アニメに出てきた実銃【その壱.伍】｜『ルパン三世』2019増加補填版

　このブログで『アニメに出てきた実銃』というエントリをアップして『ルパン三世』と『アーバン・スクウェア琥珀の追撃』『戦闘メカ ザブングル』という3作品に出てくる銃を紹介するエントリをアップしました。その時にルパン三世の銃（特に1stシーズン）はルパンたちだけではなく他のキャラクターたちが使う数多くの実銃が出てくるので何時かはその他の銃の紹介もアップしたいなと思っていました。ということで前回はルパン、次元、銭形の銃をご紹介しましたが、今回は不二子のブローニングや1stに出てきたキャラクター、パイカル、プーン、魔毛狂介などゲストキャラにカリオストロの城まで、もろもろ出てきた銃をご紹介していきたいと思います。

前回のエントリ（リンク）｜アニメに出てきた実銃【その壱】『ルパン三世』

画像は「100てんランドアニメコレクション4「ルパン三世」PART-1&２より/©双葉社

ルパン三世に出てきた実銃/（その壱）

　とりあえず前回は以下の3丁をご紹介しました。

ルパン三世/ワルサーP38

　言わずと知れたドイツの傑作軍用拳銃。ルパンの銃と言えばのワルサーP38

画像はモデルガン/マルシン製ワルサーP38/tonbori堂所有

次元大介/S&W M19コンバットマグナム

　.357マグナムを使用する強力なリボルバー、次元の愛銃。

画像はモデルガン/コクサイ製S&W M19 4インチ/tonbori堂所有

追記20191130：

　29日の金ローで放送されたルパン三世スペシャル『ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト』にて銭形の部下である八咫が拾って（ガメた？）次元が使った銃が超珍しい拳銃だったので思わずびっくりしました。ちなみにアニメ『プリンセス・プリンシパル』で主人公のアンジェが使用しているのも同じ拳銃です。名称はウェブリー＝フォスベリー・オートマチック・リボルバー。回転拳銃ながら半自動拳銃のように次の弾を引き金を引くだけで発射できる銃です。ちなみに一発しか装填されていませんでしたが(笑)

ウェブリー＝フォスベリー・オートマチックリボルバー/写真はWikipediaより

※ウェブリー＝フォスベリー・オートマチック・リボルバー/Wikipedia（リンク/Wikipedia）

※ウェブリー＝フォスベリーの発射の瞬間（実銃）の動画がこちらでご覧いただけます（リンク/YouTube）

銭形警部/コルト・ガバメント

　第二次世界大戦でのアメリカ軍正式拳銃、とっつぁんらしい質実剛健な拳銃。

画像はエアソフトガン/ウェスタンアームズ製M1911/tonbori堂所有

　以上の3丁が前回ご紹介したルパン、次元、銭形警部の愛用銃たちです。では今回は以下の銃を重ねてご紹介したいと思います。上の銃たちについて詳しくは前回のエントリを何卒よしなに。（リンク）｜アニメに出てきた実銃【その壱】『ルパン三世』

峰不二子/ブローニングM1910

不二子の使う銃は小型で隠し持つのにぴったりなブローニングM1910を1stシリーズではよく使用していました。ストッキングを留めるガーターベルトに差し込み、さっとスカートの裾から抜き撃ちする様はまるでボンドガールのようで、まさに不二子にぴったりな拳銃です。1stシリーズ第2話『魔術師と呼ばれた男』ではパイカルをベットに誘い、上半身を裸にさせてスカートからさっと抜き出したのはまさにこれでした。

画像はモデルガン/マルシン工業製M1910/かつてtonbori堂が所有していたもの

2ndシリーズではレミントンのダブル・デリンジャーというこれまた2連発だけど小型で隠し持つのに便利な拳銃を使っていましたが、（OPでリップ（口紅）を装弾して撃つシーンあり）カリオストロの城ではUZIサブマシンガンを使ったりサイドアームにスイス・ルガー（ルガーP08をスイスで生産したモデル）を使ったりもしていました。（後述）また1stではサブマシンガン（MP40など）をよく使う描写がありました。サブマシンガンは大勢の人数相手に立ち回るなら強力な武器。ただし反動もそれなりで、それをコントロールする力も必要ですが実利を重んじる不二子らしいチョイスです。

