ジョーカー星団のくノ一、トモエとアーリィ|『ファイブスター物語/F.S.S』備忘録/考察【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

ジョーカー星団のくノ一、トモエとアーリィ|『ファイブスター物語/F.S.S』備忘録/考察【ネタバレ注意】

2023年6月1日木曜日

FSS manga

X f B! P L

 先月号(月刊ニュータイプ2023年5月号)で久しぶりに登場のバッハトマの黒豹騎士団団長トモエと副団長アーリィについて少し思った事があったのでこうしてエントリにしてみることにします。トモエはトラフィックスから登場したキャラクターで、ボォスの女忍者として裏社会では知られた存在と言及されました。カステポーで主に活動していた後にバッハトマ黒豹騎士団団長としてバッハトマの隠密部隊を束ねているんですが、アレだけ情報収集のプロなのに何故かヒッター子爵の正体に気が付いていないというのもおかしな話ですよね(笑)しかもこの物語がいかにおとぎ話としても、トモエは謎なところが多く、ファティマが大嫌いで騎士自体も憎んでいるかの描写があります。そしてヨーン一筋、アーリィはヨーグンの奴隷民の出身で騎士の力が発現し、危うくダスニカの実験体にされるところを脱走しデルタ・ベルンのガス・ガル連邦へと渡りかの地で忍者の道へ進んだことが語られました。そしてトモエもデルタ・ベルンのガス・ガル出身(スクール・デザインズ)なのでその辺りから考えてみようかと思います。

『ファイブスター物語/F.S.S』作中の出来事や設定について書いていますので【ネタバレ注意】とさせていただきます。

月刊ニュータイプ2023年6月
月刊ニュータイプ2023年6月号

ガス・ガル連邦パライア

 詳しい事はスクールデザインズまたはリッターピクトに書いているのでそちらを(あっ終わってしまった。)ともかく、かいつまんで言うと自国に亡命、移民してきた者は如何に犯罪者であってもガス・ガル連邦パライアの民として保護するという国是を持つ都市国家で脛に傷のある者や訳アリの人たちがという土地のようです。デルタ・ベルンとしては珍しい国家ですがA.K.Dとして一つの集積国家としてまとまっていてもそれぞれを治めている国家群としてはそれぞれの思惑があり、言わばパライアはカステポーのような自由都市ムンスターやザンダ・シティのような治外法権に近いということが出来ます。もっともそのおかげで星団各国の下請け的に色々引き受けているという事なのかもしれませんしそういう土地は緩衝地帯としても必要なのかなと思います。

パライア高校

 そんなガス・ガル連邦パライアのパライア高校はトモエとアーリィの母校であり一風変わった学科があります。その名も「霞政科(かせいか)」といい一般的なジョーカーの学校では騎士教育のための騎士科という学科課程が設置されるんですがパライアでは騎士教育のための騎士科ではなく代わりに霞政科という学科が設置されているのです。霞政科にはアーリィが在籍していた他にA.K.Dのミス・宇宙軍(クジャニコーワ)が席を置いていたとスクールデザインズには記されています。その事から騎士でも隠密や忍者、スパイなどの特化した人材を養成していると思われます。思われますというのは明言されていないからなんですが(笑)しかも卒業したものは人知れずいなくなると書いてありますがニュータイプ先月号でのアーリィの言葉を借りれば卒業後、または在籍時から忍者ギルドに同時に籍を置きそこから人材を斡旋する事になっているもようです。デルタ・ベルンの諜報組織としてはA.K.Dの典星舎が知られていますが、それとは別に隠密としての騎士(忍者)も需要がありそれを養成するシステムとして設置されているようですね。もちろんビジネスとして運用されているので敵味方関係なく契約として動いているかのような感じなので背後にシステム・カリギュラがスポンサーとしているとかだったりすると面白いかもと思いましたが…ちょっと妄想しすぎですかね?

