『スター・ウォーズ』のスピンオフシリーズ。オープニングタイトルロールの文章にあったデス・スターの弱点入手の際に数多くの犠牲があったという一文を映像化した『ローグ・ワン』に続く、スター・ウォーズシリーズ旧3部作のメインキャラの一人。ハン・ソロの若き日を描く『ハン・ソロ』が公開されました。銀河最速のポンコツ船であるミレニアム・ファルコン号を駆る密輸業者(スマグラー)、ハンはスター・ウォーズでも屈指の人気キャラであり、ハリソン・フォードの当たり役としても知られています。そんなハンはどういう経緯で雲の惑星ベスピンの領主、ランド・カルリジアン男爵からミレニアム・ファルコン号を巻き上げたのか?相棒チューバッカとは何時会ったのか?その辺りを彼の冒険の始まりと共に描いたのがこの作品です。
チェリーボーイ、ハンの大冒険
惑星タトゥーインで最初に我々の前に現れたハンは既に一端のアウトローでしたが、この作品ではその前の血気盛んで、まだ何者でもないハンの物語なので、彼はルークと同じ道をたどっているのかと感慨深くなりました。ハンの出身地である惑星コレリアは造船業が進んだ惑星で、銀河共和国時代から帝国になっても造船で成り立っている星です。重工業が発達している星ですが貧富の格差が激しく、アンダーグラウンドにはレディ・プロキシマという水棲のエイリアンが仕切る犯罪組織が幅を利かせており、ハンもその下働きをしていました。物語はそこから始まります。
惑星コレリア
ある取引に失敗したものの宇宙船の燃料であるコアクシウムをくすねたハンは同じ境遇のキーラとともにこの星を抜け出す事を企てる。しかしレディ・プロキシマの前に引き出され絶体絶命のピンチに陥るが機転を利かせてその場を逃れ、M-68ランドスピーダーで一路、宇宙港を目指す。コアクシウムを賄賂に宇宙船に乗る計画だ。
しかしすぐに追手がかかる。なんとか空港にもぐりこんだもののゲートを抜ける際にキーラがプロキシマの手下に捕まってしまい、ハンだけがその場を逃れる事に。他の星に脱出するために、帝国アカデミーに入ったはいいが、3年後、惑星ミンバンでマッド(泥)・トルーパーとして湿地帯での戦闘に参加していた。目指したパイロットではなく歩兵として明日をも知れぬ戦場を駆けずり回っているハンの前に現れたのは大尉の制服を着こんだベケットだった。
豪快で冷静、そしてその腕の立ちようから軍人ではないと見抜いたハンは自分も連れて行くように迫るが、脱走兵として帝国軍に引き渡され牢屋に放り込まれる。その牢屋には怪物がいて、放り込まれた兵士はたいていその怪物に殺されていたのだ。暗がりから出てきたその怪物は惑星キャッシークの住人であるウーキーだった。ウーキーの言葉が分かるハンは彼と結託し牢屋から逃亡。宇宙船ATホーラ―を強奪しようとしたベケットと合流しミンバンを後にする。
ベケット
ベケットはハンが睨んだとおりのアウトローだった。今度の大仕事で船が必要なため戦場に潜り込んでいたのだ。仲間は4本腕を持つベテランパイロットのリオ。ベケットとは長年組んでいる古女房役のヴァルだ。ヴァルは素人を引き込むのに反対だがリオはウーキーの馬鹿力は頼りになると助け船をだし、ベケットも人手は足りないということでハンとウーキー、名は「チューバッカ」と組むことにする。狙いは帝国軍の補給基地への装甲列車だ。目指す物はそのコンテナに搭載されてるコアクシウム。
しかしそのコアクシウムを狙っているのはベケットたちだけでは無かった。エンフィス・ネスト率いるクラウド=ライダーズも狙っていたのだ。乱戦になる中、リオがATホーラーに侵入したライダーの一人に撃たれ、ヴァルもドローンに囲まれ逃げ場が無くなりベケットを逃がすために橋を自分もろとも爆破した。コンテナはワイヤーで引き上げたが、山に激突するため止む無く切り離したものの、それは銀河でも知られた犯罪シンジケート、クリムゾン・ドーンのボス、ドライデン・ヴォスからの依頼だった。手を引けというベケットの忠告も聞かず、キーラを迎えに行くための宇宙船を手に入れるためベケットとともにドライデンへの談判に同行するハン。
クリムゾン・ドーン
クリムゾン・ドーンのボス、ドライデンは優雅な宇宙ヨットであちこちに現れる。既に近くに来ていたドライデンに会うためにかれの宇宙ヨット、ファースト・ライトに乗り込む3人。そこでハンはキーラと再会する。キーラはドライデンに救われてコレリアのシンジケートからクリムゾン・ドーンに入りドライデンの副官になっていた。コアクシウムが手に入らないことで一時は険悪なムードとなったがキーラの助け舟やベケットの口八丁にハンの調子の良さでコアクシウム精製前の原石を惑星ケッセルのスパイス鉱山から手に入れ、打ち捨てられ忘れられた古い精製所がある惑星サヴァリーンで引き渡す事でその場は収まった。
