5月9日発売月刊ニュータイプ6月号と同じ日に『ファイブスター物語/F.S.S』第19巻も発売となりました。第19巻は第6話「時の詩女」のエピソードが2つ、「エンペラーズ・ハイランダー」と「トラフィックス・ターミナル」が収録されています。「エンペラーズ・ハイランダー」は前回からのエピローグであり新世代への舞台転換といった意味合いの強い回で、またお坊ちゃまことダイ・グの短い恋とクリスティン・Vの生き様が決まるまでの回でした。(彼女がフィルモアを背負う宿命を受け入れる)、そして「トラフィックス・ターミナル」はヨーンとデコースとエストの長きに渡る決着の話です。これはまあ結局デコースっていうキャラクターが強すぎた(剣聖ではないけれど)っていう事に尽きるのではないと言う気がしました。その分生え抜き、たたき上げと呼ばれトラフィックスでやっと登場したキャラクターであるヨーンが割を喰ってしまったかなと言う印象です。それでも作者であるくりす(永野護)の想いはアイシャとセットであって、表紙はアイシャだし本編読んでも、ヨーンの成長譚の最終章でありアイシャがアマテラスと離れる(決別とかそういうのではなく一線を引く、表から去るなんですが)のかと思っていれば(DESIGNS4の個人年表で)やっぱり全巻登場は(本当にジョーカー星団から去るまで)するためにそうなりますかと(まあそこはある程度予告されていましたが)いう思いもありますが長きに渡るエピソードの決着とデコースの生き様を見届けた事は満足しています。という事で個別ポイントを見てきましょうか。
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| ファイブスター物語/F.S.S第19巻/KADOKAWA刊 |
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TwoCollarSwords:カバーイラスト
結局全巻登場する人アイシャ・コーダンテいやさ最後に従帝大宮メル・グランド・バーミリオン(紅袍)・天照を名乗ることになった(とは言え本編ではずっとアイシャでしょう)が表紙です。ミラージュのガットブロウ、色はバーミリオンとグリーン。それは2騎の大量殺戮兵器であるあの規格外GTMを指しているものだと思います。こちらの原画はDESIGNS池袋会場でも先出し展示され見てきました。原画だとやはり細かいディティールや画の持つニュアンスの重みが違いますが、それでもこの表紙クリスでもエストでもなくアイシャというのが面白いですね。もちろんエストもクリスも既に表紙になってる訳なんですけど、表紙は先の事を描く場合も?(絶対ではない18巻はチャンダナだった訳ですし。もっとも未来の彼女?かもしれませんが)みたいなことを考えると従帝大宮としてスタント遊星攻防戦の時のアイシャ様なのかなと少し思ったりもしました。
裏表紙:三つ巴紋(黒騎士)
ご存知黒騎士のマーク、三つ巴紋。街で三つ巴みると黒騎士だ!ってなるぐらいなんかもう三つ巴は黒騎士ってはや40周年。確かこのマークはドラクーン候が付けてたのが初出ですけどその後グラード卿もこのマーク付けてるキャラシート出てたかな?そして今ではすっかりデコースの紋ですが、そもそもはエストの紋でもあるわけで(ダッカスと)そういう意味では黒騎士の定紋なんですが、今回はデコースのというのがしっくり来る裏表紙紋でした。
エンペラーズ・ハイランダー
ダイ・グの最後とジークの帰還、そしてクリスとダイ・グのあまりにも短いひと時。そしてエンペラーズ・ハイランダーへと、クリスティン・Vこそがフィルモアであるという。この後紆余曲折まだありますけれど、『花の詩女 ゴティックメード』のエンディング・カーテンコールへとつながっていくわけですがここに関しては円卓の騎士が出てきてちゃぶ台返しってのはある程度お膳立てされていたのでそうなるだろうなと想像していました。強固なシステムとしてトリハロンが構築した二重帝国であるフィルモア、そして暴走を防ぐための元老院と、バルバロッサが長い年月の末に歪を起こした(どんな制度でも歪は起こるし最良のシステムはやがては疲労するものというのは人の歴史でも繰り返されている事)、そうなったときの専制君主制もあくまで安全弁でしかなく危急の時のシステムでしかないという事は作者もそう思っているのだろうなと。実際にそのシステムの甘い誘惑で身を滅ぼしたという事例は世界中にいくらでもあります。もっと言えばこのジョーカー星団では殆どの国が専制君主制が立憲君主制なんですよね。連邦制を敷いてるトランでも君主(領主)など小さい国が集まってという感じだしと脱線しましたが、基本的にノブレス・オブリージュが浸透している世界観なので(もちろんそうでもない俗物、または少し違った意味でみている連中もいますが)酷いことにはあまりなっていませんが、カラミティゴーダーズの崩壊を前にどうやってダイ・グの想いを実現していくのか、若き2人の苦闘とそれを支える人たちの戦いはまだこれからという感じでしょうか。
