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COVID-19禍でウチで観るSF大作映画『トゥモロー・ウォー』雑感/tonbori堂Primeビデオ鑑賞記【ネタバレ】

2021年7月24日土曜日

movie SF

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 Amazonプライムビデオ独占配信、クリス・プラット主演かつプロデューサーを務めたSFアクション映画、『トゥモロー・ウォー』実は早くに観てはいたんですが感想は今ごろになってしまいました。特別ダメだったわけではないし、後半のさらにもうひと捻りは、おおーそう来たか!ってなったんですけれど途中のなんかもやもや感がどうにも晴れなくて。ちなみに自分の観測範囲内ではかなり好評のようです。(もちろん、いやどないでっしゃろっていう方もおられます。)シネコンで公開されていたらまた変ったのかなとも思うんですがこの映画、実はお蔵入りの可能性もあったそうなんですが色々あってAmazonプライム独占配信となったとか。まあそれは内容にはあまり関係ない話なんですが、このCOVID-19禍も含め、色々気になったところ、感想を書いてみたいと思います。

※【ネタバレ】ちなみにストーリー上無茶苦茶重要な部分に触れているんで気を付けて下さい。(あらすじ/STORYや感想文でも明記は避けましたが流れですぐにバレる類のやつです)


トゥモロー・ウォー| フルトレーラー|YouTube|Amazon Prime Video JP - アマゾンプライムビデオ

未来を救え!/STORY

 彼らは突然やってきた、30年後の未来から。未来の地球は「ホワイトスパイク」と便宜上呼ばれている異星人、いや異星の生命体によって全滅の危機に瀕していた。突如現れた未来からの訪問者は、過去の地球へ救援を求めに来たのだった。まず世界各国は協力し精鋭部隊と物資を送り込んだがその結果は悲惨なものであった。そして時間を超えるにも適正があることが分る。そのため世界各国で時空を超える資質を持つ人間を集める事になり大規模な徴兵制が敷かれる事となり反戦ムードも高まっていった。


 高校の生物学教師ダン・フォレスターはさらなるキャリアアップと家族のために研究所への転職を希望したが研究所から断られてしまい、さらに徴兵センターからの適性検査で「7年後に死亡」という事で未来へ派兵される事になってしまう。ダンは追跡装置と未来への命綱である腕輪を解除するためベトナム戦争の帰還兵でエンジニアでもある父であるジェームズを頼るが、家族を捨てた父とどうしても反りが合わず、娘ミューリーと妻エミーを守るために未来への派兵へ向かうことを決心する。


 しかし送り込まれた先では時間跳躍の不具合か空に投げ出され多くの兵士がそのまま死亡し残った生存者で作戦を遂行する事に。元軍人で2回の従軍歴で特殊部隊に属していたダンが指揮を取ることになったが、実は人類側の司令官にはある秘密があった。ダンは無事に作戦を成功させ妻子の待つ過去に戻る事が出来るのであろうか?


未来への挑戦

 『トゥモロー・ウォー』を一言でいうと「未来への挑戦」ってところでしょうか。現在から未来へ向かい、そこで起こった出来事を無かった事にする一種のタイムパラドックスモノであり、未来改変モノでもあります。ただ未来の人類側もそれは若干視野に入れているのかどうか?という点では大いに疑問で、とにかく劣勢を挽回するために戦力が必要ってことで過去にやってきたという感じです。


 しかも使っている技術も偶然の、普通なら使わない未知のシステム、受け入れ側の体制もガタガタで座標も無茶苦茶。その割にはトラッキングデバイスとして使われる腕輪は高性能すぎますが、今どきのスマホでも位置確認とかGPSトラッキングできますからそれぐらいは当然という気もします。そして徴兵への人選がどうも未来から持っていたデータでその出発年から数年後に死亡する事が分っている人を人選していることがダンの検査の時に示唆されています。(それはダンと同じ隊になりガンを患って余命宣告されているドリアンがいる事からも推察されます。)つまりこの作戦で先に死んでもいいという、人命尊重なんだけど結構酷薄なシステムだなと思いつつ未来の戦場にダンたちは放り出される訳ですが、ダンには戦場でのスキルがあります。父親であるジェームズを憎みながらも同じ軍役につき特殊部隊で活動、叙勲もされて軍の制度を使い大学にいって教職を得た人物。それは一重に父を反面教師としてよき家庭人になろうとした結果で、一度は家族のためにこの徴発から逃げようとしますが、やはり父のようにはなりたくないと(逃げちゃダメだですよね)未来へ旅立つわけです。この導入部は問題を抱えつつ父として自分は逃げないというのは良かったと思います。