忍者トモエ

 トモエの本名は堀川南桐院亜矢之巴、略名が泉興京巴(センコウケイトモエ)で、初登場時はヒッター子爵の周りにいるナイトグルーピー(騎士の追っかけ)の一人でした。その後、メヨーヨ朝廷の騎士、イラー・ザ・ビショップに雇われ手合いの騎士を見繕ってイラーとの手合いをセッティングするためにグルーピーを装い情報を収集しイラーへのお膳立てを整えていた事が示されます。そしてイラーの最後の相手としてミラージュのアイシャを引っ張り出すためアレクトーを誘拐。その時に彼女はファティマへの嫌悪感を激しく表に出していたのですが(アレクトーを解放する時に足を切りつけた)その辺りがずっと引っかかっていました。その後、ファティマの魔性や騎士のジョーカー星団という世界での立ち位置が明らかになるにつれ、そういう騎士がいてもおかしくはないと思いつつやはりトモエのあの激しい怒りにも近い感情というのは何かあるのかもしれないと考えるに至りました。


 というのも騎士というのはバーシャの言を借りればGTMを駆る者。だから彼女は自らを騎士というより忍者と自認しているという点がどうしても気になります。忍者はアララギ・ハイトを考えても能力的にGTMに乗れない、その力もない(AFを娶れない)者たちが騎士警察(ナイトポリス、騎士同志の喧嘩でも一般人のいる場所では装甲車同士のぶつかり合い並みの被害が出るため止める方も相応の力を持つ者が必要)や忍者となるという話も示されています。それとファティマが嫌でMH(当時)に騎乗できなかった者もいるとも言っていたことも併せて、実は彼女がそうなのではないかとずっと思っているのです。ハイトのようにファティマに見向きもされない事もあるだろうし、ファティマが嫌で娶る事も出来ない(元が一般人だとファティマはやはり違う者たちでしかないというのもジョーカー星団ではありますし)結果騎士としてGTMを駆る事は出来ない。彼女はだから忍者の道を選んだ…のかなと思っているのです。いやファティマを娶れないならばエトラムル型ファティマでGTMを駆れば良いのでは?と思ってしまうんですけれど、現にデコースはエストを娶る前にはエトラムル搭載の当時はMHにおいてフィルモア帝国黒グループのバーバリュース・V(クリスティンの父)を含む3騎のMHサイレン(現在はGTMユーレイ)を打倒しているのだからトモエもその気になればエトラムル型でGTMを駆る事が出来るのではないか?と思った事もありました。だからこそGTMに騎乗しないのにはそれとともに何かのトラウマがあるのではないかと深読みしているんですが…。もちろんそんな事はなくただ単に忍者で動くのが性に合っているだけ(ファティマやなんやと関わることもなしだし)という事だけかもしれません。しかし彼女がパライアの卒業生でありながら騎士の通う霞政科ではなく家政科であるというのも関係しているのかなとも思えるんですよね。家政科ってのは家庭生活全般の事を学ぶ科目であるのでベタすぎるんですが本来は貴族の娘として騎士などではなく普通の家庭に入りたかった…だけど騎士の力がルースのように在学中に発現。それが故に騎士の力としてはランクが低かった。普通の人生、それは叶わぬ夢となりやがてそれが裏返り今のトモエとなった…。うーんどうでしょうか。(ちなみにSCHOOLDESIGNSでは「普通科」となっており「家政科」設定になったのはリッターピクトの付録追加補強版からです。なので余計にそう思ったのです。もちろん音読みでの「かせいか」と韻を踏ませたかったというのも大きな理由でしょうけど。)


 それにトモエ自身はガス・ガル連邦の出身でありその長い名前(真名)は堀川家と南洞院家という家柄を持つという事はもしかするとガス・ガル連邦の中では高貴な家なのでは?と初期から匂わされていました。そこから考えるに、もしtonbori堂の推理通り遅くに騎士の血が発現したのではなく、早いうちから出現しそれなりの騎士であれば問題が無いはずなので、やはりパライア高校在学中に騎士の血が発現して、最弱騎士という感じではないかと思われるのです。それはミッション・ルースの母親スジャータのあの様子を思い出せばトモエさん相当嫌な事があったのでは?もちろんそれは妄想でしかありませんが、そこでいろいろ性格があのような事になったのかもと推察しました。

