tonbori堂「ドリパスから一掴み」刑事映画5選Vol.2|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

tonbori堂「ドリパスから一掴み」刑事映画5選Vol.2|tonbori堂映画語り

2018年11月17日土曜日

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 私、tonbori堂がドリパスリクエストでリクエスト投票している映画から一掴みでご紹介していくエントリ。シリーズ化を考えているとは前回のエントリでも申し上げましたが、今回も刑事モノ映画から一掴みということで何本かをご紹介させていただきたいと思います。またこの作品群はドリパスにてリクエストが集まれば再上映されるかもしれません。もし興味があれば投票して頂ければ幸いです。

ドリパス | リクエストの多い映画を映画館で上映します!

刑事映画の今

 今、面白いと思える刑事モノ映画が少ないというのもありますが、刑事モノの主戦場はもしかするとドラマなのかもしれません。映画だと2時間で語らなければなりませんがTVなら10時間近くだったり20話を超えればさらに長い時間を描く事が出来ます。1話完結でもキャラを描き込むことでシリーズを続けキャラを磨き成長させることが出来ます。


イメージ画像 銃を構える刑事(シルエット)
画像はイメージです。|魅力的なフリー画像 · Pixabay

 またミニシリーズでも5時間から8時間ちかくの「映画」をつくれるわけで、そう考えると米などのドラマシリーズで犯罪サスペンスや刑事、警察ドラマがシットコムやソープオペラとともにド定番として作られているのも頷けるというものです。とは言え、刑事モノ映画の火が完全に消えたわけでもなく今はそういう時代ではないのでしょう。今回はそんな刑事モノ映画の復権を願ってまた5本ほどチョイスしたいと思います。

『刑事グラハム/凍りついた欲望』

 タイトルからは分かりませんが、実はこれ「羊たちの沈黙」「ハンニバル」で知られているトマス・ハリス原作『レッドドラゴン』の映画化作品なのです。(『レッドドラゴン』は別にリキャストされ、レクター博士を『羊たちの沈黙』で演じたアンソニー・ポプキンスで再映画化しています。)もっともその時は大ヒットとは、いかなかったようですが、さすがマイケル・マン監督という作品に仕上がっています。ちなみにレクター博士もちゃんと登場しており主人公、ウィルとの刑務所での面会シーンもあります。その時レクター博士を演じたのはブライアン・コックス。『X:MEN2』でミュータントを殲滅しようとする仇敵ウィリアム・ストライカーを演じていた方です。今でこそアンソニー・ホプキンスの代表的な役柄の一つとなったレクター博士ですが、コックスのレクター博士もなかなかのものでした。


 原題名は『Manhunter』マンハンター。人を狩るハンター。獲物を狙う犯人とグレアムが犯人の思考を読んでその犯人を追うハンターといったところからついたのでしょうが、後のレクター博士関係作品が原題名がタイトルになっている事を考えると残念な感じもありますが、ただ作品を観るとこのタイトルも納得な感じがします。犯人に入り込みすぎることで疲弊していたFBI捜査官だったウィル・グレアムは一線を退いていましたが、元上司のクロフォードの依頼である連続殺人事件の調査をする事に。事件のヒントを求めるため再び自分に重傷を負わせ引退に追い込んだレクター博士と対面することになります。


 マイケル・マンがサイコスリラーを撮るとこうなるという作品で、またこういった硬質なサイコサスペンスを撮って欲しいですね。ちなみに実の娘さんが撮った『キリング・フィールズ失踪地帯』はねっとりとしながらも硬いサイコスリラー刑事映画でした。これについては別エントリを立てております。主人公のウィルには『CSI:科学捜査班』のギル・グリッソム役でお馴染みのウィリアム・ピーターセン。ナイーヴなルックスで深い闇を抱えたウィル・グレアム(グラハム)を好演していました。

追記『キリング・フィールズ』の感想です。こちらもバディものの刑事映画として面白い作品でした。ちょっとホラー味もあります。:tonbori堂映画語り『キリング・フィールズ 失踪地帯』【ネタバレ】|Web-tonbori堂アネックス

リンク:[映画]刑事グラハム/凍りついた欲望を映画館で上映しよう! | ドリパス

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『ブリッド』

 スティーブ・マックイーン主演の刑事モノ映画の嚆矢の1本。ハードボイルドな作品で、ある事件の重要証人を護衛するように命じられたサンフランシスコ市警察のブリット、さっそく部下と共に交代で警護につくものの当の証人がヒットマンを招き入れるような行動を起こして射殺されてしまいます。この事件には裏があると睨んだブリットはもう一人の部下デルゲッティ刑事とともに密かに捜査するのですが…。というストーリー。

