Netflixのオリジナルシリーズアニメ。『GAMERA -Rebirth-(ガメラ リバース)』が配信開始されたので早速観ました。初見時、CGキャラクターの動きが気になるところが幾つかあったりしたんですがお話は良かったし、ガメラと怪獣の対決は良いものでしたね。特に観たかった画があったのでかなり満足度は高いです。物語の設定が1989年というのも面白い。まだTVはブラウン管だし、スマホはおろか携帯も普及していない時代。何故この時代設定にしたのかは、子どもたちの動機付けのためだと思うのですが、ちょっと懐かしくも感じます。秘密基地や大人には内緒の計画。そこに今のような子どもでも普通に使える通信手段がないというのがきっかけになっているのは面白いと思いましたが、これに気が付く人がいるのかな。それと現代社会への警鐘という平成ガメラとガメラは子どもの味方であるという2つの要素のミックスは良かったと思います。ということでざっとした各話の感想とまとめのインプレッションを書いてみたいと思います。
※ということで『GAMERA-Rebirth-』の内容に触れますので【ネタバレ注意】とさせて頂きます。何卒ご鑑賞後かまたはそれをご承知の上でお読みください。
第1話『東京上空』
このサブタイトル、あ!と思いました。と、思っていたらジュンイチが「オーラバトラーだと言いたいのですが」と言う丁寧さ。ここは別に知らなくとも良い話ではあるんですが『聖戦士ダンバイン』第16話と同名タイトルで最初「!」となりました。同じくF-15が登場してるし、登場人物にオーラバトラーとまで言わせるとは。89年という記号は今は1989年です!とはっきり明言するのではなく彼らの生きている時間がそうであり、それらは数々のガジェットや背景から読み取れるようにしているのですが、画面の解像度か高い分、令和の解像度で昭和を見ると違和感があるなと感じます。分かりづらいかもしれないけれど風俗、服装ではちょっと分からないのは残念だったかなとは思いましたね。でもスマホという便利アイテムが無いからこそのボコ達が無線機にご執心だったのとかと分かるし電機店(無線と書いてあるのも当時無線機とテレビを両方扱う個人店は普通にあった)にあるテレビはブラウン管というのも年代を示すものではありました。
最初の対戦はガメラ対ギャオス。レジェンダリーモンスターバースに登場する組織モナークのようなユースタス財団のフィリピンの地下発掘現場でのギャオス遭遇から海を渡って襲来する群れ。F-15イーグルを屠る超音波メスなど平成ガメラからの引用も見られ太古の人類の残した負の遺産とそれから人類(主に子ども)を守るガメラ。子どもを守護するというのは昭和ガメラの引用です。それは良いなと思いました。ただ米軍がどういう理屈で日本国内での戦闘行動に出ているのかは気になるところで日本政府の要請ではなさそうだしユースタス財団からだとしたらどれだけの越権行為なのかと。あまり説明しすぎるのもバツですが、説明しなさすぎるのも引っかかります。なのに説明過多だと思える部分もあるのが余計にバランスが悪いなと感じる事もありましたがそれを吹き飛ばすほどの怪獣とのエンカウント、戦闘はよく出来ていたと思います。これはやはりCGの恩恵でしょう。
第2話『地下水道』
第1話はアニメのサブタイトルからでしたが、第2話は、アンジェイ・ワイダの『地下水道』という第2次世界大戦でのポーランドでの抵抗を描いた作品のタイトルを引用しています。主な舞台が下水道になる事からの引用だとは思いますが、怪獣ジャイガーに対する人間の抵抗にもひっかけているのかな?それと子どもたちが初めて能動的にガメラを人類の守護者と認めたのも抵抗者としての始まりともとれます。財団の不可思議さ、いや怪しさも倍増していきますが、子どもたちをアテンドするタザキとエミコの凸凹コンビ感も面白い感じですね。如何にもな優しいお姉さんのエミコと、子どもは嫌いだと公言し無駄な事はしたくないという合理主義者なタザキ。でもタザキは結局子どものためにあれこれ世話を焼いちゃう、根は悪い人ではない、けど打算的だし利を取る実に大人らしい大人です。そういうキャラクターの対比感が徐々に出てきたのもこの2話から。そして子どもたちも司令官のドラ息子であるダグラス(ブロディ)が加わりひと夏の冒険が加速していきます。子どもたちだけで怪しいところを先回りしてピンチに陥るってのは一種の定番ですからね。そこに引っ張りこむための導入役でもあるブロディが司令官の息子であり基地内での話を仕入れやすいというのも展開のためっぽいなとは思いますがお膳立てとしては十分かと。