アーリィとトモエ

 アーリィ・ブラストはアドラー、ボー・ヨーグンの孤児で、彼女が脱走した施設というのはビューティー・ペールが技術を提供したヨーグンの人造騎士の実験施設というのはカットから分かります。ヨーグンのダジャー・ビームスはデメリットを受け入れて応じてくれた騎士たちと言ってましたが、実際には素質のある子どもたちを実験体にしていた可能性もあったのだなという事がここで分かります。アーリィのような身寄りのない子どもを奴隷民として実験体にするというのは非人道的行為ではありますがヨーグン3連邦やダスニカ・アダマス自体が過去の栄光にすがり寂びれゆく国であったことから周辺諸国も気が付いていなかった。そこにボスヤスフォートが火種を付けて回ったという事なんでしょう。そしてアーリィは施設を脱走しデルタ・ベルンのガス・ガル連邦へ逃亡。そして忍者として修練を積みバッハトマのスカウトが来たという事なんですが、トモエがリクルーターとして使える駒としてパライアの霞政科生徒をリクルートというのは筋は通っています。でもアーリィをリクルートに忍者組織に出向いている者はカットから判断するにボスヤスフォートの親衛隊、黒血魔導団のコスチュームでした。そのためアーリィの出自を知っていたため念のためにバッハトマの手の内に入れておいたと考えるのは深読みでしょうか。実際身の上を(それは別に軍事機密でもないし、ヨーグンからすると機密事項ですが)ヨーンに話していますからね。それまで手が出せなかったのはガス・ガル、引いてはA.K.Dにいたからという事ではないでしょうか。


 それでもトモエの家が高位な地位にあれば裏社会との接点が無いにしてもそれなりの事情には通じており卒業後に騎士として忍者ギルドとつながりはあってもおかしくはなく(パライア高校の「霞政科」の事も公然の秘密のようにパライアでは知られていそうですし。)そんな事でペールなりボスヤスフォートにこういう人材を輩出している高校があるという話をしたから、今売り出し中のアーリィをいち早くリクルート出来たのではないかという事も考えられます。A.K.D自体は典星舎という諜報組織、魔導ギルドを含めての戦力があるためわざわざ忍者の修練を積んだ騎士をそれほど多くは欲していないと思いますが、卒業生の中でも手練れであるミス・宇宙軍がバビロン王国の情報部にいるように星団各国から引く手あまたであるのは間違いなくそこからもアーリィの腕は確かであるしトモエを慕っている描写もあります。(ヨーンとの対決時トモエの肌色ストッキングでハイレグスタイルは敵(主に男性)を惑わす技をさらにアップデートした技を放っていましたからね(笑))となれば2人の結びつきもそれなりにあるのではと思いますが、高貴なお家柄である事でやっぱりアーリィを若干下に見ているのかな?というのがニュータイプ先月、今月号での展開を読んでて思った事です。

アーリィとトモエの運命

 アーリィに関しては予告されちゃっているのですが(というか過酷とか洗脳とか物騒な事が書いてあるんだけど「可哀想な子」っていうのが…うーんどうなるんでしょうね?)トモエさんはどうなるんでしょう。DESIGNS3の時にはこの人出過ぎと作者自らが突っ込んでいるんだけどもしぶといと思うんですよ。でもやはり魔導大戦ですし、あっさり退場する人は退場するいう『ファイブスター物語/F.S.S』ですから…分からないですね。それに黒騎士絡みだと本当にどうなるか分からない今回の勝負はデコースのワンサイドゲームだけどこの戦いまだ前半戦な訳でして、ここからどうなるというのはデコースのみならずあの場にいる関係者含めての事にもなりかねない。ということでトモエさんここまでくると気になるキャラクターの一人ではあるのでどうなるにせよ彼女の行く末を見守りたいと思います。

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