2019年もはや半月を過ぎ冬ドラマも早いものでは『トレース~科捜研の男』は第2回。そして続々と新番組はじまっています。この冬ドラマに関してはここで取り上げたこの4本に絞って観ていこうかと思っています。冬ドラマは大きなスポーツイベントが実は多くて、フィギュアやサッカーのワールドカップ予選、テニスなど。ある意味野球シーズンのある春、夏よりも放送回数が減る傾向がありますが、正月らしい豪華な配役を配して作られることが多いように思います。去年の冬ドラマでは『アンナチュラル』がありました。残念ながら今の感じでは『アンナチュラル』クラスの作品は無いかなっていう印象なんですが、山椒は小粒でピリリと辛い感じな作品もあるし、そこらへんを絡めてお話したいと思います。
『トレース~科捜研の男~』
漫画の実写化だそうです。最初はテレ朝の看板ドラマの一つ、『科捜研の女』に対抗して『CSI:科学捜査班』とかそういうアクティブなドラマをもってくるのかと思っていましたが、安全パイな原作付きを選択したのかなと感じました。
もちろん原作付きでも面白い刑事ドラマはあります。フジで言えば仲間由紀恵、オダギリジョーの横山秀夫原作『顔FACE』がありましたし。漫画原作ドラマも数多くあります。ただ初回と第2回が済んだところで思うのは、題材や話自体はいいのになあっていう事です。初回は大学院の研究室にいられなくなったヒロイン「沢口ノンナ」(新木優子)(この名前、原作通りとはいえ『科捜研の女』の主人公榊マリコ役沢口靖子をいろいろ意識しているネーミングではないかと思っちゃいますよね。)が初日から科警研からの出向から戻ってきた主人公の真野に付くように命じられバラバラ殺人の鑑定に当たる事に。
手しか発見されなかった他の部分の捜索地域を捜査一課の虎丸刑事に進言するものの聞き入れられず自ら捜索に出た真野とともに遺体を発見するなど、割とあるあるパターンでは進んでいたのですが、いまいちはじけていないというか。台詞のテンポが少し遅い感じがします。ネタは悪くないと思うんですが(原作にあるネタだそうです)どうにも、テレ朝『臨場』や『科捜研の女』を比べちゃいますよね。でもフジの月9らしく、いろいろとカッコいい感じを狙ってるのは分かりました(ヲイ)
毎回の事件のサイドに流れる主人公の真野の抱える闇(家族皆殺しとその犯人が兄?)により刑事警察を信用していない点が今後の展開にどう影響を及ぼしていくのか。この辺りは去年放送された韓国ドラマリメイクの『シグナル 長期未解決事件捜査班』の主人公を思い出せます。今後の展開には期待していますが…うーんって感じですね。
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『刑事ゼロ』
対するテレ朝『科捜研の女』は4月から1年間とかで、それへの橋渡しとして様々な刑事を演じた沢村一樹が、なんと捜査中のある出来事によって記憶を無くしてしまった刑事を演じるという話です。
あらすじ
京都府警の捜査一課で敏腕刑事と謳われた時矢は犯人を追跡中、ビルから転落。幸い下にあった水のはったコンテナケースに落下し軽傷で済んだものの頭部を強打したことにより記憶喪失になってしまう。しかも刑事としての20年間の記憶が一切ないためそれまでの捜査一課の敏腕刑事としての技術、自信などが一切失われどこか挙動不審な感じに。本格復帰のためのリハビリも兼ねて新人をつけられた時矢は記憶喪失がバレると刑事ではいられなくなってしまう。しかし彼に就いた新人の佐相知佳は時矢の大ファンで刑事庶務係勤務時から彼を目標に刑事を目指し、それが高じて彼の手掛けた事件一切をファイル及び記憶していた。ふとしたことから記憶喪失が佐相にバレてしまったが時矢の刑事としての勘の鋭さや細かい点を見逃さない部分を活かすために彼のボロが出ないよう時矢のフォローをすることに。時矢の記憶は戻るのか?バレずに刑事を続けられるのか?型破りな刑事が誕生した!
記憶喪失のデカ
そういうのってありそうで無かった気がします。ストーリー中で登場人物や主人公が記憶を失い、ふとしたことから記憶がよみがえる…、なんていうストーリーはありますけれど記憶喪失のまま捜査するってどんだけセンスオブワンダーなんだよ!っていうツッコミたさがあるんですが、テレ朝木8ミステリー枠はそのセンスオブワンダーが何故か許される枠(笑)マリコさんをはじめとする5人の科捜研メンバーと土門さんと浦原刑事、法医学者風丘先生でほぼ解決しちゃう『科捜研の女』枠ですから、何が出てきても「無問題」(笑)
でも記憶喪失でも警官としての正義感はあるし、記憶を完全に失ったわけでもないというのが下宿している医師の叔父から指摘され、見かけよりもネタが埋まっている感じも如何にも上手い感じがします。脚本は戸田山雅司。『相棒』や『科捜研の女』などの脚本担当として知られている方ですが無実の罪で投獄された事務方の警察官が刑務所に入所中に全ての手口をインプット。生きる犯罪データバンクとなり、型破りな捜査を行う刑事が主人公のドラマ『スペシャリスト』の脚本を担当。
『スペシャリスト』も相当にぶっ飛んだ設定でしたが『刑事ゼロ』はその逆方向にすっ飛んでます(笑)でも共通点が一つあります。それは両方の主人公が刑事としてはルーキーだってことです。『スペシャリスト』の主人公宅間は元からの刑事ではないし警察に復帰しての再出発、『刑事ゼロ』の主人公時矢はベテラン刑事としての経験がゼロになった素人からの再出発。そして突拍子が無くても、ちゃんとセオリーに則る進み具合。安心して観られる木8ミステリーでした。
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『スキャンダル専門弁護士QUEEN』
キャストが豪華でした!…ってヲイ!
