『刑事7人』シーズン3最終回を終えて。【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り-Web-tonbori堂アネックス

『刑事7人』シーズン3最終回を終えて。【ネタバレ】|tonbori堂ドラマ語り

2017年9月14日木曜日

drama

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刑事7人/ロゴはイメージです
刑事7人/ロゴはイメージです

 7という数字はラッキーナンバーとして知られていますが反面、『七つの大罪』という風に必ずしもいい数字とも言えません。七転び八起きという風にもいいますし。刑事ドラマでも有名な『七人の刑事』がありますね。ということで『刑事7人』も最終回を迎えて、これはシーズン2からこの結末に向かっていたなら大した伏線ではないかと思うのですが、ともかくラストのこの決着はアンハッピーエンドと捉えた人も多かったのではないでしょうか。

 巨悪は倒せたかもしれませんが、やがて寿命を迎えて死ぬ運命だった者を殺すことに意味はあるのか?とか。ただ逮捕を急いだ片桐さんの動機は理解できます。多くの人を不幸に陥れた、しかも罪の意識はないたただた土地の古豪として町のバランスを取るだけと思っていた、それ以外は些事と思っていた傲慢な人間をきっちり罪を暴いて、罪の意識を与えねばという。その上でという事は理解できます。しかし片桐さん一線越えかけましたが越境はしませんでしたね。

 そして最終回、事件の真相が明らかになったことにより結果12係は解散となってしまいましたが、天樹の最後の台詞はこうでした「また、いつかどこかで」シーズン4があるかどうかは分かりませんがあるとすればこのメンバーがまた戻ってくるのか、はたまた天樹以外新メンバーなのか?どっちにしても来年の話になりますね。

マグニフィセント7ではない。

 でも7人です。正義を守り悪を憎み、人を愛する個性的な7人の物語でした。個別に所感を書いていきたいと思います。

天樹という男。

 天樹はシーズン1とシーズン2では性格が変わってしまったかのような描写がなされていました。それはシーズン3で薄っすらと説明はされましたが、亡き娘と妻の一件で亡き妻が描いた絵からの勘違いとそれに伴う事件への真相へはなかなかにヘビーなものがあり、MOZUの倉木的に闇落ち寸前になりそうでしたが結果踏みとどまりました。とは言えある意味乗り越えちゃったから次は無いかもしれません(そういう葛藤が)最後に左遷先の資料室で、以前に表面的には人当たりのよい遺失物管理センターの係員とはまた違った明るさというか迷いのない顔をしていたので、今後は「コールドケース」的な展開を考えているのでしょうか。いや分かりませんが。


 キャラクター的には山下がそういう何でも分かった感が『相棒』の右京さんや『遺留捜査』の糸村的なんですが、シーズン2からのイメージ変更とアクションシーンの追加のおかげで差別化が計られたと思います。そこは良かった点ですね。そしてシーズン3でやっと語られた何故機動捜査隊に行ったのかという部分。このまま放置かとも思っていたので。そこは形はどうあれ決着ついて良かったと思います。

熱い男、沙村。

 彼は事件の決着後、所轄署の刑事課に。警視庁のエース部署から所轄というのはしばしば刑事ドラマや小説では都落ちとして描写され、そこから物語は始まるという状況にもつかわれますが、思うに沙村には性格的にも合う環境かもしれません。事件の痛手もあるでしょうが熱い男沙村はとにかく動き続けるのが性にあってる。そう考えればこの異動はよかったように思われます。一課から所轄といえば『小さな巨人』ですよね。香坂は最後に一課に返り咲きましたが。新作映画が来年公開の『新参者』シリーズの加賀もそういえば一課から所轄の刑事に異動していた刑事。探せばこういう設定まだまだありそうですよね。まあ沙村はどこでもあの暑苦しさで捜査に邁進するでしょう。

クールで情熱的な水田。

 彼女、初期設定はたしか帰国子女という設定があったように思いますがもしかして勘違いかな。とにかく物事を独自の視点で、そして12係の中でも独自のポジションでした。そして目立っているわけではないけれど警察官の本分というのを一番肝に銘じていると思います。天樹の評価も12係の中で一番高い?っぽいし。女の勘もするどいし、監察官の島村に眼を付けられて監視役を頼まれるのも分かるような気がします。

