これからのマーベル・シネマティック・ユニバース(M.C.U)を観るということについて考える。|tonbori堂映画語り-Web-tonbori堂アネックス

これからのマーベル・シネマティック・ユニバース(M.C.U)を観るということについて考える。|tonbori堂映画語り

2022年2月12日土曜日

MARVEL movie

X f B! P L

 M.C.U最新作にしてスパイダーマン最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』、そしてディズニープラスではM.C.Uドラマ『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンターソルジャー』『ロキ』『ホークアイ』に去年公開の『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー』『エターナルズ』も配信中。M.C.Uことマーベル・シネマティック・ユニバースの映画本数って今現在、何本かご存知ですか?なんと『ノー・ウェイ・ホーム』で27本目なんです。(配信ドラマは除く)tonbori堂はこの27本を封切公開時に全て観ています。(でも映画サービスデイで『インクレディブル・ハルク』を観たため封切直後ではなくしかももう売り切れていたためハルクだけパンフレットが無いのです、残念。)なので『アイアンマン』からこのシリーズを追っかけている事になりますがまさかここまで来るとは思っていなかったし、そして今『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『ホークアイ』遡ればディズニープラスで観たドラマシリーズや『ブラック・ウィドウ』『シャン・チー』『エターナルズ』を観終えた今少し思うところも出てきました。それについて今回は「tonbori堂映画語り」として書いてみようかなと思います。暫しお付き合いください。

※なお『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にとどまらずMCU作品の【ネタバレ】をしているかと思いますので観た人、観ている人という前提でお話しています。何卒よろしくお願い申し上げます。


インフィニティストーンが輝くナノ・ガントレット/マーベル展にて撮影。
インフィニティストーンが輝くナノ・ガントレット/大丸大阪梅田店でのM.C.U展にて撮影。

※というような話をしようかと思っていたらなんとNetflixで配信中のマーベルドラマ『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィスト』『ディフェンダーズ』『パニッシャー』が2月28日で配信終了のお知らせが来ているそうです。えらいこっちゃ😱ってことで一部追記をした上でアップしております。

マーベル・シネマティック・ユニバース(M.C.U)とは?

 改めて書くのもなんなんですが説明しておくと共通の世界観で繰り広げられる物語たち、こういう同一世界でそれぞれの物語が語られるスタイルはシェアード・ユニバースというそうですがマーベル・スタジオが手がけた27作品は同じ世界で起こった出来事でそれぞれの作品は独立した作品でありながらも同じ世界観を有しておりそれらを総称してマーベル・シネマティック・ユニバースと言います。アメリカンコミックス(アメコミ)の世界ではしばしば別のコミックスの主人公が別の主人公と手を組む展開があります。俗にいうクロスオーバーってやつですが、マーベルの永遠のライバルDCコミックスでは「スーパーマン」と「バットマン」「ワンダーウーマン」らが手を組んだ『ジャスティス・リーグ』が有名です。マーベルでも同じく「キャプテン・アメリカ」や「アイアンマン」「マイティ・ソー」らが手を組んだ『アベンジャーズ』があり、マーベル・スタジオはその『アベンジャーズ』を映画の世界で再現しようとしました。そういったクロスオーバーは映画ではあまり例が無いかと思います。どちらかというとクロスオーバーは米ではドラマでおこなわれる事が多く、人気ドラマ『LAW&ORDER』を出発点として『LAW&ORDER:性犯罪特捜班』がスピンオフ作品として誕生し両番組をまたぐクロスオーバー回が製作されました。また同じNBCネットワークの人気ドラマ『ホミサイド』とのクロスオーバーエピソードが製作される事もあったのですが、マーベル・スタジオの方法はそれとはまた違ったコミックスのように他作品の主役が一同に介するようなそれこそ本家『アベンジャーズ』のような作品を最終的には作ろうとしてその第一弾にコミックファンしか知らないようなスーパーヒーロー『アイアンマン』を選びました。


