この『ドリパスから一掴み』刑事映画5選の第3弾、去年から数えて1年弱ぶりの久しぶりの隙間ネタ(笑)今回は80年代アクション映画の代表的なものから香港映画の名手、ジョニー・トー監督の関わった警察、刑事を主人公に扱った2本、そして邦画から1本をご紹介。気分はもう80年代(トー監督作品はそうではないけど流れるスピリットはそれを彷彿させます。)って感じでよろしくという風にまとめてみました(笑)
画像はイメージです|魅力的なフリー画像 · Pixabay| |
その前にドリパスのご説明をば簡単に。
ドリパスとは?
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刑事モノで一掴み第3弾はこんな映画たち!
今回は80年代のらしい刑事ものと香港映画にその人ありと謳われるジョニー・トー監督が製作として関わった作品、そして邦画からも1本をピックアップしてみました。
『シャーキーズ・マシーン』
シャーキーズ・マシーン/主演バート・レイノルズ/オライオン・ピクチャーズ/ ワーナー・ブラザース/公開時ポスター |
70年代から活躍しているハリウッドのセックスシンボルとしても有名な俳優、バート・レイノルズ主演の刑事映画です。公開は1981年、世は『ブリッド』『ダーティハリー』『フレンチコネクション』のヒットで刑事映画花盛り。これは後に『リーサルウェポン』『バッドボーイズ』まで続く系譜になるといってもいいかもしれません。
麻薬課の刑事がミスで飛ばされて風紀課にという話から『マイアミ・バイス』などではその風紀課(バイス・スクワッド)が主人公になるなど、時代の先がけとも言えるかも?やり手なんだけどやり過ぎ刑事が新人の面倒を見せさせられたり、暇な部署に回されるのはよくある話なんですがバイスはいわば生活安全課みたいな部署で実は麻薬課も内包しており、まあ麻薬はバイスでも本流ですがコールガールの取り締まりは下流と見られていたということで飛ばされたんでしょうね。
当時はそういう事もよく分からなかったんですがコールガールの取り締まり中に高級コールガール(エスコートサービス)の張り込みなど今の刑事モノでもお馴染みのシーンが…いや今の刑事モノでそういうベタなシーンあったかな?ともかくそういうシーンも多く、マークしていたコールガールと仲良くなったり、主演のバート・レイノルズの魅力が詰まった1本です。そう言えば『張り込み』って映画もありましたね(笑)
助演もブライアン・キース、チャールズ・ダーニングなど渋いメンツに敵役にヴィットリオ・ガスマンにヘンリー・シルヴァ。物語の鍵になる高級コールガールにはレイチェル・ウォードとこれまたパーフェクトなキャスティング。正直アクション満載ではないけれど高層ビルでのアクションなどバート・レイノルズの魅力満載な1本です。
(リンク)[映画]シャーキーズ・マシーンを映画館で上映しよう! | ドリパス
『48時間』
48時間/主演ニック・ノルティ/エディ・マーフィ/監督ウォルター・ヒル/公開時ポスター |
刑事もののみならずバディムービーとしても傑作な映画です。ウォルター・ヒルの傑作といってもいいでしょう。何せ刑事の相棒はなんと…囚人なのですから!
