『遺留捜査』最終回を終えて。

遺留品には持ち主の心がこもっている

これは主人公の糸村の台詞なんですが、徹頭徹尾これにつらぬかれており、遺体からその人の声なき声に耳を傾けるのが『臨場』だとすれば、遺留品というさらに声が聞こえにくい、物から想いを拾うのが『遺留捜査』だと言えます。とは言え飛び飛びでシーズンを迎えスペシャルも放送され、とうとう木8に移動(異動)してきて京都府警に所属することになった糸村。どこにいっても変わらないブれなさは流石です。

遺留捜査 第4シリーズ
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遺留品にこだわる男、糸村。

正直それ以外あまり気にしていないところが凄いというか。そもそも彼は鑑識出身ですが犯人逮捕より、残された遺留品が何故そこにあるのかというのが気になって仕方がない性分。それが元で傍から見ると暴走とも言える行動に出る事もありますが至って本人はそれが普通だと思っているので、なんとも始末に負えないというか、組織人としては使いづらいが、さりとてこの仕事以外が考えられない人物でもあります。

そういえば、糸村も元々捜査1課の科学捜査係で現場証拠を重要物件を順位付けし、鑑識指示を出す役割だったんですが、まあいろいろあって月島署に飛ばされたという経緯があります。つまり『刑事7人』の沙村みたいなもんでしたが、そこでもマイペースで相変わらず、いやさらに遺留品に対するのめり込み度はヒートアップ。科捜研の村木技官をノイローゼに追い込むほどでしたが、京都府警にいっても、それ全然変わっていませんでしたね(笑)

糸村に振り回される男、村木

一時的とはいえ警視庁管内から離れて京都府警へ研修という名目で1年間出向してきたら、そこに糸村がというミスター不運。とは言えこの第4シリーズでは村木が警察を、しかも証拠を調べるきっかけになった話が披露されたりとけっこうクローズアップされたりしました。

それまでは基本的に『相棒』の米沢さんと同じポジションで頼まれると嫌とは言えないとか交換条件で頼まれるとかそういう役割でしたがシリーズを重ねるうちにいろいろ壊れっぷりが話題を呼んだキャラクターで演じている甲本雅裕さんの演技もノリノリなのも相まって人気のキャラクターです。

恋はしたいが仕事一筋、神崎。

京都府警での糸村のお目付け役。第一シリーズでは捜査一課の新人女性刑事、第2シリーズ第3シリーズは決まったお守役はいませんでしたが、しいていえば刑事課課長水沢警部がそうでした。そしてこの第4シリーズでは神崎がその役に任じられることになります。

なんだかんだで女性に縁のある糸村ですが、まあそこはそれ、フジの刑事ドラマとかそういう感じの話ではないので、だいたいあきれられるか、でもしょうがないわね、とか、時々見せる鋭い鑑識眼は認められているという流れで神崎もその流れで糸村に協力しているような(半ばあきれながら)しています。

しかしちょくちょくはさまれる恋愛には不器用描写。見合いは考えてないとか付き合ってた男が最悪だったとか、友人の結婚式には呼ばれるのが忘れられていたとか、うーんまあ千明たんもサバサバ系ですけどね…。

演じてた栗山千明は姿勢がいいのでやっぱり画面映えしますよね。出来るキャリアウーマン。だけど私生活はいろいろ侘しいという、彼女のパブリックイメージにのっかりすぎたキャラクターはもうちょっとイメージを変えてきても良かったかな。いや余計なお世話かもしれませんが。それでも千明たんを毎週(といっても2回目はほぼ出番無しでしたが)観れたのは眼福でした。

カメレオンな女、佐倉。

俳優の父の元大部屋俳優に囲まれて育ち、役柄を使い分け聞き込みに活かしているという設定の女刑事佐倉さん。ですが犯人を尋問する時はかなり鋭く厳しい尋問を行う怖いおばさんでもあります。

