陽気な終末|『ゾンビランド』(2010公開|米)|tonbori堂映画語り【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

陽気な終末|『ゾンビランド』(2010公開|米)|tonbori堂映画語り【ネタバレ注意】

2019年10月25日金曜日

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 『ゾンビランド』続編『ゾンビランド:ダブルタップ』がもうすぐ公開されますね。実はその前篇とも言うべきゾンビモノ映画でスマッシュヒットを飛ばした『ゾンビランド』、公開時見事に映画館に観に行ってなくて後でDVDを借りて観たのですが…これが大層面白いゾンビ映画でした。しかも時間は90分、程よく詰まったよい映画なんですよね。という事で以前にエキサイトブログで書いたエントリの内容を参考にしつつ続編前におさらいでもしようかと。そこまでネタバレしていませんが一応ネタバレ注意!ということで暫しお付き合いのほどを😌


『ゾンビランド』予告編|シネマトゥデイ|YouTube|配給/日活

楽しいゾンビ映画?

 エキサイトブログのタイトルはこうしていました。そうゾンビ映画だと大体世界の終わり、もしくは一抹の希望の光があってもそれはか細い、かき消されそうなものというヒキが多いんですがこの作品はどちらかというとファンタジーに振っているんですよね。シチュエーションコメディのようにアホなゾンビを笑うのでもなく(っぽいシーンはあるけれど)どちらかというと、今ならラノベの一パターンである「異世界に転生」モノに近いノリがあります。


 そもそも主人公は引きこもりのギーク、いわゆるオタクです。世界が謎のウィルスで人類はゾンビ化し滅亡していった世界で引きこもってたが故に助かった。プラス、ギーク(オタク)らしい「32のルール」を定めてそれを実践して生き残ってきた…まあ変人です(笑)まあ異世界転生モノだったら一気にジョブチェンジして現実世界では役に立たないスキルを活かしてウハウハってのが定番ですが、そこまでファンタジーではないのは、コロンバス(主人公のあだ名。この映画本名で呼ばれる人は主要人物ではいません。ただ一人ビル・マーレイを除いては(笑)彼だけがビル・マーレイ本人で登場します。)が、やっぱりイケてないギークの学生のままだって事。


 コロンバスは家族のいる故郷コロンバスに戻るためテキサスからオハイオへ向かう事にしましたが途中で屈強なゾンビハンターであるタラハシーと出会います。タラハシーは絵に書いたようなタフガイで銃器の扱いにも長けていてゾンビと見ると駆逐する事に生きがいを見出しているような人物。おとなしく、目立たないようにしているコロンバスとは水と油のようなものですが、何故か凸凹コンビとしてコロンバスはタラハシーのクルマでコロンバスへと向かう事になるところから既にもうおかしさがにじみ出ています。類型的パターンなんだけど状況が異常すぎるから面白くなるのは異世界モノでもよくありますよね。

トゥインキーとタラハシー

 そしてタフガイには奇行が付き物?いやそうじゃない場合もあるけど。タラハシーの場合はトゥインキーっていう安いお菓子、スポンジケーキを廃墟と化したスーパーマーケットで探す事です。時にはそれが優先されるしそれを止めるものはゾンビはもちろん生存者もぶっ飛ばされるという(^^;このトゥインキー、アメリカではポピュラーすぎるお菓子でありジャンクフードです。つまり「U.S.A」を代表する食べ物。おまけに腐らない(実際には都市伝説ですが)ときているので、タラハシーは保存期間があっても大丈夫とばかりに見つけるとパクついていました。現在ブランドを保持していたホステス社は倒産しましたが、暫くのちブランド名を保持したまま生産は続けられているそうで、アメリカンな食べ物として今も出回っているとは言えゾンビランドになったアメリカで、しかもあれから10年。トゥインキーを求めていたタラハシーどうなっているのか非常に気になる所です(笑)

ヒロインズ

 異世界にはタフなヒロインが付き物。これは海外でもそうで、既にヒロインではなくヒーローとして活躍する場合もありますが、『ゾンビランド』の2人も登場してきたときは保護される存在として見せかけて、実はというしたたたかな2人組。ファンタジー物ならさすらいの姉妹、実は詐欺師にして盗賊みたいな、そんな感じですよね。コロンバスたちは彼女らに一度はまんまと騙されるもののゾンビランド(ゾンビの国)になってしまった状態では生存率を上げるために4人は組むことにというのもこれまたファンタジー物の王道ですよね。いわゆる呉越同舟。で、当然若い男女がいればそれなりに意識もするしと珍道中のネタには事欠きません。また旅の目的が途中から姉妹が目指したロスの「パシフィックランド」になるというのも黄金郷(エルドラド)を目指す物語構造としてはこれまた王道。道中はゾンビがうようよですが。

キャスト

 今となってはよくこの顔合わせが実現したなっていう感じですが当時はジェシー・アイゼンバーグもエマ・ストーンもニューカマーだったし、子役のアビゲイル・ブレスリンの方が注目株だったかもしれません。ちなみにtonbori堂はアイゼンバーグは知ってたけどそれは先に『ソーシャルネットワーク』(Facebook創始者ザッカーバーグをアイゼンバーグが演じた作品)で知っていたからです。その後エマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』でグエン・ステイシーを演じてスターダムへ。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で名実ともにトップスターに。『ラ・ラ・ランド』も記憶に新しいですよね。


 なので実質この中でよく知ってたのはウディ・ハレルソンで、彼がよく演じるガンマンタイプをこれまたステレオタイプなのにこうも上手くやるかよというのが一番最初の印象でした。でも後々考えると本当にキャストの配材が適役過ぎて実際キャストも続編に関しては乗り気だったものの、まずは脚本がということで前作から10年もかかってやっと『ゾンビランド:ダブルタップ』が製作されたそうですが…ここまでみんな売れっ子になってるとはこの時には全然想像もつきませんでした。でもこう言う風に手垢のついた話でも状況と少しずらした構造を与えてやれば十分に面白く出来る事がこの『ゾンビランド』で証明されたわけです。もっともそういうのって昔からあったんですが(ヲイ)ゾンビ物でそれをやった人って皆無でしたから、ストーリーの軽快さ、キャストのはまり具合、バランスがばっちりすぎて、本当に唯一無二の作品となっていました。『ゾンビランド:ダブルタップ』を観たいという人は是非ご覧になってほしい作品です。


※エキサイトブログで書いた感想楽しいゾンビ映画?「ゾンビランド」 : web-tonbori堂ブログ

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