サンフランシスコの刑事、ジャック・ケイツ(ニック・ノルティ)は同僚の刑事が目の前で脱走犯ギャンツ(ジェームズ・レマー)に射殺され彼を執拗に追跡します。ギャンツが相棒のネイティブアメリカンと脱走したには何か裏があるとみたケイツは彼の仲間であったレジー・ハモンド(エディ・マーフィ)に面会に行きますが、協力させろの一点張り。手がかりがないケイツは48時間の期限付きでレジーを外に連れ出し、ギャンツを追う事にします。
刑事と囚人、白人と黒人。馬の合わない2人が一つの目的に向かって走るというのがバディ映画の醍醐味ですが、そこに人種、立場も絡めた緊張感をもりあげていきます。ストーリーは簡単明快ですがそういう要素がストーリーをぐっと豊かなものにしているのです。ウォルター・ヒルはストーリーは何時も簡潔で分かりやすい作品が多いのですが設定が捻っているのが多い気がします。ただそのためはまると絶大な人気を誇りますが、最近の作品が精彩を欠いているのは、今の世の中がいろいろと複雑になり過ぎた事と、同じモチーフを愚直なまでにやり続けている事からかもしれません。
ですがこの『48時間』はキャストも監督ももっとものってる時に撮られた作品としてこれからもバディムービーの傑作として名を残すと思います。そしてなんといってもサタデーナイトライブで頭角を現したエディ・マーフィの映画スターへの出世作でもあります。ニック・ノルティはイメージ通りのタフガイ役なんですが今ならこの役はジョシュ・ブローリンがやるでしょうね。そう言えばニックとジョシュは『L.A. ギャング ストーリー』で共演していました。非情なLA市警本部長をニック。彼の密命を受けて秘密部隊を率いる刑事がジョシュという色々唸るキャスティングでした。まあ映画の中身は…。ご想像にお任せします(笑)ちなみに『48時間』は続編もあります。
(リンク)[映画]48時間を映画館で上映しよう! | ドリパス
『天使の眼、野獣の街』
天使の眼、野獣の街/監督ヤウ・ナイホイ/キャスト/レオン・カーフェイ/サイモン・ヤム/ケイト・ツイ/公開時チラシ表面 |
次にご紹介するのは一風変わった香港映画でも多い警察モノですが、CIDと呼ばれる刑事情報課のあるチームにスポットを当てた珍しい作品です。監督はヤウ・ナイホイ、名匠と呼ばれるジョニー・トー(杜琪峯)とよく脚本で組んでいる方ですがそのトー監督が製作に回っての初監督作品です。
ソース|天使の眼、野獣の街の予告編・動画「予告動画」 - 映画.com
重要事件(強盗や組織犯罪など)の容疑者を監視、追跡を行い行動確認を専門とする刑事情報課監視班に配属された新人ホー。指導役のウォンはホーを子豚と呼び厳しく鍛えていく。24時間隅々までに気を配り、あらゆるものを記憶し予測する。一方、香港では凶悪な窃盗団が暗躍していた。リーダーは尻尾をつかませず、手下と接触する際も隙を見せないためウォンたちが血眼になって追いかけている人物だ。そのリーダー、チャンを小さな手がかりから追い詰められそうになったのだが…。
小品といってもいいタイトな作りなのですが、トー監督の下で鍛えられたナイホイの作風はほぼトー監督といってもいいほど。窃盗団リーダー役は大スター、レオン・カーフェイ。監視班リーダーのチャンはベテラン俳優でトー組常連のサイモン・ヤム。そこに新人ケイト・ツイが新人ホーを演じるという布陣。厳しい環境で育てられたナイホイの心情がにじみ出ているかのような作品でしたが、容疑者を徹底的にマークし、尾行、監視、追跡とハイテクも駆使しつつ最後は人という如何にもな作りですが、90分という時間がリズムとテンポを産みだし飽きさせません。
韓国で『監視者たち』というタイトルでリメイクされた作品で公開時には日本でもリメイク権をどこかが手に入れ製作中と聞いたんですが…モノにはならなかったようです(ネタをつかったドラマは散見されましたが)時間もちょうどいい塩梅なのでおススメできる1本です。
(リンク)[映画]天使の眼、野獣の街を映画館で上映しよう! | ドリパス
『デッドポイント~黒社会捜査線~』
こちらもジョニー・トー製作の1本です。tonbori堂はジョニー・トー監督作をチェックしていますが、その一党というか彼とよく組む脚本家や助監督のプロデュースもしているトー監督。やはり一筋縄ではない作品が多いのです。
デッドポイント~黒社会捜査線~/監督パトリック・ヤウ/キャスト/サイモン・ヤム/ラウ・チンワン/DVDジャケット |
この『デットポイント~黒社会捜査線~』はジョニー・トー監督の『ロンゲストナイト』『ヒーロー・ネバー・ダイ』を合わせてダークトリロジーと呼ばれています。この2本も凄い作品なんですが、こちらの作品もかなりの衝撃作です。監督はパトリック・ヤウ。頻発する強盗事件に対処する刑事たちと強盗犯との攻防を描くハードな刑事ドラマなんですが、ともかく衝撃のラストまで目が離せない映画です。
