7月に入り民放新ドラマも続々始まっています。いろいろ注目作も多い中、基本的に刑事ドラマが好きな私はだいたいテレ朝の水9、木8あたりの初回を観て、面白そうなら連続視聴したり、他の枠も同様に新しい刑事ドラマは初回は観るようにしています。深夜枠に関してはそれほどでもなく、まあスルーすることも多いですが設定次第では初回はチェックすることもありますが、この夏クールでは3本が自分のドラマレーダーにひっかかってきました。『警視庁いきもの係』『刑事7人』『遺留捜査』です。ではそれぞれの初回を観てちょっと感じた事を書いてみたいと思います。
『警視庁いきもの係』
警視庁いきもの係/ロゴはイメージです |
この3本のうち新作は『警視庁いきもの係』です。フジテレビの日9で放送が始まりました。日曜9時はTBSの日曜劇場枠でフジはこの枠ではバラエティー番組を放送し成功をおさめていましたが、番組が事情で終了し、後継番組も鳴かず飛ばずのためリニューアルと称してドラマチック・サンデーというドラマ枠を2010年に新設、最初はこの時間帯で圧倒的な日テレ『行列のできる法律相談所』どころかドラマのライバルTBSに苦杯をなめる有様でしたが『マルモのおきて』というスマッシュヒットも飛ばしました。しかし結局ながら思うような数字をあげることが出来ず、2013年にドラマチック・サンデー枠は終了。2016年春から再度ドラマ枠復活となりましたがやはり数字を上げることが出来ずこの『警視庁いきもの係』をもってこの時間のドラマ枠は廃枠となるということです。
ソース“フジ日曜9時ドラマ枠今秋終了へ 3年ぶり復活も1年半で再び幕”. スポーツニッポン
そんな中はじまった『警視庁いきもの係』ですが原作があるそうで、このドラマを観るまでまったく知らなかったのですが福家警部補シリーズの大倉崇裕氏の手によるミステリー小説のシリーズだそうです。福家警部補も壇れいさん主演でフジテレビのドラマになっていました。とは言えドラマに関しては原作と違う色が付けられるのは何時もの事。果たして原作ファン的にはどうだったのかは分かりませんが初回は割と緩い感じだなと感じました。
キャストについて
主演の橋本環奈ちゃんは、主人公の天然系キャラ(好きなこと以外は割と無頓着かつ、驚異的な観察眼を持つ)をなかなか頑張って演じていました。正直アイドルだし、どうなの?という色眼鏡で見ていましたが失礼ながらちゃんとしてらっしゃいましたね。
経歴見ると『セーラー服と機関銃』の再映画化?『セーラー服と機関銃ー卒業ー』に主人公、星泉役で主演。『銀魂』実写版では神楽と活躍されているようです。正直(2回目ですね)あの奇跡の1枚しか知らないのでちゃんと演技を観るのは実はほぼ初めて。なんかで観たドラマのゲストでの出演の時はああ新人さんだわねって感じだったので短い間に大役や大きな現場で鍛えられてきた感じがします。
それよりもオールド刑事ドラマファンのとっては『あぶない刑事』の真山薫こと浅野温子さんと『ケイゾク』の真山徹警部補こと渡部篤郎さんのW真山共演です。ちなみに温子さん、事務員役なんですが、かなりテンション高くて薫さんを思い出させるキャラでした。篤郎さんの方はどちらかと言えばフジの前作『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』の厚田警部や『ビター・ブラッド』の島尾明村の線ですが、頭部に銃弾を受けその前の記憶が無いという設定が明かされておりちょっとケイゾクの真山に近い闇も抱えてる様子。先々が楽しみです。ちなみに同じ日9TBSの日曜劇場の『ごめん、愛してる』のTOKIOの長瀬君演じる主人公も頭部に弾丸を受けたという設定でネットの一部で『頭部に弾丸被り』と言われていました。
『刑事7人』
刑事7人/ロゴはイメージです |
こちらはテレビ朝日の水曜9時枠。『相棒』などの刑事ドラマ枠として定着している枠ですが『相棒』の合間は去年に続き『警視庁捜査一課9係』から『刑事7人』という流れです。『9係』の浅輪直樹役、井ノ原快彦君はNHKアサイチの司会でも知られていますがジャニーズ事務所所属V6のメンバーです。そして『刑事7人』の主人公天樹悠役、東山紀之君も同じくジャニーズ事務所所属です。奇しくも春、夏クールの主人公がジャニーズ事務所所属タレントというのも昨今の話で言うとバーターとかなんとか取り沙汰されそうですが、『9係』は既にシーズンは10を超えた長寿シリーズなので、そこに『刑事7人』が加わったという形です。
『刑事7人』登場人物とキャストについて
