なんとも不思議なサイコサスペンス+サイキックアクション。『フューリー』のようなホラー映画タッチもあるけれどどちらかといえばサスペンスタッチが目立つ作品。
『クロスファイア』パンフレット/監督|金子修介/主演|矢田亜希子/東宝・TBS提携作品 |
ジュブナイル小説の香りがする。
サスペンスタッチなんだけどもなんとなく昔観た、NHKの少年ドラマシリーズっぽさがある。金子監督もリアルタイムで観たのかどうかは分からないので、そこに影響あるのかどうかは気になるところ。力を持って孤独に生きる定めを背負った主人公。そして彼女が得る一時の安らぎ暖かさも全てを破壊する理不尽な暴力。それを制裁するために力を解放する主人公青木淳子。彼女の決意は悲壮で痛ましい。
しかしその裏で蠢く陰謀と彼女に迫る警察。そして・・・と言う具合に話は息もつかせぬ展開を見せるのだが・・・。ちょっと懐かしい設定がそういうジュブナイルな感じを盛り上げている。もちろん同種の作品である『フューリー』や『炎の少女チャーリー』っぽさもあるんだけど。これは日本のそういう空気がそういう風に思わせているのかどうかが気になるところ。
脚本が2つの原作をよくまとめ原作の燔祭とクロスファイアをうまくミックスして彼女の動機の一端とその人格を浮かび上がらせるために原作の良いところを取り出し抽出している。それにキャスティングも中々良い。とはいえ少し盛り上がりというか圧倒的な迫力にかけているのが残念なところかな。
かおりさんの刑事役は実は当たり役なんじゃないか?
女刑事の石津に桃井かおりを持ってくるとはいやはや素晴らしいとしか・・・・。かおりさんの女刑事といえば『女がいちばん似合う職業』で凄い刑事役をやっているが、作品は違うが「アナザヘヴン」の江口洋介の相棒役原田芳雄の刑事ぶりもチェックしておけば良かったと思うぐらいのはまり役だった。(この役どころ作品は違うし性別も違うが性格というか現実主義者という設定が同じ)そして共演者の伊藤英明(「夜叉」の凛と静)、原田龍二、木戸役の吉沢悠などいい男が一杯でその意味でも女性客が多かった。でも実は金子監督は女性が大好きだなと。何故なら矢田亜希子の描き方がもう尋常なく美しかった。これはガメラの時の中山忍や水野美紀、藤谷文子、前田愛の撮り方を見ても一目瞭然だと(笑)
金子修介監督作品として
監督の映画を初めて見たのは「1999年の夏休み」と言う映画でコレにはブレイク前の深津絵里が出てて、と書いていると金子監督は若い女の子好き監督かいと言われちゃいそうだけど、その通りです(笑)だけど演出手腕とセンスはかなりいいものを持ってると思うしツボにはまればいい作品を撮れる人です。確かにオーソドックスな所もあるけれど、それが返って画面を引き締めていると思う。
そして自分の見たかった画に忠実と言うところが前のガメラ3部作でも顕著に出てたし、今回の「クロスファイア」でもあった。それは主人公青木淳子と彼女惹かれている青年多田との別れのキスシーンや警察署でのパイロキネシス発現シーン。そしてラストのタンクローリーの爆発シーン。コレを観るだけでもいいと、はっきりいってココだけは私、不覚にも感動してしまった。正直満点ではないが金子作品ではいい線行ってるのでちょっと評価が低いなあと常々思ってる1本。
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