 そこから27本、今年はまだあと3本『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』、『ソー:ラブ&サンダー』『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』が待機中(製作中)で30本となります。まだまだその他にも作品が待機中、企画開発中でありそこにディズニープラスでの配信ドラマも現在公開中の『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『LOKI/ロキ』(シーズン2が準備中)『ホークアイ』以外にも『Ms.マーベル』『ムーンナイト』『エコー』準備され『シークレットインベーション』、『アーマーウォーズ』も企画が動いています。またアニメーション作品として『WHAT IF…?』がありこちらもシーズン2が製作決定で他にも多数の作品が控えている状況です。最初から観ているし今後の展開も楽しみではあるんですが30本プラスアルファのこの状況、正直他の人には勧めにくいですよね。個別に『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』をおすすめしてそこからこういうのもあるよって、そういうお勧め方は出来ると思うけれど全体像を掴むには今現在かなり拡がり過ぎてポイントがぼんやりしないかという不安感と、先の見えないほどに膨れ上がったこのシリーズをtonbori堂自身もこの先追いかけていけそうだろうかと心配になります。

巨大ビジネスとなったM.C.U

 マーベルは買収したディズニーにとってはファミリー層以外の客層を得るための大きな手段であり、マーベルもその意向は無視は出来ません。ディズニーはそれまでの資産からファミリー向けの作品では安定した人気が見込めますがそれ以外の大人に向けての作品を開発しようとするなら既に多数のIPコンテンツを持ちアイアンマンをヒットに導いたマーベル・スタジオは新興勢力ながら魅力的に映ったと思います。もっともまだそれだけで買収を進めるのにはリスクもあったはずですが何せ元ネタになるIPコンテンツが山ほどある状態なのでそこがリスクヘッジにもなったのかなと考えています。そしてその目論見は当たり、マーベル・スタジオが送る作品は増え続け、その作品を提供する配信プラットフォーム「ディズニープラス」も加入者が増えるという仕組みになっているのです。


 現在日本でのサブスクリプションによる映像コンテンツ配信サービスはNetflix、Hulu、U-NEXT、Amazonプライム辺りがメジャーなところでしょうか。tonbori堂がお勧めするならこの中での配信サービスはAmazonプライム会員でなければU-NEXT。Amazonプライム会員ならAmazonプライムビデオで十分だと思っています。ですがNetflixは捨てがたいものがあるんですよね。それは何故かというとNetflixオリジナルコンテンツの存在です。Netflixのオリジナルシリーズの韓国ドラマは日本でも大人気です。『愛の不時着』や『イカゲーム』などふり幅も広い。また米ではオリジナル映画にも力を入れおりマーティン・スコセッシの『アイリッシュマン』など配信とはいえ上質な作品を作る事に注力しています。これはAmazonプライムやAppleがやっている配信サービスAppleTVでも同様ですしワーナーの配信サービスHBO max(日本ではU-NEXTと独占契約)などそれぞれが顧客確保のためオリジナルシリーズやオリジナル作品の構築を急いでいるところです。となれば同じく配信プラットフォームであるディズニープラスが全マーベル作品を独占できるというのは他と張り合うための強みになります。(実際には配給問題で『アイアンマン』と『インクレディブル・ハルク』は日本では配信されていません。ちなみに米でも製作権と配給権の問題で『インクレディブル・ハルク』は未配信の模様です。それとソニーが配給権を持つ『スパイダーマン』シリーズも同様に現在配信はされていません。契約を結んだので今後はあり得るかとは思いますが。)またこの機にスタジオでも映画だけでは語り切れないキャラクターの深掘りや新しいキャラクターのオリジンを描くのに最適のフォームとしてディズニープラスを使用できるという事からMCU独自のドラマシリーズに本格的に着手しました。


 そのため『ホークアイ』ではこういう事が起こりました。先に公開された映画『ブラックウィドウ』でポストクレジットシーンでナターシャの墓参にやって来たエレーナにヴァルが暗殺の依頼をするシーンが挿入され『ホークアイ』でエレーナはクリントの命を狙いにやってくるシーンが描かれたのです。つまり両作品は『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットから密接に繋がっており独立した作品でありながらも両作品を観る事でなるほどと腑に落ちるようになっている訳です。

