巨大ロボットのある風景|「日本の巨大ロボット群像」展/京都文化博物館-Web-tonbori堂アネックス

巨大ロボットのある風景|「日本の巨大ロボット群像」展/京都文化博物館

2024年7月7日日曜日

anime FSS ROBOT toy

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 「日本の巨大ロボット群像」展/京都文化博物館、初日に観覧してきました。初日に行ったのはTwitter(X)でフォロワーさんが企画展のキュレーターお二人による記念講演会が初日に開催されるということをツイートされていて面白そうだなと思ったからです。もともと観覧には行こうと思っていて前売り券も買ってあったのでそそくさと祇園祭で祭りモードな京都へ向かいました。

「日本の巨大ロボット群像」展/京都文化博物館
「日本の巨大ロボット群像」展/京都文化博物館


記念講演会/玩具プラモから見るロボットアニメ、マジンガーZからガンダム、そしてファイブスター物語へ

 ファイブスター物語ファンとしては物足りなさも確かにありましたが企画展の内容と鑑みて併せるとなかなか興味深い内容でした。マーチャンダイジングと関わる事でのロボット、そこからアニメ企画などが密接にリンクしつつブームが産まれ収束しやがてマーケットが定着していく様を鉄人28号から60年余、振り返ってみるとロボットと玩具、プラモデル、ガレージキットとその誕生から成長、成熟までを振り替えりつつ語られていて面白かったです。


 講演者は本企画展のキュレーターである山口洋三氏と五十嵐浩司氏のお二人。実は本企画展にはもうお一人、廣田恵介氏という方がキュレーターとして参加されていたのですが2023年、この『日本の巨大ロボット群像』展の記者会見後に急逝されたためもしご存命なら当然参加し3人による講演会となったと思います。(もしかするとSF大会の星雲賞を受賞したのでお三方のうちお一人が授賞式に(ちょうど授賞式の日程と重なっていたとか)出席されどちらかお二人のに結局なっていたかもしれませんが)少々、脱線してしまいますがtonbori堂は廣田さんのTwitterアカウントをフォローしておりその発言は緩くチェックしていました。そもそも片渕須直監督推しになったのも廣田さんが『マイマイ新子と千年の魔法』を強く推しておられてそれを目にしたからです。時には慇懃無礼なものいいもあったしキツイものいいだなと思った事もあったけど芯のブレない人としてその言葉に力のある人だと思っていたし、近年もプラモシーンでも雑誌のエディションなどで活躍されていただけに亡くなられ事は早逝だと非常に残念です。


 講演会についてはそれこそ鉄人28号のモーターライズ歩行の玩具(アニメ放送以前で実写ドラマ化の後に原作漫画人気にあやかり発売されたのではないかというお話でした)から始まり、ポピーからマジンガーZのジャンボマシンダー(いとこが買ってもらってました、ちなみにtonbori堂は変身サイボーグでした)と超合金のリアル指向へと。もちろんそこにはプレイアブルなギミックとしてロケットパンチや腹部ミサイルなどなどが付けられて子どものごっご遊びに変化をもたらしていったこととかがお話にありましたがその後の鋼鉄ジーグも、まず磁石ありきというのは、面白い話で結果関節のポージングに対しての自由度が手に入ったのは面白い話でした。ちなみにtonbori堂の友人も持っていましたね。アタッチメント交換出来るのが売りでしたがこのギミックは今も武装を変えられるということで残っていますよね。

クローバーのガンダムDX合体セット
クローバーのガンダムDX合体セット、実際には売れ行きは好調だったにもかかわらず発売が時期を逸したとか。/「日本の巨大ロボット群像」展展示品


 そこから時代はロボットアニメブームの80年代。これはガンプラ誕生の年代とも合致するんですけれどその後のブームを牽引した日本サンライズ(現在サンライズ/バンダイナムコフィルムワークス)のダグラムのプラモデル展開、(これは確かにコンバットアーマー全種のみならず支援メカのトレーラーから装甲車、ジープ、攻撃ヘリまでタカラから出ていました)に対しリアルを追求した完成品トイ、デュアルモデル(タカラ)があまり売れなかった事は確かにプラモデルより値段が高くて手が出なかったなと。これは講演会では触れられていなかったけれどその後バンダイでもリアルな完成品トイがエルガイムで出ていたけれどやっぱり一時動きが途絶え今超合金やそのながれを組むハイメタルシリーズになっていることを思うとやはりあの時の事が連綿として続いているんだなと思う面白い講演内容だったかと思います。その後の展示内容にもああなるほどとなりました。

