バディムービーの系譜『ヒットマンズ・ボディガード』【ネタバレ】

バディムービー

評判の高かった『ナイスガイズ』を去年見逃してるのでちょっとぐぬぬとなっているtonbori堂です(苦笑)でも異なる価値観や職業、中には相いれない者同士が手を組み難局を切り抜け、時には友情を、またはバディを出し抜いたりなどなど、それがバディムービー。刑事のコンビや探偵コンビってのも定番ですが、『48時間』のように刑事と犯罪者(強盗犯)がコンビを組むというのもあります。

動画はYouTubeより|『ヒットマンズ・ボディガード』予告編|NetflixJapan|

この『ヒットマンズ・ボディガード』はさらに突き抜けて依頼人をどんな危機からも守るプロのボディーガードとターゲットを確実に仕留めるプロの殺し屋、追う者、追われる者ではなく護る者、攻める者という一風変わった取り合わせですが、これがまためっぽう面白い。いや話自体はよくある話なんですけれど、まさかそう来たかという感じ。でもしっかり正調バディムービーなんですよね。



ストーリー

凄腕ボディガードのマイケルは、日本の武器商人クロサワを警護して空港まで送り届ける。無事にプライベートジェットに乗せ、離陸しようとした瞬間クロサワは狙撃され死亡した。

それから2年の月日が経ち、マイケルは相変わらずボディガードの仕事を続けていたが2線級の危ない案件専門まで落ちぶれていた。一方ベラルーシで独裁を続けていた大統領デュコビッチはオランダのハーグにある国際司法裁判所で虐殺を指導したことにより人道に対する罪で裁判を受けていた。

しかしデュコビッチの犯罪を立証するには物証も証人も乏しかった。特に重要な証人はデュコビッチがかつての部下を使い暗殺させており証言台にたつものがいなくなってしまった。このままでは容疑不十分で釈放になってしまう。そのため国際刑事警察機構インターポールは切り札として高名な殺し屋で現在収監中のダリウス・キンケイドに彼の妻ソニアの釈放と引き換えにデュコビッチの虐殺について証言させることにする。

しかしインターポール捜査官のアメリア・ルーセルをリーダーとした護送チームがインターポールの施設から出たとたんデュコビッチの部下たちが護送車を襲撃、瞬く間に警護チームを射殺するがその混乱を縫ってダリウスはその場を逃れる。辛くも襲撃を交わしたアメリアはダリウスとともに近くのセーフハウスに隠れるが、このままではハーグの国際司法裁判所の証言台に立つ時間に間に合わない。

アメリアは元カレであるマイケルをセーフハウスに呼び出すが、警護する相手がダリウスと知ってその場で彼を殺そうとする。実は彼に命を狙われた警護対象者が狙われ殺されそうになった事もあるマイケルにとってダリウスは不倶戴天の敵だったのだ。しかしこの状況下ではアメリアの頼れるのはマイケルしかおらずクロサワの射殺で地に落ちた名声を取り戻せる事をエサに不承不承に受けさせる事に。

一方インターポール本部では姿を消したダリウスの行方を追うとともにアメリアから報告を受けるものの逃亡の恐れのあるダリウスとマイケルを確保しようとする。そんな中、インターポールの副局長フーシェはハーグに飛び留置中のデュコビッチと面会する。実はフーシェが内通者で護送ルートを教えていたのだ。ダリウスを始末しない限り報酬を払わないというデュコビッチのため、アメリアからの情報でダリウスとマイケルがハーグに向かっていると知るとさっそくデュコビッチの部下イバンに連絡する。

ハーグまでの2日後のタイムリミットまでに送り届ける道中、さっそく敵の襲撃をうける2人。ダリウスがソニアと連絡するために所持していた携帯電話の信号を追跡されたようでそれを処分し修道女のバスにヒッチハイクでフェリー乗り場へ。そのままアムステルダムに向かう。

アムステルダムでマイケルのセーフハウスで身なりを整える隙にその場を離れ、追っ手を始末しながら近くの留置場で留置されているソニアに見えるように花を高い時計台に置くダリウス。その時にクロサワを狙撃したのは自分と明かしそれが許せないマイケルはその場を去る。

しかしイバンに発見されアムステルダムの街で激しい銃撃戦が巻き起こり、やはりダリウスをほっておけないマイケルは追跡するイバンらを妨害し囚われの身に。電撃の拷問を受けるが、間一髪で救い出してくれたのはダリウスだった。ダリウスは一度約束したことは違えるつもりはないと2人はハーグ向かう。

一方デュコビッチはイバンたちが失敗したときに備えもう一つの手段を弁護士に命じて用意させる。果たして2人は証言の時間に間に合うのか?デュコビッチの奥の手とは?物語はハーグでクライマックスを迎える…

『48時間』の系譜

ミッションをコンプリートしてもダリウスにはソニアを自由にするしかメリットが無い。でも何故そうするのかは物語で語られているんですが、それは彼女を愛しているから。協力しても釈放される、罪一等を減じられるという話でもないのに協力するという話といえばバディムービーの傑作『48時間』がありますね。

『48時間』でレジーが協力するのは強奪し隠した金をギャンツに奪われないようにするためなのですが、途中までそれはふせたままケイツに協力し、双方完全に信頼感の無いまま話がすすみます。この『ヒットマンズ・ボディガード』もダリウスとマイケルは全然互いを信用しておらず互いに相手を見くびってる有様。

ですが何度も死線を潜り抜けていく間に不思議な連帯感が生まれてきます。友情?仁義?かもしれないけど恩義は返すぜ、出来る範囲でな、っていう「一宿一飯」みたいな(笑)『48時間』でもギャンツの目的でレジーが護りたかったものを知っても黙っていたケイツのようにでしょうか。

