復讐するは我にあり。『イコライザー2』|感想【ネタバレ注意!】-Web-tonbori堂アネックス

復讐するは我にあり。『イコライザー2』|感想【ネタバレ注意!】

2018年11月8日木曜日

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 現在シネコンで公開中の『イコライザー』の続編、『イコライザー2』。正義の世直し人として活動を始めたマッコールのその後を描いています。彼は以前のホームセンターは辞め、リフトという配車アプリで人の送迎する仕事をしています。昔ならタクシードライバーなんでしょうがUberのような配車アプリでというのは今の話であるという感じをさせます。そこで乗せた人の難儀などを私的に解決する自警活動を行っているのです。こういった自警活動(ヴィジランテ)といい暴走する危険性もしばしば指摘されることもありますが、マッコールはCIAの工作員として権力の汚い部分を見てきたからこそ、暴力によって泣いている人を自分が持つ暴力で救済していくのが贖罪にもつながっている。そんな風に感じました。ではストーリーから紐解いていくことにします。

※ストーリーは結構ネタバレしていますので、お気をつけてください。また感想もそこそこネタバレしておりますのでそこを鑑みた上でお読みください<(_ _)>

動画はYouTubeより|映画『イコライザー2』予告|SonyPicturesJapan

ストーリー

プロローグ

 トルコへ向かう特急電車。そこの食堂車にたむろしている4人の男たち。そこに現れた一人の黒人。髭を生やしてはいるが男はマッコールだ。もう終業だというウェイターにたむろしている男たちのリーダー格が、マッコールが注文した湯をだしてやれと告げる。男に英語で礼を言うマッコール。男はトルコには来た事があるのかと聞いてきた。マッコールは過去に来たことがあると答えた。そして今回は探し物を探しに来た。探し物はアメリカで生まれた少女、しかし夫と妻は諍いを起こし、男は妻を罰するためだけに娘を国外に違法かつ強引に連れ出したという。男は仲間に合図を送るがマッコールは立ち向かってくる男たちを瞬時に倒し、改めて男に問う。ここで引き返すか、それとも…

 少女は無事にアメリカの母親の元に。彼女の弁護士がどうやってかは分からないが気が付いたら戻っていたと告げる。


 マッコールは、マサチューセッツ州に移り住み、そこでリフトという配車サービスアプリを使って暮らしていた。近くの老人介護施設のサムには特に気にいられている。ユダヤ人として欧州に住んでいたものの収容所に送られ、姉と別れ離れになってしまい、その繋がりを示す唯一の品物である姉を描いた絵画を取り戻すのが彼の願いだ。マッコールはいろんな人を乗せる。面接に行く人。試験に合格した人、様々な人々の喜怒哀楽を見てきた。今日のお客は高級マンションから出てきた男性と若い女性。マッコールの車に女性を乗せると家まで頼むと、そわそわした状態で頼む男性。訝しむマッコールは女性の様子から彼女が乱暴されたことを悟る。彼女を病院に送り届けた後、マンションの一室に向かったマッコールは何時もは選択肢を選ばせるが今回はそれは無しでマンションにいた男どもを叩きのめし、制裁を加えた上で警察に乱暴した事情を話せといい部屋を立ち去った。

戦友

 マッコールの住むアパートメントは新しくはないけれど暮らしやすいところで、アパートメントの前の花壇ではイスラム系住人のファティマが野菜やハーブを自家菜園として育てていた。しかし近所の悪ガキどもに荒らされ、壁には落書きが。マッコールは一人その壁の修復をするがそこに声をかけてきたのが母親と住んでいる青年マイルズだった。美術の専門学校に通っているというマイルズ。しかしまだ学校の時間ではないかというマッコールに自分に壁塗りをさせろ、アルバイト代として300ドルだとふっかける。マッコールは学校にいって放課後に250ドルならその話にのろうという。

 ある晩、部屋に侵入者が。侵入者はCIA時代の同僚であったスーザンだった。マッコールの妻の命日に合わせてやってきたのだった。彼はスーザンの心遣いに感謝し、タクシーが拾える場所まで彼女を送る。スーザンはCIAの職務としてブリュッセルで死んだ協力者の自殺案件の再捜査で現地にエージェントのデイブとともに向かう。さっそく見分をはじめるが、違和感を覚えたスーザンはこれは単純な自殺ではなく偽装ではないかと疑う。そのままホテルに戻った2人だがスーザンは侵入者に襲われて死亡してしまう。

 マッコールは夫で作家のブライアンからスーザンの死を知らされ弔問客がいなくなった後に話を聞き、過去の技術を使いブリュッセルの監視カメラにアクセス。事件を検証し始める。その結果。襲った暴漢はエレベーターに一緒に乗り込みスーザンの階をすでに押していたなどから、計画的犯行と断定、デイブと接触する。

