俺ら銀河のルーザーズ|『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』【ネタバレ】M.C.U再見Vol.10-Web-tonbori堂アネックス

俺ら銀河のルーザーズ|『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』【ネタバレ】M.C.U再見Vol.10

2018年3月8日木曜日

MARVEL movie SF

X f B! P L

 『ブラックパンサー』が公開されたし4月末には『アベンジャーズ/インフィニティウォー』ということで、久しぶりのM.C.U再見シリーズ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』です。正直ディズニー傘下という意味ではルーカスフィルムもそうなんですが『STARWARS:フォースの覚醒』にそんなにのれていない(ですがローグ・ワンはめっちゃ上がりました。これはまた機会を見てエントリを書きたいと思います。)tonbori堂ですが、マーベルがM.C.Uでスペースオペラって大丈夫なん?出来るん?と思ったら、いきなりガツーンとかまされてしまったという作品でした(笑)

動画はyoutubeより|Marvel's Guardians of the Galaxy - Trailer 1 (OFFICIAL)|Marvel Entertainment

OPが良い映画は傑作の印

 ともかくOPからいきなりちょっと過去の地球、そして別の荒廃し荒れ果てた惑星へ、つかわれた楽曲といい一気に持って行かれました。過去にもリミックス公開前にエントリを上げていますが、地球から宇宙へ。音楽がシームレスに繋いでくれたのは、タランティーノ監督が過去のヒットナンバーやマイナーナンバーを劇中に大胆にリミックスすることにより、映画をさらに豊かにする方法を産みだしたからだと思うのですが、ジェームズ・ガンもその手法を上手く取り入れさらに進化させていると思います。


 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はヒーローチームとしてはマーベル・コミックスでもマイナーでマーベルのスタッフでさえもそれほど知名度の高いメンバーではないというのは今となっては有名な話ですが、マーベルのファンでも知らない人が多かったこのキャラクターたちを映画化するという英断を下したマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ(フェイグ)。その監督を引き受けたジェームズ・ガン。しかし『アイアンマン』でのローンチを成功させたように、またまたファイギはこの賭けに勝ったと言えるでしょう。それほどこの映画の功績は大きいと思います。

ストーリー

※ほぼ結末前まで書いております。ご注意ください。

ピーター、宇宙へ行く。

 ピーター・クィルは病室の前で母からもらったお気に入りのテープを聴いていました。ピーターの母親は末期のガンに侵され余命いくばくもなく、ピーターはそんなつらい現実から逃げるように音楽に没頭していたのですが、祖父が病室にピーターも招き入れます。ベッドに眠っている母はやせ細り今にもこと切れそうですがピーターに優しく語り掛けます。おじいちゃんのいう事を聞いていい子にしているのよと最後のプレゼントと手紙を渡してくれます。そして残った力を振り絞って『手を握って』と言いますが母と別れるのが嫌なピーターは手を握るとそれが最後になるのがいやで拒否します。が、母はそのままこと切れてしまいます。必死で母親にすがりつくピーターをおじいちゃんは引き離し病室の外へ。何故手を握らなかったのか?そして今母が死んだという事実にピーターはたまらず病院の外に飛び出しますがそこに何かが浮かんでいました。そしてその物体はピーターに光を当てるとピーターは宇宙船とおぼしきその物体に吸い込まれていったのでした。


 それから26年の歳月が流れ銀河辺境の星モラグに一人の男が降り立ちます。男は機械を操作し廃墟の中へ、おもむろに旧式のコンパクトカセットプレイヤー(WALKMAN)を取り出しヘッドフォンを装着しステップを踏みながらさらに奥へ。全てが絶えてしまった廃墟の中で奥の部屋には保管された球体(オーブ)が。装置を駆使してオーブを手に入れた男の背後に人影が。リーダーらしき男がそれを置いて離れろと脅します。「オーケー。オーケー、皆落ち着こうぜ。」「貴様何者だ?その服装ラヴェジャーズだな?ここで何をしている」「いやいや俺はただのトレジャーハンターだよ、でももう一つ呼び名がある」「なんだと?」「スターロード」「何?」「スターロードだよ、アウトローの王、知らない?」