『刑事7人』1stシーズンは天樹も警視庁遺失物管理センター勤務から捜査一課へ復帰したという形で、時間にこだわり単独捜査、空気の読めなさが、これまた奇しくも同クールでひさびさの復帰になる『遺留捜査』の糸村と被る感じがありましたが2ndシーズンで突然機動捜査隊に異動し、何故かクールな性格に変貌。しかもそのキャラ変更に対して説明はされず、1stシーズンに登場した捜査一課12係も何故かさらに窓際感が強調され、片岡愛之助さん演じる山下が未来犯罪予測センターという名のさらにややこしいところに配属とか大胆な設定の変更が。ただし12係の刑事たちはそのままなので大きな謎が残りました。
2ndシーズンでは鈴木浩介さん演じる永沢刑事が刑事だった父親が追っていた事件に絡んで殉職、元半グレという際どい経歴を持つ刑事、青山(塚本高史)が加わり3rdシーズンもそのままレギュラーとして出演しています。天樹の義父であり監察医の堂本も1stシーズンからの北大路欣也さん、そして12係係長から刑事部刑事総務課長へ昇進、湾岸エリアを中心とした11方面本部を立ち上げるべく活動しこの3rdシーズンで湾岸エリアのフィクサーである馬久根と因縁のありそうな片桐をこれも1stシーズンからの吉田鋼太郎さんが担当。
初回も2ndシーズンを引き継いだ流れでハードな出だしでした。ただ2ndでは1stほどふれられなくなった天樹の妻子の事が再びクローズアップされたり何かと不穏な空気が漂っています。事件もいきなり4人が殺されているなど凶悪化していますが、事件の裏にはさらに凶悪化した犯罪が。片桐は警視庁の10方面にさらに湾岸エリアを担当する新設の第11方面を新設、かつての部下である12係と天樹と未来犯罪予測センターの山下を加えた11方面設立準備室を設立し馬久根との対決を画策し、青山は元の半グレ仲間から情報の代わりに犯罪を見逃したり、12係の紅一点、水田(倉科カナ)にどうも内部監査の内偵の手引きをするように接触があったり、堂本も天樹に何か隠していたことをを伝えたい様子。そんな中12係の係長沙村(高嶋政宏)は片桐に何があっても仲間は守ると宣言。11方面準備室も1枚岩ではないそんな危うい船出です。
馬久根(演じるは山本學さん、お昼の『やすらぎの郷』に出演している山本圭さんのお兄さんです)が「我が家の家訓は報恩と報復」と、まるでマフィアのゴッドファーザーのようなセリフを言ったと思ったら、湾岸エリアに根を張る古豪で、表も裏も仕切るそういう感じの人だったという設定とか、今回、風呂敷拡げてきたなという感じがします。またそれぞれが何かと抱えているものが見え隠れする初回でした。シーズン3は湾岸エリアを舞台に古くから地元を仕切るフィクサーと、それに対決するという構図と、7人それぞれにスポットを当ててハードな物語が展開される模様なので今後も楽しみとなりました。
追記:20170719
第2話も拡大SPで老人がテロリストっていう展開もそうですが、いきなりのビターな結末とか山下が形見にリトル山下を残して退場とかどうなるのか全く読めない感じですが黒幕の馬久根をどう逮捕するのか?それとも無法の正義をとるのか?ある意味『CRISIS』と『コードネームミラージュ』を足して割りました、そこに『相棒』ふりかけましたみたいな展開になってきました。
『遺留捜査』
遺留捜査/ロゴはイメージです |
「僕に3分間時間をくださいませんか?」でお馴染みの糸村刑事が一見事件に関係ない遺留品から事件を紐解いていく刑事ドラマです。これまで3本のレギュラーシーズンとスペシャルが4本放送されました。元々相棒枠の水曜9時だったのが、『科捜研の女』が放送されている木曜8時に移動し4年ぶりに復活。しかも『科捜研の女』と同じ京都が舞台となりました。
以前スペシャルとして放送された『スペシャリスト』が京都府警の特別捜査チームだったものが連続ドラマになったときに東京の警視庁に移籍して、チームがまるまる警視庁所属になったことがありましたが、今度は警視庁の刑事が何故か京都府警に。実は警視正以上は国家公務員になるのでそういう異動はあり得るかもしれません。キャリアは地方の警察の管理職を経験し中央に戻るということがあります。
でも現場の刑事でこういうのはあるのかなどうかなと思ったのは朝ドラ『ひよっこ』で登場した主人公のみね子の父親捜しに協力する警察官の綿引巡査が父親(茨木県警の巡査で地区の駐在だったという設定でした。)が体を壊して急きょ茨城に戻る事に。地方公務員ということで茨木県警への転籍は出来ませんみたいな感じだったのでどうなんだろうかと。まあ『スペシャリスト』みたいに偉いさんの意向っていう「フィクションです」ですませてしまえばいい話ではあるんですが「細かいところが気になるのが僕の悪い癖」ということです(苦笑)
『遺留捜査』キャストについて
上川隆也さん演じる糸村はキャラがぶれず、相変わらずのちょいウザな感じで、空気の読めない刑事はこれまでも「9係」の加納係長や「相棒」の右京さんなど枚挙にいとまがありませんが、その系譜としては一種最強かもしれません。ただし右京さんみたいな絶対正義マンではないので、どちらかと言えば加納係長よりかな。ただし変な行動をとるのはかなり右京さんっぽいですが。
