今月(2020.9月)頭に、Twitterでファティマ総選挙2020が開催されました。結果などはこちらのリンクをご覧いただきたいと思いますが、今回はtonbori堂は殿堂入りしたメガエラ、前回2位のエスト、そしてラ・オプチカル・タイ・フォンの3人に投票しました。
リンク|FSS ファティマ総選挙2020 結果発表 #FSS_JP - Togetter https://togetter.com/li/1589550
リンク|ファティマ総選挙2020主催 kaneda_junkoさん (@kaneda_junko) / Twitter https://twitter.com/kaneda_junko
で、タイ・フォンの産みの親アルセニックと前回(9月号)での連載で明らかになったバランシェのコピーとしてのクーンの事とでアルセニックとクローム・バランシェの事を書いてみようかと思った訳です。実はタイトルにバランシェ親子ってつけようかと思ったんですがアルセニックは「バランス公」なんですよね、アルセニック・バランス公。デルタベルンのフェイツ公国の大公(フェイツ公爵)でもあるクローム・バランスは色々あって家を出てクローム・バランシェと改名した。そしてアドラーのトラン連邦バストーニュに工房を構えメガエラやアウクソー、運命の3姉妹を育成した。前回NT9月号感想エントリ2弾目でバランシェがファクトリーを構えて最初に作り上げたファティマ、クーンのことやその前のマキシについて書いたときに少し思ったことがあったからです。なのでこれはバランシェというよりバランス家についての話になります。
写真はファイブスター物語 トレーサー Ex.2 (ニュータイプ100%コミックス) /©EDIT/永野護/KADOKAWA刊より。 カバーイラストはタイ・フォン/アシリアセパレート |
※現在の物語の進行からの事なので一応ファイブスター物語/FSS【ネタバレ注意】とさせていただきますが、連載を読んでいる方であれば問題はないと思います。
フェイツ公国バランス家
デルタ・ベルンの小国であるフェイツ公国はA.K.Dではなくエラン連邦に属していたとあります。まだ天照が産まれてまもない頃、ミコト様が我が子、天照の超常を解明するためにそれほど国交があったわけでもないフェイツ公国の当時当主で星団に超演算理論を発表したウラニウム・バランスを招聘した事からA.K.Dとバランス家の繋がりが産まれました。
やがてウラニウムの孫であるリチウムが星団初のファティマを製作しGTM(当時はモーターヘッド)のコントロールが騎士単独であるよりさらに騎士の動きをトレース出来るようになった事から一挙にフェイツ公国バランス家は星団の注目の的になりました。MH時代にはファティマ以前の支援サポートシステムは言及されませんでしたが、GTM設定後では操縦系統にサポートにシン・ファイアというガス有機演算システムが搭載されていると設定されています。『花の詩女 ゴティックメード』でMK.2の頭部から靄のようなものが人型のような形になったあれです。このシン・ファイアの演算システムはやがてファティマに取って代わられたとあります。(ちなみにシステム・カリギュラではシン・ファイア型のGTMも保有しているとか。そもそもシン・ファイアで大丈夫だったのは超帝国騎士は脊髄から直接GTMと接続リンクしてGTMを操る事が出来るからです。)
そして母アルセニックの元で非凡な才能を発揮していたクローム。しかしその自らの研究を追及する傍から見ると異常なまでのその姿勢や、思想は一般に受け入れられる事がなくその危険性から学会を追放されたものの自らの処女作とも言える(独力で作り上げたファティマとして)クーンが剣聖デイモス・ハイアラキのパートーナーとなり、A.K.Dの盟主天照がパトロン的な立場となり、やがて次々と高い評価を受けるファティマを発表し天位騎士や高名な騎士が娶るようになりその名も高まっていきます。一方で扱いづらいだの、名ばかりであるというやっかみもでるように、ただ実際にピーキーなファティマやそもそもぶっ飛んでいるファティマもいるためあながち間違いではないとも言えるんですが。やがて星団暦2900年代には星団4大AF(ファティマ)ガーランドとして名が知られるようになりました。これがだいたい知られているフェイツ大公バランス家の概略です。