 でもちょっと待ってよという気持ちもまた湧きおこってくるのです。それは『ブラック・ウィドウ』観ていない人にはエレーナってこの人誰なのよとなりますよね、そこでクリントがブラックウィドウの暗殺者と言うし、別段『ブラック・ウィドウ』観ていなくともその後も彼女が何者かは伝わるシーンは幾つもありますが、やはり『ブラック・ウィドウ』を観ているか観ていないかでは終盤に続くエレーナとクリントのシークエンスに対する重みが違ってきます。つまり映画は観てるよね?っていう圧を感じてしまうんですね。そういう圧はいいのだろうかとふと考えてしまったのです。そしてMCU10年目のディケイドとして『インフィニティ・サーガ』が終わった今だからこそ感じたことがあります。

MCU「インフィニティ・サーガ」を取り巻くもの

 『アイアンマン』から数えて10年をかけてインフィニティ・ストーンを巡る物語は『インフィニティ・サーガ』として幕を閉じました。ですがこの作品群の中には含まれていないもののMCUに連なる作品もありました。それは米ABCネットワークで放送された『エージェント・オブ・シールド』です。『アイアンマン』から登場して『アベンジャーズ』でロキに殺されたSHIELDのエージェント・コールソンが何故か生きているというところから始まるドラマで一話完結スタイルでありながらもやがて大きな流れにSHIELDが巻き込まれていくというストーリーでした。この『エージェント・オブ・シールド』はMCU映画シリーズには直接の影響を与えるものではありませんでした。但し『エージェント・オブ・シールド』はM.C.U時系列の大きな出来事の影響を『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』以外で受けている事が劇中で度々示唆されています。この事はMCU作品の「映画」だけを観ていればある程度そのMCUシェアード・ワールドで起こった事が把握できるし、『エージェント・オブ・シールド』は『エージェント・オブ・シールド』で映画を観ていなくても分かるけれど映画を観ているとなるほど!となるという仕掛けです。特に大きなイベントがシーズン1では用意されており、それは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』におけるSHIELDに浸潤していたヒドラとその者たちによるAI連動ヘリキャリアによる支配を可能にするインサイト計画とそれの阻止によりSHIELD本部であるトリスケリオン崩壊がSHIELDに巣食ったヒドラの反逆によりSHIELDが文字通り壊滅状態になりコールソンたちのチームもそれに巻き込まれヒドラ残党と、序盤でSHIELD内部のヒドラがインサイト計画とは別に進めていた計画の全貌の解明とそれの阻止が後半のクライマックスとなっていきます。そして映画にも登場したコビー・スマルダーズ演じるマリア・ヒルやサミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリーもゲスト出演しました。(ニックは最終回にも登場しシーズン1フィナーレを飾っています。)


 それはそれぞれ別の作品として鑑賞そして視聴している時は楽しめました。それは映画が主としてドラマは従でありつつ独自の路線をとっていくという事でその後は事件が言及されるに留まり崩壊したSHIELDの再建と隠されたコールソン復活に残された謎を紐解き新たなドラマ独自の要素を取り入れていく事になっていきました。しかし今作られて配信されている作品たちは今後明確にMCU作品に相互に影響を及ぼしそうですよね。ということは映画館(シネコン)でMCU作品を観ていればいいという風にいかなくなったという事ではないかと思うのです。となればtonbori堂はそれはちょっとどうだろうかと思ってしまう訳なんですよね。それとともに先行作品であった『エージェント・オブ・シールド』はますます忘れさられてしまうのか(コールソンは『キャプテン・マーベル』のように過去エピソードが出てきたらお呼びがかかるかもしれませんが)と思うとそこもまたもやもやします。『エージェント・オブ・シールド』にもファンがいてそこは置いてけぼりかという気持ちが湧き上がってくるし『エージェント・オブ・シールド』だけではありません。ディズニープラスが立ち上がるという事でNetflixで展開していたマーベル・ドラマシリーズもシーズンの更新はされず終了となってしまいました。またその他の企画中ドラマシリーズも中止、Huluや他のプラットフォームのも更新されず終了しています。


