『キングコング髑髏島の巨神』について、ざっとした感想エントリは先日あげたばかりですが、その時に『武器』の事を書くと言って、あれよく見ると書いてないよってことになりまして(苦笑)で、『キングコング:髑髏島の巨神』の感想とは別に登場人物たちが使用していた拳銃やライフル、兵器などについてちょこっと書いてみようかなと思います。
そんな豆鉄砲で何をするんだ?
ちなみに見出しのようなセリフはありませんが似たようなことはマーロウが言ってたような気がします(笑)何にせよコングに対抗できる火器など無さそうな気がしますね。
ベトナム戦争とヘリボーン
感想エントリ(リンク)でも書きましたけど、舞台はベトナム戦争が終結して米軍撤退が進んでいた頃、地上資源探査のために打ち上げられたランドサットにより発見された、ベトナム近海からほど近い南太平洋に浮かぶ謎の島です。島には未知の何かがいると考えられていたためモナーク機関のランダは米軍の護衛を要請します。そこで派遣されたのがパッカード大佐の空中騎兵部隊です。ヘリコプターによるヘリボーンは先のエントリでも触れたように『地獄の黙示録』で一気に有名になりました。彼らの主力はUH-1イロコイヘリコプター。現代の軍用ヘリの主役はブラックホークなど新しい機種に移ったもののまだまだ現役使用されている汎用ヘリコプターです。
写真のタイプには武装は無いですが映画本編ではドア横やドアに武装をマウントして運用してしました。マウントに取り付けられた武装はM60機関銃、M134ミニガン、ロケットランチャーなどです。
[[File:M60GPMG.jpeg|thumb|M60GPMG|alt=M60GPMG.jpeg]] |Wikipedia|アメリカ陸軍の装備品一覧よりM60機関銃 |
[[File:NH90 (NH-211) Kokonaisturvallisuus 2015 13 M134D.JPG |thumb|NH90 (NH-211) Kokonaisturvallisuus 2015 13 M134D|alt=NH90 (NH-211) Kokonaisturvallisuus 2015 13 M134D.JPG]]Wikipedia|M134機関銃よりヘリ装着中 |
[[File:M16 Schematic.jpg|thumb|M16サブシステム]] Wikipedia|UH-1ウェポンシステムの図解。ロケットランチャーとM60機関銃のマウント図 |
重武装ながら彼らの火器では密林の巨神にはまったく歯が立ちませんでした。(実際には傷を付けてはいましたが致命傷を与えることは出来ませんでした)ですがこれは村を一つ焼き滅ぼすくらいは造作もない戦力でした。フランシス・F・コッポラ監督『地獄の黙示録』の前半のハイライト。ベトコンの拠点となっている海岸線の村への強襲シーンで見せた火力は映画ファンの間では語り草になっているし、あの時にかかったワーグナーの「ワルキューレの騎行」はその後映画に影響を与え続けています。(この映画でもありましたね。)まあこの村への攻撃の理由がまた酷いんですがそれはまた別の話です。随伴している輸送ヘリコプターはCH-47チヌークとCH-53シースタリオン。どちらも大型のヘリコプターで数多くの物資が運べるヘリコプターです。チヌークは陸上自衛隊でも運用しており災害派遣でも時々その姿を見かけることがあります。
パブリック・ドメイン, Link|画像はWikipediaより|CH-47チヌーク |
結局これらの近代兵器はコングには全く歯が立たないのですが、米軍がその危険性を重視して、B-52がここを爆撃したら…いやそれでも無理でしょうね。全機、あの嵐に阻まれる気がします。もし越えてきたとしてもコングの投擲は成層圏まで届きそうですからB52と言えど撃墜されてしまうかもしれません😓
パッカードのピストル。
サミュエルの叔父貴ことサミュエル・L・ジャクソンが演じているパッカード大佐が使用しているのがコルトのM1902です。このピストルは所謂、コルト・ガバメント(M1911A1)の前のモデルとしてコルト社から発売された大型セミオートマチックピストルです。つまりガバメントのご先祖様という拳銃で、こういうクラシカルな拳銃を使っていること自体がパッカード大佐が時代錯誤の戦争屋ウォーモンガーっていうのを表現していると思います。
By Hmaag - Own work, GFDL, Link|画像はWikipediaより|Colt Model 02 Military |
嵐の中、調査隊の中でもランダだけが進む気満々の中、それでもヘリを飛ばすのはパッカードの命令が必要。そこでランダはパッカードの判断に任せますが、大佐は一時でも長く戦争の匂いを感じていたい人種。だからこそ最初は退屈な任務に見えたものの、立ちはだかる困難には燃え上がり、それに挑もうとする事を見越してランダはパッカードの判断に任せたのでしょう。当然パッカードはヘリ部隊を指揮して嵐の中に飛び込みます。荒れ狂う嵐の中で生き生きと隊を指揮するパッカードはここにしか居場所が無いようなそんなたたずまいを見せます。
