『ハート・オブ・ストーン』雑感/感想/tonbori堂Netflix鑑賞記【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

『ハート・オブ・ストーン』雑感/感想/tonbori堂Netflix鑑賞記【ネタバレ】

2023年8月30日水曜日

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 Netflix鑑賞記録として今回は今月配信開始(2023.08.11)されたガル・ガドット主演『ハート・オブ・ストーン』について思った事などを書いてみたいと思います。特段リストに入れて無かったけれど、ある日『タイラー・レイク2』を再見しようと立ち上げるとトップに表示され、ああもう配信開始なのかと思いそのまま鑑賞。で、ファーストインプレッションとして思ったのはこれは『ミッション:インポッシブル』の二番煎じだなと。独立性があり世界の、どの国家にも属しない機関が世界の平和を人知れず調整するなってのは新谷かおる先生の漫画『バランサー』からこっち山のようにある訳でして。でもこの映画の良いところはガル・ガドットがカッコいい。そしてこの映画の話はこの映画で決着するというところが気に入りました。これは『デッドレコニング』がPART1でまだ続くんかーいってなってる気分も否めませんが、それでもガルが大活躍なこの作品、世界各地でロケ(ハリウッドのストライキ前に)&キャストも国際色豊かって事で今後のNetflixの人気シリーズになりそうです。ということであらすじのあと思ったところを書いてみたいと思います。

ガル・ガドット主演『ハート・オブ・ストーン』予告編/Netflix Japan/YouTube


ハートを守れ/ストーリー

 MI6の新人IT専門官レイチェルはチームとともにイタリア・アルプスのロッジで行われる武器商人マルバニーの密会を急襲するために現地に赴くが、謎のハッカーに妨害されロープウェイでマルバニーを確保した工作員のパーカーを麓の駅にマルバニーの手下が待ち受ける事に。同僚のヤンとベイリーが車両で向かうがその前にパーカーに危険が。すると残されたレイチェルはロッジからゲレンデを滑り降り、何者かと連絡を取り合い最短距離を突き進む。


 レイチェルはMI6に潜り込んだ世界の均衡を守るために各国の諜報部員たちが垣根を越えて国家の枠を超えて活動する秘密組織チャーターの一員で「ハートの9」と呼ばれる工作員だったのだ。彼女の今回の任務はマルバニーをMI6の確保させその企みを暴かせる事。ヤンたちより先回りしてマルバニーの手下を倒すレイチェルだがマルバニーは青酸カリで自殺していた。チャーターは量子コンピューター、「ハート」によりリアルタイムで各国のオンライン上にあるコンピューターにハッキング可能で、その予測能力で世界の均衡を保つために各国にメンバーを派遣し活動している。レイチェル・ストーンはハートの指導者(キング)のノマドに見出され訓練を受けたトップエージェントだった。


 作戦は失敗してしまったがハートの情報から作戦を邪魔したハッカーはインドの富豪が集めた孤児の中でも優秀なハッカー、ケヤだと分かる。その富豪とは既に袂を分けており、現在はフリーのケヤだが単独での仕事とは考えられず背景を突き止めるため彼女の確保が最優先となる。そして「ハート」の情報からケヤはリスボンに潜伏していることが分かる。しかしセーフハウスに突然襲撃が。作戦は罠でありレイチェルたちはピンチに陥るが作戦支援を行うハートのジャックの忠告を無視してレイチェルはパーカーたちを助けるために正体がバレるリスクを冒して彼らを救う。危機を脱したレイチェルたちだったが、突然パーカーがヤンとベイリーを射殺しレイチェルに毒を注入する。パーカーが真の黒幕だったのだ。彼の目的はケヤと手を組みチャーターの力の源泉「ハート」を奪う事。 チャーターのPCへ侵入する手段としてレイチェルに毒を仕込んでチームの本拠地に連れ戻させたのだ。体内に仕込まれたカプセルでネットワークに侵入され「ハート」を場所を特定されてしまった。


 仮初とはいえ仲間を救うためにこの事態を招いたレイチェルにノマドはスパイとして不適格として謹慎を命じる。そしてその間にもパーカーたちは「ハート」の設置場所へと近づいている。ノマドは他のチャーターの指導者、クラブ、スペード、ダイヤのキングと対応を協議するために密会し、パーカーの背後を知る。パーカーはチェチェンの反政府勢力への武器を供給する秘密任務に当たっていたが政府側に罠に嵌められた。政府側に武器が渡る事を危惧したチャーターが近辺に展開していたドローンで付近を爆撃し九死に一生を得たのだが、その時にチャーターの存在を知り復讐を企んでいたのだ。


 ケヤのハッキングにより「ハート」を収めた無人飛行船ロッカーが高高度から高度を落としていることが分かり、レイチェルは謹慎を無視してパーカーたちを独自に追う事を決めた。果たして「ハート」をパーカーたちの手から守る事が出来るのか?レイチェルの戦いが始まる。