 ですが情に厚いところもある単にクールだけでないところを徐々に見えてくる部分は良かったのではないかと。彼女が事件後に監察官に昇任したのも納得できます。お話的には「えっ?監察官に逆らったのに?」ってなりそうですけれど、自分で見極めた真実を追求してからという部分が意外と気に入られたのかも(笑)

ヤンキーだがいいヤツ青山。

 割とテンプレなキャラクターですよね、青山。湾岸エリア育ちでやんちゃして、警察のごやっかいになりながらも前科はつかず。そう言えば『臨場』シーズン2の運転担当、永嶋もそういう経歴の持ち主で「改心組」みたいに言われていたのを思い出しました。

 もともとはシーズン2で所轄刑事として登場。機動捜査隊に配属された天樹の勝手な捜査のお目付け役でしたが、利用されていた事をしったのち上司(しかも事件の黒幕)を殴ったことにより沙村に拾われ12係へ来た彼もシーズン途中からの新参者でした。その違和感を上手く利用したキャラクターではあったかなと思います。若い頃には街のアウトサイダーであった過去も上手く使いシーズン3では昔の仲間である情報提供者久木との不適切なという部分はもっとクローズアップしても良かった気がしますがなにせ10話。2クールあれば1話完結の中にそれぞれのエピソードをもっと盛り込めたかなと…。それは全員に言えますが。

 演じた塚本高史君は『TEAM-警視庁特別犯罪捜査本部』で管理官付運転担当刑事として出演してて、シーズン2初登場時少しそのイメージ被りがありました。青山は事件後に交番勤務になったそうですが、交番のお巡りさんは青山にあっていると思います。おばあちゃんをおぶってあげたり、子供が拾った落とし物の受付したりなんか情景が浮かびます(笑)

オールマイティー山下。

 今回一番衝撃的な結末を迎えた人ですが、結末を予想していた人もぽつぽつといたようです(tonbori堂調べ、Twitterでの #刑事7人 ハッシュタグによるタイムラインより)もっとも闇落ち警官というのも物珍しい話ではなく、汚職べったりから、正義感から悪を討つっていうのは「自警主義ヴィジランティズム」とともに刑事ドラマや巨悪を題材にとるときによく出てくるテーマです。ヒーロー映画でもそうですよね。

 今回、公式サイトでも人物紹介の欄で、それぞれが一線越えそうな書き方をしていて煽っていましたが、山下を途中でいない状況にしたことから第一容疑者から外そうとした試みは悪くはないと思います。ただあっさり復帰で怪しさ倍増していましたけど(苦笑)でも天樹の謎解きシーン。熱い芝居合戦でそういう瑕疵はあるものの凄いなあと思ったら…。うーんまあ有りがちなんですけどね。それに前ふりはあるんですが…ねぇ。天樹の山下の口調に尊大さを感じてたっていうのは、「うん、知ってた」でしたが山下の「何でも知っているその口ぶりが鼻についていたんですよ」っていうのも「まぁ分かる」ってちょっと頷いてしまいました(ヲイとは言えどうなったのかをきっちり見せていないのでもしシーズン3があったならミラクルあるかもしれませんね。

腹に一物、ドン片桐。

 まあ最初に疑われる男ですね。初登場時から怪しい感じでこの人実は最初からキャラがぶれていません。昼行灯に見せかけて、クロコーチのや『ストロベリーナイト』のガンテツのようにあちこちの弱みを握って暗躍する。「毒を以て毒を制す」主義者ですよね。当然警察官の矜持というものがあるので結局、馬久根に対する恨み、仇を討ちたいという気持ちがあって行動まで移しても最後の一線は越境できなかった。もっともあれがビルの上ならどうだっただろうなとちょっと思いましたけど。最後に水田が警察を辞めると思ってたけどと言われながら運転免許センターで交付手続き業務にという事が語られていました。そこに片桐さんなりの警察官としての矜持を見た気がします。もっとも今は充電期としているのかもしれませんけどね。狸オヤジだから(笑)