大陸から香港にやってくるギャング。元人民解放軍を退役した元兵士で銃の扱いに長け、人を撃つことにためらいがない、そんな凶悪なギャングと食い詰めた貧乏人が富める香港にやってきて持っている者から奪おうとする。それを取り締まる側の刑事たち。
忙しい日常を過ごしている裏側は危険な連中の取り締まり。この大陸から流れてきた元兵士のギャングたちを省港旗兵と呼ぶと以前にどこかで読みました。元々は映画のタイトルだそうで、日本では『省港旗兵・九龍の獅子 クーロンズ・ソルジャー』という名前で公開されています。ちなみにシリーズ化されているとか。イー・トンシンの『ワンナイト イン モンコック』でダニエル・ウーも大陸から呼ばれるヒットマンでしたね。
トー監督も『ブレイキング・ニュース』や『PTU』でも同じく大陸から来た兵隊ぐずれのギャングが物語に絡む話を撮っています。合併間近にはそういう事が多かったのでしょう。食い詰めた若者が軍隊を辞めた後に結局出来る事と言えば武器を使うことだけ。そして富裕層の集まる香港に入り込むというのです。この『デッドポイント~黒社会捜査線~』はそのひな形なのかもしれません。またラストに至る流れも反復されているので、このモチーフ、この作品での監督はパトリック・ヤウですが、トー監督もこのモチーフ気に入っているのかもしれません。いわゆる仏教の諸行無常です。何時もの日常のようでも水面下では何が起こっているか分からない。あっという間に物事が変わってしまう。そういう作品です。
(リンク)[映画]デッドポイント ~黒社会捜査線~を映画館で上映しよう! | ドリパス
『あぶない刑事』
あぶない刑事/監督長谷部安春/CAST/舘ひろし/柴田恭兵/浅野温子/仲村トオル/東映 = 日本テレビ放送網提携作品/公開時ポスター |
日曜9時のお楽しみの刑事ドラマ『あぶない刑事』の映画化です。70年代から80年代、日本テレビは面白い刑事ドラマが揃っていました。多分『あぶない刑事』はその最後の系譜になるかもしれません。今ドラマは1クールが当たり前。長く続くこともなくなり、『踊る大捜査線』のヒットで刑事ドラマにも組織の論理、軋轢、ヒステリック・エリートにドタバタが主流になりました。しかしそれも食傷気味になったのか。堅調なのは2時間サスペンスドラマの探偵役としての刑事がメイン。そういう意味では、今現在、刑事ドラマの灯を守っているのはテレ朝かもしれませんね。とこれは余談が過ぎました。
この映画『あぶない刑事』はドラマ終了後にヒットを受けて製作された映画です。もともと製作がセントラルアーツなので映画指向な画づくりをしていたのも功を奏したと思います。ストーリーは勧善懲悪ですが、謎の画商、その手先の傭兵。画商の秘書。その秘書と束の間心を交わすタカという、ドラマでも見られたパターンをしっかりと映画にしているのは日活で娯楽作品を数多く演出してきた職人監督、長谷部安春の手腕によるものでしょう。また脚本はシリーズを担当してきた柏原寛司、大川俊道の手によるもの。さすがに手慣れています。映画らしく冒頭からバズーカ砲をつかったド派手なアクション、カーチェイスも盛り盛り。モーターボートをヘリで追うなど映画らしい大掛かりなチェイスシーンもあります。
主人公の鷹山ことタカさんには舘ひろし、ユージこと大下は柴田恭兵、他に仲村トオル、浅野温子、木の実ナナ、中条静夫、山西広道、ベンガル、といった何時もの顔ぶれに加えて、謎の画商には東映ピラニア軍団のリーダー格の一人、室田日出男、秘書の結城緑に小野みゆき。傭兵の豹藤に菅田俊。特に若い頃の精悍な(今は貫禄がありますけど)菅田俊、なかなか渋カッコイイ。さすが仮面ライダーZXです(笑)ポップコーンムービーって日本でもあったんだ!ってなる軽快な刑事アクション映画として好きな1本です。ただ…実はドラマの方が詰まっている分テンポが若干いいんですけどね(ギャフン)ですがファンムービーとしても娯楽アクション映画としてもいい映画と思います。
次回の『ドリパスから一掴み』は
戦争映画にしてみようかなと思っています。その次はSF映画かな。まあネタはまだまだございますのでいわゆるネタに詰まった時に軽くさらっとアップする雨傘エントリとしてお楽しみ頂ければ幸いです。
初回エントリ(リンク)|tonbori堂「ドリパスから一掴み」刑事映画5選
前回エントリ(リンク)|tonbori堂「ドリパスから一掴み」刑事映画5選Vol.2
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