トムさん、頑張る。|『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

トムさん、頑張る。|『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』【ネタバレ】

2018年8月14日火曜日

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 トムさん、頑張ってます。ロンドンでビルからビルへ、リュック・ベッソンが持ち込んだ?バルクール流行の中、ああ言う重力を感じさせないアクションではなく重力を感じさせる走り。


動画はYouTubeより|『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』本予告
|パラマウント・ピクチャーズ(日本版)

 そして街中で、自らノーヘルでバイクを操り、対向車がいる中、パリの市街地を逆走する超絶スタント。そして潜入するために高高度降下低高度開傘、いわゆるHALOをこれまた自らやってのけ、極めつけは自ら操縦するヘリでのスタント。これまでの映画ならばヘリはスタントパイロットが操縦、役者は今ならCG合成とか、スタジオでブルーバック合成が基本のご時世に、リアリティの極致にいたったトム・クルーズの面目躍如です。決して無双ではないけど結果無双感のある、まさにトム・クルーズの独壇場。でも脇のお役もしっかり立たせるこれぞトム・クルーズ劇場ってなもんです。

※作品に関することを書いていますので鑑賞後にお読みになる事を推奨いたします。

フォールアウト/STORY

 今回のイーサン(トム・クルーズ)の任務は、前回の『ローグ・ネイション』で壊滅させたシンジケートの残党がアポストル(神の使徒)を名乗り、各地でテロを繰り返していた。天然痘ウイルスを拡散させたりなどを起こした彼らは過激思想を持つ核物理学者デルブルックと接触、持ち運び出来る核爆弾を開発。その爆弾を爆発させるためのプルトニウムを手に入れようとしていた。それの阻止と組織の壊滅である。


 早速ベルリンでロシアマフィアが闇で手に入れたプルトニウムを取引の形で回収しようとしたが、取引現場を何者かが襲撃、仲間のルーサー(ヴィング・レイムス)が人質にとられ彼の命を救うため一瞬の隙が出来てしまった。プルトニウムは襲撃者たちに奪われてしまう。数少ない手がかりから組織の中核である「ジョン・ラーク」という人物がホワイト・ウィドウというバイヤーを通じてプルトニウムを手に入れるという事だけが分かった。そのホワイト・ウィドウと接触しラークとすり替わりプルトニウムを手に入れる作戦を立案したがベルリンでの失敗を重く見た米政府がCIAをお目付け役に派遣。CIAのスローン長官(アンジェラ・バセット)が連れてきたのは敏腕でならしたオーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)。シンジケート残党狩りで相手を殲滅するほど苛烈な人物だ。


 ホワイト・ウィドウに接触するためパリに潜入する2人はラークと思しき人物を捕らえ変装用マスクを作ろうとするが失敗、逆襲されるがその危機を救ったのはシンジケートに潜入していた元MI6のイルサ(レベッカ・ファーガソン)だった。イルサはイーサンに手を引けと忠告するが、イーサンは一か八か、ホワイト・ウィドウと接触を試みる。なんとかホワイト・ウィドウと接触したもののプルトニウムを手にするにはある男と交換と言われる。それはシンジケートのリーダーでイーサンが捕らえたソロモン・レーン(ショーン・ハリス)だった。ソロモン奪還をOKしたイーサンが実は謎の男ラークではないかと疑うウォーカー。


 そして奪還作戦が決行されるがイーサンは手順を無視ししてソロモンを仲間のベンジーとルーサーに回収させ自分たちは別ルートで脱出。しかしソロモン抹殺を任務とするイルサがそこに立ちふさがる。CIAからはラークではないかと疑われ、捕らえたソロモンはお前のせいでお前の周りの人たちが死ぬことになると嘯かれ、次第に四面楚歌になっていくイーサンたち。しかも魔の手はイーサンの妻だったジュリア(ミシェル・モナハン)の元にも忍びよっていた。ラークはいったい誰なのか?プルトニウムを奪還しテロを防ぐことが出来るのか?イーサンの決死の戦いが始まる。

イーサンはスパイではない

 イーサン・ハントはもうスーパーヒーローですよね。劇中のジュリアの台詞ですけれど、「あなたがいるから、夜ぐっすりと眠れる」まあこれ前後の台詞と合わせると切ない場面ではあるんですが(それはスクリーンでご確認ください)。またIMF長官ハンリー(ウィリアム・ボールドウィン)にも冒頭で人質にとられたルーサーを助ける甘さを咎められつつも、そういう君だからIMF長官を引き受けたとも。そう目の前の一人も助けるし、数億もの人間も助ける。欲張りヒーロー、それがイーサン・ハントです。