ともかく「遺留品」へのこだわりは半端なく今回の第4シーズンでもそれは遺憾なく発揮されていました。また急に手旗信号を送るとか空気は読めないけれど臨機応変に対応という変な設定もそのまま引き継がれています(スペシャルで病院に人質とされたときにとっさに医者を装ったことがあります。)月島警察署からメンバーを心機一転っていうのも(メンバーが揃わないとかもろもろの理由で)京都府警設定は有効ですがかえって『科捜研の女』とのコラボできないじゃないという声も一部ネットで散見されました。今回、糸川の無茶ぶりを受ける科捜研の村木さん(甲本雅裕さん)が京都府警科捜研に人材交流で派遣という設定で登場。確かに『科捜研の女』のマリコさんが出てくると話がデカくなりすぎますが、手掛かり、遺留品にまっしぐらなれど性格の違う2人のコラボレーションは見てみたかった気がします。
糸村のバディ役神崎莉緒には栗山千明さんが。もうちゃんとは呼べない大人の女性になった彼女ですが、やっぱり千明たんってついうっかり書いてしまいます(^^;今回は糸村のブレーキ役的なのかな?1stシーズンの貫地谷しほりさんが演じた捜査一課の新人刑事とはまた違うベテランというか中堅といった立場のようで室長からも期待されているポジションのようです。最近千明たんも刑事役が多くなりましたよね。
糸村の配属先は京都府警捜査一課特別捜査対策室、通称火消しという特命チームで室長の桧山亘(わたる)には段田安則さんが。第1話では政治家絡みの案件で与党の副幹事長役で出演の升毅さんとのやりとりが、最初は共通語で、でも別れ際に双方関西弁でという渋い芝居を見せてくれました。桧山はやり手で切れ者ですが何故、糸村を呼び寄せたのか?明かされるのかどうかは分かりませんがちょっと気になるポイントです。
特別捜査対策室の他のメンバーは佐倉路花に戸田恵子さん、雨宮宏に永井大さん、佐倉刑事は大部屋俳優というあだ名で、聞き込みの名手。雨宮刑事は肉体派だけど身なりもしゅっとしたイケメン刑事。他にIT分析担当の高瀬信彦役の和泉崇司くん、科捜研の滝沢綾子役、宮崎香蓮さんがレギュラーです。戸田さんは言わずと知れた名女優ですがガンダムのマチルダ中尉など声優さんのお仕事も有名です。特に『アンパンマン』のアンパンマンはライフワークといってもいいかもしれません。女優としては『ショムニ』でブレイクしましたが、『古畑任三郎』でお馴染み三谷幸喜さんの起用で顔だしが多くなったように思います。その相棒役の永井大さんは戦隊シリーズ出身で肉体派として高橋克典さんの『特命係長只野仁』シリーズでもお馴染みですね。一癖も二癖もある変わり者や切れ者メンバーが別動隊をくむというのは刑事ドラマでは定番ではありますが、前回シーズンが所轄だったので1stシーズンのように地域にとらわれない京都全域での犯罪を追いかけるというのは1stの感じが戻ってきたとも思えます。キャストもいいところを抑えているので今後も楽しみです。
それぞれの1話の視聴を終えてみて。
『警視庁いきもの係』
日曜夜9時に観るのにはちょうどいいミステリーで、一見可愛いけれど、動物に偏愛し、ちょっと変わり者の巡査と、元捜査一課の鬼と呼ばれながらも頭部に弾丸を受けて過去を忘れた刑事、風変わりなバディモノで、ちょっぴりコメディタッチではありますが渡部さん演じる須藤警部補の記憶は戻るのか?また須藤をいきもの係に異動させた捜査一課の鬼頭管理官(演じるのは寺島進兄貴!)の思惑は?とシーズンをひっぱる掴みも用意されておりなかなかの初回でした。
『刑事7人』
前のシーズンを引継ぎハード路線で行くようです。またシーズンを通したフィクサーを設定。それぞれの因縁もクローズアップされ2ndシーズンのような衝撃の展開が待ち受けているかもしれません。前回シーズンの衝撃の展開はちょっと予測はしていませんでしたが、今回はそういう空気を漂わせているのは明白。どちらにしてもただではすまない3rdシーズンになりそうでこちらもつかみはOKな初回SPでした。ただ2時間なためちょっと盛りすぎかつ間伸びすぎなきらいはありましたが、テンションは維持されていたと思います。
『遺留捜査』
財前直見さんに伊東四朗さんなど大物ゲストを迎えての初回。一筋縄ではいかない人物模様は東京よりここ京都の方がぴったりかもしれません。次回以降の糸村の3分間が実質何分かも気になるところですし、新キャストもそれぞれくせのあるところを出してきましたからこちらも安定した初回スペシャルだったと思います。
とりあえずこの3本は連続視聴し、また最終回後に感想を、今度は各ドラマ毎にたてようかなと思います。その際にはまたお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。
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