とは言えマイケルも自分が落ちぶれ、アメリアと別れる原因となった狙撃犯でもあるダリウスをやっぱりほっとけないのはそれだけではないかもしれません。アメリアの任務を完遂させたいというのもあるし、互いに死線をくぐりぬけたというのもあるでしょうが、ダリウスも今は自分の警護対象。プロフェッショナルの矜持ってのもあるでしょう。現にクロサワの狙撃が偶然報奨金のかかったターゲットでその位置にいたとはいえワンショットで遠距離の狙撃を綺麗に決めたダリウスのプロの腕前に、ボディガードとしての自分の腕前を見せたかったというのもあるのではないかと。

これは『48時間』でレジーがケイツを巻いたあと、連絡を取った彼を黒人の集まるバーに呼んで手に入れた拳銃を見せびらかしたりして、俺だってただのケチなコソ泥じゃねえぜと見せつける部分と同じものを感じます(笑)

キャスティングの妙

それを可能にしているのがキャスティングでしょう。マイケルにはある意味持ち込み企画でもある『デッドプール』の企画・主演で成功させたライアン・レイノルズ。『デッドプール』でも見せた軽口を叩くちょっと自信過剰な凄腕ボディガードのような役は彼にぴったりです。そして殺し屋ダリウスには名優サミュエル・L・ジャクソン。70前のおじいちゃんとは思えないはつらつさと、これまたマシンガントークでマイケルだけではなく周り全員を手玉に取る達者ぶりを見せつけます。当然トレードマークのFワードもです(笑)

実際ストーリーとか無茶苦茶大味だし、ありがちな設定なんだけどこの2人をキャスティング出来たことが既にこの企画の勝利といっても過言ではありません。実際に劇場公開した米国ではなかなかよい成績を収めているとか。もっともWikipedia情報なんですが(^^;
ヒットマンズ・ボディガード - Wikipedia

その他のキャストはダリウスの狂暴な愛妻にサルマ・ハエック。久々に彼女の出ている映画を観ましたけど、むちゃくちゃ狂暴でしかもチャーミングな役なんて彼女しか出来ないでしょう。ここでもまさに適役すぎます。

ヴィランであるデュコビッチには数々の映画で悪役を演じ硬軟演じ分けられる名優ゲイリー・オールドマン。ベラルーシの独裁者を憎々しく演じています。そのデュコビッチに情報を流すインターポール副局長フーシェにはジョアキム・デ・アルメイダ。彼は『デスペラード』のギャングのボス、『今そこにある危機』ではカリ・カルテルの切れ者の幹部で出ていました。割と出てきた時に、あーこの人多分アレだ悪い方だってなる配役でした。いい人とかもやってるんだけどやっぱり分かってしまうキャスティングですよね。

アメリアにはエロディ・ユン。『G.Iジョー2』で女忍者のジンクスを演じ、最近ではネットフリックスの『マーベル・デアデビル』シーズン2でエレクトラ役で出演、続く『マーベル・ザ・ディフェンダーズ』にも同役で出演しています。フランス出身の女優さんなので今回の主な舞台は欧州のためにこちらもぴったりな配役だと思います。

最後に

この『ヒットマンズ・ボディガード』って映画はベタなプログラムピクチャーなんですが、ベラルーシで独裁者がというシリアスな題材を扱っているにも関わらずハチャメチャなところもあって、言えば『ワイルドスピード』が最近どんどん007、『ミッションインポッシブル』系になってるあの感じに近いものがあります。もっともこれシリーズ化の予定があるかどうかは未定ですけど。

でもバディムービーって定番だし、キャラクターで十分魅力的に仕立てることが出来るいい題材なんですよね。凄腕だけど対象者を護れなかったことで恋人とも上手くいかずくさってるマイケル。殺し屋なんだけど完全なる悪党ではなくいわゆるアウトローとして社会の裏街道を歩いてきたが矜持もある(おまけに茶目っ気も)ダリウス。この2人にライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンをもってきた時点でほぼ成功してるなこの映画ってなもんです。脇もしっかりしているし。

先にあげたこの映画のWikipediaの項目にはもともとシリアスなドラマとしてつくられていたそうですが、『48時間』もコメディアンだったエディ・マーフィーをレジ―にキャスティングし、リズムを産んだようにこれもコメディタッチにしたのは正解だと思います。でないと非常に重く暗いものになってしまった上に殺し屋とボディガードの荒唐無稽さが相殺されなかったのではと。監督は『エクスペンダブルズ3ワールド・ミッション』の監督を務めたパトリック・ヒューズ。見事にこのアクションコメディを取り仕切ったと思います。

ネットフリックスオリジナル

この作品はネットフリックスオリジナルですが先にも書いたようにアメリカでは劇場公開されています。つまり劇場公開しても問題ないくらいのクオリティなわけです。それを全世界同時に観れるってのはやっぱり凄いですよね。それについてはまた別に書きたい話ではあるんですが日本の2時間ドラマのようなドラマの文法ではなく映画の文法でつくられている(そもそもCMを考慮しなくてもいい)作品なので見ごたえも十分です。脚本もブラックリスト(優れた未映像化映画シナリオのランキング)に登録されていたいわば折り紙つきというやつです。
ソース|ブラックリスト (脚本プロジェクト) - Wikipedia

それを映像化できる力がネットフリックスにはあるという事も(ちなみにブラックリストに登録されていたシナリオを映画化したからといって必ずしもヒットが約束されているわけではありません)印象付けるのには役立っているでしょう。今後『ブライト』も含めてこのクオリティのものが出てくるとなると既存の映画会社も無視できなくなってくるとは思いますが一視聴者いや観客としては嬉しい限りですね。





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