「ユニオのアーキタイプ」|ファイブスター物語/FSS第6話ショウメ争奪戦/考察【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

「ユニオのアーキタイプ」|ファイブスター物語/FSS第6話ショウメ争奪戦/考察【ネタバレ注意】

2019年10月20日日曜日

FSS manga

X f B! P L
 今月号(月刊ニュータイプ2019年1月号連載)でTwitterやネットの感想を巡回していると気が付いたのはゴリリダルリハの髪型がゴティックメード(カイゼリン)ナ・イ・ンとの類似性を指摘している方が多かった事。それとともにマキシマム・バスター・タイフォーン(M.B.T)で吹き飛ばされたセンチュリオンの腕がツインスイング関節であったり脚はカイゼリンに酷似していたことから、GTMはヴィーキュルを模しているのでは無いか説。これはなかなか興味深い話なので少し考えてみたいと思います。※【月刊ニュータイプ2019年11月号『ファイブスター物語/FSS』の内容についてネタバレしています。】
※追記20200113:この件に関してはニュータイプ2020年1月号にて既にポーターにより解説済のため間違っている感じになっていますがご笑覧いただけますと幸いです。

F.S.S. DESIGNS 5 LITTER.pict |KADOKAWA刊|永野護著©EDIT
F.S.S. DESIGNS 5 LITTER.pict |KADOKAWA刊|永野護著©EDIT


ヴィーキュル

 ショウメがやたらとヴィーキュル推しなので(笑)、ああそうかこれが元々の彼らの名前(種族?もしくは総体としての)なのかと思うのですが、連載初期から読んでいると4巻巻末にあったライフ・ウオッチング・オーバーロード「S.A.T.A.N」、サタンがどうしてもひっかかるし、そもそも彼らの真の名前はもしかすると我々では発音できない言葉かもしれません。SFではよくある設定ですがF.S.Sはおとぎ話なのでそれはない…とも言えないところがまた何ともなんですが(笑)でも名前がないのは識別に困るので今回はヴィーキュルという事で進めたいと思いますが、DESIGNSなどで言及された「ジェネリック・オーバーロード」という呼び名は今回されなくてスレーブ、コマンダー、そしてそれらを媒介にして現れる上位種、ジェネラル(将軍を意味する英語ですね)。そしてそれらを統べる支配種は女性でありまず現れたのが親衛隊である「センチュリオン」(この言葉は古代ローマの百人隊長からきています。)、そしてそれら全てを統べるのが女魔帝であるゴリリダルリハです。


 と、ここで思い出されるのはユニオ3です。ユニオ3、炎の女皇帝を産み出した超帝国の総体であるユニオは統治システムとして効率が良いと思われるから彼女を産み出して世界を統治することにしました。それはまるで昆虫、特に蜂やアリのようなシステムで女王蜂、女王アリが全てをコントロールしています。また重要な働きをするのは雄ではなく雌。それはヴィーキュルもそうだったと今回明らかになったわけです。ジョーカーの人類とヴィーキュルは太古の昔より戦ってきて、そのたびに懐園剣の助力やスイレーが遣わしたセントリー(ドラゴン)たちの活躍でそれを跳ね返し、時には協力して(ログナー)追い払った訳ですが、アズデビュートやモンソロンその後の代になるユニオ時代に超越した力をもった者たちの統治システムがどうやら昆虫のそれに近いという事でユニオがそれを模すのが一番効率がよく「彼女らに対抗できる」という結論を導き出したとしたら…。

ユニオ

 ここでユニオとは?について、現状でユニオの説明が一番詳しいのは『DESIGNS5LITTER.pict』です。その中では高度に発達した人類は自らの檻の中の箱庭に閉じこもりデッドエンドに向かっていた中で産み出された統治システムで、そのユニオが次のユニオ2を産み出したとあります。ちなみにユニオとは「ソフトウェア」であるとあります。ということは今の知見でいうとAIといってもいいでしょう。それはコアになるシステムに依存せずジョーカーの世界中にいる普遍化したネットワークに「在る」ものと考えられます。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のウルトロンもそういう存在でしたが点在するシステム全てを破壊され倒されました。しかしユニオ2まではジョーカーの隅々までに存在していたとされ滅ぼすことはほぼ不可能であったと思われます。


