「金剛様はどこへ行く。」|『ファイブスター物語/FSS』考察|【ネタバレ注意】-Web-tonbori堂アネックス

「金剛様はどこへ行く。」|『ファイブスター物語/FSS』考察|【ネタバレ注意】

2018年5月22日火曜日

FSS manga

X f B! P L

 ダイヤモンドは地球上では天然素材として一番硬い物質です。故に金剛石とも言われます。そのダイヤ(ダイアモンド)の名を持つファイブスター物語/FSSの中でもシグナルボーダー10本線を持つガーランドであり騎士、ダイアモンド・ニュートラルは金剛様と、タイト・ネイブにそう呼ばれています。

|ファイブスター物語Ⅹ巻|永野護 著|KADOKAWA刊 |ダイアモンド・ニュートラル初登場回掲載巻
|ファイブスター物語Ⅹ巻|永野護 著|KADOKAWA刊
|ダイアモンド・ニュートラル初登場回掲載巻

 先ごろの連載の扉で、ミラージュ騎士団のクラックがどうやらダイアモンド・ニュートラルということで間違いないということが分かり、一部では落胆の声が聞かれました。実はこのtonbori堂もちょっとがっかりした一人です。ガーランド(当時はマイト)であり、騎士であり、ジョーカー太陽星団のあるクラウン銀河中心で、モナーク・セイクレッドの神秘に触れタイ・フォンからこの世界の秘密を知った男でもある彼が何故、天照の下にいったのか?その辺りを考察してみたいと思います。

全てを持つ人物/ダイアモンド・ニュートラル

 金剛様はカーマントーの貧しい移民労働者夫婦の間に生まれたのですが、移民船がファンタスマゴリアで事故に合い、そこでダブル・マイト(当時、現在はガーランド)でありながら騎士であるという特殊な血を持つことからモナーク・セイクレッドにより選ばれ?たと紹介されています。そこでバランシェの母であるアルセニック・バランスのファティマ、タイ・フォンが彼を救い、そこでこの宇宙の理を知ったとの事。そしてそこでアース・ドラゴン(マグマ・バイブレーション)がその精神を預かっていたファティマ・クーンをニュートラルに差し向け共に星団の帰還しました。(但しクーンをセントリーの因子をもつクーンと普通のファティマであるクーンに分けたのはセントリー・ライブとXIII巻ではなっています。)


 そして設定がまだモーターヘッド時代の時には売り出し中のMHマイトとしてジュノーのベルリンの改修から新規のMHベルリンSR.2やメヨーヨの国家MHであるアシュラ・テンプルを設計。そしてまだ幼いタイト・ネイブがフロート・テンプルにおいてブラッド・テンプルの売り込みに成功したとあります。(アシュラも同じくタイト・ネイブが同道しクラーケンベールと会っているとか)既に星団では知る人ぞ知る、注目の人物だったようです。その学究心の高さから自らの男性器を切除し、性欲をそちらの探求欲に振り向けています。そのため星団から「中性」を認められています。と、まあ物語で紹介されている部分だけを書き抜いてみても、神様、バーサーカー、超絶忍者や剣豪がひしめいているこのファイブスター物語の中でも人間側では例の見ないキャラクターです。


 剣聖は騎士能力がチートですが、金剛様は、元の性別は男性なれど、女性的な部分を持ち(まあそういうキャラは他にゼロではないのですが殆どのキャラは性差がはっきりしています。)その上、騎士であり、マイト(ガーランド)であり、モーターヘッド(ゴティックメード)もファティマも製造できるというスーパーヒューマン。ガーランドは5本線のシグナルボーダー(その人を示す記章)ですが10本線のシグナルボーダーを持つというのも金剛様のチートっぷりを表しています。ゲームで言えば最初からHPがレベルキャップ開放状態で全アビリティが使用できるみたいな(笑)そんな金剛様はこのような台詞を言っています。

『~しかし 私を含め ジョーカーの 人々が光の神である天照に戦いを挑むならば ゲームの始まりと終わりの日を見てみたい 次の時代 その次の時代 そしてさらに先のの時代の騎士たちに私は協力し オアシスとなろう 人間の意地と誇りをかけて~』
ファイブスター物語Ⅹ巻P173ダイアモンド・ニュートラルの台詞|永野護著|KADOKAWA刊

 これは第5話『ザ・シバレース』の途中に挟み込まれた第8話『モナーク・セイクレッド』のプロローグで、LEDミラージュ、そしてJ型駆逐兵器がデルタ・ベルンでお披露目された中継を観ていたニュートラル博士が発した台詞です。これから考えるとミラージュ騎士ではなく在野の騎士、マイト(ガーランド)としてダイアモンド・ニュートラルは天照の3159大侵攻後(第8話『モナーク・セイクレッド』は3159のストーリーです)天照に抗う人々のよすがになるんではないのかと。


 ですが、あの対訳表を見ると、どちらかと言えばその大侵攻の手助けになるGTMを作るのではないのかとそう取れるわけです。(ジャグワ・フレームの3騎のGTMは3020年には未だ製作されていないと記述があります)またクラックはミラージュ騎士という設定は以前からあり、名前、キャラ、設定がシャフトや他の騎士のものになったものの、生殖器を取った、中性としての人物というキャラ設定がダイアモンド・ニュートラルという人物として創造されたという記事が以前にあったそうです。(F.S.Sコミュニティで教えていただきましたが、元ネタ記事が発掘できず)何故人々の寄る辺になるとまでいったダイアモンド・ニュートラルがクラックとして、天照と一緒にいることになったのか?そこにはもしかすると詩女様が関係しているのかもしれません。


