生き残るのは誰だ?|『バトル・ロワイアル特別篇』(2001公開|「バトル・ロワイアル」製作委員会)|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

生き残るのは誰だ?|『バトル・ロワイアル特別篇』(2001公開|「バトル・ロワイアル」製作委員会)|tonbori堂映画語り

2011年5月2日月曜日

movie SF

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 さてさて曰く付きのR-15指定となった「バトルロワイアル」未だ原作は読んでいないのだが映画の方はと言うと・・・・面白かったというより流石、深作組といった感じだった。『サトラレ』には無かった生き死にの泥臭さとかヤバイ部分とかが透けて見える作り。ここはやはり深作さんの仕事だろう。

バトル・ロワイアル公開時のポスター(特別篇のではありません)/「バトル・ロワイアル」製作委員会
バトル・ロワイアル公開時のポスター(特別篇のではありません)/「バトル・ロワイアル」製作委員会

立派に生きているオトナや好きに生きているコドモ達へ贈る

 実際子供同士が殺し合うって言うだけで目くじら立てるならスティーヴン・キングの小説の映画で子供達が大人を殺していくという話もあるけどそんなに問題になったと言う話は聞いてないし、なにより麻薬を扱った映画やサイコパスな映画でも影響受けるヤツは受けてしまう。とは言え子供達の事が解らないオトナや大人達が解らないコドモが見るととんでもない映画であると思うオトナやもっと僕たちをわかって貰うにはなにかをしなくちゃと勘違いするコドモが出てくることも考えられる。だが最初に書いたように影響を受けるヤツはどうなってもどう見ても受けるもんだと思う。

深作欣二監督

 作品的にはオープニングからの転回の速さは流石に深作である。畳みかけるように子供達が異常な状況に置かれて追いつめられるのを無駄のない運びで見せていく。ある知人はこの映画を見てこの作品は深作監督の息子さんが影の監督ではと言っていたがそれは作品のテーマ的な部分での足りない部分を補ったり、話の運びであって演出は紛れもない深作欣二のものであった。


 『激突』、『いつかギラギラする日』、『仁義無き戦い』、『宇宙からのメッセージ』等、深作作品の醍醐味は一重にその展開のスピーディさと中盤の一息つく間である。これは昔から変わらない。出演者もビートたけしの起用はかなり正解だったと思う。元々『その男、凶暴につき』で監督をするはずだったとも聞く深作さんならでは。原作では金八先生をパロったキャラクターらしいが深作親分が撮る作品で武田鉄矢では違うと思うし、これが他の監督例えば黒沢清や村川透ならそれもアリかなとおもったが(あと三池監督なら使ってスゴイことになるかもしれない)がこれは深作作品なのだ。

キャスティング

 画面に大きな重しを置くと言うことを考えればこれ以上の配役は無かった。あと無機質なターミネーター桐山役の安藤政信君は引き出しが多い役者にこれから育って欲しいと思う。しかし白眉はなんと言っても山本太郎だろう。正直今までバラエティ系の子だとばかり思っていたがかなり映える役者にいつの間にか育っていた。


 Vシネや他のTVでも新しい役者の躍進は目覚ましいがそこの山本太郎も是非加えても良いだろう。そして柴咲コウ、栗山千明の2人の猛女も熱演が光った。典子役の前田亜季もいつのまにやらお姉さんの愛ちゃんにも勝るとも劣らない女優となっていたのも驚き。これからが楽しみだが実はそれよりもスゴイと思ったのは、女子のシーンであった。


 それはパンフレットにもタランティーノがこれは「レザボアドックス」のリスペクトでは?と脚本の深作健太に尋ね、そうであると彼が言った灯台でのシーンである。内海幸枝役の石川絵里の熱演はティム・ロスとハーヴェイ・カイテルを越えたというのは言い過ぎかも知れないがその他の4人も力演でこれは全編中でもっとも印象に残ったシーンの一つである。全体的にコレぐらいのことこの映画で解る前に解らないのかーと思ってしまったのも事実だがだからと言ってこの映画の言いたいことが解らない人それは全てのギヴアンドテイクのゲームにさよなら出来ない人達だろうよく考えた方がいい。そこに残っていたのは覚悟のないディスコミュニケーションだけだろうから。そうにならないために一度見てみるのも良いだろう。

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