巨大ロボットのある風景

 鉄人の誕生から60年、日本のアニメでは巨大ロボットというのはロボットものという一大ジャンルです。それらの歴史や、ギミックの進化、それらのキャラクター性から巨大ロボットとはなんぞやという事を紐解いていく展示内容になっていて、なかでも白眉だなと思ったのはスタジオぬえの宮武一貴さんの2枚の壁画です。ある意味大きな鉄人であり、まるで神像のようでもあるその壁画は70年代を象徴するロボットと90年代を象徴するロボットがそれぞれ描かれています。これを観ただけでも木戸銭分はしっかりもらったなという想いなんですがスタジオぬえがフィーチャーされているのも良かったですね。tonbori堂はF.S.Sネタをよくアップしている星団民ではあるんですが、同時にマクロスを初めとするスタジオぬえの関わった作品も好きですし70年代から80年代のアニメを語る上でスタジオぬえははずせません。特に宮武さんはその世界までもデザインできる方です。その発想力も面白いし見えているものがちょっと我々と違う感じも凄いなと思うデザイナーのお一人です。また同じくスタジオぬえのデザイナー、イラストレーターの加藤直之さんのイラストを拡大したパネル展示もあり非常に見ごたえありました。

『宇宙の戦士』のパワードスーツ/スタジオぬえを代表するデザイン/「日本の巨大ロボット群像」展展示品
『宇宙の戦士』のパワードスーツ/スタジオぬえを代表するデザイン/「日本の巨大ロボット群像」展展示品

床面いっぱいに描かれたガンダム/「日本の巨大ロボット群像」展展示
床面いっぱいに描かれたガンダム/「日本の巨大ロボット群像」展展示


 また実寸のスタンディや床面に描かれた実寸ガンダム、これらは写真に収めることが出来るので何枚かは抑えてきました。これはキュレーターの廣田さんが提唱しアニメと同じく平面でそのサイズを体感してほしいという想いからだそうです。確かにTV画面からではその大きさは背景画や手前に配置されたキャラクター、セルに描かれた背景(Bookというそうです)それらによって感じるものであり、これはなかなか面白いと思いました。もちろん立体物は立体で良さがありそれは入館してすぐに紹介されているんですよね(横浜の動くガンダム、実写パトレイバーの98式、神戸、新長田の鉄人28号、稲城長沼駅のATM-09スコープドッグ、映画ガンヘッドのためにつくられた実物大モックアップ、イベント用に製作されたマクロスFのVF-25機首部分)それを動画で紹介(パトレイバーだけ模型がありました)というのも平面を見て想像してほしいという事なんだろうかとそういう事に想いを馳せました。実写作品での立体物とアニメーションでのロボットは似て非なるものとはいえそれらをつなげるのは受け手の想像力である。そこが試されているのかという感じでした。

巨大ロボットの魅力

 巨大ロボットの魅力は今回この企画展を見たうえで思ったのはやはり鉄人、マジンガー、ゲッターの系譜「カッコいい」「非日常」が大きいなと思いましたが、そこからさらにガンダムのモビルスーツ、ボトムズのアーマードトルーパー、マクロスのバルキリーという世界観の一つを成すという部分が自分にとっては刺さる部分かなと思います。そこでtonbori堂の推しである『ファイブスター物語』はどちらも兼ね備えているというのが浮き彫りになった気がします。今回永野護というクリエーターにもこの企画展では1コーナーを割かれおり巨大ロボットの系譜としても重要なポイントを持つという位置づけです。それは内部メカに関する言及された第6章でフィーチャーされている事からも明らかです。先行者である大河原さんやスタジオぬえからさらに突き詰めたメインメカデザインをつとめたエルガイムのデザインラインは新しい表現を拓いたと感じたものです。ムーバルフレームなる造語はその後Zガンダムにも導入されましたし、マジンガーZの持つ神にも悪魔にもなる力とモビルスーツのような兵器としてのリアリズムを持つモーターヘッド、それを捨て去り新たなロボット、ゴティックメードを産み出したというのも新たな先導者という風にも写ります。そんなことを考えた企画展でした。

リンク|「日本の巨大ロボット群像」展公式サイト

※ガンダムネタからこちらスタジオぬえの面々も関わったガンダム・センチュリー、ガンプラ、MSVなどもここから来ているものが大きいです。/ブクログ/Amazon

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