 デイブとは過去に特殊工作員のチームを率いていた相棒だった。マッコールは自らが調べた情報を渡し、そして友であったスーザンを殺した者を絶対に逃さないと誓う。

嵐の中の対決。

 事件の進捗も気になるが、壁の塗り直しも気になるマッコール。マイルズはどう見てもヤクの売人らしい風体の人物と出かけて壁の仕上げを放置したままだ。見かねたマッコールは売人の巣窟で乗り込んでマイルズを連れ出す。なぜそこまでしてくれるのかと言うマイルズに対し「それを一緒に探しにいこう」と告げるマッコール。マイルズはマッコールの部屋の壁の補修をすることとなった。


 一方ある日リフトでの客を乗せたマッコール。男は子どもが待つ家に帰るため空港に向かってくれという。しかしきな臭いものを感じたマッコールはワザと道を逆に走った。しかし男は気が付かない。突然ナイフをひらめかせる、車内の中で激しくやりあう2人だがマッコールはまたもやあざやかに男を仕留めた。男の持ち物である携帯は複雑で高度な暗号が施されていた。そんなことが出来るところは限られている。デイブの家に現れたマッコール。この暗号解読を解除するのに手を貸してほしいといい、ある番号に発信する。


 鳴ったのはデイブの携帯だった。暗殺犯の首謀者はデイブだった。マッコールが自殺を装い姿を消してチームは解散。職にあぶれた残りのメンバーとともに裏の仕事を始めたのだった。ブリュッセルの仕事もそんな一つに過ぎなかったがCIAの協力者だった事から話がこじれ、他殺を気づかれそうになったのでスーザンを強盗に見せかけて殺したのであった。チームメンバーと再開したマッコールはスーザンの仇をとると宣言しその場を後にする。全てが露見するのを恐れたデイブたちはマッコールを殺すために完全武装で彼を追う。

 対決場所にマッコールが選んだのは妻の故郷で彼が住んでいた町だった。おりしもハリケーンが襲来人っ子一人もいない町でプロ同士の激突が始まる。最後に生き残るのはマッコールか?それともデイブたちか?


許されざる者

 今回はそんな感じです。ストーリーに似通ったところはありませんが…ただ古い馴染が殺され、その仇討をするという部分は似ているかなっていう。いや『イコライザー』の時もそうなんですけど死んだ目演技のワシントンを観ると、『許されざる者』のイーストウッドが演じたマニーを思い出すんですよね。性格もやる事も真逆なんですが、一点の共通点が。そう彼らは人殺しってことです。だからやるときはためらいがない。特に同族(相手もプロ)の場合はリミッターが外れる感じが凄く似ている。観ていてそう思いました。


 また今回のヴィランであるデイブとその仲間たちはマッコールの分身のような存在。多分軍隊時代から特殊部隊のユニットを組んでいたと思われます。つまり自らの半身が招いたスーザンの殺しの落とし前はは自らの手で決着を付けなければならない。「復讐するは我にあり」なわけです。だからこそ何時にもまして表情が無く相手を一人、また一人を確実に屠る様は鬼気迫るものがありました。しかもそれはなんの贖罪にもならないと知っているから。ただ過去を断ち切るために必要な儀式めいた感じもありましたね。


 そこに絡んでくるマイルズ。彼は基本的にはマッコールとデイブたちとの諍いに巻き込まれてしまった第3者なんですが、結果的に彼はマッコールをヒーローだと感じました。もしかするとそれにマッコールは救われたのかもしれない。だから前段にあった「一緒に探しにいこう」という台詞が効いてくる。そう思いました。

イコライザー3はあるのか?

 まあこのような映画はだいたいトリロジーということで3本で締めるのが理想的だとは思いますがヒット作となると3のあと4.0とかまあいろいろ作られちゃうわけですよね。ここはこれで締めてもいいと思っているんですが。実は今回、複線のラインにあったユダヤ人の老人のストーリーがきちんとカタはついたものの浮いている感じがしたんですよね。ここはアパートメントの人たちとマイルズとのエピソードに絞った方が良かったかもしれない。


 前回はほぼホームセンターの知り合いとダイナーで知り合ったアリーナとの関係からのロシアンマフィアだったんですが、今回はそのつながりが上手くいっていない感じがして少し印象がぼやけてしまった感は否めないと思います。もし作るとしたら今度は彼の妻の死はってことにフォーカスが当たるような気がします。病気か事故かなと思っていたんですが病気で無ければ事故…となればがぜん殺されたというのがこの手の作品のセオリーです。


 『リーサルウェポン』シリーズでもそうでしたし、あり得る話です。ただそうなると私怨を晴らすマッコールになっちゃうから、巻き込まれた人を苦しめる連中が実はというパターン?ではないかなと妄想しています。そうそう作れるとは思わないんですがちょっとだけ期待したいですね。普通のおじさんが急に死んだ目になってそこにいる連中をなぎ倒すってのは、元から肉体派スターでない人がやると凄く意外性があって面白いので。


※ちなみにタイトルと文中で使った「復讐するは我にあり」は誤用ですのでお気を付けください。ただこの映画、これまでにも多く作られた西部劇の系譜にも連なっており、マッコールがペイルライダーと考えれば、この言葉は真の『復讐するは我にあり』になるとも言えなくもないのです。実際フークア監督とデンゼル・ワシントンは『マグニフィニセント・セブン』で西部劇の系譜を体現していった訳ですからね。

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