tonbori堂メカ語り|アーマードトルーパー(装甲騎兵ボトムズ)|#自分を作り上げたメカ4選 其の3-Web-tonbori堂アネックス

tonbori堂メカ語り|アーマードトルーパー(装甲騎兵ボトムズ)|#自分を作り上げたメカ4選 其の3

2018年8月29日水曜日

anime ROBOT SF

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 まいどのTwitterからの大喜利タグネタからの増加捕捉版エントリです(笑)今回は『装甲騎兵ボトムズ』に搭乗するアーマードトルーパーについて。

ソース|ハッシュタグ #自分を作り上げたメカ4選



tonbori堂のツイート。

 って既に別のエントリでATに関しては書いているんですよね(苦笑)その時はこんなエントリを書こうとは思ってなくて、ツイートしているときにアーマードトルーパーと書いたのも先にATのエントリを下書きし続けていたからなんですが、卵が先か鶏が先か?みたいな感じです。でも『装甲騎兵ボトムズ』のアーマードトルーパーって本当に特別なロボットなんですよね。

ATについてのエントリ|歩く棺桶「アーマードトルーパー」|tonbori堂アニメカ語り『装甲騎兵ボトムズ』|Web-tonbori堂アネックス


タカラトミー・アクティックギア|ATM-09STスコープドッグ|tonbori堂所蔵/撮影|(c)サンライズ
タカラトミー・アクティックギア|ATM-09STスコープドッグ|tonbori堂所蔵/撮影|(c)サンライズ

アーマードトルーパー

 ボトムズのメインメカ、アーマードトルーパー(AT)は一人乗りワンマンタンクと言うべき兵器なのは拙エントリで書いたんですけど、搭乗型のロボットが登場するロボットアニメ的にもここまで小さいのはかなり画期的ではないでしょうか。当時でもロボットの小型化の波と言うのは実はあってオーラバトラーは7メートル弱(レプラカーンとかズワァースなど後期はどんどん巨大化していきましたが)だったし、『特装機兵ドルバック』のキャリバーもジープが変形し8メートル強。『機動警察パトレイバー』のレイバーも幅はありますがほぼ10m弱の大きさだったよう記憶しています。とは言えアーマードトルーパー(AT)の4メートルは破格の小ささではないでしょうか。胴体部はほぼコクピットというまさに異形の兵器。メカマニアの血を騒がすサイズ感は他に例をみないといってもいいかもしれません。


 影響を受けたと思われる『コードギアス反逆のルルーシュ』の登場するKMFナイトメアフレームはサザーランドやグラスゴー、無頼などはAT感ありますけど、スザクの搭乗するランスロット、カレンの搭乗する紅蓮はヒーローメカとしての記号をもっています。(カラーリング、頭部、手足のポージングに武装などなど)ATはキリコの乗るスコープドッグに徹底的にそういったヒーローメカの記号を排除したからこそ今も残っている。そんな気がします。

ヒーローメカとしてのATは無いのか?

 ならヒーローメカとしてのATは無いのかというと、実はあるんですよ。例えばクメン編の最終局面から宇宙編、サンサ編でキリコの前に立ちはだかったPS(パーフェクト・ソルジャー)、イプシロンの搭乗機、ストライクドッグです。通常のスコープドッグを大型化し、武装を強化し、腕にはアイアンクロー、カメラターレットは固定式になり顔のように見えるように配置されたこのストライクドッグはヒーロー性があります。(左腕のクローはヴィランとしての役割もありますけれど)

樹想社/ボトムズ アーカイヴより/ストライクドッグとラビドリードッグ
樹想社/ボトムズ アーカイヴより/ストライクドッグとラビドリードッグ



 カラーリングはライバル機らしく青(ATH-14スナッピングタートルの時からイプシロン機は青に塗装されている。)というのもキャラがたっています。またその発展型ラビドリードッグを惑星サンサでの最終決戦でキリコが搭乗しました。それとOVA『ザ・ラスト・レッド・ショルダー』に登場した解散したはずのレッド・ショルダーの残存部隊が使用したH級ATブラッドサッカーは足のグライディング・ホイールに棘が付いていたり、シェイプされた胸部やマッシブになった脚部などヒロイックな記号が盛り込まれたATでした。