 ユニオが自らのアップデートのために2を産み出したのであるけれどさらなる展開のために3「ヘリオス ナ・イ・ン」を産み出して強力な昆虫型社会、絶対的な階級社会を作り出し、人々がユニオ3を壁として、諦め絶望しても、そこからそれを倒すべきものと認識し、結果的に人類が幸せを再度確認するデッドエンドから抜け出すための未来が描けるようになったとあります。普遍的な存在から象徴とも言うべきものを自ら産み出し人へ生への渇望を促す。とんでもないシステムではありますがユニオ自体は人を滅ぼすものではなく人を導き幸せにするという目的があるためこのような行動をとった。しかし結果、大量の人類を粛清したりするという一見矛盾した行動をとりますが、それこそが人の望んだ道であるといわんばかりに…。恐ろしい世界ではありますが、実は人類もこの先この道を辿るやもしれません…と脱線しましたが、あくまでも「人類」(ジョーカーの)視線というかユニオの成り立ちとしてはそうですがファイブスター物語は「おとぎ話」です。作者がそう明言しています。この昆虫型社会を維持したままの世界が別次元にあったとして、それらは度々人類に干渉していたとすると…やはりユニオがヴィーキュルらをアーキタイプ(元型)としてそれを模倣したシステムとして3を産み出したというのは…どうでしょうか。ジョーカー人類の不俱戴天の仇であり、度々侵攻してくる彼らを模したものであれば、人々への活力の元になるのではないか?とふと思ったのです。

炎の女皇帝ナ・イ・ン

 ナ・イ・ンのとんがった頭(髪を二つの角、ホーン状にしている)をしているのも姿を現したゴリリダルリハにどことなく似ているようにしたのではないか?当然スペックとかは全然違う訳ですが恐怖をもって支配するにはあの形状が一番効果的とユニオ2が判断していたと思えばそれも納得できます。それにゴティックメードの頭部部分も放熱機能をもたせるために長い頭頂部と2つに別れた放熱板が時としてヴィーキュルたちの頭のようにも見えるし、スタビライザー状のものも。そして先にも書きましたが明らかに破壊されたセンチュリオンの肘と膝部分はツインスイングでした。あまりにも強大な力を持ちジョーカーの人類を蹂躙してきたヴィーキュルたち。その力に対抗するため彼らを模した巨人(ゴティックメード)を作り出し、互角に戦える人類を産み出した(総帝、剣聖、騎士)のではないかと…。

覇者の贈り物

 となればゴティックメードが「覇者の贈り物」というのもなんとなく納得いくのですよね。覇道を行くヴィーキュルたちが力のみにたより、その力を持って全てを(次元を)統べようとする、そんなヴィーキュルに対抗するためにヴィーキュルを模した兵器で対抗する。そしてそれはジョーカーでの統治するための道具としても都合が良かった…そういう風にも思えるのです。ヘリオス超鋼や、ハーモイド・システム(旧イレーザー)などなども全てはまず最初に次元の彼方からやってくる超越者たちに対抗しうるものとして作られ、それはそのまま人類統治のシステムにも都合が良かった…とも言えるのではないでしょうか。ただリッターピクトによるユニオの説明によれば最終的には人類社会の平坦化を目指していたナ・イ・ンにより騎士の力を薄め、ゴティックメードも弱体化しているようですが、それはモナーク・セイクレッドから遣わされたログナー、彼よりモナーク・セイクレッドを知らされ人類の楯になるためにスタント遊星に向かったとも考えられるわけです。


 ただそれをもってしてもジョーカーの人類の力よりヴィーキュルの力には抵抗しきれない。だからこそナ・イ・ンはセントリーと何かしらの契約を交わしたのではないないか?となれば現在のショウメ争奪戦にナ・イ・ンたちがスタント遊星攻防戦の前に前哨戦で参戦してくる可能性は大いにあるのではないでしょうか。そして今転生していないセントリーたちも。当然それはこの世界の理が崩れ去る前に。そう思うのも第6巻で天照が一時的に力を喪失したことによってフロート・テンプルの封印が外れミラージュのグリーンレフトによる一時的な反乱とともにパラ・サイマルの結界が外れヴィーキュルのソルジャーが現れた時、フェザードラゴン(セントリー・カラット)の攻撃で消し飛びました(もっともその前にカレンとU.R.Iことユライヒ/ユーリヒが出現していたので彼らが消し飛ばしたかもしれませんが…)そう考えると年表にあるスタント遊星攻防戦はまさに攻防戦というのに相応しい総力戦となるのではないだろうかという気もしてきます。ジョーカー宇宙での最強スーパーロボット、ツァラトゥストラ・アプター・ブリンガー、星団最強ミラージュ騎士、そしてシステム・カリギュラ、セントリー、超帝国旗艦「星(シング)」ヘリオス剣聖騎士団などが勢揃いするのですから。