ジャイガーに関しては懐かしい怪獣で、子どもの頃の夏休み期間、甲子園が始まる前と終わった後の夏休み子ども映画劇場的な番組がよく放送されていましたが、そこでゴジラシリーズとともに松竹のギララ、そして大映のガメラもよく放送されていました。最初の頃は最初のガメラも放送されたり、若干大人向けの話であったガメラ対バルゴンもあったんですが小4の頃ぐらいからはギャオス、ギロン、ジグラ、バイラスの登場する作品とともにジャイガーの登場する話が多くリピートされていたように思います。中でもジャイガーは大魔獣とタイトルにあり、物語の主な舞台は万博が開催される大阪だったのです。ジャイガーは古代に封印された大魔獣。この作品ではトカゲの怪獣扱いですが低空飛行も出来るし、毒針だったあの尻尾は実は産卵管でもあったりとかなかなかヤバい怪獣でした。今回も尻尾の毒針は活躍していましたけど尺の関係でガメラに完全撃破されていましたね(;^ω^)
第3話『深く静かに潜航せよ』
第3話も映画タイトルからの引用でこれは有名な潜水艦映画から。対する怪獣は深海怪獣ジグラです。舞台が海だからこのサブタイトルなのかと思えばこれがちゃんとあるギミックに対応しているんですよね。とは言えいささか中二病感が溢れる感じがしないでもないですが、舞いあがるジュンイチや、何故かノリノリのボコに一人弱気なジョーなど仲良し3人組にも温度差があったり連続ものらしい引きを作ってありましたね。今回の目玉はなんといってもジグラです。元になったジグラは水棲宇宙人なのですが、水圧の関係で巨大化したという設定があります。深海の強力な水圧にさらされていたのが地球の水圧でその体積が膨張した?という話ですがこちらは元から巨大な水棲怪獣で、エイのような平たい体型で水中を高速で移動する怖ろしい怪獣で、超振動を利用した衝撃波を攻撃に使うという怪獣というより攻撃型の生物兵器といった風情を持つ怪獣です。
また子どもたちを保護し検査する名目で与那国島近辺にある浮きドッグ型のユースタス財団の基地へ向かう際に財団の調査船セルケト号に搭乗することでジグラに狙われるというお膳立てもいいんですけれどその後セルケト号が襲われた際にタザキが取り乱し(後に閉所恐怖症だと分かる)、セルケト号の奥の手がそれだったのか!となった時です。このネタはサブマリン好きにはちょっと刺さりましたね。ちなみにセルケト号はオーバーテクノロジーの(当時の水準から)塊で、ちょっと『スプリガン』のアーカム財団っぽさも。そういうところで実は古代遺跡からのオーバーテクノロジーでなんかやらかしててそれで米軍というか上層部にという感じが強くなりました。
前半戦:まとめ
ということでここまでが前半戦。最初は小学生の最後の夏休みの物語が、遥か太古の災厄が復活し巻き込まれていくというスタイルで正しくジュブナイルな物語であり、また平成ガメラと昭和ガメラのいいとこ取りな設定、背景、そしてストーリーだと思いました。その上でやっぱり初見時のCGの動きとか硬さに関しては、ちょっと頭をひねるところもあり、これならセルルックでも良いのではと思いつつ海外ではこの硬さも味になるのか?とか思ったり。キャラデザインはセルルックを意識しているので余計に混乱しましたがガメラ怪獣のリデザインとその動きに関しては文句なしです。画作りも凝ったシーンも多くなかなかに見せてくれるなと思いつつ、日本側の動きが自衛隊とかタザキがこっそりリークしている政府の偉い人あたりなのが、子どもメインだし仕方がないのかなというところでしょうか。それでも第3話の描写は普通に燃えましたけどね。ということで次のエントリで残り3話のレビューをしたうえでまとめの感想を書きたいと思います。もう少しお付き合いのほどを。
※ムービーモンスターシリーズ ガメラ(2023)/(リンクはAmazon)/既に売り切れ状態でマケプレから出ているものばかりでやはり新規造形ガメラの人気の高さを感じます。
※ムービーモンスターシリーズ ジグラ(2023)/(リンクはAmazon)/昭和ジグラからもっとも形態の変った怪獣。まるでエイのような体躯での水中巡行形態をモデルアップしていますね。
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