 軽口をたたくこの男こそ、ピーターが成長した姿でした。彼を宇宙へ連れ去ったのは宇宙の無法者集団『ラヴェジャーズ』かれは『ラヴェジャーズ』に連れ去られ彼らの中で腕利きのラヴェジャーズの一員として成長していたのです。ピーターを取り囲んだ者たちのリーダーはクリー人のロナン・ジ・アキューザーの部下コラスでした。彼らもそのオーブを狙ってモラグにやってきたのです。一瞬の隙をついてコラスの連れてきた兵士を倒したピーターは辛くも脱出し取引のために惑星ザンダーへ向かいます。しかしそれはラヴェジャーズを出し抜いた単独行動で、ラヴェジャーズのボスで育ての親であるヨンドゥは彼に賞金を懸けました。

惑星ザンダー

 ザンダーはノヴァ帝国の中心であり軍警察ノヴァ・プライムにより護られた平和な惑星でした。ピーターは取引を持ち掛けてきたブローカーに会いに行きますが、途中でロナンに狙われた事を話すと突然ブローカーは取引の中止を告げます。先年、それまで交戦状態にあったクリーとの和平条約を結んだノヴァ帝国でしたがロナンはそれを良しとせず常々、ノヴァを滅ぼすと公言していたのです。触らぬ神に祟りなしとばかりにオーブとともに追い出されたピーターに近寄る美女。彼女はロナンとノヴァを滅ぼす取引をしている闇の帝王サノスの養女で暗殺者のガモーラでした。彼女はロナンの命令を受けてオーブの奪還に来ていたのです。そこに賞金稼ぎのロケットとその用心棒グルートが加わりピーターの賞金目当てに絡んできました。ロケットは密輸や賞金稼ぎをしている見かけは、アライグマですが脱獄の天才。相棒でペットでもあるグルートは植物人間。言葉は「私はグルート」しか喋れませんが、見た目はユーモラスでおっとりとした性格ですが怒らすと怖い相手です。広場で追いつ追われつの大乱闘を繰り返した4人はノヴァ・プライムに逮捕されてしまいます。

脱獄!キルン刑務所

 キルン刑務所は宇宙に浮かぶ刑務所で凶悪な犯罪者を収容するための重警備の刑務所でした。手荒い歓迎を受けた後監獄に放り込まれる4人。特にガモーラはサノスの養女で彼の子飼いの暗殺者ということで恨みを持つ者が多数いる敵だらけの状態。そしてピーターにもちょっかいをだしてくる受刑者。しかしロケットがタンカを切ります。ピーターは俺の獲物だ、話があるなら俺を通せと。ちょっかいをかけた受刑者はグルードに痛めつけられ周りは引き下がります。その夜、ガモーラは受刑者たちに呼び出されます。そこの現れたのがロナンに妻子を殺された後、復讐者としてあちこちで暴れまわったドラックスが現れ、ロナンの手先になっていたガモーラも自分の獲物として殺そうとします。ですがガモーラは実はオーブを横取りしてサノスと縁を切ろうとしていたのでした。


 その一部始終を見ていたピーターはその場に飛び出し、両者をとりなします。ピーターの調子の良さに呆れるロケットでしたが、ともかくこんなところは一刻も早くおさらばしないとということで策を考えます。ロケットは脱獄の名人です。グルードが警報装置を切ってしまったため、ともかく成り行きのプランで脱獄を企てる事に。その上ドラッグスもロナンを殺させると約束したため同道することに。監房の監視所に侵入、刑務所全体の重力制御を切り、ベイエリアに係留されていたミラノ号に急ぐ一行。ピーターは愛用のWALKMANが看守が持ち去った事に気が付いて取り返しに行きますがロケットたちは、オーブごと一刻も早く逃亡しようとします。しかしピーターはほんもののオーブをちゃっかり持っていて悠々とWALKMANを取り返しミラノ号へと帰還します。

ノーウェアにて

 遥か太古の巨人種族セレスティアルズ(天人)の頭蓋骨に寄生した宇宙の無法地帯。そこにオーブの探索と回収を依頼した者がいるというガモーラ。接触するまで各人がそれぞれ思い思いの時間を過ごします。しかしドラッグスは何時ロナンを殺させるのかとちょっとイライラ。そんなドラッグスを置いてガモーラとロケット、グルートとともに取引相手の館に出向くピーターたち。