ショウメ争奪戦

 その前にまずはショウメ争奪戦ですが、セントリーが来る前にミキータ・オージェとジョーカー、スイレーが参戦してくるでしょう。それは天照がそこにいけない理由。彼らを問答無用で消し去る事が出来ない理由があると。それは「今のラキシス」がゴリリダリルハとやはりなんらかの対話をするのではないかという事。それは所謂「シナリオどおり」なためだと考えているのですが…その内容がまだ分からない。そしてそれらを経てなお彼らとは相容れないという事で激突は避けられない。だからこそ懐園剣をもってしてもマドラは片腕もがれ(それは超帝国剣聖クラスをもってしても懐園剣の本来の力を完全に引き出すことが難しいから?)だと。ただゴリリダリルハたちもずっとこの世界に留まる事は出来ないのです。それはラキシスも命の水を狙ってきているコマンダーの動きを見て「ぎこちない、相当なリスクを背負ってる」と言っています。


「ファイブスター物語」/永野護ニュータイプ11月号連載ページより、手前はリブート4巻|©EDIT/KADOKAWA刊 

 これはリブート4巻でO.P.Q.L(オピクル)の解説が出てきたときに彼らの次元と構成している物質が違うため対崩壊していくので彼らの攻撃を受けると次元消滅してしまうので天照やカレンさえも恐れるという解説があります。その分彼らもそのリスクを負い、また留まるだけでも対崩壊を起こしていくので特殊なフィールドを張って滞在しているという訳です。スレーブやソルジャーはそのためのフィールドを作り、この世界に滞在できるように時空を変えているのでヴィーキュルたちは存在できるわけですがだからと言って長時間は存在できるわけではないようです。だからこの一戦は双方ともに時間との戦いでもある訳ですがその前に決着が付くのか?オージェたちが来てもなおマドラの片腕がもっていかれる激戦が巻き起こるのか?それとももがれて絶体絶命にオージェが現れるのか?読者の裏をかくことにある種命かけてるクリス(永野護)だからこそ、あっと驚く何かを仕掛けてきそうだとは思っているんですが。だからここまでユニオたちはヴィーキュルを模したと書きましたが…もしかすると彼らがGTMを模した、この世界で活動しやすいように…という展開があるやもしれません…、そう全ては永野護の頭の中で紡がれているジョーカー星団での出来事に秘められているのです…。ショウメ争奪戦、次回のエピソードもあっと驚く展開ありそうです。


追記20191120:ゴリリダルリハの邪眼で正気を抜かれたマウザーたち。それでも彼はなんであいつらの関節はツインスイングなんだと言っていましたね。これ思うに初期の設定よりシオの門番、システム・カリギュラは実はナ・イ・ンの遺したものをもっと知りたい、保持したいという事があるのかなと思いました。これについてはまたストーリーが進んだところで考察してみたいと思います。

ニュータイプ 2019年11月号 |本 | 通販 | Amazon 

※追記20200113:この件に関してはニュータイプ2020年1月号にて既にポーターにより解説済のため間違っている感じになっていますがご笑覧いただけますと幸いです。

ニュータイプ 2020年1月号 |本 | 通販 | Amazon 

Amazon.co.jp: F.S.S. DESIGNS 5 LITTER.pict : 永野 護: 本 

ファイブスター物語/F.S.S第17巻絶賛発売中

ファイブスター物語/F.S.S第17巻絶賛発売中
永野護著/KADOKAWA刊月刊ニュータイプ連載『ファイブスター物語/F.S.S』第17巻絶賛発売中(リンクはAmazon)

このブログを検索

アーカイブ

QooQ