しかし信用されていないハン達にはキーラがお目付け役で同行する事になった。ケッセルは銀河一の難所であり決められた航路以外では遭難するほどの場所。そこへ素早く向かうには高速な船が必要だ。キーラはある引退した密輸業者に会いに行くことにする。男は今は引退してギャンブラーとして名を馳せているランド・カルリジアンだ。キーラの前でいいところを見せたいハンは船を賭けてのカードゲーム、サバックで勝負を挑むが狡猾なランドの前でいいところまでいったが最後に負けてしまう。しかしベケットからの分け前の話を聞き一口乗る事になった。ランドの相棒で航海士であるアストロメクドロイドとプロトコル・ドロイドを継ぎ足した自我を持つ(自称)L3も加わりケッセルへ向かう。
メイルシュトローム
ケッセルは銀河一の難所といわれるのはザ・モー、アッカディーズ・メイルストロームという難所が存在し、その他にもガス雲やブラックホールやアステロイドがあってまともに飛ぶことは不可能と言われていた。L3は全ての航路を把握しているが、それでも20パーセクの距離が一番安全かつ短いという。命知らずの航路、ケッセル・ランは銀河中の船乗りの目標でもあるが、未だ最短で飛んだものはいない。
ケッセルに到着した一行はスパイス鉱山を管理するパイク・シンジケートの目を盗んでコアクシウムの原石を奪取しようとするがL3の暴走で鉱山で暴動が発生。どさくさに紛れてなんとかコアクシウムの原石を手に入れるがL3がブラスターの銃撃で大破。その上ランドも腕に負傷を負ってしまう。ハンが代わりに操縦を担当するが眼前には帝国軍のスター・デストロイヤーが!無事にケッセル・ランを走破し無事にコアクシウムをドライデンに届けられるのか?ハン・ソロの大勝負が始まる。
ハン・ソロの誕生
まあベタに言えばハン・ソロの一代記ですよね。ケッセル・ランを12パーセクってのは第1作『STARWARS』いわゆる『エピソードⅣ新たなる希望』でタトゥイーンでの酒場でルークたちに言ってのけた台詞です。それがどれだけのものかは分からないけど、そういう難所を最短で飛んだという話は、もしかするとジャック・スパロウばりのハッタリかもしれないし、本当の事かもしれない。でも傲岸不遜な人物だなあと思いながらも、ヒーローに対して今風に言うならチョイ悪に憧れる、そんなアウトローだったわけです。
でもこの映画でのハンはまだ何者にもなっていない訳でまったくのビックマウスなだけの人物。(操縦技術だけはリオに褒められていたし、冒頭のスピーダーの操縦もかなりのものだったのでセンスはあったのでしょう。)そんなハンがいろんな人との出会いと別れを繰り返して成長するという筋立てになっていました。王道な筋立てですが…手放しでおおーすげー良かったとはならなかったんですよね。
ぬぬっとなった点
それは時系列的には最後の時間軸がエピソードⅣの10年前の話ということなんですが、その前の3年前からの話を経て今回のエピソードになっているという事のようです。その割には話がザクザク進み過ぎてえらく雑だなと思ったのがまず一点目。そして今回登場のキャラクターはみなすごく魅力的なんですが…描かれ方も凄くざっくり。もともとSTARWARSはそういう部分があるんですけれど、いやもっと掘り下げれるのにっていうのを何故か本編でやらない感というか。3点目、だから展開が読めちゃうんですよね。ああこれはこうなるな、ここはこうするだろうな…。ほぼそんな感じです。そこはサプライズ欲しいし(ちゃんとサプライズもありましたが)無ければもっと濃くっていうところかな。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』にはあるけど『ハン・ソロ』には無い、そんな感じでしょうか…。
ご機嫌な部分
でもご機嫌なところもあるんですよ。ウディ・ハレルソンが演じる強盗団のボス、ベケット。如何にもなアウトロー。ヨンドゥっぽい(ヲイ)こういう人、西部劇でよく出てきますよね。そう言えばイメージ的には『宝島』のシルバーって話を聞きましたけど納得です。めちゃくちゃシルバー感あります。だから途中でチューイとホロチェスやってましたけど「2手先、3手先を読むんだ」っていや読めすぎやんってなってしまいましたけどね(笑)それでもやっぱりああいう父親(良いところも悪いところも含めて)役は必要です。
一方で冷酷で残忍なドライデン・ヴォス。ヴィジョン(ジャービス)でもお馴染みポール・ベタニーがこれまた楽しそうにのびのびと演じているわけです。役者さんは悪役をやりたいとなることが多いそうですが、それはヒーローやヒロインよりも自由に出来るからだそうです。ベタニーもノリノリでしたね。なんでもベタニー大のSWファンで噂によるとロン・ハワードに直訴して掴んだとか。いい話ですよね(笑)