 実際のスパイは、付帯被害(コラテラルダメージ)や仲間でも任務のためなら切り捨てる非情さがありますが、この作品はアクション映画です。ジャンルとしては「スパイ」アクション映画ですがアクション映画は主人公はヒーローですから目の前の命も助けちゃうし敵もぶっちめる訳です。当然次への引きも残しておく(ヲイヲイ)パーフェクトな仕事ぶりだったと思います。いや実際、例の骨折シーン以外もジャッキー・チェン張りに身体を張ってるわけですよ。ジャッキーも大概ヤバいなと思っていましたがトムもここ数年のヤバさは比じゃなくなってきましたね。しかも窓から飛び降りるシーンではオフィスの皆が呆然としていた中、一人だけおばあちゃんが頷てるのなんか完全にジャッキー映画の作法ですよ。これ。しかもその間に『バリー・シール』や『ザ・マミー』この後には『トップガン』続編がと、ともかく突っ走っているトム・クルーズ、現在57歳。還暦前でこの動き。正直実はサイボーグ?とか少し思いました(笑)

シナリオなしの即興撮影

 シナリオなしで撮影とは?と、香港映画みたいにパクられるから突然変更とか金庫に脚本入れて当日だすとか、そこまでのものではないとは思うんですがシリーズ監督としては初の続投となったクリストファー・マッカリーのインタビュー記事を読むとそういう事を書いてる記事がいっぱい出てきます。それには理由があったようです。

ソース|クリストファー・マッカリーが語る、『M:I』の醍醐味 「ストーリーの中でアクションが生まれる」|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 こちらの記事ではアクションを産み出すためにはストーリーの中で必然性が必要であると。確かにラストへの流れとして頭にイーサンが見る夢は非常に効果的でした。そうならないようにイーサンが今回も粉骨砕身するという必然性が産まれてくる。とは言え、走り出したストーリーの展開のためのアクションがトムのアイデアで膨らんでいくので、いやそこは何故そうなるのだ?とかストーリーのためのするためのアクションとの整合性がとれなくなっている部分も確かにあります。疾走感あるから流しているし、トムが頑張ってるからというのがあっても、いや何故そこに行くとか、何故そうするとか。それは簡単、見栄えがするからというのが否めないですよね。ストーリー至上主義には、そういう誤謬が最小限にとどめられていないし、勢いに任せすぎと取られても仕方がないかなと思います。


 一方で香港映画のような、というかジャッキー映画のようなアクションのつるべ打ちにしびれるという部分では娯楽映画、スーパーヒーロー映画として、きっちり悩み、決断し、とにかく前に進むイーサンという軸はぶれていない。(行動は時にブレブレですけど)そこで『ミッション:インポッシブル』の芯は外れてないと思います。

この先の『ミッション:インポッシブル』

 ベンジー(サイモン・ペッグ)が無くてはならないキャラになってきたのでマッカリーが次作も撮るなら、さらなるショッキングを演出するために…いやあまり考えたくはないですけれど演出家は時に作品を前に進めるためにカンフル剤としてそういう事をしがちです。『アベンジャーズ』2作品の監督ジョス・ウェドンはコールソンとクイック・シルバーを作中で死なせました。イーサンは主人公でヒーローです。ヒーローが死ぬ映画もありますけども(『スーパーマンvsバットマン ジャスティスの誕生』はそうでしたけどね、ああウォーカー役カヴィルがスーパーマンでした。)この映画は基本的にイーサンが世界を救う話なのでそういう方向にはなりません。


 彼が悩むことになっても(今回は色々迷いもありました)そういう結末を、見に来る人たちが望んでいない。だから割と周りのメンバーがという感じになりそうで、ブラント(ジェレミー・レナー)みたいに今回はスケジュールが合わなくて出ませんみたいな感じで合ったら戻ってきますみたいな感じなキャラは危ないかも。(実際今回危なかったそうです)

ソース|ジェレミー・レナー『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のカメオ出演を断っていた - シネマトゥデイ

 もっともルーサーとベンジーは何があってもって言ってるけど、それは今作だけですからね。いやルーサーだって本当にヤバい。まあそれを言うとイーサン以外全員ヤバいんですが…(ヲイヲイ)

アペンディックス【ネタバレ注意!】

 あ、そういえば最後にクリティカルな【ネタバレ】を。ヘリコプターでのシーン。ティーザー予告編でのトラックとあわや!のシーン…無かったんですよ。あれ凄く印象的だったんですけど完成品の中では確かにあそこカラー違うなってなるので削除されちゃったんでしょうね。でもちょっと残念です。他にもティーザーでは本編に無いシーンが幾つかあります。多分撮影しながら次の展開を考えていたからでしょう(笑)

動画はYouTubeより|『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』ティーザー予告
|パラマウント・ピクチャーズ(日本版)

 それとヘンリー・カヴィルが主演した『コードネーム U.N.C.L.E.』のオマージュとも思えるシーンがパリのチェイスシーンでありました。ちなみに『コードネーム U.N.C.L.E.』では最初トムがナポレオン・ソロにキャスティングされてたとか。そう思うとじわじわくるシーンでしたね。他の人にはなんてことはないシーンだったと思うんですが。

ソース|トム・クルーズ出演かなわず!『コードネーム U.N.C.L.E.』暴れすぎなメイキング映像 - シネマトゥデイ

 しかし次回作以降どれほどヤバい事になるのか今からトムさん、ご自愛くださいというしかありません。

※フォールアウトはプライムビデオでプライム特典。会員なら見放題です。

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