それでやっと観てきたわけですが…実は思っていたのとちょっと違っていました。だけど凄く面白かったしよく出来ているなと凄く感心しました。なるほどオスカー獲るわと(笑)ではそんな『スパイダーマン:スパイダーバース』についてちょっと書いてみます。若干ネタバレしておりますがそこは皆様、何卒よしなに。
STORY/マイルズ・モラレスの場合
大都市ニューヨーク(NY)、この街にはヒーローがいる。彼の名はスパイダーマン。ピーター・パーカーは放射能で変異したクモに嚙まれて力を得た。力を手に入れて慢心もしたがベンおじさんの悲劇で彼は目覚めた。「大いなる力には大いなる責任が伴う」それからピーターは「世界でただ一人」のスパイダーマンとして世の中に暗躍するヴィランと戦ってきた。
マイルズ・モラレスはブルックリン育ちの高校生。名門寄宿学校に合格し慣れ親しんだブルックリンからその学校へ。家族は警察官の父ジェファーソン・ディヴィスと看護師の母、リオ・モラレスの3人家族。父のジェファーソンは少々過保護気味だが、それは若い頃に悪い道に走っていたせいで、マイルズにはそんな苦労をさせたくないと思っているから。リオはどんな時でもマイルズの味方で彼を愛している。
しかしマイルズは名門ヴィジョンアカデミーには馴染めない自分を自覚していた。彼にとっては学校の勉強よりジェファーソンの弟であるアーロンとストリートアートをしている時が本当の時分だと実感できるのだ。
煮詰まったマイルズは今日もアーロンのアパートを訪ね、アーロンは廃棄された地下鉄の駅へとマイルズを誘う。そこの壁に思いっきり自分の思いのたけををぶつけたアートを描くマイルズだが小っちゃなクモに噛まれてしまった。呼び出しがあったアーロンと共に深く考えずに学校の寄宿舎に戻るマイルズだったが翌朝、明らかに自分の体調がおかしい事に気が付く。転校生のグゥワンダの髪に手が引っ付き結局彼女の髪を刈り上げてしまう事になり、汗が止まらなくなり焦るマイルズ。
もしやと思い深夜に再び廃駅に行ってみるとあのクモはまだいたが不思議な発光をして消え去った。そしてマイルズは自分の感覚が鋭敏化したことに気が付き、手がべたつき壁をよじ登れ力も上がった事でもしやと思った。「これって?もしかしてスパイダーマンと同じ力?」そんな時地下から聞こえる、いや感じる音が、突然轟音とともにそこに現れたのはヴィランのグリーンゴブリンと誰あろうスパイダーマンだった。
廃駅の隣接した空間には何か巨大な装置が据え付けられていた。この空間を作ったのは同じくNYを支配するフィクサー、キングピンことウィルソン・フィスクだった。巨額を投じたこの施設での実験はこの世界を崩壊させる危険がある。それを食い止めるためにスパイダーマンがやってきたのだった。
フィスクはスパイダーマンとの戦いを目撃され家を飛び出してしまった妻と子が事故にあって死んでしまった。その妻と子を取り戻すために別の世界の妻と子をこの世界に連れ戻そうとしているのだった。そのために巨大加速装置を作り上げ別の次元とのワームホールを作り出そうとしていたが、それはブラックホールを作り出しかねない危険なものだった。
戦いに巻き込まれるマイルズに互いの超感覚スパイダーセンスでスパイダーマンは彼もまたスパイダーの力を持つ者と認め戦いが終われば力の使い方を教えようと約束する。しかしグリーンゴブリンの反撃にあい瓦礫の下敷きになってしまうスパイダーマン。そして瀕死のスパイダーマンからUSBドライブを手渡され装置を止めて欲しいと頼まれる。その後キングピンの目を引きつけマイルズを逃がすが彼はキングピンによって殺されてしまう。キングピンの部下であるプラウラーに追いかけられるマイルズは辛くもその場から逃げることに成功するがその日のニュースにスパイダーマンが死んだと流れた。
ピーター・B・パーカーの場合