 もともとNetflixのマーベル・ドラマシリーズはまだ配信プラットフォームをディズニーが興すという話の前に作られ緩やかではありますがMCUの世界のストリートレベル、NYなどの街を中心に戦うクライムファイターや自警団的な話であると示されたシリーズでした。内容は地上波の『エージェント・オブ・シールド』や既存の映画などよりさらに現実感のある、しかもダークでハードな内容で街(ストリート)のクライムファイターであるデアデビルや鋼の身体と腕力持つルーク・ケイジ、怪力と常人離れした跳躍力を持つ探偵ジェシカ・ジョーンズなどが活躍するシリーズで、Netflixの人気シリーズとしてNetflixの加入者増に寄与したとも言われています。事実tonbori堂も『デアデビル』配信後に加入し出たり入ったりを繰り返して『デアデビル』や『ジェシカ・ジョーンズ』『パニッシャー』を観てました。このNetflixでのマーベルシリーズは『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィスト』に『パニッシャー』を加えた5作品が作られ『パニッシャー』を除く4作品のクロスオーバーリミテッドシリーズの『ディフェンダーズ』も作られましたが、それぞれが打ち切りとなった訳です。


 ところが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にデアデビルの正体であり弁護士であるマット・マードックが登場し、『ホークアイ』にはデアデビルの宿敵でもあるウィルソン・フィスクaka「キングピン」が登場しました。それぞれNetflixと同じキャスト、マットはチャーリー・コックスが。キングピンはヴィンセント・ドノフリオがNetflixで演じた役柄を再演しています。それが意味するのはNetflixマーベルシリーズがM.C.Uにやってくるのか?と思ったんですがどうもそこは不透明なようで即続きを続けるという話ではなくもしかするとMCUの本筋というか「スタジオ」製作としてソフトリブート(敵対しているという設定は引き継ぎながらも新たな話を始めるためにそれまでの設定、例えばキングピンは刑務所にデアデビルによって叩き込まれたとか、ハンド(ヤミノテ)との暗闘とかは無かった)という話になるかもしれないのです。もちろん幾つかの設定は引き継ぐかもしれませんがデシメーション(サノスの指パッチン)があった事で多少強引な設定も今なら導入出来うる可能性もあります。


 でもそうなるとNetflixからのファンはガッカリする人が出てくるかもしれません。レーティングで高い年齢層でドラマをよく観ている目の肥えたファンを狙った作りだったNetflixシリーズからPG12程度に引き下げられたとするとダークなニュアンスが消えてしまわないか?特にニューヨークでもヘルズキッチンの暗い裏通りのクライムファイターを描くシリーズなだけにそこが心配です。そしてその他にもリキャストの噂もあります。tonbori堂ももしジェシカ・ジョーンズがタイトルロールを演じたクリステン・リッターでなかったら残念ですしパニッシャー、フランク・キャッスルを演じたジョン・バーンサルははまり役だったと思っています。その他のキャストにも是非戻ってきて欲しいと思いますがそこは契約、スケジュール、そして人気に本人のやる気の問題もあります。『アイアンフィスト』でコリーン・ウィングを演じたジェシカ・ヘンウィックは『シャン・チー』と『マトリックス レザレクションズ』両方からのオファーを受け悩んだものの『シャン・チー』はシナリオが渡されなかったためコリーンとして戻れるかどうかは分からなかったので『レザレクションズ』を選んだとインタビューで答えている記事を読みました。それぐらい演じたキャストはそれぞれ大事にしていると思うので是非とも同じキャストでM.C.Uに戻って欲しいと思っています。

※Netflixマーベルドラマ配信終了について

 このエントリを下書きからこちらに移したところでそういう見出しのニュースが入って来まして書き直すのも面倒なのでそのままとしますが、Netflixマーベルドラマが無かった事になると危惧したモヤモヤが大きくなりそうです。なんといっても完成度が高く面白かったドラマシリーズが丸ごとなかった事になってしまうのは(まだ公式にどこそこで配信されるという話も無いので)マーベル・スタジオ側への不信感にもなってしまうし。もちろん彼らを尊重した上でソフトリブートという形で新たにシリーズや作品を立ち上げる事になったらそれはそれでこれまでのM.C.Uに組み込むためには致し方がないとも思うし…。しかし思ったより動きが早くて動揺しています。