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パイカル（白乾児）/ベレッタM1934

パイカルは1stシリーズの印象的な敵役で第2話『魔術師と呼ばれた男』に登場しました。彼の武器は拳銃やナイフなどではなく火炎放射で丸焼きにされても銃弾を喰らっても、果てはバズーカ砲で吹き飛ばされても死なないその不死身の身体。マシンガンでハチの巣にされても死なない事から暗黒街の魔術師とよばれている男です。彼は不二子が盗み出した彼自身の不死身の秘密が隠されたフィルムを巡りルパンと対決する事になります。そして対決のためパイカルのアジトに向かうルパンの運転するクルマにセスナから飛び移り後部座席からルパンの後頭部に銃を突きつけます。

画像はWikipediaより｜[[File:Beretta 34 (6825664724).jpg|thumb|Beretta 34 (6825664724)|alt=Beretta 34 (6825664724).jpg]]

その時ルパンの頭に突きつけた拳銃がこのベレッタM1934です。イタリアのベレッタ社が製造したピストルです。どちらかと言えば小ぶりな感じですが.038ACP弾を使用できる（不二子のブローニングも同じ銃弾を使用）威力も十分な拳銃です。暗黒街の魔術師らしい渋いチョイスな拳銃です。ちなみに『ノワール』というアニメでも主人公が使用していてました。TVドラマでは『華麗なる刑事』でゲストキャラながら人気が高くセミレギュラー的に登場した梶芽衣子演じる女刑事が使っていました。女性の手にも似合う銃です。ちなみにトイガンメーカー/ウェスタンアームズからエアソフトガンが発売されていますが今は完売品切れ中のようです。

殺し屋プーン/ルガーP08

同じく1stシリーズに登場するかつての不二子の相棒で、2人組の殺し屋として名を売っていたプーンの愛銃はルガーP08です。一部ではワルサーとともに人気の高い拳銃で、ガンマニアなら大藪春彦作品でお馴染みかもしれません。（ちなみにルガー、ワルサー両方ともにその名前が題名になった小説があります）

画像はエアソフトガン/タナカ製ルガーP08マリーネ/tonbori堂撮影

見た目ではちょっと銃身が長いように見えたりもしますがそこはそれアニメなので。ただ長銃身だとすると砲兵用のアーティラリーではなく海軍用マリーネと推察されます。（銃身上部にある長距離用照準器がない）その子分キャップはモーゼルC96をつかっておりドイツの拳銃がフィーチャーされてた回でしたね。また、『ニセ札はヤバいぜ』に登場したウクライナ男爵もルガーを使用していました。tonbori堂もお気に入りのピストルです。

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魔毛狂介/モーゼルC96

彼もルパンを苦しめたヴィランとして有名です。SF作家で科学者、発狂したのち精神病院でタイムマシンを発明、時空を旅している人物ですが自分の子孫がルパンの子孫に殺害された事によりルパンを消滅させるため彼の祖先を殺そうと企みます。タイムパラドックスなど細かい所が気になりますが祖先を殺すと消えちゃう（存在がなくなる）というのはこの作品で覚えました(笑)そういえば『アベンジャーズ/エンドゲーム』では『バックトゥザフューチャー』でお馴染みのこの設定、全否定されていましたねと、これは横道にそれました(^^;

そんなマッドサイエンティスト、魔毛の銃は未来を旅している割にこれまた古風なモーゼルC96です。モーゼルは大型の軍用拳銃で取り回しに難がありますが、その一方で固定弾倉に多くの実包を込められ強力な威力を持ち命中精度も高くモーゼルを愛用していた者も多かったとか。

画像はリアルウォーターガン（水鉄砲）/フルコック製C96Red9/tonbori堂撮影

また特徴的な形状で見映えがいいのでフィクションの世界でも印象的に使われています。有名なところでは『殺しの免許証（ライセンス）』でしょうか。あと『スターウォーズ』のハン・ソロのブラスターの元になったのもモーゼルC96です。写真のフルコックさんのウォーターガン。リアルで出来もいいし何よりモデルガン、エアソフトガンより安いのでもお財布に嬉しいですね(笑)残念ながら現在入手困難なようですとまた脱線しました😅ちなみに魔毛の名前は『ルパン三世vs複製人間』のラスボスでありルパン三世史上彼を超える敵には未だお目にかかっていないマモーの名前の元ネタでもあります。