スパイダーマンの正体はピーター・パーカー。フリーのカメラマンとしてニュースでは流れ追悼式典が行われた。ピーターの叔母メイと彼の妻メリー・ジェーン(MJ)が出席。MJはスパイダーマンは皆さんの心の中にいるとスピーチした。マイルズはピーターから最後の頼みを実行すべく導いてくれる人がいないまま力の訓練をはじめるが上手くいくはずもなくビルから落ちてUSBドライブを壊してしまう。意気消沈してピーターの墓の前にたたずむマイルズの肩を叩く人物。驚いたマイルズは思わず反撃しその人物を吹っ飛ばしてしまうが彼はピーターのように金髪ではない茶色の髪の中年男だったがとっさにマイルズに放った糸はスパイダーマンのウェブシューターだった。グウェン・ステイシーの場合
キングピンが出資している多元宇宙の研究の研究所、alchemaxへマイルズを置いて忍び込むピーター。しかしキングピンも研究所にやってきたためマイルズもピーターの後を追うようにして研究所に。所長のオクタヴィアスの部屋に忍び込む。しかし慣れないマイルズは蛍光灯に手が引っ付きオクタヴィアスに気づかれそうになるが、何故かマイルズの身体が透明になる。ピーターがオクタヴィアスの気を引くが彼女は特殊なバイオアームスーツを纏ったスーパーヴィラン、ドック・オクであった。
データの入ったPCを強引に奪取し脱出する2人を追いかけてくるドック・オク。彼女のパワーは凄まじくピンチに陥るがそのピンチに現れたのは白いスパイダースーツを纏ったグゥワンダだった。彼女の本名はグウェン・ステイシー。やはりクモに噛まれて力を得て父親のピンチを救ったりしていたが大事な人を亡くし独りぼっちで戦ってきたスパイダーウーマン。やはり突如としてこの世界に引き込まれてやって来たという事で元の世界に戻るため転校生としてヴィジョンアカデミーに入学し情報を集めていたのだった。一堂に会した3人は頼るべき相手としてこの世界のメイ叔母さんの家へ向かう。
ノワール・ペニー&SP//dr・ハムの場合
メイ叔母さんは最初は少し驚いたが、すぐに受け入れ3人を物置に案内するとそれはエレベーターになっており地下にピーターが使っていた秘密基地に案内した。キングピンは強敵だ。しかも部下のヴィランにはグリーンゴブリンは倒されたがドック・オクやプラウラーをはじめとしてトゥームストーン、スコーピオンも控えている。
しかしこの世界にやってきたスパイディはピーター・Bやグウェンだけでは無かったのだ。1933年からやってきたノワール。3145年の未来の別次元からやってきたペニーと彼女とリンクした特別なクモを介して動くロボットSP//dr、そして喋る豚のスパイダーマン、ハム。だが彼らはこの世界の住人ではないため細胞が徐々に破壊されこのまま留まることは死を意味する。それを回避するにはフィスクの加速装置で元の世界に戻る事。その上で装置を止める事だった。マイルズは彼らと共に加速装置に向かい最後に止めることを申し出でるがまだマイルズにはその準備は出来ていないと5人で装置を止める事にする。
落ち込んだマイルズはアーロンのアパートに行くがアーロンはまだ戻っていなかった。だがそこに何故かプラウラーが現れた。声を押し殺していたマイルズはさらに衝撃の真実をしることになる。なんとプラウラーはアーロンだったのだ。悪の道にそのまま身を置いていたアーロンはキングピンの部下になっていたのだ。その場を逃げ出しメイ叔母さんの家に向かったマイルズだったがそれはキングピンの罠だった。別次元のスパイダーマンがこの世界に来ていると知った彼は彼らを一掃しようと考えたのだった。プラウラーに捕まるマイルズ。薄れゆく意識の中でアーロンに呼びかけるマイルズに気が付いたアーロンは手を止めるがそれをみたキングピンが裏切りとしてアーロンを銃で撃ちアーロンは死んでしまった。
打ちひしがれたマイルズ。寄宿舎の部屋に戻ってショックからキングピンへの復讐に燃えるマイルズに君には行かせられないとウェブシューターで椅子に縛りつけられたマイルズ。加速装置でスパイディたちが元の世界に戻った時に誰かがその装置を止めなければならない。マイルズは自分がやると申し出たがピーター・Bはそれは自分の役割だとマイルズに言い聞かせる。
彼らが行った後にドアの外にジェファーソンがやってくる。彼はマイルズの仲のよかった自分の弟の死を伝えに来たのだが、ドアが開かない事からそれまでの自分の行為を詫び、だけど何時でも自分はマイルズの傍にいる家族だと伝えて去っていく。父の想いを聞いて落ち着いたマイルズは力が湧いてい来るのを感じウェブを破りメイ叔母さんの家で新しいシューターとピーターのスーツを自分流にアレンジして研究所に向かう。この出来事の全ての決着を付けるために。