ありきたりなシーン

 ここからが暫く、あれ?なんか見たことあるシーンだなーっていうところが続きます。当然ハリウッドのビッグバジェット(巨額な製作費)を使ったブロックバスター映画(シネコンで稼ぎ時に公開される大作)、COVID-19禍でスクリーンにかかる事なく配信スルーとなってしまいましたが、やっぱりド迫力なシーンではあるんですよ。しかも敵であるホワイトスパイクが群れで襲ってくる四つ足と2足を使い分け触手もあるし飛び道具(スパイクを打ち出す)という部分、エイリアンや他の美味しいどこどりだし、多くで群れて襲い掛かるってゾンビ映画のマナーですよね。そしてそういうシーンが繰り返される訳です。


 そしてお決まりのタイムリミットサスペンス。あと何分かでここは爆破されるから逃げ出せというシーンでドラマ『24』のクロエ(メアリー・リン・ライスカブ)ともう一人巨体の白人男性が足を怪我してここで食い止めるから先に行け!シーンまできっちりやるとか、なんか見たことあるなってなる訳です。その後司令官から重大な秘密を聞かされて、ホワイトスパイクの雌捕獲作戦後に聞かされた帰還後の自分の顛末を聞き、司令官が作り出したホワイトスパイクを倒せる毒の生成から、ホワイトスパイクの襲撃で、これは結局間に合わなかった『トゥエルブモンキー』オチかと思ったらそこからもう1回『バッドボーイズ2バット』が始まるとは思いませんでしたね(苦笑)

大逆転

 しかも時間跳躍装置の破壊によって未来に生成した毒を持たせて援軍を送り込めないが、ならば到着したところを叩くとなって、でもいくらなんでも宇宙からすんなりと入り込めるかとなったら実は太古の昔にやってきてとなってドミニクが生きている証ととして首からぶら下げているホワイトスパイクの爪から採取した土を分析して居場所を特定するもののそこはロシアのど真ん中、結局密入国しかないとなったら敬遠していた父親ジェームズにという前半に置いといた伏線やらなんやらを怒涛で回収するとかそこはかなりそう来たか!ってなりましたね。そこは中盤の戦闘シーンよりも実は小ぶりになっているんですよ。雪原で繰り広げられるエイリアン2っぽさがあって(笑)それでもジェームズの意外な、いや待ってましたの活躍ぶり。演じるJ・K・シモンズがボルトアクションライフルでホワイトスパイクをスナイプするところは痺れます。そして死闘の末やっとのことでマザー・ホワイトスパイクを倒してってところ、親子の和解と娘の元へというアメリカ人大好き展開。

 若干解決が簡単すぎるきらいもあるし『ロキ』という未来が分岐してしまう作品や『テネット』『ゴジラS.P』を観た後だと、うーん結構乱暴やなーってなってしまうんですが先に挙げた作品も乱暴なところがあるので、まあこれはこれでという(笑)とは言えそれぞれの三幕構造が捻らなくてもいいのに捻ろうとしてでもツイストさせきれなかったかなという印象でした。

 キャストは主人公のダンをクリス・プラット、その父にJ・K・シモンズぐらいで後のキャストは殆ど知らない人でした。でも司令官役を演じたイヴォンヌ・ストラホフスキーは『ザ・プレデター』で主人公の別れた奥さんをやってたそうです。全然気が付かなかった(>_<)、他にも24のクロエ役でお馴染みメアリー・リン・ライスカブが出演して中盤で見せ場を作って退場でした。(最後まで生き残るかなと思っていました)監督はクリス・マッケイ、『レゴ バットマンザ・ムービー』の監督をつとめた人でキャリアとしては映画監督作は多くないけどDCユニバースの『ナイトウィング』の監督を務める事が分っています。

最後に

 この作品はCOVID-19禍が無ければ映画館で上映され(パラマウント映画が製作し配給するはずだった)んでしょうが残念ながら時期を逸してしまいAmazonで配信されることになりました。NETFLIXに売却や配給(配信権)をとか、ディズニーは自社の配信プラットフォームDisney+で劇場公開とプレミアム配信として同時配信したり、ワーナーではHBOmaxを使い劇場公開と同時配信といった施策が行われるようになりました。まだ暫くはこの混乱が続きそうです。『トゥモロー・ウォー』はホワイトスパイクについてまだまだ語るべき部分があるという監督の談話もあり続編の話も出て企画開発に動いているようですが今後の予定はしっかりと立っている訳ではありません。ただ2019年から20年にかけて動いていた企画に関しては劇場で流れてこちらになってきましたが今後は最初から配信目的もあるだろうし反対に劇場オンリーもあるかもしれません。どちらにしてもCOVID-19のパンデミックが収まらないとそれも絵に描いた餅でしかないですが出来ればこのスケールの作品はシネコン(映画館)のスクリーンで観たいものですね。そうなる日が一日でも早く来るように願います。

『トゥモロー・ウォー』はAmazonプライムビデオで配信中。

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