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「魔術師と呼ばれた男」に出てきた銃&etc.byルパン三世1st

ルパン三世1stシリーズパイカルの登場回『魔術師と呼ばれた男』には拳銃だけではなくサブマシンガン（不二子が使用）ルパンはストーナー63重機関銃（といっても見た目ブローニングM1917重機関銃）、ブローニングM2重機関銃（戦車の車載機銃にも航空機用にも使用された傑作機関銃）からバズーカ砲（レッドアイ・ガンランチャーと言ってたけれどまんまバズーカ砲）、手りゅう弾を使用しました。ちなみにレッドアイ・ガンランチャーというものは無く、M171ショルダー・ランチャーから発射される携帯式のミサイルがレッドアイというものでそのランチャーがバズーカに近い形をしているので誤認されたのかなと思っています。

ソース｜レッドアイ/FIM-43 (ミサイル) - Wikipedia

画像は「100てんランドアニメコレクション4「ルパン三世」PART-1より/©双葉社

画像は「100てんランドアニメコレクション4「ルパン三世」PART-1より/©双葉社

実は不二子のサブマシンガン発射シーン。ミスがあって最初に撃った時はMP40なのにパイカルが銃弾を受けても平気なシーンの後でカットが切り替わり弾切れになる不二子がもっているのは何故かトンプソンサブマシンガンというシーンがあります。それぞれの原画ないし動画さんに設定画が間違って渡された？のだろうと思いますが、冒頭のギャングの銃撃シーンでMP40が使用されたためそういう事になったのかな？

画像は「100てんランドアニメコレクション4「ルパン三世」PART-1より/©双葉社

さらに珍しいところでは『7番目の橋が落ちるとき』のボルボがモーターボートからルパンを狙ったライフル銃は第二次世界大戦の米軍制式ライフル、M1ガーランドでした。初弾をボルトを引いて装填するまでしっかり描かれていて当時は気がつかなかったけど、これは画期的じゃないでしょうか？

画像は「100てんランドアニメコレクション4「ルパン三世」PART-1より/©双葉社

『ルパン三世カリオストロの城』に出てきた銃

『ルパン三世カリオストロの城』も宮崎監督の趣味と思われるレアな銃たちが登場していました。中でも一番目を引くのは次元がジョドーたちカリオストロの影に対抗して持ち出してきたシモーノフ（シモノフ）対戦車ライフルも印象的です。カリオストロ公国に忍び込んだルパンたちを襲う伯爵の部下、ジョドーが率いる「影」、銃弾を通さない鎧に身を包んだまるで忍者のような暗殺者たちにコンバットマグナムが効かないために次元が持ち出してきたのがこの対戦車ライフルです。元来、対戦車ライフルというのは現代のアンチマテリアルライフル（対物ライフル）とは用途が違い戦車の装甲を貫くために生まれた兵器でした。ですがそれに対抗して戦車の装甲が厚く、堅くなり貫くのが難しくなったところで廃れてしまった兵器なのですが、その後、戦車より装甲の薄い装甲車両や超遠距離からの狙撃などに大口径の弾薬（主に.50口径）が使われる大型小銃が開発されたのがアンチマテリアルライフルです。もちろん次元がアンチマテリアルライフルではなく過去の遺物と言っても過言ではないソ連が使用していた対戦車ライフルを持ち出してきたのは宮崎駿監督の趣味だと思います(笑)

画像はWikipediaよりシモノフ対戦車ライフル｜[[File:PTRS rifle at Great Patriotic War museum in Smolensk.jpg|thumb|PTRS rifle at Great Patriotic War museum in Smolensk|alt=PTRS rifle at Great Patriotic War museum in Smolensk.jpg]]

ちなみにtonbori堂がそういう対戦車ライフルという兵器を知ったのは漫画『ワイルド7』の「コンクリート・ゲリラ」編で飛葉がミサイル奪取を狙うゲリラが米軍の装甲車両に乗り込んできたのを学校の屋上で狙撃する時に対戦車ライフルを使用して知りました。しかし当時はそういう武器がアニメに出てくるとは思ってもいませんでした。そしてアニメであそこまで魅力的に描かれた長ものってあまり無いのでは？というくらいにカッコよく描写されていました。あれが無かったらロボットアニメでもよく出てくる長もの武器もそのあと出ただろうかと思うくらいです(笑)間違いなくアレはロボットの長物ライフル型武器に影響を与えていると思います。

