この作品を観たのは『レオン』のジャン・レノが出ている作品だったからだ。マチュー・カソヴィッツ監督の作品は初めてだったが予想より凄かった。まずOPのシーン山の中にうち捨てられた腐敗死体のアップから始まりそれからジャン・レノ扮するニーマンス警視のドライブするBMWが山岳路を現場に向かうシーンの美しさ。何か美しさの中におぞましい何かが潜んでいることを感じさせるこのファーストシーンによって喚起される想像力。こういうアバンタイトルは好きだ。
美しい地獄へ/STORY
フランス、アルプス山岳地帯にある町、ゲルノンはゲルノン大学という大学を中心とした学園都市。そこで全裸で眼球をくり抜かれた死体が見つかる。死体は胎児のような格好で全裸、しかも両手は切り落とされ身体中に傷があった。この猟奇殺人事件に地元警察も困惑する。
パリ警察の二―マンスは凄腕だが一匹狼で行きすぎた行動が問題視されることもある刑事。今回も行き過ぎた捜査で上から睨まれ、半ば休職の形でゲルノン地元警察への応援として派遣されることになる。捜査を始める二―マンスは大学への違和感や地元の眼科医から聞いた話でこのゲルノンには裏があることを確信する
同じ頃、近くの町、サルザックで墓泥棒の事件が発生。捜査にあたったケルケリアン警部補は墓に葬られた10歳の少女を追ううちにネオナチや、過去を隠した修道女に行き当たり、導かれるようにゲルノンへ。そして静かなゲルノンの町を揺るがす秘密が暴かれようとしていた。
キャスト
主演の2人がまた良い。ジャン・レノの歩く姿。捜査中に考える姿いちいち画になっている。そしてちょっと無鉄砲な刑事マックス役のヴァンサン・カッセル。彼のイメージあの「ドーベルマン」が強くアクの強い人だと思っていたけどちゃんと若い跳ねッかえりをやってていいコンビモノになる予感が。だが問題もあってこのコンビ中盤まで会わないんだけど、そこまでやるなら最後の最後まで別々で収斂していくようにしていればさらに良かったんだけどなあ・・・。そして重要な役回りとして登場する女性氷河学者ファニー役のナディア・ファレス。彼女一見地味に見える(失礼!)のですがなかなかどうしてタフでしかも複雑な心を持つと言った役を好演。
静かなる地獄。
全体的には陰惨なイメージと闇に潜む影の使い方が好みだった。人というのはその環境と人の邪悪さによって行動が決定されるということを確信。一つのループがそれによってまた一つのループを生み出す。フランスモノだけど横溝的でもあり、また欧州的でもあるよいヒキがある。まるでゲルノンという町が静かな地獄のような。そんな感じがした。ただテンポが悪く、そうとうダレるところがあってそこがマイナス。多分一般評価的にもかったるいし、何を言ってるのかわかんねえよとか、結局悪いヤツは誰だよという人が多いんだろうな。
ただ先にも触れたけど横溝的というように人の闇と血の宿縁が起こしたものだから、そんなに簡単にいいきれるもんじゃないんだけど。日本が舞台でないと分かりにくいのかって感じがするし、なにより店舗の悪さは致命的、あと脚本が…。でもいいんだYO!おらー好きなんだからYO!ってちょっと吠えてみました(^^;「セブン」や「羊たちの沈黙」とは一味違っている作品として見て欲しいんだけれど…まあそういうことで。とりあえずジャン・レノファンもヴァンサン・カッセルファンも必見だ(笑)
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