これをベテラン戸田恵子さんがのびのびと演じててキャラめっちゃたっていましたね。相棒雨宮がうっすら薄味になってしまうほど濃いキャラクターでした。主に周辺の聞き込みに強みを発揮して特別捜査対策室のエースといってもいいんじゃないでしょうか。

今どき草食系ですが鍛えてます雨宮。

佐倉の相棒である雨宮、イケメンなんですが、ちょっと鈍いところがあって佐倉によくどやされていますがそれなりに刑事としてもちゃんとしている雨宮。糸村に対しては佐倉、神崎と同じくこの人なにやってんだと思いつつ、その鑑識眼は一目置かざるをえんなと思っている感じなキャラクター。ですが相方佐倉さんが濃いのでやっぱり薄いのは仕方がないかと。演じるは永井大くんですが、多分永井君のキャリアでもっとも薄味ではないでしょうか。一見草食系ですが逮捕時の立ち回りには頼りになる男っていうポジションです。

IT系(死語)高瀬。

村木さんは遺留品の鑑識からの科学鑑定なので事件の主な資料とかそういう便利部分を担っていたキャラクター。いないと説明台詞が皆さん分担で増えちゃうからいないと困る便利キャラという印象しかないです。すみません。お茶くみポジションですよね(^^;

出来る室長、桧山亘

なんといっても演じてた段田さんが硬軟使い分けて、何時も三つ揃えのスーツで上着を脱いでベストを来た状態での一人御洒落で、だけど上層部にも顔が利き関西が地盤の与党幹事長とは大学時代からの親友で影の実力者なんだけども、熱い刑事魂ももっているというなんとも美味しい役どころ。糸村が主人公なんですが少ない出番を要所要所でもっていくのはまた段田さんの巧さで見せてくれるわけです。

特に与党幹事長役を升毅さんが演じてて、共に関西弁は達者な2人。堅い話は共通語で別れ際にそれぞれの地の言葉で交わす部分とか、いやあれは今までの木8京都府警シリーズに少なかった部分です。あれが欲しかったわけですよ!と思わず叫んでしまいました。

今回の最終回でもしっかりラストの取り調べでまた美味しいいところをつくってましたしね。『刑事7人』の片桐が陰なら『遺留捜査』の桧山は陽かな。ですがどちらも、酸いも甘いも噛み分ける渋さをもっていますが。いちど吉田鋼太郎さんと段田さんが共に警察関係で火花を散らす(でもどちらも警官の矜持を持っている)横山秀夫、または佐々木譲なストーリーやって欲しいっす。いやマジで(真顔

ブレない『遺留捜査』

遺留捜査 第1シリーズ
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今回、京都府警に移動してきて環境は激変しましたが、糸村のやることは何時もと同じ。演じた上川隆也さんもそこは強く意識していたと思います。お約束の『僕に3分時間をくださいませんか』も変わらず。犯人逮捕より、被害者の想いを伝える事に力点を置いていて、今回は特にそちらに力を入れている感じがありました。第2シリーズとか第3シリーズも同じではあったんですが月島警察署のストーリーっていう部分も強かったし、水沢さんとか第3シリーズでは森田という捜一の刑事とかが絡んで水沢さんとの過去とかクローズアップされたりとかそういうサイドの話もありましたからね。

今回はそれぞれに面白いストーリーを抱えていそうな個性派刑事がいながらもそれらを匂わしながら、『遺留捜査』の本道を全うした感じが強いです。ただこれ村木さんが科捜研ってことで看板シリーズ『科捜研の女』のコラボ、クロスオーバーはちょっと無いかなっていうのが残念ですね。やってもいいいんとちゃうかなあとは思うのですが。

科捜研の女season16
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第5シリーズが木8であるのか?それは分かりませんが時間帯が変わってもブレない糸村がいる限り『遺留捜査』はいい意味でこのままだと思います。京都府警を舞台に次も観てみたいですね。

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