普通人、永沢。

 『刑事7人』セカンドシーズンまで7人の一角を担っていた永沢。まさかのシーズン2の殉職は衝撃的でした。母一人、子一人という家族構成とか。『刑事7人』では天樹は妻と子ともに事故死、沙村は妻と離婚して娘とも疎遠。水田と青山ともに家族は不明でしたが、ぶっちぎりになんか切なくなるエンディングで、今から考えるとシーズン3でこういうアンハッピーエンドを暗示していたのかもしれませんね。


 永沢を殺害した丸藤もシーズン3でまさかの再登場をしましたし。でもあの仕込みも沙村に殺させるためだったとするといろいろ恐ろしい展開になったかも。米国の刑事ドラマでもめったにない展開(そもそも自分の命を守るためなら犯人射殺は認められているお国柄、無抵抗な人間を殺すと問題になりますが)ですが…いやそう考えるとシーズン2と3はセットだなって気がしてきました。

仕事人間、堂本教授。

 片桐さんと共に印象がぶれない人で、自分の本分、領域を守ろうとしているけど時にはヒントをくれる、一種米沢さんポジション。実は山下も同じ米沢さんポジションで、実のところ最終回1回前にはもしかすると黒幕堂本先生あるでこれって思っていたんですが…、無かったですね。アメリカに渡米したのもその仕込みっていう展開だったら視聴者もびっくりなってなったんでしょうが、さすがにそれはぶっとび過ぎではあります。彼自身は天樹の義父であるのでそういうシーンがシーズン2では薄くなりましたが3で少ないながらも印象的にシーンを作ってあったのは良かったと思います。

最終回を見終えて。

 9話「血戦」、最終回とまたぎで決着が付きましたが苦い結末で、アンハッピーエンドとなりました。馬久根は殺害され、それを画策した真犯人を最後に暴くということになりましたが、結局街は新興勢力に飲み込まれたという感じになっていますが、それが暴力団などの反社会的勢力なのかどうかの描写が無いのでもやもやした人も多い事でしょう。反社会的勢力ではなく、一般の不動産会社やデペロッパーなどが入り込んだとも言えるし、銀行だって外部と組んでやばい地上げをしたことなどはバブル期以後に問題になりました。普通の人でも一線を越えることなどは容易である。そんな事を示唆した最終回のような気がします。


 最終回に向けての布石という御厨、Mですが真犯人が分かった後で考えるとMはやはりマリオネット(人形)そして人形使いが後ろにいたという暗示だったんでしょうかね。ちょっと押井守的展開?と思いましたがそこまに至る事はありませんでした。ただ架空の人物を作り上げてというのも推理小説では定番で、奇をてらっているようで案外と定番展開ではありましたね。そして定着してきた感があった『刑事7人』ですがシーズン4はどうなるか?予想は付きませんが主役の東山紀之君が日曜朝のニュース番組のレギュラーが入るので不透明ではありますね。ですがNHK『あさイチ』に出演している同じジャニーズ事務所の井ノ原快彦君が『警視庁捜査一課9係』もしっかり定着しているのでゼロではないかと。数字もそこそこ安定しているようですし。資料室勤務ということで故渡瀬恒彦さんが主役をつとめた「おみやさん」的展開、コールドケースを解決という流れも。新たな7人を集めてとかあり得ますからね。


 というか今回のような闇落ちエンドっていうのは今度スペシャルがある『BORDER』もそうで、石川も山下のように越境しています。ただ山下は完全に法を犯してでもという部分ですが石川は、あれは下地はあっても衝動的な感じもありました。今度のスペシャルで「あの後」が描かれる事になります。『刑事7人』のアンハッピーエンドを受けて来月の『BORDER―贖罪ー』がどのような物語をつむぐのかそちらも楽しみです。

 ということで『刑事7人』果たしてシーズン4はあるのか?来年の『相棒』の後は『9係』があるのかも含めて注視したいところです。

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20170915 追記:【訂正】シーズン3→4に変更している箇所があります。来シーズンの分を4にしています。【訂正】タイトルを「迎えて」から「終えて」に変更しました。


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