マイルズのオリジン
最初は仮面ライダー映画のライダー大戦よろしくそれぞれのバースのスパイディの事情が絡んでそれぞれの世界に戻るためボスヴィランと戦うと思っていたんですよね。でも観てたら、あれ?ちょっと違うぞ。ピーターは既に居てヒーロー活動しているぞと(この辺りライミ版や実写のスパイディっぽいシーンが入ってくるんですがそこも上手いなと思いました。)月曜の朝マイルズが学校に戻る前に何かを描こうとしてるシーンから彼のパーソナルが描かれクモに噛まれると、マイルズのヒーローオリジンなのかと気が付きました。
その時点では彼はまだヒーローではなかったんですよね。そして幾多の出会いと別れを経て2代目スパイダーマンとなっていく話なってて、そこに導師であったりヒロインが絡んできたり。そのヒロインも別バースのスパイディだったりといや本当に恐れ入りました。これがアカデミー賞獲ったというのも納得です。
普通のスパイダーマンは既に映画で2回オリジンが語られており、もう分かってるんだよってなってるから、敢えて新作のM.C.U(シネマティック・ユニバース)のスパイダーマンである『ホーム・カミング』はそこを吹っ飛ばしてやってましたよね。でもマイルズというコミックファンなら知ってるかもしれないけれど一般には知らないマイルズならばオリジンでもいいわけです。むしろオリジンにしたことで彼を印象付ける事に成功したといってもいいでしょう。その上で青春譚としてもちゃんとしている。いわゆるオタクな高校生、ちょっと自信がない少年の成長譚。とにかく脚本が優れていましたね。
ピーター・B
導師となるのはこの世界では死んでしまったピーターとは別のピーター。別の世界のピーター・B・パーカーは長年のヒーロー活動でいろいろ疲れ果て、ちょっと嫌みなおっさんになってるというのもいい人物造詣でした。ピーターは割と悩む人物であるというのはライミ版だったんですけれど、MJと結ばれればHappyendのその先もあるわけです。最初はこの世界のピーターのようにベンおじさんが亡くなり、そこから使命感に燃えていたはずなのにずっと続く闘いの日々、想う人と結ばれても正義のために戦うことはやめれない。当然お金も稼がないといけない。メイおばさんが亡くなり、でなんだかんだでMJとはすれ違い。そして離婚してしまう…。ピーター・Bはそうやって失敗を繰り返し自堕落な生活になってしまった、あったかもしれないピーターのもう一つの姿です。そして彼もマイルズを見て彼はマイルズを導く役割でしたが彼も導かれていくクライマックス。本当に良かったです。
グウェン
グウェン・ステイシーは『アメイジングスパイダーマン』に登場した原典コミックスでMJの前のピーターの恋人で知ってる人もおおいでしょうがピーターが助けられなかった少女です。そのグウェンがピーターの代わりにクモに嚙まれた次元から彼女はやってきました。ピーター・Bと比べると転校生として潜入してマイルズと少し絡みもあったのでその分、少し掘り下げ弱かったかなあと思ったんですがそれくらいミステリアスな方がグウェンには似合っているかなと。実際大事な人を亡くしたっていうのは彼女の次元のピーターですよね。あとでぐぐったんですけど、そのピーターがなんか鱗みたいなのがあったのは彼がリザードになってしまうという理由をしって割と壮絶だなと思いました。というかスピンオフ作品でスパイダー・グウェン(彼女が言ってたスパイダー・ウーマンの他にゴースト・スパイダーっていうらしいです)やって欲しいと思いましたね。
ソース|Spider-Woman (Gwen Stacy) - Wikipedia
多分そういう意図とそれ以上にエピソード盛り込むといっぱいいっぱいになるという判断でバックボーンが簡単なのかなと。でも表情が凄くいいんですよね。グウェン。M.C.Uにも出てこないかなあ。ソニーさんもスパイディはもうM.C.Uでいい気がしますとこれは脱線でしたね。
