予想外に面白かったといえば失礼になるか(笑)正直北野作品は全部観ていないし、ここ最近の作品群もご無沙汰している。だが、この「座頭市」は勝新太郎の代表作。それを北野武がどのように料理するのかということと、やはりチャンバラ映画が好きということもあり鑑賞した。
あのビートたけしが座頭市?
お話はわりとオーソドックスな作りになっている。ふらりとある宿場町にやってきた市。村は新興のヤクザ銀蔵一家と扇屋が結託して支配していた。そこに用心棒を引き受ける浪人夫婦、仇討ちを探す旅芸人の姉妹(実は弟)が絡み血の雨が降るという構造。もっともウエットになりそうな部分はバッサリ落としてドライにしながらも(仇討ち部分)淫靡なにおいも(姉妹が実は・・というくだり)させるところは北野監督の真骨頂というべきところだろう。殺陣はかなりスピーディに撮っており流れるがごとくで正統派の風格も感じさせる。
ただ見せ方が今風でCGでの血糊の飛ばしとかもあったがまあまあ最近の流れとしてOK。見せ方は今風だがネタは古典をなぞっているのでそれほど気にならない。それゆえ面白いし今までの作風を少しばかり封印し、得意の過剰な暴力性と娯楽性を少しばかり強めた。それゆえボックスオフィスチャートでも好調だったのだろう。あの北野武が難しい話ではなく分かりやすい(とっつきやすい)映画を作ったという事の驚きもあったろうし何より『座頭市』という名跡は大きい。
音楽
音楽も楽しい。農作業の音を劇伴にあわせるなどは古典的だが殺伐とした話の中でもユーモアももたせるのに勝さんは役者で見せたが芸人たけしは同じ事は出来ぬと色々試行錯誤した結果なのだろう。個人的には鈴木慶一の音楽がこれほどの躍動感をもって迫ってくるところは圧巻でさえある。是非音楽もよく聴いて欲しい。エンディングのタップダンスシーンも古き良き匂いを感じさせる出来になっている。
市はアウトローでありデストロイヤー
北野武監督がインタビューで「市はアメリカみたいなもん」とか「ターミネーター」という発言があったが西部劇でいえば「ペイルライダー」(蒼ざめた馬にのった騎士)イーストウッドなどが演じる名の無い男で神のように鉄槌を下して去っていくものなのだ。このコメントを聞いたときやはりたけしはインテリだなぁと思いましたね、ええ(笑)万人向けの北野映画でしかもベネチアでもしっかり賞を取っているところで映画会社の人たちも安心したんじゃなかろうか(爆笑)
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元記事を改稿掲載
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