ミサキオクの謎|ゴジラS.P<シンギュラポイント>考察【ネタバレ】-Web-tonbori堂アネックス

ミサキオクの謎|ゴジラS.P<シンギュラポイント>考察【ネタバレ】

2021年7月2日金曜日

anime GODZILLA SF

X f B! P L

 『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』終わっちゃったし、ユンと銘の特異点(アーキタイプ)を巡る物語は決着したと思っているんですが(例の機械仕掛けのアレに関するポストクレジットについてはそれこそおまけみたいなもので、なんでも出来る魔法のランプを使いやすい魔法のランプにしましたよぐらいの意味合いだと思います。なんせ海がそういった技術を人は捨て去る事が出来ないしそういうものをコントロールするために「俺たち」のような者がいると言ってましたからね。まああれは禍々しすぎて碌な魔法のランプじゃないですが。)それよりも気になるのは外務省の鹿子さん以下、ミサキオク出向中の佐藤君やその後輩君の面々は何を追っていたのか?葦原とシヴァの成り立ちは?今回はその辺りの考察です。


※『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』オープニング映像/OPテーマ:「in case...」BiSH/TOHO animation チャンネル|YouTube|©2020 TOHO CO., LTD.

ミサキオク

 バス停の表示は「みさきおく」で旧嗣野地区管理局前とアナウンスされていました。(公式サイトの用語解説にもそうあります。)公式サイトによると戦前からある電波観測所でありながら地下には巨大な恐竜と思しき骨を安置しており、その実体は本編を観られた方ならご存知の80年前にミサキオクにあったとされる小さな漁村を壊滅させなんらかの方法で倒された?もしくは自滅した?とされる葦原が最初に遭遇した特異点。つまり葦原はこの地に生息するクラゲから紅塵を検出し研究したのではなく最初に上陸したゴジラ、特異点を元に紅塵を探索しそれを取り込んだクラゲを発見したと考えるのが自然ではないでしょうか。その旧嗣野地区管理局へ何故、外務省の官僚である佐藤が出向してい来ることになったのか?しかも最初のラドン出現当時まだ3週間しか経っていないという話でした。


 そして佐藤がミサキオク所長の山本から見せられた巨大な恐竜の骨、葦原が最初に目撃した特異点であるその骨の事を報告したのは鹿子でした。鹿子は外務省国際情報統括官組織、第零担当情報分析官の肩書をもっています。(第6話「りろんなきすうじ」の名刺)どのような情報を扱う部署なのかは不明ですが。つまり平たく言えば情報機関の人間でそれっぽく見えないけれどやっている事はスパイではないかと。もっとも違法行為している海のような荒事ではなくインテリジェンスの方で、ヒューミント(人的情報)を主にしていると考えていいでしょう。ちなみに邦画のみならず日本ではスパイというと『ミッションインポッシブル』とか『007』シリーズを思い起こす人が多いですが殆どの場合は荒事はありません。もっとも独立自営ジャーナリストの海がミサキオクから骨を奪取したようなこともあり得ますが。


 このつながりがどうにも分からないんですよね。鹿子たちは明らかに葦原を追っていたのは間違いなく、それと夢の新素材アーキタイプとの繋がりも疑っていたように思います。しかし何故鹿子たちが葦原を知り、彼を調査する事になったのかは明らかにさせれませんでした。当然シヴァ共同事業体についても同様でわざわざ鹿子がドバイでのシヴァの講演会に出向いたのもアーキタイプを見極めるためでしょう。しかし何故シヴァと葦原の関わりを知ったのか?そして何故それを追う事になったのかは物語の中では明らかにされません。ただシヴァの目的に懐疑を抱いていたという事が示唆されるだけです。


 また鹿子は自衛隊の松原に情報提供を求める際にも地獄の蓋だの比喩をまじえながら常識外のモノには常識外の弱点があるのではといい世界各国で起こっている怪獣騒ぎの中心にシヴァと葦原の影があるという部分では面白いところを突くなと思っていたんですがそこは深掘りされることもなく終わってしまったのはちょっとだけもやもやします。映像化、または外伝漫画になることもなくこの辺りのサイドストーリーが埋もれてしまうのは若干もったいないなと思っているんですが…。ただ謎が膨らみすぎてもという気もします。少なくともミサキオクが戦前からの軍の施設でそれを葦原が買取り、特異点の骨を研究するための施設とした時になんらかの手段で政府の関りがありそう言った経緯で葦原とシヴァ、アーキタイプの関りを調べる事になった。ユンが葦原の屋敷の怪現象を調べに入った時もプロファイリングとして非正規活動に従事していたのでは?とあれば葦原が目を付けられその流れでミサキオクが調査の対象となったのはその辺りなのかもしれません。


 どちらにしても葦原とアーキタイプのつながりを薄っすらながらも把握していたからこそ佐藤君がミサキオクに出向してきたのは間違いないと思います。結果ジェットジャガーが東京に潜り込むこともできたし、銘からマキタを経由して鹿子にオーソゴナル・ダイアゴナライザーが渡るという事にもなった訳で結果オーライってやつですね。