その割にはバシル大王、壁どころかあっさり言霊にやられてるし、なんじゃらほいって感じだけどアドーはアレで失脚なんでしょうかね。小物の意地を見せてほしいところです(;^ω^)
トラフィックス・ターミナル~終着駅
これについては前回の18巻でも『終わりの始まり』に書いたように「ロバが旅に出ても馬になって帰ってくる訳じゃねえ」by『イノセンス』のバトーの台詞、です。(元々は西洋の諺だそうですが出自不明過ぎてネットでは元が追えていません)ファティマの魔性に絡めとられたならまだしも結局パルスエットの想いを胸にというのは…。なんだろうかなあって少し思うところもあるけれど、エストをパートナーにして黒騎士の銘を取らずにダッカスを駆るミラージュ騎士とは?っていうのはありますね。その辺りは連載時に書いた感想の通りで単行本になってもやっぱりそうだよなという話で、だから「高め合う」愛ではないし、どちらかというと絡めとられた愛、というかなんだろう一流の騎士の腕は持っており「黒騎士」直系ではあるのだが…。みたいな感じですよね。
これは結局、3代目黒騎士デコースが作者の思惑からさらに動いて大きくなったからかもしれません。元々デコースが3代目黒騎士になるのはヨーンの登場と同じぐらいに古くから決まっていたことなんですが、登場するたびにどんどんその存在感が増していき、2代目ロードス・ドラクーンを倒した時やその後のスポットで現れるたびに印象を刻んでいった騎士になっていきました。悪人ではあるけれど自分に忠実、そして誰にも縛られることなく好きに生きた。彼こそが騎士であるという。パルテノがまだ赤子であるベルベットに語った「騎士の生き様」というのは多分、多くの騎士が実は国家や民のために多くの見えない枷に囚われておりそこから抜け出した者であるというところにあるからだと思います。もちろんいい悪いは別にして。だから魅力的だし危険でもある。その分ヨーンが割を喰っちゃったしってのもあるのかなとは思いました。(彼はパルスエットの死の責を含め天照の剣になることを選んだ訳だし。そういう意味では叩き上げのミラージュ騎士という線はあるんでしょうが。)
アイシャ・コーダンテ
「トラフィックス・ターミナル」はアイシャ・コーダンテにも一つの区切りをもたらしました。それは従帝となったこと。つまりヨーンがミラージュ騎士でありながらも黒騎士に絡めとられた騎士であるようにアイシャ・コーダンテも天照の傍に居続けるという事が決定的になったという事。ただしアイシャの場合はラキシスのように添い遂げることは出来なくとも、以前のように恋慕の情ではなく引いた立場でこの先も生ある限りA.K.Dとともに有り続け、どちらかというとワスチャ(ちゃあ)が舞台を引き継ぐのを見守るのかなと。(そうちゃあの事があるからプロムナードのエピソードでヨーンの去就もそこで決まりそうな。となればジークの嫁の話もとかなるのでそこはまた決まったら以前のエントリの増補版を書かないといけませんね)
第20巻
前回この第19巻は前の第18巻と対になるとは書きましたけどそれぞれがエピローグ的な要素を持ちながら「エンペラーズ・ハイランダー」はまさにその構図を持ち、「トラフィックス・ターミナル」はエピローグでありながらも3代目黒騎士デコース・ワイズメルという稀代の騎士の生き様を描いたなと。そしてエピローグとしてはアイシャ・コーダンテは一つの区切りをつけながらもこの先も物語に関わり続けることが決まったなという感じです。そして、今本編では魔導大戦の終わりに向かって話が進み、今のハスハ解放戦からの「44分間の奇蹟」そしてカーマントー解放戦と様相がまた代わってくるかと思います。今から20巻を楽しみにしたいところですが…40周年だしリブートそろそろ公式アナウンス欲しいところですね。ということで20巻は再来年?な感じだとは思いますので皆様、もちろん自分もですがそれまで世の中ごたごたしてきましたが息災で次の巻まで息災に過ごしましょう。




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