 とにかく坂の多いサンフランシスコを活かしたカーチェイスがウリです。マックイーンのクルマ好きは有名ですが自らがドライブするフォード・マスタングと犯人のダッジチャージャーとのカーチェイスは痺れます。今ならさらにド派手でかつテクニカルでスピーディなカーチェイスを撮れるでしょうが生々しい、一般公道でこういうカーチェイスを撮影するというのは、当時では珍しく、またあまり例の無い事でした。そこでクルマにカメラを設置し、まるで運転しているかのような視点を取り入れ迫力のあるカーチェイスシーンを産みだしたというわけです。またドライバーの安全面からスタジオで投射した室内運転シーンとスタントマンが運転した走行シーンを組み合わせていましたがマックイーンは自らもステアリングを握る人でレーサーとしてレーシングカーを運転もしていた人。だから自らステアリングを握る事により嘘がないシーンが作れたわけです。後の刑事モノ映画やその他のアクション映画の定番展開、カーチェイスの始祖といっても過言ではないと思います。


 あとトリビアとして、このエントリを書くための確認でWikipediaの『ブリット』の項目をチェックしていたら、ブリットのショルダーホルスターはなんとサンフランシスコ市警のゾディアックキラーの殺人事件の担当刑事、デイブ・トースキーのしていたものと同じスタイルだとか。彼を役作りの参考にしたそうです。デイブ・トースキーは映画『ゾディアック』にも登場しており『アベンジャーズ』シリーズでハルクを演じたマーク・ラファロが演じていました。そういえば同じスタイルのアップサイドのショルダーホルスターをしていましたね。後の刑事映画にもカーチェイスやマックイーンのスタイルが踏襲されたことを考えるとマスターピースな作品だと言えます。

リンク:[映画]ブリットを映画館で上映しよう! | ドリパス

ソース|ブリット - Wikipedia

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『フレンチコネクション』

 ニューヨークの荒くれ刑事が傍若無人にニューヨーク中を駆け回り、フランス、マルセイユからの麻薬ルートを潰すために躍起になってルートの大物を追う映画です。監督はウィリアム・フリードキン。そしてこの映画は事実を基に構成されたフィクションというのもまたそそられるポイントです。ジーン・ハックマンが演じた主人公ジミー・”ポパイ”・ドイルはエディ・イーガン。ポパイの相棒バディ・”クラウディ”・ルソーはサルヴァトーレ・グロッソというNY市警の刑事を基にしています。


 この映画はまるで警官らしからぬ粗野な暴力刑事が高級スーツで着飾ったマフィアを一網打尽にしようと執念の捜査を繰り広げる話なんですが、なんといっても見どころは度々邪魔をするポパイに組織はヒットマンを差し向け襲わせるところでしょう。ポパイを襲うけれど失敗したヒットマンをポパイが追いかけるのですが、ここで『ブリット』をも超えるカーチェイスが繰り広げられます。NYの地下鉄(高架線路)の高架下の道路を猛スピードで逃走するヒットマンの車を追いかけるポパイの車によるカーチェイスのシークエンスはまさにこの映画の中盤の盛り上がりどころです。


 今のカースタントなら複雑な仕込みをしそうですがドキュメンタリータッチで荒々しい画面と本当に交通規制をあまり敷いてない(今なら違法行為になってしまうかも。コンサルタントとしてモデルの刑事、イーガンとグロッソが関わっていたからこそ出来たとも聞いています。)中で行われた一発勝負のシーンです。ちなみにカースタントのドライバー、ビル・ヒックマンはマックイーンの『ブリット』でもダッチ・チャージャーの運転手役を務めた人物で2本ものカーチェイスシーンに関わっています。ドキュメンタリータッチでオールロケで撮影されたこの映画は『ダーティハリー』と同年に公開され、アカデミー賞を受賞(主演男優賞、作品賞、監督賞など5部門)しました。リアルなタッチの刑事モノ映画の先鞭をつけたとも言えるでしょう。監督はウィリアム・フリードキン。『エクソシスト』や『クルージング』などが有名ですが、この『フレンチコネクション』が彼の出世作となりました。


 この作品はヒットにより続編の2が出来ましたがそちらは完全なるフィクションとなりポパイがフレンチコネクションを完全に壊滅させるという筋立て。そちらの監督はアクション系を得意とし1作目のようなドキュメンタリータッチで鳴らしたジョン・フランケンハイマー。筋が大風呂敷を敷いていますがそこはフランケンハイマー、フランスというアメリカと違うアウェーでの緊張感やポパイが酷い目に合う部分など見せ場も作った続編となっています。そちらもおすすめです。