ソース｜シモノフPTRS1941 - Wikipedia

画像は『ルパン三世カリオストロの城』パンフレットより/©東宝/TMS｜次元がもっているのが上のシモーノフ（シモノフ）対戦車ライフル。｜追っているのはカリオストロ伯爵のオートジャイロ。｜不二子が肩から下げているのはUZI短機関銃

カリオストロの城とルパン三世（2ndシリーズ、赤背広のルパン）のエピソード第145話『死の翼アルバトロス』でも不二子はUZIを使用しています。言わずと知れたイスラエル製のサブマシンガンでグリップが本体の中央に配されシンプルな機構とプレス加工による大量生産に向いた構造を持っておりイスラエルのみならず世界中で使用されたサブマシンガンです。

UZIサブマシンガン画像はWikipediaより｜[[File:Uzi of the israeli armed forces.jpg|thumb|UZI|alt=UZI]]｜劇中は木製ストック型で画像はスチール製の折り畳み式

またUZI以外に不二子は何時もの小型拳銃ではなくルガーを使用していますがこちらはP08とは違いグリップセフティというグリップを握る事で安全装置が外れる装置がついているタイプのルガーM1900。スイス軍で採用されている事から通称スイス・ルガーと呼ばれるモデルです。エアソフトガンでP08を発売しているタナカからP06という名称で商品化されていましたがこちらも現在絶版状態でレアモデルのようです。他にもカゲがMP38（いわゆるシュマイザー）やPPSh-41（いわゆるバラライカ）といったSMG（サブマシンガン）を使用していました。

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最後に

ルパン三世1stシリーズは企画時から視聴者層を上にとっていました。そして荒唐無稽なアクションではありながらも、出てくる自動車から拳銃まで全ては実在しています。企画書にはこうあります。

「いうまでもないことですが、この作品にはただの自動車などは1台も登場しません。”自動車”というものは存在しないからです。存在するのはポルシェ911S…ミニ・クーパーSといった具体的な車種のはずーーーー。（略）こうして現実世界をリアルにそっくり描ききった上で、なお光学的メカニズムではとらえきれないニュアンスを、出すことこそアニメーションの実力でなければなりません。」｜ルパン三世企画書より/100てんランドアニメコレクション5「ルパン三世」PART-2より

この考えが貫かれた結果、ルパン三世のリアリズムとアクションが融合していったのだと思います。ちなみに最初の構想では大塚康生さんはブローニング・ハイパワーはどうだろうかと考えていたようですがそれをワルサーP38にしたのは演出の大隅正秋（おおすみ正秋）さんだそうです。ルパン三世に出てくる銃は今に至るもそれが貫かれ、いやたまに怪しいけれど(笑)、自動車も同様に実在のクルマが描かれています。それが今でも古びないルパン三世ワールドをつくっているのだと思います。そうですね、今度は番外編というかtonbori堂アニメカ話としてルパン三世(1st）に出てくるクルマ話もしてみたいと思います。お楽しみに('◇')ゞ

参考文献

｜100てんランドアニメコレクション4「ルパン三世」PART-1/双葉社（リンクはAmazon/古書）

｜100てんランドアニメコレクション5「ルパン三世」PART-2/双葉社（リンクはAmazon/古書）

※ルパン三世：Amazonプライムビデオにて配信中。

ルパン三世1stシリーズ（リンクはAmazonプライムビデオ）

最新作ルパン三世PART6（リンクはAmazonプライムビデオ）

ルパン三世カリオストロの城（リンクはAmazonプライムビデオ/シネフィルWOWOWch加入で見放題）

※ルパン、次元、とっつあんのピストルは比較的手に入り易いです。（エアコッキングガンなど比較的安価なのも魅力的です。タナカなどのモデルガンのM19やM1911A1はガスガンなども比較的入手はしやすいかと。）

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※ルガーP08はエアソフトガン（ガスガン）で発売されています。（リンクはAmazon）

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