※Netflixマーベルドラマ続報2022.03.04

 2022年2月28日(アメリカ本土では3月1日)Netflixでの配信終了となりディズニーに配信権が移ったマーベルドラマはディズニープラスで3月16日より配信されるそうです。

ソース|『デアデビル』や『ジェシカ・ジョーンズ』などNetflixのマーベルドラマ群が3月16日に海外のDisney+で配信へ @IGNJapan (リンク先はIGNJapan)

配信されるのは記事にある数か国(米を含む)のみで日本ではアナウンスなし。但し今年後半までにはディズニープラスのサービスのある国で配信をめざすとの事ですが…まあ待つしかないのかな。

※ディズニープラス配信について2022.06.20

 既に既報ではありますが『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』がディズニープラスで配信が開始されました。『アイアンマン』はIAMXエンハンスドで楽しめる仕様になっており後年アップコンバートされたバージョンのようです。残念ながら『インクレディブル・ハルク』はHD画質のままのようですがこれにてM.C.U作品でマーベル・スタジオ作品は全て配信、これでスパイダーマンがと思えばディズニーとソニーとの契約締結によりスパイダーマン・ホームカミング、スパイダーマン・ファー・フロム・ホームのみならずサム・ライミ版スパイダーマン3部作、アメイジングスパイダーマン2部作が配信。それに続きNetflix版マーベル・シリーズも全て配信が決定となりました。年内とアナウンスされていたけど6月中にはノー・ウェイ・ホーム以外が観れる事に。多分ノー・ウェイ・ホームも観れる事になるやと思いますがマーベル・スタジオ関係作のみならずマーベルのIPを集めようと本気で思っている感じがありますね。

ソース|ディズニープラスがMCUの1作目『アイアンマン』や『インクレディブル・ハルク』など11作を6月17日より配信開始 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com  

膨張を続けるユニバース

 またNetflixドラマシリーズや他の終了となったシリーズとは別に「キャラクターが増えすぎて一つ一つの物語が疎かにならないか?」という事と、反対に「それぞれの作品の独立性を高めた結果(マーベル・スタジオは基本的に監督と脚本家に作品を委ねます)内容よりも、M.C.Uのつながりを重視したファンが矛盾を嫌い結果離れてしまう」そして一番悪いパターンとして「どっちつかずになってしまって作品の熱量がやがて失われてしまう」のではないか?という事です。今のところこの形でのシェアード・ワールド作品を成功させているのはマーベル・スタジオしかなく彼らが言わばロールモデルなんですがその道に踏み込もうとしているレジェンダリーのコング、ゴジラのモンスターバース、ワーナーのDC(一時ザック・スナイダーの『マン・オブ・スティール』からの一連の作品をシェアードユニバース化しようとしていましたが今はそこまでこだわっていない様子です)などがありますが、ユニバーサルのダーク・ユニバースのように失敗した例も。誰もが真似ようと思っても中々難しいのが実情です。


 それにユニバースが拡がっていけば上記の複合的な理由でつながりが薄くなる。または飽きられる可能性がどんどん大きくなるのではないかという懸念も生じてきます。実際M.C.Uも27作品もあるので「何処から観たらいいの?」という最初に書いた問題がここに再び結びついてくるわけです。数年に渡って追っかけていたら何時の間にやらとなりますが、新参者にはいささか厳しいという事になりかねない。だからこそマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギはそれぞれの作品を任せる監督に全てを委ねたり、一つのカラーに染まらないようにあちこちから監督やキャストを起用するという手を打ってはいます。有名ではないけれどそれまで小品を撮っていた監督や配役もビッグネームではない俳優を起用したり。もっともこの辺りはハリウッド映画のある種の定型でもあるのですが(スピルバーグやルーカスも言わばポッと出の新人ながら数少ないチャンスをモノにしてきたんですがそこにはプロデューサーやスタジオ側の思惑も絡んできての事です)それでも膨れ上がったユニバースに未来はあるのか?と。


 一つは中期的なゴールを用意しているのではと思っています。ディケイド(10年)毎に例えば『アベンジャーズ』を中心にしたインフィニティ・サーガのようなまとめかたをしてくるのかなと。今はそのための種まきだろうと思います。ただ『アベンジャーズ』を中心としたインフィニティ・サーガも最初のゴールは『アベンジャーズ』でした『アベンジャーズ』が成功したからその次の物語が実現化出来た。だからこそ今はそれぞれの作品がそのポテンシャルでまず次のアベンジャーズ・アッセンブルが出来るのかどうか。アイアンマン、ナターシャ・ロマノフ、スティーブ・ロジャースがいないこの今のM.C.Uを守護するのは誰なのか?そしてその作品がはっきりしてきたときその次のディケイドがどうなるのか見えてくると思います。そしてこのままの路線で突っ走ってもいいのかどうかの判断になるのでは?