ラストエピローグの繋がった感じも今後の展開を見越してなんでしょうか。いや気になりますね。そしてマイルズはあの世界のただ一人のスパイダーマンになったんですが、それだけにあの流れはクライマックスで確認された「君は一人じゃない」や最初にピーターに言われた一人じゃないが反復されるという。ヒーローって基本孤独なのでそこから発生するストーリーも多いんですが一人じゃないっていうのがここまでぐっとくる構造になっているのはピーター・Bとグウェンのおかげかなと思います。
ペニー、ノワール、ハム
ペニー&SP//dr
彼女だけ絵柄が日本のアニメ風なんですよ。それを両立させてるのも凄い力技なんですけど慣れちゃうと全然OKになるのが面白いですよね。まあ言っても全員2次元の人なんだもの(ヲイ。ですが未来世界もなんですけどパワードスーツ?操縦ロボ?なSP//drとクモを介してリンクというのも凄くて見せ場ちゃんとあるのも泣けますね。
ノワール
彼もスピンオフ希望ですね。字幕版ではニコラス・ケイジらしいので実写版もやって欲しい(真顔)時として殺人もしてしまうかもしれないハードボイルドヒーローいやヴィジランテと言えば悪い奴絶対殺すマンのパニッシャーがいますけどスパイダーマンとしてそういう力を行使するノワール。いや本当に実写で観たい案件です。
スパイダー・ハム
最高なキャラだと思います(笑)存在が既にギャグすれすれなのに木製ハンマーとか。そういう出鱈目さが実は超強いとか、彼は存在がギャグなだけに作品を破壊できるインパクトあるんですがそれを逆手にとってというのは上手いなと。また作品も笑いも必要なシーンでそれぞれに面白いのに、さらに面白くさせる要素を突っ込むとか今作品1番の注目キャラかもしれません(笑)
マルチユニバース
ポストクレジットシーンで新しいスパイダーマンがアース67のスパイダーマンをリクルートしにいっててマルチバースの危険はまだ去っていない?かのようなシーンがありました。原作という訳ではないけれどスパイダーマン大集合なマーベルコミックス『スパイダーバース』に登場するスパイダーマンという事らしいので当然、続編意識していると思うんですが一応始動しているというニュースがあります。
ソース|『スパイダーマン:スパイダーバース』続編&スピンオフが始動! - シネマトゥデイ
中でもスパイダーマンの力を手にした3人の女性のスピンオフ…気になりますね。スパイダー・グウェン以外のスパイダー・ウーマンとかいるそうなのでどういう物語になるのか。今から楽しみですが続編はさらに大がかりな事になりそうです。マイルズの物語として作られる事は決まっているとしてもアメコミ『スパイダーバース』の要素も入ってくるとなると東映のあの地獄のヒーローも?これは是非実現して欲しいところですね。アベンジャーズは一応の終了を迎えてもまだまだこの界隈、楽しみが尽きません。
最後に
ストーリーとキャラクター中心に書きましたけど、映像も凄かった事は最後に書いておきたいと思います。ソニーピクチャーズからのコロムビアのロゴ、そして効果。エンドロールのタイトルバック。本編での映像効果などなど。予告編でもその一端が観られますがこれは是非ともスクリーンで観て欲しい案件。都市圏のみですがIMAX3D再上映も短期で復活したようですし今がチャンス(2019.04.06現在の情報です)ではないかと。
ソース|「スパイダーマン:スパイダーバース」IMAX3D字幕版が東京・大阪で再上映 - 映画ナタリー
ソース|映画『スパイダーマン:スパイダーバース』メイキング映像<革新的アニメーション> - YouTube
もちろん普通のスクリーンで観てもストーリーしっかりしているので楽しめるのですけれどIMAXで観ると隅々まで味わえるという。でも吹替え版がないんですよね…。画面を味わいつくすなら吹き替え版がIMAX用意されていれば良かったんですが…。とは言えスクリーンで観てなんぼの映画であるのは間違いありません。是非シネコンでご堪能頂きたい映画でした。
※原作ではないけれどマルチバースのスパイディが大集合なアメコミです。
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