樹想社/ボトムズ アーカイヴより/ブラッドサッカー/下はブルーティッシュドッグ
樹想社/ボトムズ アーカイヴより/ブラッドサッカー/下はブルーティッシュドッグ




 これはどこかで聞いた話なんですけれどもブラッドサッカーは作品が終了したけれどデザイナーの大河原邦男が再度ATをデザインするにあたり前とは違う部分を入れようとしてそういうデザインになったとか。意図的にヒーロー性の無いロボットに今度はそれを入れてみる。作品にのりしろがあるから出来る事ですよね。そういえばキリコ最後のATであるラビドリードッグもストライクドッグの発展型として十分にヒーロー性のあるATだったように思います。もっとも最初からあのスタイルでそれが無しえたかと言えば、スコープドッグがあったからこそだとは思いますが。

H級アーマードトルーパーとクメン

 前回はほぼスコープドッグの話しかしていませんがH級ATもなかなか凄いものがあって、登場がウド編のラストエピソードでメルキアの空挺部隊とともに降下してきてパープルのスコープドッグがウドをグライディング・ホイールを響かせ街を駆け巡り蹂躙、スタンディングトータスはロケットランチャーで殲滅という凄いシーンが初出だったと思います。

tonbori堂所蔵品/タカラトミー アクティックギア/ダイビングビートル、スタンディングトータス




 しかも説明が全くなく出てきた訳ですけれどスコープドッグより大きくて手持ち武器も火力重視、火力支援型だなと分かる演出も良かったですね。そして続くクメン編では生存性を挙げるためと湿地帯の厳しい気候に対応するためコクピットにゆとりのあるH級が主に使用されている描写も良かった。そこで使用されているダイビングビートルも武骨ながらも半球型にカメラアイがセットされているという印象な「顔」をもっています。また湿地踏破用にかんじきのようなスワンピークラッグもまた、らしい装備です。展開装着するシーンがなくとも使用しているシーンが当たり前に出てくる。横のローラーだけでローラーダッシュできるのか?とかは感じさせない「らしさ」はボトムズ全編、メカニック全般に言えることでもあります。


 あと劇中では明らかにどちらが優劣かという描写はないんですがイプシロンが使用する機体はガンダムのシャアじゃないけれど通常機体よりも明らかにスピードが速い描写で、至極単純なんですがジャングルで火線だけの描写とか、ともかく雰囲気も良かった事をよく覚えていますね。


 ここで、キリコは何故かM級スコープドッグの湿地戦使用マーシィドッグを使用。周囲との差別化を図るんですよね。ここも結果的には良かったと思います。

ベルゼルガ

 このクメン編ではもう1機、ヒーロー属性をもったATが搭乗しています。H級でありながらスコープドッグの意匠もある、そして肩にマウントされた盾(シールド)には槍のような装備があります。まるで中世の騎士のような出で立ちのAT。


タカラトミー・アクティックギア|ATM-Q-64ベルゼルガ|tonbori堂所蔵/撮影も|(c)サンライズ
タカラトミー・アクティックギア|ATM-Q-64ベルゼルガ|tonbori堂所蔵/撮影も|(c)サンライズ

 これが後に『青の騎士ベルゼルガ物語』というスピンオフ小説を産みだすことになったAT、ATH-Q-64ベルゼルガです。ATHの後に続くQはクエントという意味で、ここでクエント人が初めて登場するのですが、ボトムズと言う物語に深くかかわる事になるクエント人もこの時は、クエント星に住む人種は他の星に渡り傭兵として戦う慣習があるというだけの簡単なものでした。身体的特徴として普通の人間より大きなサイズであるためにM級のATに搭乗することが大変なため(M級のコクピットを改装すれば乗れない事は無い)H級に搭乗しているというのもビジュアルを見れば一目瞭然で良かったですね。

 またコクピットで装着するゴーグルもなんとも民族性のあるような「っぽい」感じのゴーグルヘッドセットではなくヘルメットというのも雰囲気を出しています。このベルゼルガは最近では皆さんお馴染みの語句でもあり狂戦士バーサーカーを指す言葉はよく知られていますが、というかこれが伏線になっていようとはこの時は思ってもみませんでしたが、クエント人が使うという設定と傭兵、そしてそれぞれがカスタマイズされているという設定から番組終了後スピンオフ小説が登場しました。それが『青の騎士ベルゼルガ物語』です。

