登場人物が殆ど「いいひと」、この映画ほっとさせる映画で力を入れずに見れる。作劇も手慣れておりスペトラ(スペーストラベラーズ本広監督の前作)は見ていなかったが、その前の『踊る』(『踊る大捜査線THEMOVEI』)と比べても遜色はない。と言うより更に磨きが掛かったと言うべきか。
サトラレ/パンフレット/tonbori堂所有 |
踊る大捜査線フィーチャリング相棒(笑)
細かい事を積み重ねて大きなうねりを作っていく手法で最後まで見せてくれるのはホンのおかげか。ちなみにホンを書いたのは戸田山雅司で『相棒』とかを書いている人。だからというわけではないが漫画原作なんだけど割とすっとみることが出来る。まあぶっちゃけ『トゥルーマンショー』なんだけど(絶対あっちと違ってバレてはいけない版だが)共演の寺尾聡や八千草薫の抑えた演技は特筆もので、今の日本映画界の良心といっても過言ではないがやはりキャストに依存しているよなあと感じる。それは本広組御用達の役者さんたちにも言える話で、小木茂光、小野武彦、そしてちょい役だが甲本雅裕、高杉亘、武野功雄等々の面々がいい味を出してことからもあきらか。そして本広作品に欠かせない、松重豊がこれまた作品のテーマに関わる役を短いながらも好演している。
サトラレ
「サトラレ」というのは考えていることが、思念波となって周りの人々に聞こえてしまうという人間を指し、彼らはその異能が故に知能指数が高く素晴らしい才能を持っているという設定で、日本は彼らサトラレを保護し人類に貢献させるているという、それホントどこのトゥルーマンショーみたいな話。なぜ国が管理するのかといえば「サトラレ」が自らが「サトラレ」という事を知ったとき精神的に耐えられなくなるからというもの。
で、思ったのは、これって凄く和な話だなと。ハリウッドなどではどちらかというと読み取る人間が迫害されてエライ目にあってしまうという話になるのが通例じゃないだろうか。まあこれは自分の主観的な意見だけれど。もしくはがちがちに管理してまるで所有物みたいな感じにしてしまい、そこからの人間性の回復がテーマになってくる。
もちろん例外もあるけれど、『解りやすい』と『理解する』とは本質が違うのです。思念が日本語なのでそれを感じ取った人がそれによって影響されると言うことも自然に受け入れられるし、もちろんそのための舞台、背景も作り込んであるけれど、一番はこの作品が日本映画で私たちが日本人だと言うことがこの映画を受け入れやすくしているのは間違いないんじゃないかな。
「いいひと」
そしてもう一つこの本広作品の特徴としてハートウォーミングな作品には悪い人が出ないということ。主要登場人物が例外なくいい人。普通の人レベルで。個性はあるけど皆さん愛すべきキャラクターばかりで。ラストも極めて日本的「良かったね」終わり方とでも言うのでしょうか、そんな終わり方でした。ともあれ日本的感性にピッタリかつ本広色がいい具合に機能している作品。というより本広監督は基本、生き死にの熱さや暑さを描くよりほんわか、じんわり、ニコニコな映画が性に合っているんじゃないかとすごく思うんだけどなあ。まあそんな映画でした。
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