そして銀幕へ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』THE THIRD SEASON、最終回を終えて。|tonbori堂ドラマ語り-Web-tonbori堂アネックス

そして銀幕へ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』THE THIRD SEASON、最終回を終えて。|tonbori堂ドラマ語り

2017年9月19日火曜日

drama

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コード・ブルー THE THIRD SEASON/ロゴはイメージです
コード・ブルー THE THIRD SEASON/ロゴはイメージです

 翔北救命の活躍は銀幕へ。最終回後告知で映画化決定はフジの定石でましたね(笑)とは言えこのTHE THIRD SEASON、7年目にしての突如の復活。月9復活の切り札?めいた登場ではありますが、それぞれが主役級のキャストを揃えるのは大変という見方もありました。ですがキャスト、スタッフ間の交流があったという話も公式サイトでのキャストインタビュー記事でも出ていました。

ソース|コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命

 もともと『コード・ブルー』は当時でも人気のあった山Pこと山下智久、ガッキーこと新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介というキャスティングに柳葉敏郎、勝村政信、りょう、そして児玉清が脇を固めるという豪華な布陣で迎えたドラマでした。ドクターヘリという当時でもまだそれほど浸透していない緊急救命医療を世に紹介し、一分一秒を争う場面や離島や車両が入り込むには困難な地域。またはすぐさま救命処置が必要な場合なのどドクターヘリの有用性が描かれた事により一般への理解も深まり導入された地域も増えたといういきさつもあるそうです。(こちらもソースは公式サイトです)

 公式サイト情報なだけに手前味噌じゃないかという話も無きにしも非ずですが、それでもそのドラマの前だとヘリといえばレスキュー。自衛隊、消防、警察という救命よりも救助という部分とtonbori堂は思っていました。なので『コード・ブルー』以後っていうのはあると思います。

THE THIRD SEASONのポイント

 最終回を迎えて、思ったのはこのTHE THIRD SEASON、藍沢達5人のそれぞれの道と(救命の)仲間ということに主眼が置かれたように感じました。そのためあえての恋愛要素も取り入れてきたという事なのでしょう。その恋愛要素はスタート前に一部で賛否両論が巻き起こったという噂も聞きますし、実際にその描写はいるの?っていう部分も確かにありましたね。緋山(戸田恵梨香)と事故で搬送されてきた料理人、緒形との話です。


 特に問題だなと思ったのは緋山が名取(有岡大貴)のミスで注射器が指に刺さってしまい、空港から搬送した患者が容態が急変し死亡した事で感染症が疑われ自らの血液を採血、血液検査に回している間、自ら隔離措置として病室に籠るシーンで、緒形が訪問するシーンです。まず誰も部屋の前にいないとかエアカーテンとかとにかく緩すぎる防護措置で(結局は杞憂であったわけですが)エボラだったらもう完全にアウトという描写が続出。こちらは医療の素人でも、いやもっと大事ではないのでしょうかと思うことになんらかの説明があればまだしも割と普通に入ったりとか医療ドラマとしてもう少しなんとかなんなかったのかという意見がありました。


 tonbori堂もおいおいおいって思いましたが、まあ結果オーライってことで…といっても医療ドラマでも『医龍』の朝田や『ドクターX』の大門未知子のようにオペで解決っていう、それはそれで突っ込めるけどもはや突き抜けているのである種笑いに近いネタに昇華しているわけでもないので、やっぱりもやもや感が残ってしまいますよね。Twitterではツッコミとして流しましたが(苦笑)また、何かと冴島と藤川のカップル、彼らがTHE SECOND SEASONの出来事を経て、同棲していたという事に関してはSEASONを通しての連続感があって非常に好ましい展開だったんですが、何故かこの2人にだまになって不運が重なるとか、緋山先生もそうなんですけれど、見かけの大事件が何故かこの3人に降りかかっているようにしか見えなかったのもマイナスポイントでした。無敗超人、藍沢にも一応の瑕疵は用意されているのですが、そちらもライバル新海先生(安藤政信)が直接原因とかワンクッションとか、そこももやもやポイントでした。


