『映像研には手を出すな!』第1巻|tonbori堂漫画語り【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

『映像研には手を出すな!』第1巻|tonbori堂漫画語り【ネタバレ注意】

2020年1月20日月曜日

manga SF

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 ということで日曜深夜(月曜)24:45(関西のみ、それ以外では24:10より)NHK総合で放送されている『映像研には手を出すな!』第1話の感想とか気になるところや第2話の以下同文のエントリを書きましたけど辛抱たまらんようになって1巻も購入した訳です。ネタバレ上等な人なので一足先にこの先の展開って感じには気を付けますが、バレが気になる方はご注意ください。またtonbori堂の見解ではありますが、アニメを観れば漫画も読みたくなるし、原作読めばこれまたアニメの滋味が増すといういい関係性になっていると思います。

原作漫画『映像研には手を出すな!』第1巻|大童澄瞳 著|小学館
原作漫画『映像研には手を出すな!』第1巻|大童澄瞳 著|小学館|tonbori堂私物

最強の世界

 これアニメ第1話のサブタイトルなんですが原作もそうなんですよ。2話も全く同じでこのまま原作タイトルをサブタイトルとして使っていくんだろうなと思ったらそうでもないようで(これは後述)、だからと言って第1話のアバンタイトル部分は第1話にはありません。実は浅草氏の幼少時代の件はもっと後になって(第1巻中ですが)出てくるのです。

自分語りを細かくするのは相手との距離が近づいた時で、金森氏はともかくツバメとはまだ距離をまだ図っていたはずの浅草氏がそういう語りも作業中に出来るほどにツバメと仲間になってる感が出てました。でもアニメではそれを冒頭に挿入する事で浅草氏の人となりと最強の世界への憧れとアニメへの夢を一発で理解させるといういい導入になっていて、この改変というか差し込み見事だなと。漫画は漫画でこの順番で全然文句なし、いや言わばこの順番がベストなんだけど語り口を変える事でアニメはアニメでの活かし方をしてくる。面白いですよね。


 さらに第1話では水崎ツバメとの出会いを詳しく描き、空想世界は設定画(見開き)から2P後にまたイメージボード的な見開きをドンってもってくることで前後の行間を圧縮してるんですが、これ大友克洋とも士郎正宗とも違う情報密度の上げ方だなと思いました。大友克洋は書き込み上げていってコマや見開きの密度を上げていく。士郎正宗はその上に注釈を欄外に足すことで余分な(知らなくてもストーリーは追える)情報だが知っているとより深く知る事が出来るネタをいれてきます。どちらかと言えばこの手法、宮崎監督の『雑想ノート』に近い感じを受けました。作者の大童澄瞳のインタビュー記事を読むと映像やアニメーター志望でもあった事が書いてありましたがもこれ関係してるのでしょうか?

でも記事には『ドラえもん』のひみつ大百科ってあるんですよね(笑)でもある程度その記事を読むと『雑想ノート』と感じが似通ってもそうだよなと腑に落ちるんですよ。アニメが作りたかったけど動画を書くのが大変。だから絵コンテを分割してコマに振って、説明シーンを解説的に書くとそりゃ宮さんの漫画に似てしまうという。大友さんや士郎さんはやはり漫画畑からの人なんだという事もよく分かるという。立脚点が漫画と違うからならではの漫画なんだよってことがこの第1話につまっているとtonbori堂は思います。

ソース|【インタビュー】『映像研には手を出すな!』大童澄瞳「そもそも僕にはマンガ的手法のいろはがひとつもない」|コミスペ!

吹き出し

 漫画として立脚点が違うという部分では吹き出しも面白いんですよね。パースが付いている。これもインタビューで見せたいのは背景だからという事で編み出した技法なんだとか。これ吹き出しというか擬音でも時々突き抜けた事をする人がいるけどマネをする人はどうなんだろう、いるのかな?でも目的があって手段として必要だから生み出された技法として、漫画っていうのはある程度完成された表現手法で技術も確立されてるとご本人おっしゃっているけど、そこの文化圏に属していないからこそ自由に書けるとも。その辺り見せたいものを明確に書きたいという宮さんやうちのブログでも取り上げる永野護にも近いものを感じます。これが見せたいっていう画をドーンともってくる。または細かいところにこだわる。いや漫画家さんでもいらっしゃるけど(笑)これはたまたまtonbori堂が好きな作家さんがそうだったという話なだけです。

映像研、爆誕す!

 続く第2話も少々様相が違っていてツバメがマンホールから出てくるシーンはありません。漫画は行間を読めばいいんだけれど、アニメはつながりが必要なので、カットとカットの間という意味での行間はありますけど、第1話からの水崎家の人からの監視がついててまだまだ不自由をいう説明にもなってます。そして第3話「無給!ブラック・パラパラ漫画」のエピソードと合体しているのです。確か公式サイトによる次のサブタイトルは『実績を打ち立てろ!』これ第1巻にはないサブタイトルですが、このワードは続く第1巻第4話『映像研の災日』の最後の吹き出しの台詞に対応しています。まあ全部同じでなくてもサブタイトルは内容を簡潔に現していればいいし、これが第1巻のクライマックスにつながってきそうな予感がします。『映像研に手を出すな!』のアニメがどこまで映像化されるのか?何話なのか?(13話1クールかなと思っていますけど)となればまず一つ目のヤマは明らかに第1巻で描かれている事がヤマになると思うので2つめのヤマは第2巻?かなと。そうなれば5話、6話にかけて第1巻ヤマが設定されてるのかな?いやこれは全然分からないですが。


 今のところ第2巻はまだ買ってません。ネタバレ上等なtonbori堂ですが、ここまで面白いといい感じでリアタイで比べてみたいのでとりあえず第1巻でのエピソードが終わった時点で第2巻を購入したいと思っています(当然その後随時購入しますけど)そして見比べながらも楽しみたいですね。


※紙媒体の場合は値段はよくチェックしてから、重版かかっていると思うので在庫が復活すれば通常の値段でお買い上げになれると思います。(リンクはAmazonkindle版ですが通常単行本も購入可能です。)


『映像研には手を出すな!』OPテーマ/Easy Breezy|chelmico

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