魔弾の射手|『ダブルタップ』【鎗王】(2002公開|香港)|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

魔弾の射手|『ダブルタップ』【鎗王】(2002公開|香港)|tonbori堂映画語り

2011年6月2日木曜日

crime Gun movie

X f B! P L

 これをマイケル・ムーアが観ればガンコントロールにうまくプロパガンダにつかわれちゃうかもしれない(苦笑)なんせIPSC(アメリカで生まれた射撃競技の一つでコンバットシューティングの技術を競い様々なシュチュエーションで決められた標的を撃ち、タイムと正確さを競う。)のチャンプが突如乱入してきた暴漢を射殺したことから人を撃つ事をやめられなくなってしまうという話だから。これは銃というより「銃を撃つ」行為に憑りつかれた一人の男の物語。


ダブルタップポスター
画像はWikipedia(英語)より

魔弾に魅入られた男

 今までにもそういう映画はあって、銃の持つ魔力に囚われたというより、一瞬の人の命を奪えるその力に魅せられてしまったというのは、『ブルー・スチール』(ハートロッカーのキャサリン・ビグロー監督作品!)でも描写されていた。ネタとしてはそれほど目新しいものではない。

2011 type handgun with red dot, compensator, thumb rest, slide racker and magwell
2011 type handgun with red dot, compensator, thumb rest, slide racker and magwell

By Pixabay user dirtdiver38 - https://pixabay.com/en/handgun-open-gun-uspsa-38sc-gun-2120183/ archive copyhttps://pixabay.com/users/2109394, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59313228

/Wikipediaより/IPSCのオープンクラスに使用されるレースガン

 主演のレスリー・チャン/張國榮って甘い顔の2枚目なんだけど、前からこの人ちょっとナイーヴすぎるんでは?と思っていた。特に名前が売れてからはそれが強くなったんではと思う。それが彼が自ずから命を絶った事に繋がったと思うと少し残念であるけれど、ただそんなナイーヴな彼の心情が、主人公のリックの心の闇がうまくマッチしていたんではないだろうか?と思う虚無感を湛えた目が印象的だった。

ストーリー&キャスト&スタッフ

 お話は、銃のプロ(ガンスミス)であるリックは自身の射撃の腕を日々磨いて精進していたんだけれど競技会の最終決戦で前述のように暴漢が乱入する。それがライバルの刑事、ミウ警部補の親友だったというのもベタな展開だが、銃を標的に向けることはあっても人に向けることが無かったリックが、日頃の修練の賜物で、刑事であるミウが友人という事で一瞬躊躇した隙に撃ち倒してしまう事から物事が動き出す。この一件でリックは悩みもするが、その時の興奮が忘れられず銃で生身の人を撃つということに取り憑かれてしまう。そして犯罪者を襲って射殺するようになったリックをミウが追いつめるのだが…というあらすじ。


 出演者の銃の使い方等は玄人はだし。それもそのはずで香港の元チャンピオンが技術監修と大元の企画を作ったというだから。マガジンチェンジ、ドロウなど、指導のおかげか見ていてもなかなかに唸らされるものがある。しかし香港でIPSCをしているとは知らなかった。

銃の魔力

 何かに憑りつかれた犯人が出てきて、銃の魔力の罠に落ち最後は自分を止めてくれるものとの対決に向かうという単純な筋だが、ライバル刑事との最後の決闘など観ていてこれは銃のフェチ映画か?とも思う。アドバイザーを務めたIPSCのインストラクター(彼はミウの同僚役でも出演)はインタビューで銃の持つ魔力に引き込まれた者が時としてそういう事を引き起こすことがあると語っていた。それだけに銃を使うものは心しなくてはいけないと。実際小さな鉄の塊が大の男を一発で倒せるというのは、すごい万能感を産むと思うし、そういう意味では銃フェチ映画ともいえるなあ、やっぱり。😅それをレスリーが鬼気迫る演技で引き戻すという。ある意味「ブルースチール」と言うジェイミー・リー・カーティスが主演したサイコスリラーガンアクションの対だなと思ったんだけどどうでしょう?

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 ちなみに(これがあるからブルースチールの対だと思ったんだけど)ダブルタップとは同じところ(要は急所)に2発同じように撃ちこむ高度な技術のこと。レスリーファンとガンマニア向けな映画です。

 余談としてリックを追うミウ警部補役のアレックス・フォン/方中信はこの後、『ワンナイト・モンコック』という映画でも同じ役で出演している。彼はメインではないが陰影のある役づくりでこのミウがここで負った心の傷は大きいのだということ思わせる。機会があれば観て欲しい1本(特に『ダブル・タップ』を観ていなくとも楽しめる作品でもある)

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 そしてその直接の続編ではないけれど鎗王之王(トリプルタップ)という作品が作られている。日本で観たいんだけど…。出演はルイス・クー、ダニエル・ウー。もちろんミウ役のアレックス・フォンも出演(いやミウ役かどうかはわからんけども😅

追記:トリプルタップ、公開はされたが残念ながら未だ未見。DVDが出ている模様。

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