ミッション:インポッシブルmeetキングスマン

 最初は何がどうなっているのかは分かりづらいところがあるんですけど(誰が敵で、何の目的か?が分かりづらい。)ガル・ガドットが現場工作員ではなくIT支援のフィールド・エージェント(ミッション:インポッシブルのサイモン・ペッグ演じるベンジーと同じ)ってところが既に、いやいやそれはないでしょ感が。当然の展開ではありますが、彼女が動き出すと話も動き出して、別の機関の潜入工作員だということが分かり、たった一人で敵を倒す辺りはミッション:インポッシブルっぽさがありますね。またどの世界の機関とも違う別の動きをしているという点では『キングスマン』にも近い感じがありますが、キングスマンはその歴史が語られ、第一次世界大戦にその組織の誕生があると示されました。チャーターはそれよりも新しい感じがします。「チャーター」は世界の広範囲に及び組織の心臓とも言える「ハート」を擁しそれの運用を行う実働機関ハート以外にもトランプのマークであるスペード、クラブ、ダイヤがあるんですが冒頭、MI6のベイリーが「引退した情報機関の者たちが」と言っていたので暴走する世界情勢を憂いた現場の管理職が組織を離脱して、または組織に身を置きつつも偽装して組織を運営しているのかなと妄想しました。この辺りはIMFっぽさがありますよね。その中でもハートは特にIMFのように独立部隊として各種任務に就いているという感じでしょうか。そういう背景の感じはキングスマンやIMFより面白いなと思いました。確かにイーサンとかバックアップしてくれるメンバーは何時も少数だからこその、スリルとサスペンスなんですが反面、いやいやそれはないでしょ(^^;となることも多い訳です。もちろん頭数が多ければいいってもんじゃありませんし、この『ハート・オブ・ストーン』でも圧倒的に優位に立てるアイテムが奪取され組織は壊滅に近い状態という事でレイチェルの孤立感を高めていますしそこは盛り上げて行ってると思います。


 それとともにレイチェルとハートのキングことノマドとの関係性も弟子と導師という感じでこういった作品の定番の関係性があるのが良いですね。これは『ミッション:インポッシブル』より(M:Iではどちらかと言うとフェルプスという旧シリーズ(演じてる人は違うけれど)を親殺しをして新シリーズを立ち上げた感があります。)『キングスマン』シリーズの体裁に近いものがあります。でも『キングスマン』のようなオリジンストーリーではなくレイチェルとノマドの関係性は既に出来上がった感じで警察モノでよくある無茶をする刑事と課長みたいな関係性を感じますね。その関係性も魅力的に映りました。その分、ハッカーのケヤとレイチェルの関係性も最初は敵と味方ですが、両親を殺した富豪に育てられハッカーとして使われていたもののそこ飛び出て復讐に燃えるという役ケヤは無鉄砲な若者で暗い過去を持ちつつも正義感があり、違法ではあるけれど間違った事には与したくないという青二才なケヤの導師的立場としてのレイチェルとなりその対比も良かったと思います。ちなみにケヤを演じたインドの女優アーリヤー・バットは若い人かと思っていたら30歳。童顔なのかと少し驚きましたが子役から活躍している方でなるほど達者で当然だなと思いました。

シリアスなトゥルーライズ

 それと最後まで観て思ったのは『トゥルーライズ』ですね。ストーリーとかじゃなくてバックアップ担当の人が面白いという部分。確かに『ミッションインポッシブル』のベンジーだって面白いしヴィング・レイムス演じるルーサーもデットレコニングやフォールアウトでは面白担当感あったけど…そうでないというか、作戦IT担当官のハートのジャックは『トゥルーライズ』のアーノルド・シュワルツェネッガー演じるハリーの相棒アルっぽさがあります。演じているのはマティアス・シュヴァイクホファー、同じくNetflixのザック・スナイダーの『アーミー・オブ・ザ・デッド』とそのスピンオフ作品『アーミー・オブ・シーヴス』では監督を務めている人でそこで演じた金庫破りのディーターも印象深い面白い役どころでしたけど、こちらでも個性的なハートの分析、作戦支援担当をやはり個性的に演じています。ジャックの存在がいい意味でコメディタッチを産んでいてそれが『トゥルーライズ』を想起させたのかもしれません。そう思わせるシーンもちゃんとありました。このジャンルは荒唐無稽でありつつも世界の危機を救うという点では全て同じところに帰結していくんですが、それぞれ個性があってそのキャラクターが集まっていくというのが作品の魅力になっていく点ではこの作品の緩急はシュヴァイクホファーともう一人アシスタントエージェントがいて彼と、この凸凹感も少し『トゥルーライズ』感ありましたね。

二番煎じながらも

 正直、先行作品の二番煎じ感は否めないし、これまでこういったトム・クルーズを別の役者にしてというのは一杯あるんですが、この作品がそれらより魅力的なのはガトットの身のこなしとスケール感がマッチしていて観ていて楽しいし、抑えるべきところは全部抑えているしといったところでしょうか。今後シリーズ化も予感できる終わり方も含めて楽しい1本だと思います。それに何よりこのミッションはこの作品で終了しているというのがいい。いや『ミッション:インポッシブル』だってフォールアウトまではそうだったんですが…デッドレコニングPART1が、アレだけやって続くなんで、いやもう、ええっ?ってなってしまって(インフィニティ・ウォーよろしく一つの結末はつけているとはいえ)同じく続く感を出してても、それは同じく『ミッション:インポッシブル』でも1作目の感じを思い出しました。そういう初々しさも含めたところも良かったですね。

ハート・オブ・ストーン | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

※ガル・ガドット主演といえばこれでしょう。『ワンダーウーマン』(Amazonプライムビデオ)

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