いや竹内結子と水川あさみのコンビっていいと思いません?いいですよね。そしてとぼけた上司がバカリズムで、癖のある事務員さん(ハッキングスキル高い)が斉藤由貴で、エリート然としている…はずなのにダメな若者に中川大志。キャストはしっかりしています。とは言え初回、かなり踏み込んだ脚本なんだけどスカッと感が薄かった。実はこの作品、日本では珍しいスピン・ドクターを主人公にしているドラマです。
スピン・ドクター
聞きなれない言葉ですが、セレブのスキャンダルなどが出た時に見方を逸らしたり、別の事を流して世論を誘導する手法に長けた人の事をいい、特段弁護士を指す言葉ではないです。実際にスピン・ドクターと言えば評論家やジャーナリスト(日本では御用学者とか御用マスコミなんで言われたりしますよね)欧米のドラマではどちらかと言えばフィクサー(もめ事のもみ消し屋、トラブルシューター)という事が多いと思います。もっともフィクサーも私立探偵から街のごろつきまで指すのであくまでもそういう裏で立ち回る人を指す言葉ではありますが。
スキャンダル転じて
ストーリーは現代のネタを翻案して、被害者というか困難に陥った人の傷を最小限で、そしていわゆる悪い大人たちにはある程度のお灸をって事なんですがそれはいいと思います。フックに大物政治家のセクハラ問題に絡めたリークをもってくるとか、メインにはアイドルグループの謝罪にLBGTも入れてくるなど意欲的な脚本だし、悪くないはずなのにテンポはもっさりしている印象が凄くしました。画はいいのにねと思っていたんですがどういうことなんでしょう。特段台詞のテンポが悪いわけでもないんですがここは気になった部分ですね。脚本の場面転換なのかな…。
あとオチの爽快感でいうとスッキリというわけにはいきませんが、もっと跳ねた感じがあればまた印象が変わるかもしれません。実はまだ第2話観ていなんですが(^^;
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『メゾン・ド・ポリス』
退職警察官の住むシェアハウスと新人刑事の凸凹捕物控という格好のドラマですがこれ原作物なんだそうで。いや警察、刑事小説多くできましたよね。『警視庁いきもの係』もそうだったし、ハードな刑事、警察モノだけではなく、こういったくだけたものもあるんだな…と思ったら内容はハードでした(^^;
5年前に起こった連続殺人事件とそっくりな殺人が発生。被害者を拘束して灯油をかけて焼殺し、燃え上がる被害者を撮影した動画をインターネットにアップする手口からデスダンスと名付けられたその殺人事件の犯人を逮捕し今は退職している刑事、夏目を訪ねて新人刑事の牧野ひよりが夏目が住んでいる洋館に来たことから話がスタートします。5年前に逮捕された犯人は無罪を訴え上告していますがそんな中、マスコミには伏せられた犯人だけが知り得る1セント硬貨を着衣に仕込むという手口の事件が起こったために、もしや冤罪、誤認逮捕もありえる状況で当時の状況を知る夏目に話を聞きに来たのだが、当の夏目はそんな人物はいないと追い返す。だがその洋館の主で元警察官僚の伊達はひよりを招き入れ、元刑事の迫田、元科捜研の藤堂。そして警務課だった管理人高平に紹介する。そうここは住人全てが警察関係者のシェアハウスだったのだ。ひよりが新人刑事と見破る迫田達は事件の概要を聞きだし捜査に参加させろという、そして伊達の「上に話は通しておきます」の一言で元刑事夏目と現役新人ひよりとの凸凹コンビが誕生した!というあらすじです。
事件概要をなんとも可愛く表現していますが事件自体は陰惨だし、ちょっとアンバランス感が(^^;小説ならばそういうアンバランスさが受けても実写化するとなると。元から突拍子がない『警視庁いきもの係』と違い物はいいのになって思いましたがなかなか中盤は見せました。特に犯人に迫る辺りは普通の刑事ドラマでしたね(笑)作りもしっかりしているのですが…ホームドラマと刑事モノの融合ならもっとゆるくでもいいのに事件が重いっていうのが(^^;とは言えこちらもまだ2話を視聴していないのです。そこまでの事件(ヲイ!)でなければいい感じだとは思うんですが…それなら木8でいいじゃないかという気も。テレ朝刑事ドラマがデフォルトになると他局のドラマは大変ですよね。そうそうこの原作者さんである加藤実秋は北川景子の『モップガール』の原作者でもありました。今回調べたときに分かったんですが、なるほど凸凹コンビが得意なのかと。
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冬ドラマ2019ファースインプレッション総括
という事で初回を観た4本をチェックしましたがなんでしょうね、これは通しで観たいとなった『アンナチュラル』級なものはなかったです。ただつまらないって訳でもないので様子見な感じですね。その『アンナチュラル』フォロワーなドラマがあるとTwitterで教えていただきましたが坂口健太郎『イノセンス~冤罪弁護士-』は『アンナチュラル』っぽいそうです。とは言え4本でアップアップなんでここまでですかね。さて大化けするかはたまたこのままか、推移を見守りたいと思います。
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