コングに襲撃され隊が壊滅状態に陥った時も同様で、敵を見定め、それを殲滅することに目標を定めた男の狂気が垣間見える。そんなシーンで彼はショルダーホルスターからコルトを引き抜きランダにあの動物は何だと尋ねます。そして、奴を倒せるのは騎兵隊(援軍)だけだというランダに騎兵隊は俺だというパッカードはキルゴア中佐と同じく戦争に取りつかれた男なのです。
コンラッドのブローニング。
コンラッドは元SAS、イギリスが誇る世界最強の特殊部隊の一員であったと説明されています。階級も大尉で、大尉と言えば部隊を率いていたという事です。しかし軍を退役してベトナムの密林でサーチ&レスキューなどの仕事を請け負っているという事が語られます。つまり彼もまた戦争に取りつかれた男なのですが、パッカードほど戦争にのめりこんでいない風にも見て取れます。彼が戦地でやっているのは、捕虜の救出や、不時着したパイロットの捜索。つまり人助けという事です。ランダたちがガイドとして雇いに来た時、大金を要求しますが、それは未知の島への危険を外を知らない学者先生への警告でもあったとも言えます。そんなに簡単に行って帰ってこれるものじゃないぞと。そんなコンラッドは劇中、殆どヘリから持ち出したM16A1を構えていますが、サイドアーム(携帯武器)としてショルダーホルスターに拳銃を下げています。その銃は最後まで抜かれることはありませんでしたが、豆鉄砲を撃っても利かない相手に無駄なことはしないコンラッドのプロとしての手腕がうかがい知れました。
ブローニング・ハイパワー/Wikipedia/Askild Antonsen - High power Inglis, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56166253による |
そのコンラッドの下げているピストルはブローニング・ハイパワー(HP)。イギリス軍の制式拳銃で9ミリパラベラム弾を使用し、今でこそ2列式のダブルカアラムは珍しくありませんでしたが、割と早い時期からダブルカアラムの弾倉を備え装弾数は13発を誇ります。元英国軍人らしいチョイスで、ライフルはあるモノを使用しているのでしょうがピストルだけは自前のモノなのではないかと思わせます。まさに拳銃は最後の武器という事なのでしょう。バーチカルタイプのショルダーホルスターから除く木製グリップは使い込まれた色をしていました。
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etc.AK47&M-14
他にもヘリコプター部隊の生き残りがベトコンの使っていたAK47、フォールディングストックを使用していたり、冒頭、マーロウとやりあう帝国海軍のゼロ戦パイロット、ガンペイの使うモーゼルC96などちょこちょこガンマニアをくすぐる銃が出てきます。パッカードのメインアームがM-14ライフルっていうのも、渋いチョイスでした。ガンマニアなら銃を注視しても楽しめるかもしれません。
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Wikipediaより/Soviet AK-47, Type 2A/User:Nemo5576 - File:AK-47_type_II_Part_DM-ST-89-01131.jpg, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=85530008による |
US Air Force from USA - M14 Stand-off Munitions Disruptor (SMUD), Wikipedia/パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56362996による |
Mauser C96 From flickr user handvapensamlingen - Pistols used in Norway./Wikipedia/Askild Antonsen - Mauser C96 7,63, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56166148による |
そしてラストの決戦時には意外な武器が活躍することになりますが、案外この武器はこういう映画では活躍する武器だったりします。ブリー・ラーソン演じるメイソンが構えるこの武器はある意味、定番武器かもしれません。
画像はイメージです。|フレアガン/Wikipediaより|By Krispyap - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60014791 |
信号弾を発射するフレアガン、信号銃です。この簡単な機構を利用した軍用のグレネードランチャーもありますが今回は映画に関係ないので割愛しますが、信号銃も立派な武器になります。ちなみにメイソンのカメラはライカのM3だそうですよ。なんでも彼女役作りもかねて撮影現場、撮影中もスチル写真をとりまくっていたとか。劇中に差し込まれる写真も彼女の撮影したものという話です。
※実はライカのデジカメもあるのです。
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