ロードショーファーストラン最終日にやっと時間をつくって最終回に滑り込みセーフで鑑賞できた。結果非常に満足できた1本だった。
悪魔の子は果たして世界の救世主になれるのか?
監督がギレルモ・デル・トロであるというより、なんとなくそのビジュアルがひっかかった。アメリカの悪童のような出で立ちの異形のヒーロー。そして敵はなんともレトロなスタイル。悪魔の子が正義の心を宿して悪を討つ。いいじゃないですか、ダークヒーローというにはあまりも真正直、そんなヘルボーイを父親代わりに育てた老教授。ルックが非常に好みだ。元はアメコミで、作者はマイク・ミニョーラ。デル・トロの『ブレイド2』の美術デザインをもつとめた方で今作でも多数のデザインを起こしている。
『ヘルボーイ』/ストーリー
敗戦色濃厚なナチスドイツはオカルト秘密結社「トゥーレ協会」とロシアの怪僧ラスプーチンによって異界の強大な力を召還し戦局の挽回を図ろうとしていた。それを察知した連合軍は超常現象の専門家ブルーム教授と部隊を儀式の行われる現場に派遣。儀式を寸前で阻止しラスプーチンは異界に飛ばされた。だが異界との扉が長く開きすぎたためになにかがこちらに呼び出された可能性を考えた教授は部隊にあたりの探索させた。そして体色が真っ赤で石の右手を持つ赤子を発見する。それが「ヘルボーイ」だった。
それから60年後、彼「ヘルボーイ」は教授が率いる超常現象調査局「BRPD」のエージェントとして魔物と戦うハンターとして組織のトップ・エージェントなっていた。もっともその子供っぽい性格は直らず独断専行で教授たちは手をやいていたのだった。そんなある日、異界から甦ったラスプーチンとその部下ナチスの女将校イルザ、トゥーレ協会の会長にしてナチスの冷酷な暗殺者クロエネンがヘルボーイの持つその出生の秘密と陰謀をもって立ちはだかる。
怪奇冒険活劇!
これは極めて真っ当な娯楽作品。よく出来ていると思う。ヘルボーイってよく考えれば魔物の属性を持つ者なのに愛嬌があってしかも子供のような物言いをする憎めないヤツ。普通なら異形のものとしての悲哀が強調されるのにあくまで前向きで悩みもするが暗くないってのがいい。キャラクターが立っている。それに周りも半魚人のエイプやサイキックのリズなど一癖も二癖もある人物ばかり。
エイプは半魚人でサイコメトラーでもある。思慮深く冷静沈着しかし液体の中でしか呼吸が出来ないので外出時には液体で満たしたヘルメットなど特殊な呼吸器が必要。リズはその力で迫害を受けていたせいで自分自身に自信が持てない。そんなリズに想いを寄せるヘルボーイはカッコイイところをみせようと一人で突っ走る。だがその後ろで仲間がちゃんといるというのもいい。
ヘルボーイ役ロン・パールマン、まさにはまり役だ。彼無しでは考えられないと監督のギレルモ・デル・トロが言ったのもうなずける。今までの彼の演じている役とはあまりかぶらないが納得できる演技だった。彼自身もこの役は気に入っていると語っている。ブルーム・ブルッテンホルム教授役のジョン・ハートもいい仕事をしており父としての思いがよく出ておりいい感じ。そしてヘルボーイが淡い想いをよせるリズをセルマ・ブレアが演じるがこのファイヤースターター(発火能力者)のリズの方がよほど悩み多きな普通ならヘルボーイがこういう悩みを抱えるだろーって役回りをしているからこそヘルボーイがさらに際立っているのかもしれない。原作ではそれほどの役回りを与えられていないとのことだがここでもキャラをうまく造形し立てたデル・トロ監督には脱帽。
敵がまたラスプーチン(帝政ロシアに暗躍した怪僧でいわくのおおい人物)だったり、ナチス・ドイツのオカルティズムに結びついたトゥーレ協会の殺し屋だったりするのも非常にらしい。彼らが世界を破滅させようとヘルボーイの隠された力を発動させようと暗躍するというのもその後幾多の作品でも引用されているし大元ではないけれど、影響は小さくない。その他にもFBIから出向してきているヘルボーイのお目付け役マイヤーズなどの各人のキャラの役回りがうまく配置されており2時間超の時間を感じさせなかった。ただちょっと溜めの淡白さがあったのが残念なところ。もうちょっとクライマックスにもっていくまでドーンと溜めがあってもよかったかな?とは思うが古き良き冒険活劇のマナーに則った充分満足できる映画だった。
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20191025追記:『ヘルボーイ』新作リブートが作られています。原作者のマイク・ミニョーラが脚本を。しかしギレルモ・デル・トロやロン・パールマンは関わっておらず、キャストも一新されています。果たしてどうだったのか?観てないんですが少し気になっています。
※このエントリは本家ブログ(web-tonbori堂ブログ)よりの転載加筆分です。
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