バランシェはトランに移ってから、フェイツ公国と縁が切れたわけではなくファティマお披露目に関することもあり、彼の館は一種の在外公館としても機能していたようです。アイシャが高校生の頃はここにメイドのアルバイトに来ていた事はちゃあの『プロムナード』でも描かれていましたね。
アルセニック・バランス
現状ではファティマを4体製造したとだけというアルセニック。(ちなみにクローム・バランシェ(以後バランシェ)の45体は群を抜いて多いそうで普通は10体から20体ほど。だから著名なAFガーランドの手によるファティマは「銘入り」と呼ばれて重用されるのですが、それとともにファティマと騎士の相性があるためお披露目やガーランドによる引き合わせなどでファティマに選んでもらう必要があります。)アルセニックの作品としては後に(魔導大戦)コーラスの暴風3王女と呼ばれるアルルのユリケンヌ、セイレイのシクローン、マロリーのモンスーン。そしてタイ・フォンの4体のみ。それ以外は祖父の残したファティマのケミカルメンテナンスなどを担当し、フェイツ公国を学術の国にすることに腐心したとDESIGNS(デザインズ)1には書いてありますが何より、彼女はあるものの存在に気が付き生涯をかけてその探求に費やしたと彼女の解説テキストにはあります。ジョーカー銀河の全てを記録しつづけている記録機。モナーク・セイクレッド。その事を知った彼女は限りある命ではそれを見届ける事は出来ないと悟りタイ・フォンにそれを託し銀河中央のスターバーストへ送り出したとあるのですが、今月号でクーンがバランシェのフルコピーという事がマキシより語られましたが実はタイ・フォンもアルセニックのコピーであったとあるのです。
ジョーカー銀河では臓器、皮膚などのクローン再生は出来ても人間のフルコピーは出来ないという設定があります(脳共鳴が起こり死んでしまう)そのためドウターチップでIDコントロールされているログナーを除いて(超帝国時代のナ・イ・ンやヘリオス剣聖騎士団もそうなっているようなことが後にテキストで語られています。)クローンでコピーを残す事は出来ないのです。ですが超帝国の因子を持つファティマならコピーを残せるのでは?とアルセニックは考えたのか(DESIGNSではコピーではあるけれど想いを託したとありましたが)完全ではないもののタイ・フォンをダブルイプシロン型ヒューマノイドを作りだした事はかなり大きな事なのではないかと思うのです。もちろんクーンがダブルイプシロン型という話はありませんが後年、永遠に生きる天照に寄り添いたいというラキシスの願いのために彼女をダブルイプシロン型ヒューマノイドとして再生したこともあいまってアルセニックの遺したものは小さくはない。いやむしろ大きいのではないかと考えられるのです。
また彼女の製作したファティマは全てコーラス王家に嫁いでいるというのも見逃せない話です。DESIGNS1によると天照家(A.K.D)とは疎遠となっていたとはいえA.K.Dの学術の中心的にあったフェイツ公国の当主であったにも関わらずミラージュ入りしているファティマはいません。元々ファティマは星団各国へと散らばっていくことも多くバランシェ・ファティマがミラージュ騎士をパートナーしている率が高くても全員がミラージュという訳ではないですがそれはバランシェが42体ものファティマを残したからです。相性の事もあるのですがクープのようにフィルモア専属のようなガーランドなら話は別ですが。アルセニックのファティマはタイ・フォンを別にすればコーラスに嫁ぎコーラスのファティマとして特に暴風3王女のファティマとして魔導大戦で注目を集めた彼女たちが何故コーラスへ嫁いだか。そしてタイ・フォンがモナーク・セイクレッドで赴くために製作されたのに何故ハリコンのパートナーとなったのか?彼女がモナークに旅だった後、残ったハリコンは自らの死を擬装しユリケンヌをパートナーにしたのか?(それはあの世からやってくるヴィーキュルたちと戦うためであり、彼の中にいる剣聖ララファと詩女が関係しているのは間違いないんですが)それならばアルセニックはその事は知っていたのか?フンフトは多分全てを知っている気がしますが、アルセニック・バランス、まだまだ語られていない事が多い人です。
クローム・バランシェ