 白石に関しては今回悩める人ポジションでしたがその描写のクライマックスは正直1話、2話までで、灰谷先生(成田潦)が白石先生には分かりませんって、そら言われちゃいますよ!って思わず頷いてしまいました。いや1話、2話、そして緋山の感染事案の時の事とかあったんですが見せ場っていうのがもうワンアクションあっても良かったかなと。


 今回何かと詰め込み過ぎ感があり橘先生(椎名桔平)と三井先生(りょう)の息子が心臓移植しないと命がとか、そこまで詰め込む?っていう感じで、ヘリパイロットの梶さんが第1話のみの出演だったというのが霞んでしまいます(苦笑)いや単純に梶役の寺島進さんが『警視庁いきもの係』で忙しかったからではないかと思うようにしていますが(苦笑)

 ここまで苦笑を3回してしまいましたが、それでも医療ドラマって生き死にを扱っているドラマで、そうかんたんに救えない、救える命しか救えないと藍沢が言うそういったシビアな部分はあったなと。だたその落差が激しいなという事でしょうか。

クールなロンリーウルフ藍沢の変化。

 まあ今どき一匹狼っていうのも古いとは思いますがFAST SEASON,SECOND SEASON,スペシャルを通して彼の立ち位置はそうでした。しかし家庭環境ということもSECOND SEASONで明らかになり、寄る辺なき男になっていた一端が垣間見えた藍沢が今回はロンリーウルフから、群れを率いる孤高の狼になったということでしょうか。いわゆる先導者、パスファインダー、水先案内人というポジションですね。苦境にあっても冷静に、最善の結果を求める。自らリーダーとして立つことは無いが、迷いなく群れを率いる者。それがこのTHE THIRD SEASONの藍沢だと思います。

苦労人、白石。

 白石は前のSEASONから優等生ポジションでしたが、今回もその延長線上にあり、そこから空気を読みすぎるという属性が付加されたように思います。思えば前の時からもそういう部分で引っ込み思案だったのが、今回はリーダーとして前線指揮官として全体を俯瞰して見なくちゃならないということで常に気を張っていました。確かに分かって貰い辛いポジションではありますがガッキーが演じる白石だからこそかなという役になっていて要所要所でいい台詞といい表情を見せてくれるんですが…もう少しヤマが欲しかった気がします。

実は人情に篤い、緋山。

 救命のフェローを修了後、自分の進む道を産科医として定めた緋山は周産期センターにいっていましたが、世話になった三井の懇願によって救命に復帰する事に。一見なんでも自分のしたいように、わがままにやってるように見える緋山ですがスペシャルで心タンポナーデで一度瀕死の体験をしています。だからこそなんでも悔いなくやりたい、したいという事で、そこが我儘に見えるのかもしれません。ですが白石との友情と橘、三井に自分が助けてもらったと非常に恩義を感じているのは間違いありません。周産期センターでも救命の医師として、充実感があったはずなのに戻ってきたというのはそういう事情があるから。はっきりとは語られていませんが役者さんたちはそういう7年をしっかり背負っててだからこそ、?っていう部分があっても『コード・ブルー』として観ていられるという部分はそこに依るところが大きく、緋山と言うキャラクターはまさにそれを体現しているキャラクターと言ってもいいでしょう。

苦労人、冴島。

 冴島はるかもフライトナースとしてバリバリと仕事をこなし、後輩として雪村が入って来て仕事の充実感とともに、私生活も藤川と同棲し、そろそろ将来の事をという部分があったはずです。妊娠という事は喜びたい反面、仕事との両立ということで悩み、その後、ドクターヘリ内での患者の吐瀉物でのガス中毒に妊娠を表明後の子宮頸管無力症による流産などわずかな期間のうちに相当な精神的ダメージを受けていたはず。

