒットを受けて日本語吹替え版も製作されたんですがサモ・ハンの吹替えが水島さんだったのは嬉しかったですね。サモ・ハンもベテランなのでそれこそ悪役からいい人までいろんな役をしてきてますが今回は貫禄もありながら小狡い大ボスを演じてました。龍兄貴との戦いもさすがの貫禄です。(まあ寝込みに忍び込まれてはしましたが(笑))

 その部下ウォンガウ(王九)役フィリップ・ンはアクション俳優であり武術家でもある方です。チン・ガーロッ(チン・ガーロウ)という香港では有名なアクション俳優兼アクション指導の銭家班に所属して腕を磨き、ドニー・イェン作品でアクション監督を務めるたり本作のアクション監督でもある谷垣健治と親交があるとか(ここらもWikipedia情報)

リンク|フィリップ・ン - Wikipedia 

 香港映画の灯を絶やすことなく頑張ってる人たちの熱さを感じるキャスティングでしたね。

『九龍城砦』

 そしてこの作品のもう一つの魅力は今は無き『九龍城砦』です。香港内にある清の飛び地がその後の中華民国、中華人民共和国と領有権の移動により香港を租借していたイギリスの統治が及ばない治外法権区となり犯罪者の逃げ場所という側面が強調されたこともありましたが実際には大陸から密入国してきた人が違法に作った建物に住み着いたという側面もありそういった面も描写がありましたね。そういうスラムでもありながら貧しい人たちが肩寄せ合って逞しく生きる場所としての側面、両方が描写されていたのも今では返還前後に行われた取り壊しや整地などで往時の面影は無いそうですがそれを再現した美術は圧巻の一言、こだわりのある美術は本当に内部はこうだったのでは?と思うほどによく出来ていました。このセット美術を観るのも本作の魅力の一つだと思います。


龍兄貴と殺人王に城塞四少

 この辺りの昔話や城塞四少(ロッグワンを含む城砦4人組)のこの後はヒットを受けて前日譚と後日譚が作られるそうで、内容は全然違いますけど『インファナル・アフェア』トリロジーシリーズを思い出します。なかでもルイス・クーとアーロン・クオックが演じる龍兄貴と殺人王陳占との友情?というか最初の話は気になるところです。それに秋兄貴や虎兄貴がどう知り合ったのか。(殺人王陳占と龍兄貴は港の荷役の仕事をしていたっぽいですけど。得物も殺人王は鎌で龍兄貴は荷揚げとかに使うかぎ爪のやつでしたし)今はそれの完成を待ちたいと思います。

 他にも上でちょっと触れた谷垣さんがアクション監督だったり、音楽は押井監督でお馴染み川井憲次さんだったりとかそういう部分も是非ご堪能いただきたい1本です。

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