未来を掴め|オリジナルアニメ『地球外少年少女』/感想/tonbori堂Netflix鑑賞記-Web-tonbori堂アネックス

未来を掴め|オリジナルアニメ『地球外少年少女』/感想/tonbori堂Netflix鑑賞記

2022年2月1日火曜日

anime SF

X f B! P L

 現在シネコンなどで前編が上映中で(2022.02.01時、今は配信またはセルDVD/Blu-rayで販売中)、Netflixで全話配信されている『地球外少年少女』、『電脳コイル』の磯光雄監督によるジュヴナイル感溢れるちょっと近い未来の地球を描いた完全オリジナルの宇宙冒険物語です。tonbori堂は1月中でNetflixとの契約を一時休止するので急いで全話観ました。…結論から申し上げますとド傑作です。最高オブ最高です(頭の悪い言い回しで済みません)今と地続きな感じをAIが身近にあり人の作業をサポートし、人の手にうすい指ぬき手袋状に装着(貼る?)ウェアラブル端末「スマート」、そして手近な端末にはP2P通信でやり取りするなど『電脳コイル』ではウェアラブル端末「電脳メガネ」で拡張現実の未来とジュヴナイルを描いて見せた磯監督が今度はAIと宇宙を描いた今作はまさにドンピシャではまりました。ってことで以下良かったところをなるべくネタバレしないように書きたいと思います。


オリジナルアニメ『地球外少年少女』本予告/新宿ピカデリーほかにて2週限定劇場上映|YouTubeより|avex pictures チャンネル

ルック・アップ!

 同じくNetflixで配信されている米の映画、『ドント・ルック・アップ』では人類は機能不全を起して未来が破滅していく様が描かれていたんですが『地球外少年少女』は真逆で作中で似た主張があっても未来を諦めない思想が貫かれています。宇宙モノでは地球にいる者と宇宙生活者の相克、格差、分断が描かれることは多いですが(機動戦士ガンダムもそうですよね)この作品はそこにAIを絡ませ、『2001年宇宙の旅』などで語られたテーマや『攻殻機動隊』、映画『ゼロ・グラビティ』などSFの定番のネタを内包し尚且つ未来を切り拓く逞しさを感じられる話になっています。但しこれはちょっと後編の話になるのでまだシネコンで上映中の前編しか観てない方には少しだけネタバレになるかもしれませんが伝えたいテーマは単純にして明快だとtonbori堂は思うんです。組織や大きな括りになると見えにくくなる格差や分断を今回は宇宙ステーションにやって来た子どもたちと地球外で生まれた子どもたちの出会いの物語と成長の物語に絡め、もっと個として捉えなおそうというところは共感できるし非常に頷きました。

地続きのリアル

 今回の物語の主な舞台は世界で4番目の商業用宇宙ステーション「あんしん」です。日本が運営しているようですが企業が出資しており一部は完成していないまま運用という話がとにかくガワを作ってといったところでしょうか。地球からディーグル(トゥエルブなど汎用AIなどを作っている企業で大きな会社だと思われます。ロゴのカラーリングからあの検索エンジンで有名なあの企業がモデルと言うのが分かります。)その他にも「あんしん」という名前はオニクロという衣料メーカーがネーミングしたという事やその名前がついた簡易宇宙服、ガンダムでいうところのノーマルスーツ?が出てきたり、手の甲と手のひらに貼っている指ぬきグローブ(超薄い)形状のウェアラブル端末「スマート」などが登場。そこは未来を感じさせます。


 ハッキングも『電脳コイル』に続いて大きな要素になっていて有線やWi-Fi以外にP2Pをベースとしたピアコムというネットに繋ぐ技術などを使ったものが登場しました。その他にも視覚的にも分かりやすい映像で登矢のドローン、ダッキーと大洋のドローン、ブライトとのハッキング攻撃も色分けされており見た目にすんなり入ってくる新設設計です。こういったハッキングやネットで操作、作業するっていうのは紋切り型の表現になりやすいところをウェアラブル端末からのタッチ操作や、機器を繋いでというのも今のスマホ操作と近いので何をしているのかが掴みやすいようになっていると思います。専門用語が多くても何かと何かを繋げる、ネットするというのは今の人なら普通に意識せずやっていますよね。特に大洋と登矢のやり取りや弟の博士の話に全くついていけない宙チューバ―の美衣奈でも普通にネットにつなぐことはやってるし3Dプリンターでスマートを塗布したり(スマートは色々世代があるようでビニールシートのように貼るタイプと塗布するタイプがあるようです)撮影ドローンのセルフィーをコントロールしているし、この世界の機器はユーザーフレンドリーなんだなって分かります。そういった「神は細部に宿る」がしっかりしているのがまた作品への没入感を高めてくれます。

スペース・サバイバルから「2001」へ

 映画、ドラマにそういうジャンルがあるかどうは分かりませんが先に挙げた『ゼロ・グラビティ』、もはや古典の域もある『アポロ13』やマット・デイモンの『オデッセイ』や『宇宙家族ロビンソン』(これもNetflixでリメイクされてましたね)『スペースキャンプ』などがそういう宇宙という極限空間でのサバイバルを描いた先達たちですが、そういう視点で観ても優れているし宇宙空間での真空という怖さやそれをどうやって乗り越えていくのか?というのが映画では前編、話数で言えば3話までのクライマックスで、そこからは物語の様相が変わってきます。後編は前半に散りばめられた伏線や登矢や大洋に会話などで語られていた世界最高の知能を得た上で暴走し知能崩壊したAI「セブン」、そして幼い頃に登矢と幼なじみの心葉の脳に埋め込まれたインプラント、光る文様Sパターンが大きな意味を持ってくる事になります。2001と見出しに書いたことで若干気が付く方はいらっしゃるかもしれませんがそこも磯監督の想いというか敵ではないというか簡単な二項対立にはしていないので是非物語を上映なり配信で観て感じて欲しいと思います。


 最後にちょっとだけ「ネタバレ」しますが、ラストにある場所が出てきます。それはある映画の冒頭に出てきたところで、その場所をラストシーンに持ってくるのは色々思うところが多すぎて。いや本当にコレから後編を観る方は楽しみに。そしてNetflixのご加入で『電脳コイル』好きの方はもちろん、宇宙開発モノとかSF好きな方には超が付くほどおススメなので是非ともご覧いただきたいと思います。ちなみにBlu-rayも後編公開と共に発売とか。全6話でイッキミするのにも最適。実はtonbori堂はイッキミ否定派でそのココロは「疲れる」からなんですがそんなこともなく最後までパッと観れましたよ😍

地球外少年少女/Netflix(Netflix)

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