 あと、これは余談ではありますが、自ら設計したアシュラが星団3大モータヘッドである破裂の人形に手もなく敗れたことと、ブラッド・テンプルがカステポーでのシーブルとA.K.Dのドラゴン幼生争奪戦(A.K.D側は光皇救出作戦)でヴァイ・オ・ラに手もなく敗れたことはショックだったようで、暁姫、彗王丸、雷丸はそこから設計されたんだとか。ですがGTM設定改変により雷丸はツバンツヒが持ち込んだMk2リッタージェットが、ログナーのものになったためその設定も宙に浮いています。そのため対比表で確認できるのはB4型暁姫のみ。ただパワーバランス表ではジャコーの乗騎はブリンガーB3彗王丸となっているので、そちらもジャグワ・フレームのGTMである可能性は高いかと思われます。

全てを知る詩女

 実は、GTM改変前のアトールの巫女、アトール聖導王朝設定時代から、薄々そういう流れが実はあったのですが、『花の詩女 ゴティックメード』後に神と対峙する「人間」たちを見守るのは完全に詩女の役割となったんではないかというのがtonbori堂の考察です。X巻の年表にもアトール聖導王朝は大侵攻でも自治権を残されたとありますし、(この記述は最初は無かった)この辺りの記述の追加は確か第4話トラフィックスのエピソードが始まってからだと思います。この頃はまだ物語が進んでいなかったこともあり、また年表の整合性などもまだ上手くなっていなかったため、シナリオの進み具合に合わせて徐々に年表の修正が入っていったのではないかと考えています。


 そもそも連載当初のトイズプレスから出ているキャラクターズ1「ミラージュ」ではミラージュ騎士の入退団時期が全然違いますから連載当初から3巻までの間は多分混乱していたのではないかと。トラフィックス前後に猛烈にシナリオを書き溜めてストーリーを作ったという話も確かあったように思いますが、その辺りで実は一度、読者が知らぬうちに(年表等で気が付いた聡い人もいるかもしれないけれど)リブートされているのかもしれません。そしてダイアモンド・ニュートラルがあの台詞を放った後で(彼はタイ・フォンに命を救われモナーク・セイクレッドを知りました。ですがナ・イ・ンもまたそれを知っているのです)多分、マグダルに謁見するのではないでしょうか。その時に、彼の言った事は全て詩女が引き受ける事になると。その内容は天照の傍で、人としてこの全てを見届けて欲しい。そういう託宣を受けたのではないのだろうか…ちょっと考えすぎでしょうか。ただ、たんにラキと天照のノリツッコミが良すぎて取り込まれてしまった…まあそっちの方がありそうだな(ヲイヲイ)


 真相は前者でも後者でもない第3の選択、ガーランドとして天照の魅力に取りつかれた…ツバンツヒ姐さんがそうですね。実はⅩ巻のスリーブノート(エピローグ)でもタイト・ネイブのミラージュ入団の話で最大の研究対象って言ってるんですよ。だからそっちかもしれませんし、予想を裏切る事に魂かけてるクリスの事、もっと凄いことを考えているかも。それは…実はクラック…ミラージュ騎士にはならないとか?確かにこれまでのイラスト画稿にはタイト・ネイブとともに描かれたものはありますがミラージュ入団は無いという世界線になったことも十分にあり得ます。いやあるのかな?ただツバンツヒ姐さんのミラージュカバーネームである「スペック」と対比表に書いてあるうえでの、並んでの「クラック」だかならあ、入団はあると思うのですが…ともかくこちらがあんぐりしちゃうような事を含めてダイアモンド・ニュートラルがクラックとしてミラージュ騎士となるのか、はたまたそうではないのかはまだ先なれどどういう経緯があるのか?その時を待ちたいと思います。

追記20180611:

 クラックという名称に関して、ニュートラルをスタント遊星の不定期出現惑星バスターの出現時に救助したのがマウザー教授ということが判明し、マウザー教授の騎士名を貸し与えたとあります。そしてコーネラのデモール・ゾロの実戦試験のためのサポートに入るためマウザー教授もボルドックスの新型カンポデルシェロにてザームラント騎士団とともに戦場へ。ファティマはラ・ベルタ。ミラージュ騎士団レフトのティンことクー・ファン・シーマ王子のファティマでしたが彼がアイシャに敗れて自死後、なんとマウザー教授のパートナーになっていたようです。


 そして2005年に発行されたファイブスター物語2巻2005エディションにはベルタはワスペン・ナンダ・クラックのパートナーとなりザームラント傭兵騎士団いるという記述もあり、その後ミラージュ騎士団に出戻ると…。ってことはマウザー教授?ますます分からなくなりました(笑)スペックことツバンツヒ姐さんとの対決?もあるそうなので今後の展開待ちですが…。それはそれで面白いのでOKだと思います(笑)

追記20210421:クラック≠ダイアモンド

 今さならなんですが本編のショウメ争奪戦やクロスジャマーにてクラックはそのままマウザー教授ですというアナウンスがされています。とは言えレフトナンバーとして「自由すぎる」ミラージュ騎士として、そしてラキシス姫の騎士として暴れてくれそうなんですが…。今後の大侵攻を睨み、またスタント遊星攻防戦の展開でいろいろ動きがありそうなキャラクターであり「名前」になりそうな予感がします。

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