無間道へ至る道程。|『インファナル・アフェアⅡ無間序曲』(2004公開|香港)|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

無間道へ至る道程。|『インファナル・アフェアⅡ無間序曲』(2004公開|香港)|tonbori堂映画語り

2013年11月14日木曜日

crime movie

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 前作『インファナル・アフェア』ではトニー・レオン扮する潜入捜査官ヤンとアンディ・ラウ扮するマフィアから送り込まれたスパイ、ラウの物語だったが今回はその前日譚となる。

インファナル・アフェアⅡ/ロゴはイメージです
インファナル・アフェアⅡ/ロゴはイメージです
無間序曲/ロゴはイメージです
無間序曲/ロゴはイメージです

無間へ続く道の始まり。

 前作でヤンを潜入捜査官に仕立てたウォン警視(今作では警部)とラウを送り込んだマフィアのボス(今作では組織の幹部の一人)サムの物語とも言える2層構造になった作りでウォンは前作と同じアンソニー・ウォン、サムはエリック・ツァンが演じている。そこに若い頃のヤンをショーン・ユー、ラウの若い頃をエディソン・チャンという布陣。(この2人は『インファナル・アフェア』で若い頃の2人を演じていた)

無間に至る道程/あらすじ

 物語はこの物語が始まる1991年から始まり1997年香港返還までが舞台となる。(前作は1991年から一挙に2002年の現在の香港が舞台だった)警部のウォンが警官になりたての頃やくざの抗争に巻き込まれ先輩が殺されその犯人を銃撃、犯人は生き延び服役後組織の一員となっている話を語る。その相手は組織の新参者の幹部、サムであった。ウォンは新参者の彼を使い黒社会をコントロールしようと考えたがサムはその手には乗らず警察署を後にする。


 だがその夜組織の大ボス、ンガイ・クワンが射殺される。それを命じたのはサムの妻マリーが部下のラウにさせたことだった。彼がそんな危険な仕事をしたのは密かにボスの妻マリーに思いを寄せていたからであり、ラウはサムの命令で警察に潜入することをマリーから聞かされたときも進んで承知する。一方ンガイの死後、彼の次男ハウが組織を掌握。サムを除く4人のボスたちの弱みを握り組織を一夜にして支配してしまった。一方この暗殺事件が元で警察学校の首席だったヤンはンガイの私生児だったことが判明し退学処分となるがそれを知ったウォンはハウの組織にヤンを潜入させることを思いつく。そしてヤンとラウの過去はそれぞれの無間へ踏み出した。で、まだまだ話は続くのだがこの映画はサムとウォンの物語でそれぞれが1につながるまでに経てきた歴史があって1につながるという構成になっている。

キャストについて

 そのサムを演じるエリック・ツァンとウォン役のアンソニー・ウォンが素晴らしい。終始にこやかながらその目に野望を秘めるサム。犯罪を撲滅するためには手段を選ばず友とも衝突するウォン。そしてそれぞれが巨大な闇に飲み込まれ何かが欠け落ちる。それを貫禄と存在感を見せ付けて演じ切っている。まるで上質なクライム・サスペンスと刑事ものを足したようなストーリー友情、裏切り、そして切ない思いと3拍子。もっとも昔は日本映画もこういった映画はあったんだけど(仁義なき戦いやら県警対組織暴力とか)今でもVシネマで頑張っているジャンルなんだけどココまで双方のエッセンスをきっちり取り込み創られると脱帽としかいえない。香港ノワールのいい部分が出ている。


 そいてハウが『ザ・ミッション非情の掟』でアンソニー・ウォンと共演したフランシス・ン。その片腕だけど…実はというロ・ガイをこれまた『ザ・ミッション』のロイ・チョン。この2人がでているだけでも『ザ・ミッション非情の掟』好きにはたまらない。その他にもサムの妻にカリーナ・ラウ、ウォンの親友であるルク警視をフー・ジュンなど脇もガッチリ。そしてドラマに良い陰影を与えている。そしてキョン役チャップマン・トゥもしっかり登場。


 が、どうみてもヤンとラウ、あの2人が5年たったらトニー・レオンとアンディ・ラウになるのは想像つかないって、というより無理(笑)いくら脳内補正をかけても難しいっす。前回の時はまだワンシーンだったからスルーできても今回は出ずっぱりなんだもん。それでも素晴らしいと評価できるのは先に書いたようにアンソニー・ウォンとエリック・ツァン、2人のおかげだということで、ここは一つ(笑)

無間の闇へ

 この無間道Ⅱ(2)は本来2部作なのにチョイ役というか若い頃のヤンとラウの因縁を描くという建前より実は、Ⅰ(1)で退場したサムとウォンをさらに掘り下げていくプリクエルである気がする。おかげで前作にあったエッセンスからはちょっと軌道がずれた感もあるので3の行く末にも若干の不安が残るけど(それは整合性という意味で)それでも重量級の香港ノワールとしてぐいぐい迫ってくる1本であり無間道トリロジーの中段としては立派な作品だと思う。


 またストーリーを前作で主人公を導く役割であったウォン警視とギャングのボス、サムがメインを張ってそれぞれの無間道への道を描いたことでヤンとラウの対立軸が明確になった。ただヤンがその部分でハウの弟設定というのがちょい蛇足な気もしたが…。それでも黒社会でのし上がっていくサム、そしてそのサムを仕留めるため鬼になるウォンはやはりこの無間序曲のまごうことなき主人公だ。実は個人的には一番好きかもしれない。

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※Webtonbori堂ブログに掲載したものを一部改訂再掲載しています。

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