キーラ役、エミリア・クラーク。『ゲーム・オブ・スローンズ』でブレイクした女優さんなんだそうですがすみません『ゲーム・オブ・スローンズ』は未見なのです。ですが『ターミネーター:新起動/ジェニシス』にサラ・コナー役で出演していました。いい表情をする役者さんだし、よく動けるので是非M.C.Uにって違うか(苦笑)でもキーラの今後も凄く観てみたいし、どうなったんだろうってのはありますよね。
ランド・カルリジアンはチャイルディッシュ・ガンビーノとして『This Is America』で最近話題になったドナルド・グローヴァ―。凄くランドっぽかった(笑)ビリー・D・ウィリアムズのランドとは違うんだけどランドなんですよ。いやこれじゃ全然分からないな(^^;洒落者で、でも油断ならない人物で、でも情に厚いとこもあって、サバイバル能力に長けてる。はい全部やってます。もうばっちりです。ランドの相棒L3も最高な相棒で正直そうなっちゃうのかーっていうのは、その後を考えると納得できる部分もあるけど…まあそこはそれで(笑)
チューイとの出会いは良かったですね。どこで出てくるのかなと思ったらまさかの牢屋、しかもあの状況だったら『ジェダイの復讐帰還』のジャバ・ザ・ハットの屋敷の床下にいる怪物、ランコアとの死闘を思い出しますよ。でも聞こえてくる懐かしい声。うん、ここだけでご飯は2杯いけますね(笑)
そして真打、ハン。そういうアプローチで来たかと。それ自体には凄く好感が持てましたね。最初はチェリーでビックマウスで、でもいろいろ経験して最後はっていうのをオールデン・エアエンライクという俳優さん。これ以外の仕事知らないんだけど、よくぞこなしたと思います。キャストの面はほぼ全面的にご機嫌でした。
ちなみにクラウド・ライダーズの一員でエンフィス・ネストの副官で『ウィロー』やSTARWARSシリーズではイウォークも演じたワーウィック・デイヴィス。そしてレディ・プロキシマの声を『NCIS:LA』のヘティでお馴染みリンダ・ハントが当てています。ここもニヤリと出来るポイントですね。
ミレニアム・ファルコン号
銀河一速い、ポンコツがまだランドのものだったころ、レーザー機銃は1門だけだったり、先端部分にポッドがついてたりとかいろいろありましたけど…中がめっちゃ綺麗!ベスピンのクラウドシティーに合わせた感がありましたね。もうそこだけでニヤニヤできましたが、コクピットも新品の匂いが漂ってきそうな感じが最高でした。これだけでご飯がもう3杯はいけますね(笑)
果たして次回作は?
全米での興行成績が期待されたほどではなかった、といっても普通の映画ならヒットの水準ですがかかったお金に見合ったものや期待された成績では無かったという事で次のスピンオフ作品や、今後の作品はどうなるのかという部分が非常に不透明な雲行きになっているそうです。とは言えぬぬっと思ったところはあったけど最後に出てきた、あの男(『ファントムメナス』『STARWARS反乱者たち』や『クローン・ウォーズ』を観ている人ならああああ、あいつかーってなるあの人物)を出しといてってのもあるので、なんらかの続きは期待させてくれていますからね。次は凄く観たいんですけれど…それとともにSTARWARSってガンダムの宇宙世紀モノみたいな外伝を『ローグ・ワン』でしようとしたけれど、トーンが違うという事で撮り直したとか、この『ハン・ソロ』でも監督降板がありました。
この辺りはM.C.Uがそれぞれ独立したヒーローとしてカラーを作品ごとに確立しスタイルを変えてやってることと凄く対照的だなと思います。一度任せてカラーの違うSTARWARSを作ってみるのもいいかもしれません。実際『最後のジェダイ』は新しき酒は古い革袋ではなく新しい革袋にいれようとしていたじゃないですか。なら『ローグ・ワン』もギャレスで押し通してほしかったし、『ハン・ソロ』もフィル・ロードとクリス・ミラーでもと少し思ってしまいましたね…。でもジョシュ・トランク(彼も『ハン・ソロ』監督候補だったとか)の『ファンタスティック・フォー』の顛末になってしまってはそれはそれで悲しいし…難しいですね。出来上がっている世界は。
でも本来、新しきストーリーはいくらでも組み込める余裕のある世界だと思うんですよ。STARWARSのユニバースは。今後また唸らせる作品を作って欲しいと思います。ちなみに撮り直し云々あっても『ローグ・ワン』は最高でしたよ('◇')ゞエピソードⅣの前に観ると本当にグッときます。『ハン・ソロ』もそういうところあるので評判だけで二の足踏んでるSTARWARS好きにはおススメですよ('◇')ゞ
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