アルセニックとのエピソードはほぼ本編では語られた事もなく、CHARACTERSやDESIGNSでもアルセニックとクロームの個人的なエピソードや2人の間を伺わせるテキストはそう多くはありません。ただ若い頃のクロームは早熟の天才であったがゆえにその禁断の部分へ触れる事も多く結果、家を出たとあります。フェイツ公国の大公であることは間違いないようですが死去した後バランシェの名はミースが継いだとは言えフェイツ公国大公もミースが継いだのでしょうか…いや継いだんでしょうね。国の運営自体は本国政府で何かと回しているようだし。そんなクロームが4ファティマのために命を削ってまで遺したものは数多くあれどそれもこれも「彼」の考えるファティマへの制約を振り切るものでありファティマに希望を与えつつも絶望も等しく与えた人物というイメージが大きいです。
それはひとえにクーンとのエピソードで語られる事が多いんですけれど、そのクーンが自らのコピー、写しであったとはどこまで「業(カルマ)」が深いのか。でもそんなクロームの心情は天照に遺した最後の言葉が端的に言い表しています。
天照「さんざんぼくやファティマたちを研究の対象にしてきた君が 責任もとらずに去っていくのか!」バランシェ「わからん奴だ… 求めるものをより理解したいと思うのは 当然のことじゃないか」ファイブスター物語/五つの星の物語/第5巻より
究極のエゴイストでもありますが、だからこそ天照とも忌憚なくつきあえたし、ファティマにも自分が理解したいためだけに様々な事を施したがそれにも勝る愛情(但し歪んでいるかもしれないけれど)もあった。それがクローム・バランシェという人物です。
ダブルイプシロン
第5巻のバランシェの最後ではダブルイプシロンについての事が書かれているのでこれも併せて書いておきたいと思います。ドラゴンネイチャー(改変前のセントリー、まだ目に見える生命体という形態で描かれていました。)を基に個体進化という気付きを得たクローム・バランシェは複数の情報体を持つファティマ、アウクソーをカイエンのために生成し(それはほぼ長大な寿命を持つカイエンのためにファティマの寿命が来てもその情報体を持つファティマへと移し替える事までを想定していたのかもしれません。しかしカイエンはムグミカを守るためその命を落しました。)しかしラキシスははっきりとファティマではないとバランシェは明言しました。ラキシスは個体進化に必要な高次元の要素を持つ「意思体」でありこの世ならざる者でもあると。
これだけだと「ダブルイプシロン」型ヒューマノイドはバランシェがドラゴン(現在はセントリー)と接触した事から産み出された事になりますが、タイ・フォンもダブルイプシロン型ということは既にアルセニックも何らかの手段でそれを知っていた。今のところはスバースの血にあった情報からそれを知った(デザインズ1に記載、実際にはジョーカーの全ての生命体にある生体コード)のではないだろうかと思われますがDESIGNS1のフェイツ公国の章にはかなり気になる記載があり、詩女(巫女)とのつながりなども詳しく記載されています。じっさいバッハトマのハスハ攻略戦の最中、ミースがカイエンに語った話ではリチウムとアトールの巫女(詩女)によりその血が薄められその血が普通の騎士からの剣聖の血筋になったと語られています。だからこそモラードがタワーの製作にムグミカからの依頼がありそれをフンフトがサポートするなど詩女からのなんらかの協力があったのではないかと推測しているのですが、まだ全ては明らかになっていません。もしかするとドラゴンネイチャーからセントリーとなった今ではアウクソーを生成するときの個体進化のヒントは詩女からという改変もあるかもしれません。まだまだ詩女とモナークとセントリー、片鱗は分かっていてもどういう目的で?とかまでははっきりと明言されていませんし、そういう余白がまた読者の「理解したい」「知りたい」という欲望を刺激するのかもしれませんね。
バランス家の秘密はまだ残っている
しかし設定変わったセントリーとバランシェってどう接触したんだろうか。ドラゴンならば実体あるけどセントリーはそこにいるけれどいないシュレーディンガーの猫みたいな感じですからね。現実に干渉したときその姿が垣間見えるようですが、やっぱり詩女様の仲介があったのか。バランス家は詩女とつながりもあるとは既に明言されているわけだし連載(単行本)でもバランシェ家に莉里とワイプが避難してきたのもそういう事なのですから、アルセニックも詩女様と接点があったのは間違いなく魔導大戦中にそこがまた語れるかどうかは分からないんですが桜子やミースの関係もあるので気になるところですよね。この先もバランシェのその母の情報が出てきたらまた考察エントリをアップしたいと思います。
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