 取引相手は銀河の長命者エルダーのタニリーア・ティヴァン、通称コレクターでした。銀河中から珍しいものを収集し、コレクションしている人物でオーブの中身は銀河創生の時に出来た特異点で、エネルギーの塊であるインフィニティストーンの一つ、パワーストーンでした。太古の種族はそれで文明を繁栄させたり滅ぼしたりしていたのですが、その強力なパワーは時にして使用者さえも滅ぼす危険なもの。コレクターはそのインフィニティストーンのコレクションのためにこのオーブを集めていたのですが、彼の召使で奴隷のカリーナが隙をみてそれを盗み取ろうと手に取ります。しかしカリーナの身体はパワーストーンの発する力に耐えきれずコレクターの館ともども爆発を起こしてしまいます。


 こんな危険なものをここに置いておくとやがてサノスに悪用されると考えたガモーラはノヴァ・プライムに厳重に管理してもらう事をピーターたちに提案しますが乗り気ではないピーターたち。そこのロナンが軍勢を率いて乗り込んできました。ドラッグスがノーウェアにいるからかかって来いと通信していたのです。ガモーラはオーブをもったまま作業ポッドで逃走、その後をロナンとともに来たネビュラが追います。慌ててピーターとロケットもポッドで後を追いますが倒しても雲霞のように現れる敵。そしてネビュラの戦闘艇がガモーラの戦闘艇を撃墜しオーブはロナンの手に。ドラッグスも念願の妻と娘の仇をとろうとロナンに挑みかかりますが一蹴されグルードに介抱されるという有様。

再びザンダーへ

 ピーターは追いかけてきたヨンドゥに自分の座標を知らせて宇宙に放り出されたガモーラを救いに外に。マスクを付けて自分はヨンドゥが捕捉する方にかけました。ぎりぎりでラベジャーズの宇宙戦艦のトラクタービームで艦内へ。しかしヨンドゥにぶち殺すといわれたピーターはなんとロナンからオーブを奪い返そうと提案。この無茶苦茶な提案を裏切ったら殺す条件で飲んだヨンドゥとともにロナンからインフィニティストーン奪還することとなったのです。一方、ロナンはオーブの中身がインフィニティストーンと知りサノスへ造反を。その前に仇敵であるザンダー星壊滅のために艦をザンダーへ向けます。ネビュラもサノスを殺すならロナンに付くといい、決戦の地はノヴァ・プライムの本拠地ザンダー星へとなりました。負け犬たちのピーター、ガモーラ、ロケット&グルード、ドラックスはここにガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーとしてロナンから一発かましてやることにしたのです。果たして勝ち目はあるのか?ザンダー?ラベジャーズは?パワーストーンの行方は?

動画はyoutubeより|Marvel's Guardians of the Galaxy - Trailer 2 (OFFICIAL)|Marvel Entertainment

無限の面白さを切り拓いた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

 正直、マーベルスタジオの作品はマーベル・シネマティック・ユニバースっていう縛りがあるわけだし、最初に今度は宇宙が舞台ですっていうのでどうなるのかなと思ってました。まずファーストシーンはいきなり10ccの曲が流れて、それは小さな男の子のWALKMANからということが分かって、母親との別れ、そして『未知との遭遇』のようなアブダクション!と思ったらいきなり別の惑星ですからね。怒涛の展開で一気に宇宙に持っていかれたけど、地球と地続きというか世界が繋がっているよいアバンタイトル。これで完全にこの映画に引き込まれました。


 よい映画はオープニングにかましてくるものですが、そこでどうフックを仕掛けるかは監督の腕の見せ所。それまでジェームズ・ガン監督の映画って『スーパー』(この映画自分がコミックブックのヒーローのつもりになって自警活動をする男の話でどこがちょっと壊れた人たちがおりなす悲喜劇でした。)ぐらいしか観て無かったんで正直心配していたのです。ガン監督がアメコミなど好きっての分かっていたんですが、『スーパー』は皮肉のきいたブラックコメディでしたから。それまでビッグバジェットの映画の経験も無いのも心配の種でしたがそんなものは全て杞憂でした。ガン監督はこの作品でマーベル・シネマティック・ユニバースを拡張して見せたのみならず、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』というシリーズ映画としてのローンチまで鮮やかにこなしてみせたのです。

負け犬たちの挽歌

 ある意味ピーターはルークであり、ソロなんですよね。選ばれし子であり、無法者(アウトロー)である。周りの仲間も一癖も二癖もある連中。闇の帝王の養女であり殺し屋だったガモーラ。強盗、脱獄、見た目は可愛いけれどひねくれものでケチな悪党ロケット。仲間思いだけどちょっとズレてるグルード。猪突猛進、とにかく力押し、暴力で解決のドラックス。どう考えても勝ち組じゃない裏街道まっしぐらのルーザーズ(負け犬たち)。こんだけ癖のある連中が集まってるなら、なんかやらかすに決まっているでしょう(笑)