『青の騎士ベルゼルガ物語』

 クメン編で出たベルゼルガの人気が爆発したのはこの作品があったからでしょう。元々はデュアルマガジンというタカラがダグラムの頃から発行したキャラモデル専門雑誌の連載でした。放送終了後に連載が始まったものの雑誌が休刊ということで突如最終回に。その後、朝日ソノラマで書き下ろしを含め刊行されたこの小説は一部で高い人気を誇り、原作者のはままさのりはその後『装甲騎兵ボトムズ』のOVA、『ビッグバトル』の脚本を担当する事になります。

青の騎士ベルゼルガ物語(ムック)/ホビージャパン刊/tonbori堂所蔵品
青の騎士ベルゼルガ物語(ムック)/ホビージャパン刊/tonbori堂所蔵品




 『青の騎士ベルゼルガ物語』は百年戦争が終結後、メルキアに戻った帰還兵ケインがバトリングをしているクエント人、シャ・バックと組み出場する事に。しかし謎の「黒き炎(シャドウ・フレア)」というAT乗りに挑戦され挑発にのったケインはシャ・バック止めるのも聞かず受けてしまいます。バトリングのリアルマッチ(なんでもありのほぼ殺し合い)に挑むも果たしてシャドウ・フレアの強さは尋常のものではなく一蹴されたうえシャ・バックは無残にも惨殺されてしまいケインも重傷を負います。そして傷が癒えた彼はシャ・バックの形見であるベルゼルガを駆り、シャドウ・フレアの居所をバトリングをしながら探しつつ放浪する事に。


 何時しか彼の青いベルゼルガを見て人は彼を青の騎士と呼ぶようになりました。そして宿敵シャドウ・フレアを追い求め今日もバトリングを戦うのです…。という割と初期に構想されたボトムズのストーリーを踏襲したバトリングをしながら宿敵を追い求めるというストーリー、途中で行きがかりで助けた少女がバララントのファッティ―を駆るバトリング選手となり再会したり、軍の怪しい男が出てきたり、元レッドショルダーが登場したりとかいろいろあるんですが、徐々に話のスケールがデカくなり、原典のボトムズをも凌駕するというと言い過ぎかもしれませんが、そもそもの世界観をも逸脱しかねない結果へと(苦笑)


 これは、はままさのりがBクラブというバンダイで執筆していたボトムズサイズのロボット兵器が登場する小説とリンクされてしまったもので3巻以降のメルキア騎士団の展開で登場してきたものです。この辺りになるとちょっと世界観が外れているかなと思うところもありますが、デュアルマガジンの展開をディテールアップした第1巻あたりは本当に繰り返し読んだものです。この『青の騎士』でベルゼルガ人気が異常に高くなったこともありました。ケインは最終的にメカデザイナー、藤田一巳がデザインしたベルゼルガの最終バージョンとも言うべきテスタロッサというATを超えたヒーローメカに登場する事になり、その前のストライクドッグをさらにマッシブにしたブルーバージョン・ゼルベリオス(これが今考えるとコードギアスのKMFっぽいのです。一周回って今そこにたどり着いた感があります。)なども人気が出ました。

 紆余曲折がありながらもデュアルマガジンでのシャドウ・フレアとの一騎打ちからその先を描いて4巻で完結した物語はあれはもうボトムズではないという人もいますが、ベルゼルガ人気を押し上げたストーリーとしては見逃せない作品です。

最後に

 まだまだAT話は出来るんですけれど(ヲイヲイ)今回はここまでとしたいと思います。ボトムズ・オデッセイとかメロウリンクはATを駆る話じゃないけれどこれまた味わい深い話でATは絡んでくるんですよね。ボトムズワールドは本当に奥深いのです。では次はとうとう4つめのヘビーメタルについて。これはファイブスター物語にも関わる『重戦機エルガイム』のロボットですが、どう書こうか思案中です。思い入れが強すぎて(笑)ではまた次回にて

参考文献:みのり書房『VOTOMS ODYSSEY』:徳間書店/ロマンアルバム『装甲騎兵ボトムズ』:樹想社刊『ボトムズバイブル―装甲騎兵ボトムズ 全記録集〈1〉』/ボトムズアーカイヴ―装甲騎兵ボトムズ 全記録集〈2〉:ホビージャパン刊『青の騎士ベルゼルガ物語 BLUE KNIGHT』:朝日ソノラマ刊『青の騎士ベルゼルガ物語※リンク先はAmazonです。

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