リンク:[映画]フレンチ・コネクションを映画館で上映しよう! | ドリパス

ソース|フレンチ・コネクション - Wikipedia

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『レッドブル』

 『48時間』『ウォリアーズ』のウォルター・ヒルによるバディムービーです。『48時間』では刑事と囚人を組ませましたが、今回のバディはなんとソビエト連邦から来た刑事だった!という映画です。当時はゴルバチョフ書記長によるペレストロイカで融和ムードもあって、赤の広場での撮影が許可されたり、何かと話題に事欠かない印象がありますが、やはりtonbori堂が気になるのはこの映画のために作られた架空の拳銃、ポドヴィリンです。シュワルツェネッガー演じるイワン・ダンコーが使用するソビエト連邦で最大かつ最強で世界一の威力を誇る…ってことになっている拳銃です。これクライマックスでダンコーが『ダーティハリー』のM29を使うところでもそう言ってたように思います(笑)

 ポドヴィリンについては以前にアップした『映像に出てきた変わり種銃』 というエントリでもちょっと書いていますが、他にもアメリカに逃亡するグルジアマフィアのビクターが袖口から小型拳銃(ハイスタンダード・デリンジャーの改造銃)が飛び出す仕掛け(『タクシードライバー』のトラヴィスのと同じ仕掛けです)を装着するなどちょいちょい珍しいのを挟んできてGunマニア的に美味しい映画でした。


 助演でシュワルツェネッガーの相棒役になるアメリカのシカゴ市警の刑事リジック役にはジェームズ・ベルーシ。兄は『ブルース・ブラザーズ』のジョン・ベルーシ。顔似ています(笑)如何にもアメリカの刑事っていう体で終始仏頂面のシュワルツェネッガーとはいいコンビ感を醸しだしていました。ジェームズ・ベルーシはマイケル・マンの強盗映画『ザ・クラッカー』にも主人公役のジェームズ・カーンの仲間として出演していました。リジックはアメリカンらしくM629の2.5インチ銃身を使っていました。銃身の短いスナブノーズというタイプの拳銃ですが.44マグナムのステンレススチール版であるM629ですので大きい事には変わりません。でも銃身の長い銃よりジェームズ演じるリジックらしさが表現されているいいチョイスでした。


 ウォルター・ヒルの『48時間』を相方をロシアの刑事にしてみましたな感じですが、ダーティハリーへのオマージュもあり、シュワルツェネッガーにぴったりなキャラクターで楽しめる1本です。

リンク:[映画]シュワルツェネッガー/レッドブルを映画館で上映しよう! | ドリパス

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『サボタージュ』

 さらにアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画をもう1本。これはかなりの異色作品です。監督は『スーサイド・スクワッド』のデヴィッド・エアーの手による、麻薬捜査官が主人公の映画です。凄腕の麻薬捜査官チームが麻薬組織のカネを強奪。チームメンバーで山分けしようとするのですが、隠した金が消え、さらには内務調査室には消えた金の行方を追究され任務を解かれて謹慎命令が。ようやくチームを再始動させようとしたときにチームメイトの一人が殺され、捜査に当たる地元警察のキャロラインから何かを隠していると目を付けられるリーダーのジョン・ウォートン(アーノルド・シュワルツェネッガー)でしたが、チームメイトと共に独自に犯人を追いかけます。しかし一人、また一人と殺されていき次第にチームメイト同士が疑心暗鬼になっていきます。いったい殺人犯の目的は?消えた金の行方は?という映画です。あまり評価が高くない映画なんですが、いきなり麻薬カルテルのアジトに踏み込み激しい銃撃戦が展開されるなどエアーの作風がよく出ている映画です。


 実はこの映画はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を下敷きにはしています。まず言われないと分からないレベルですが一人、また一人とチームがいなくなる。誰が犯人か分からない。そこだけがインスパイアされてる感じなのです。まあ豆知識として知っていてもいいかもしれないけれど最後に残った者の意図が分かるまで緊張感のある作品です。刑事モノというよりは特捜チームモノ、しかもって感じですがちょっと毛色の変わったのもと思いチョイスしてみました。くせ者ぞろいのチームが崩壊していく様はサスペンスじみていましたね。

リンク:[映画]サボタージュを映画館で上映しよう! | ドリパス

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最後に

 今回もまた5本をご紹介しました。次回以降も5本づつのスタイルでご紹介したいと思いますが、1年に100本以上も観てる人と比べるとそれほどの蓄積ございませんので、細く長くやりたいと思っています。今回は昨今の刑事映画の少なさから刑事モノをチョイスしましたが、アクション、パニック、戦争映画などなどをチョイス出来ていければいいなと思っています。何卒皆さまよしなに。

前回エントリ|tonbori堂「ドリパスから一掴み」刑事映画5選

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