 脇にもピーターを攫ったものの依頼主に届けず悪態をつきながらも育てたヨンドゥ・ウドンタ。特に彼はピーターの育ての親にして目の上のタンコブみたいな存在でしたが、最終決戦で戦線を脱落したもののロナンの軍勢に取り囲まれた時のあの口笛。途中でも少しだけ見せていましたが、本当に鮮やかで、アウトローの親父っていうのは、こういうもんだよっていうのをマイケル・ルーカ―がこれまた鮮やかに演じて見せたもんだから、あのシーンばかりをよくループ再生してました(笑)


 またロナンの戦艦、ダーク・アスターがザンダーへ落下しそうになった時にグルードがとった行動にぐっと来て、その後の最終決着もベタなんだけど、二転三転とさせる展開。特に、あのファーストシーンがここいパチっとはまるのか!というのは爽快感すらあります。これぞ娯楽映画という展開は本当によく考えられたしかも、複雑なパズルがパチンとはまって全てがクリアになる一瞬。そこを盛り上がり処にもってこられたら、こちらとしても平伏するしかありません。オチのエピローグも良かったし、宇宙を舞台にしていてもマーベルはこんなん出来るんだぜという名刺代わりの1本が、びっくりするほど面白かったんで次もお願いしますっていう感じの1本でした。正直企画した方がびっくりしているんじゃないかなと(笑)


 ロナンもいい悪役でしたね。ザンダーを滅ぼすことしか考えていない。そして自信過剰にして尊大。こういう悪役がいるからこそピーターたちガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが生き生きとしてくるわけです。しょぼい悪党では話が盛り上がらない、強大で厚顔不遜で負けるなどこれっぽちも思ってない悪役だからこそラストも映えるわけです。

 またガモーラとネビュラの姉妹喧嘩も忘れちゃいけません。どちらも同じ境遇なのにガモーラとは違う意味で養父へのヘイトを溜めつつ、姉であるガモーラにも愛憎入り交じる感情を抱いているネビュラはこの後Vol.2、邦題リミックスでもクローズアップされてきます。そしてその後ろにはさらに巨大なヴィランがいます。そうガモーラとネビュラの養父でもあるサノスです。

M.C.Uの黒い影

 その前に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(原題名サブタイトルVol.2)』ではファミリーを核にしてだいたんに切り込んできました。これはまたエントリを挙げる予定ですが、そう来たかと、こちらも続編として申し分のない出来でしたね。とくにヨンドゥ好きとしては堪らない映画でした。と同時に少し寂しくも思ったのですが、彼らの冒険はまだまだ続きます。来るVol.3の前には地球に来てアベンジャーズと協力することが決定しているわけです。


 『アベンジャーズ』でロキを使ってテッセラクトを奪おうとしたサノスはガモーラの養父であり(ネビュラもですね)この2人から恨まれており(ガモーラは実の両親を殺されています。)ロキを唆したり、ロナンを使ったりしていたわけですがとうとう、悪の親玉自ら御出陣となったのが『アベンジャーズ:インフィニティウォー』なのです。これまで動かなかった山が動くという部分に彼らは大きく関わりそうです(特にガモーラとネビュラは)またソーが『マイティ・ソー/バトルロイヤル』のラストで流浪の民になったアスガルドの民を率いた後に巨大な戦艦と遭遇した後どうなったかというのがインフィニティウォーの予告編でもちらりと映っていましたがガーディアンズの面々とアベンジャーズで一番最初に遭遇するのはソーのようです。

そしてインフィニティウォーへ

 あの面々がアベンジャーズとどんな会話を交わすのか?そこも今からワクワクしている部分なんですが、そこを味わうのにも是非『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を観て欲しいと思います。これ単体でも面白い作品なんで本当におススメしたい1本だし、マーベル・シネマティック・ユニバースを楽しむうえでもかかせない1本というまるでグリコ・アーモンドキャラメルのような作品なのです。

※字幕版が好みですが吹替えもグッド。最初ロケットの吹替え加藤浩次って大丈夫かと思っていたけどなんだかんだで馴染んできましたよね(笑)

ちなみに音楽の使い方も絶品、CDはヘビーローテーションもののリミックスディスクとして長く愛聴できる1枚です。

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