 もう一つは新たなるバース、M.C.Uではあるけれど違うバースを産んでマンネリ化や設定の齟齬を回避するというやり方です。そして全体としてユニバースのリブートを仕掛けていくという事。これはビジネス的にも有り難いしディズニーとしても今後もマーベルで稼げると思うんですよね。『ドクター・ストレンジ』の時にも別次元(多元宇宙)マルチバースは語られていましたが次作の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や配信ドラマ『ロキ/LOKI』や『WHAT IF…?』でマルチバースに言及しているのはそういう事じゃないかなと。ただしそちらも物語についていけなくなるファンはでてくると思います。コアファンを唸らせご新規も増やすというのは物凄く難しく今後どういうところに向けていくのか?気になるところです。

M.C.Uの今後

 マーベル・シネマティック・ユニバースのようなシェアードワールドを使った同一世界でのそれぞれの物語というのはクロスオーバー大好き人間のtonbori堂としては今後も目が離せないのは間違いないです。ですがさすがに30本近い作品全部が傑作というわけでもなく、良作でもそこは置きに行ってるなって分かるところもあるし、そこが駄目だなって言うのも分かる。そしてそれは所謂キャラクタービジネスとしての側面が大きいとしても、これだけの多くの作品を単独映画としても成立させつつ大きなお話を編み上げるという点では本当にインフィニティ・サーガにはありがとうという言葉しかありません。


 但し今後のM.C.Uに関してはそれぞれの物語を知っていないとより分からないのではないか?という不安は拭えずそしてディズニープラスドラマシリーズとより密接になった事で観る事が一種の枷になってしまい、それはもう映画ではないのでは?もしくはドラマではないのでは?という恐れは確かにあります。そして今後膨張を続けるユニバースに関してはよりビジネスサイドの勘案が大きくなってくるんじゃないかとも危惧しています。(既に大きいよっていう方もいらっしゃるかもしれませんが)それでもCOVID-19パンデミックで傷ついた世界にヒーローはやっぱり必要だし2時間なり、6話~10話分の時間は世間の憂さを忘れさせて欲しい。その上彼らの活躍をまた期待してというのも明日への希望に繋がる力になります。それにまだまだヒーロー映画やドラマには語るべき要素や表現が及んでいない領域があります。だからM.C.Uはこれからも追っかけてはいくと思うんですがやっぱりそういう「大人の事情」が看過できないほど大きくなってきたら…難しいところですよね。そしてそれはソニーのスパイダーマンでも少し見え隠れしているし今回の作品で『アメイジングスパイダーマン』の幻に終わった3が復活っていう噂も良い話だと思いつつ大人の事情がやっぱり見え隠れしますよね。ミッドクレジットのヴェノムについても御同様で、いやこれエンドゲームのようにエンドロールでお終いでも良かったんじゃと思いつつあんな感じに退場したりポスクレは予告ガッツリでしたし、ワクワクしている反面杞憂も少しずつ膨れてきています。願わくばワクワクさせて杞憂は小さいままで(気にならない程度)収めて頂きたいものなんですがそれでも今後もウォッチしていくシリーズなのは間違いありません。それはやはりヒーローが活躍する映画が好きだからに尽きます。今後もM.C.Uシリーズでワクワクさせて欲しい事を祈りつつ今後の展開を注視したいと思っています。


※エキブロで最初に観た『インクレディブル・ハルク』の感想と『アイアンマン』の感想。ハルクは既にM.C.Uに続く情報を知っていた感じで観ている事が分ります。でもこの頃はまだそこまで世界観が拡がるとは思ってもみなかったです。


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