シヴァ共同事業体

 佐藤君が後輩君に命じて調べさせたことを総合すると葦原が設立した株式会社アーキタイプを吸収併合したように見える巨大事業体で裏にゼーレみたいなのがいること示唆(委員会の了承などなど)されていましたがウパラにあるプラントの実態(地下2000mの特異点を引き揚げそれを超時間計算機として使用するための施設)を見ればこれは葦原が指揮をとって作り上げたと考える方が自然でしょう。完全に引き揚げる前に一度未来の破局を観測するために使用して「計算爆発」を起こしてしまったために施設は凍結されたとの事ですが葦原は50年前にシヴァを設立し以降、紅塵をコントロールする術をさがしていたところ破局を発見。紅塵をコントロールするにはまず破局を回避するしかないと考えその方法を探っていたと考えられます。


 ここで一番の肝は銘やユンは起こった現象を受け入れ、その上で不可避な破局を回避しようとしているんですがティルダのみならず海やスティーブンたちはその後でコントロール可能な紅塵、なんでも叶えてくれる魔法のランプを手に入れようとしているという事です。この結末がまた次の特異点を呼び込むことになるのか。それとも元は高次元の物質でありながら三次元での物質となったランプの燃え殻で(それでもそれなりの力を発揮しそうなんですが)消し炭のように搾りかすを使うのか?当然その後にそれが急に燻り始めて延焼しないという保証は無いものの何かの勝算があるのか?ロボゴジラのシーンはそういう事なのかなと妄想しています。当然今後公式ガイドブックやBlu-rayでのコメンタリーetcで少しは明らかにされるかもしれませんが今のところ思いついたのはそんなところです。ちなみに公式サイトではスティーブンは典型的な政治家だそうで…いやそれであれはヤバすぎでしょって話はありますね(笑)でも新素材を用いた兵器開発を推進していたとかで、タカ派ってことでそれもあってアーキタイプ関連で鹿子たちが動いたという事もゼロではないかもしれません。

最初の特異点

 ちなみに最初の特異点の出現は80年前。劇中の出来事が2030年だとすると1950年ごろの話となります。最初の『ゴジラ』の公開は1954年です。年代をピタリ合わせていない感じですが初代ゴジラを思い起こさせるには十分ですよね。そして最初のゴジラはどうやって倒されたのか?ってのはありますが、それよりもあの古史羅ノ図は誰が記したのか?ユンの言う通り「終末」の文言は如何にも西洋的な物言いであり銘の推察どおり「最近描かれた?(葦原が描かせた?)」とも考えられなくもないんですが、李と銘の会話から考えるとひょっとするとかなり以前から特異点は存在していてなんらかの方法でその時々で撃退された。しかも特異点を使ってとは考えられないでしょうか。そうなるとこの「古史羅ノ図」というのもあの謎の音楽と共に未来から送られてきたメッセージ…ってのは考えすぎでしょうか…。


2期はあるのか?

 これについては前段のジェットジャガーPPとゴジラウルティマの戦いの末、オーソゴナル・ダイアゴナライザーで巨大化し自身をオーソゴナル・ダイアゴナライザーで対ゴジラ(特異点)への活動を止め青い結晶へと変質させたところが既に「その者、光の衣をまといて青い野に降り立つべし」という感じで綺麗に終わっているし、そもそもゴジラを撃退出来た訳ですからそこで終了しているとともとれる。ただロボゴジラの登場は『アイアンマン』でニック・フューリーが登場して「知っているか?アベンジャーズ計画を」というぐらいのインパクトがあったし、いや人気があれば次もよろしくっていう名刺代わりなんであれば…先は観たいですよね。ロボゴジラが出ないとしても(実際『アベンジャーズ』も『アイアンマン』からすぐに直結したわけではないです。『キャプテン・アメリカ』や『マイティ・ソー』が登場して段取りが整えられてからですから。)あの世界で。また世の理が狂い、歪み地獄の蓋が開いて止めなくちゃならない状況、アンバランスゾーンに入った物語というのは見たいので、今の時点ではないものねだりになってしまいますが是非とも2期の製作を期待したいですね。

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> Vol.1 Blu-ray 初回生産限定版(Amazon)

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> Vol.2 Blu-ray 初回生産限定版(Amazon)

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> Vol.3 Blu-ray 初回生産限定版(Amazon)

ゴジラS.P<シンギュラポイント>ノヴェライズ (ジャンプジェイブックスDIGITAL) Kindle版/円城塔(Amazon)

ファイブスター物語/F.S.S第17巻絶賛発売中

ファイブスター物語/F.S.S第17巻絶賛発売中
永野護著/KADOKAWA刊月刊ニュータイプ連載『ファイブスター物語/F.S.S』第17巻絶賛発売中(リンクはAmazon)

このブログを検索

アーカイブ

QooQ