 そのため藤川にヘリから降りてほしいという行動に出ますがプロとして、それはどうなのかという反論もTwitterで見かけました。それも分かるんですけどあれだけの事があったら素人感情としてはやむを得ないかなとも。ただそれに対する藤川の反応があまりもフラグなため今度は別の不安を産みましたが。彼女、基本的には仕事に徹するプロフェッショナルという部分とそういう心情部分の描写が両極端で演じた比嘉愛未はいろいろ大変だっただろうなと思います。

楽天家、藤川。

 前SEASON、スペシャルを通して一番成長したのは藤川かなと。ただ相変わらずの空気の読めなさとか寒いギャグとかは変わらずでしたが。でもそういう楽天家の彼だからこそ湘北救命は助けられていると言っても過言ではありません。だからこそ9話でフラグを立てまくる藤川に「もう、やめてー」「にげてー」っていう声が出たのも至極当然で、先にも書いたように今回冴島と藤川に艱難辛苦与えすぎのように見えたのも、このラストのためなんでしょうけど。ここらは黒田先生の処置へのオマージュになっていると思うんですが藍沢が成長したというものあるんでしょうけど、もう少しタメが欲しかったところです。ですが生還して良かった。彼こそが救命の良心ですから。それは子どもが助かったと聞いてホッとする、そこからのVTに現れていると思います。自分より他人を思いやれる男。そして藍沢以上にもしかするとあきらめない男。それが藤川です。

フェロー達

 医者と言う仕事に本気に成れないけれど、それなりの実力はという名取。緋山との事を通じてちょっとだけ成長しました。灰谷はヘリに乗る事をあきらめましたが、白石の言葉で医者としての道はあきらめずなんとか踏みとどまっています。横峯は最終回で助けられなかったレスキュー隊員の事で一つ成長できたかもしれません。ただの憧れだけでも助けるために経験を積んでいく事の尊さを。雪村はフライトナースとして自信過剰な部分もあったけれど冴島のプロフェッショナルな部分を見せつけられてからはちょっと落ち着いてものを見れるようになり角が取れたようになりました。横峯とは案外言いコンビになりそうです。

最後に

 最終回のエンドロール後に「映画化決定2018年公開」の文字が。喜んでいる人もいるとは思いますが、tonbori堂はどうなんでしょうって思いました。もう1クールでプロ集団として熟成した湘北救命を見せてほしかったなという気がします。このタイミングで映画化はヒットも見込めるでしょうが、その分SEASONとしてまた製作するには間が開いてしまうかもしれません。

 いろいろあるとは思いますが、ドラマの利点は1クールでじっくりとキャストを描くことだと思います。それによってキャラの厚みがでてくる、大河ドラマがなんだかんだで数字が悪くとも熱狂的な人気がつくのは主人公と周りのキャラクターをじっくりと描く時間があるからです。その上でスピンオフ作品なども最近は出来たりするのもそういう描き込みがあるからです。これは半年間放送する朝ドラでも言えますよね。

 拙速とはいいません。『コード・ブルー』はTHE THIRD SEASONまで7年の間が空いたわけですから。だからこそじっくりと新しいフェローたちの成長もしっかりと描いてほしいし、彼らを指導する立場になった藍沢たちの葛藤やさらなる成長も観たいわけです。映画は映画として大きな事件が起こりより困難な壁が立ちはだかり、それを突破することで彼らの成長が描かれる事になると思いますが時間をかけてこそという部分もあるはずです。映画ではどうしても尺に収めて無くてはなりませんその部分の杞憂はあります。とは言え製作はスタートしたわけですから彼らの新たなる活躍に期待したいと思います。最後の最後にいろいろマイナスポイントも挙げましたが前作からの参照リスペクトがしっかりある部分は評価したいところでした。映画版もそういう良い部分は継承してほしいですね。

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追記20170921:少しだけ文章を追加していますが文末の言い換えなどで本文を大きくは変えていません。ご了承いただければ幸いです。

追記20170922:エントリの本文中でseason3と表記していましたが公式に合わせてTHE THIRD SEASONとしました。

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