そのもの、深き淵より来たる、破局とともに。/『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』【ちょいバレ】-Web-tonbori堂アネックス

そのもの、深き淵より来たる、破局とともに。/『ゴジラS.P<シンギュラポイント>』【ちょいバレ】

2021年5月28日金曜日

anime GODZILLA SF

X f B! P L

 こんな中途半端なタイミングでゴジラS.P<シンギュラポイント>について書こうと思ったのはいつの間にかグイグイと引き込まれ、地上波放送で再見までしているからです。(当方関西のためKBS京都放送の22:30の回です。サンテレビの24時の回もありますが。)アニメのゴジラと言えばアメリカでも作られたものがありますが今回のゴジラは通称アニゴジと言われ劇場公開された3連作『GODZILLA』に続く作品です。形態は1クールの連続アニメ作品となり前作とのつながりは無く新作として製作されています。(NETFLIXにて1週先行配信中)


TVアニメ『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』PV第3弾/OPテーマ:BiSH「in case...」/毎週木曜TV放送中/TOHOanimationチャンネル/YouTube

 これの何が凄いのかというとそれは、怪獣が「出現」した世界と社会を描いているという事。そしてその怪獣が何故出現したのかを理由、秘密を大きな謎として、それが怪獣を退ける手段にもなり得るかも知れないという事を丁寧に描いているという事です。例えて言うならば「空想科学怪獣テレビアニメーション作品」とでも言いましょうか。とにかく怪獣の塩梅と人間側の動きの塩梅が絶妙なのです。そして物語は佳境にはいっております。根源的破滅招来体みたいな存在であり未来と過去に存在したと思われる最強の生物が顕現しそうな状況なのです。ということでちょっと『ゴジラS.P』のお話をさせて下さい。ちょっとだけバレかもしれませんが大丈夫。それぐらいバレても面白さは損なわれません。というか今も考察中です(笑)

アンバランス・ゾーン

 思えば第1回目から空想特撮の匂いというべきものがあったんです。主人公の有川ユンと相棒の加藤侍(はべる)が人里離れた洋館の幽霊騒ぎの調査に訪れるところからそういう気配がビンビンの感じられました。発端というのは日常と非日常の境界線にあればあるほどいい。いわくありげな無人の洋館から聞こえてくる謎の音。もうそれだけで妄想が掻き立てられます。


 謎の音は鉱石ラジオから流れる妙な、南国風の、いやアジアの?それとも中東?不思議なメロディ。どこかから発信された電波を受信したことからそれが突然鳴り出した事が分かります。この導入部って凄く不穏で一切が謎のままですが翌日町のお祭りにアトラクションとしてユンの務めるオオタキ・ファクトリーで開発したロボット「ジェットジャガー」を出展。そこに突然謎の飛行する巨大生物が現れるというところまでが1話でした。数々の伏線、分かりやすいものから後で、そこもだったか!となるものまでが散りばめられこれは凄いのが始まったなとNETFLIXの配信で観て思ったのです(そう!実は第1話は先行で観たのです。)でもネタバレせずに説明出来るかちょっと不安なのでぐずぐずしている間にもう第10話、決着まで後3話となってしまった次第です😅


 それでも今からでもNETFLIXでおっかけで観てその後ぬけても木戸銭は十分とれると思います(あなたがまだ未加入なら6月1日から入って6月中に観てさよならすればなんと無料で観れちゃうかも)それぐらい連続TVアニメというフォーマットを活かしたお話作りがされていて次から次へと謎が提示され、事態は進行しどんどん事が大きくなっていく。これは凄いです。普通の日常が徐々に(物語の進行に従って)浸食されていく。まさにアンバランス・ゾーンへと誘われる。気が付いた時には巨大な破局の使者がそこに鎮座している。ちょうど今第10話(2021.05.27)が先行配信されているんですが今そのターニングポイント、ゾーンが現実を浸食している様を明確にしました。ゴジラファン、怪獣映画ファン、特撮ファンなら誰もが知っているあのメロディに聞きなれないフレーズ。リスペクトとともにそこに新しいものをくわえようとしているスタッフの姿勢も感じられるクライマックスへの狼煙のように感じられました。

怪獣という存在

 怪獣って常識で考えるとあり得ないじゃないですか。例えば自重を支える骨格や筋肉、体組織はどうなっているのかとか、その巨大な体を維持するために何をエネルギーとしているのか?それを可能とならしめているのはとか。まあ「こまけぇこたあいいんだよ」から「空気中の原子を取り込みエネルギーへ変換する細菌を細胞内に持って自家発電的にエネルギーを生成している」でもいいんですが、その理屈の解明も並行させつつ(それが最終的に怪獣を撃退するキーとなるとも示唆されています。)世界で起こっている事態も描くという。それぞれカットインでの異なる場所で起こっている事態を描き出すという手法を主人公の一人である神野銘(メイ)がドバイからイギリス、そしてインドへ移動することでのスケール感、そして他の登場人物とのつながりなど、アメドラなんかではよくみるモジュラードラマ(群像劇)のようで凄く引き込まれます。


 ユンとは別に謎の電波によって全ての発端でもあるミサキオクに呼び出された神野銘、ハベルの同級生で施設のあるミサキオクで再会したもののユンとは顔を合わせず、大量のラドンが逃尾に襲来したときには東京に向かう電車の車中からユンが作った支援AIであるナラタケをインストールしたことで彼女のPCで個性を持ったアシスタントAI「ペロ2」がオオタキファクトリーから拝借した無人ロボットアームへの侵入の痕跡でユンとつながるという周到さ。チャットをしている2人はメイは多分相手がユンだとは知っているけれどユンはまだ知らずにこの怪獣の纏うチリのような物質、紅塵、またの名を魔法を可能にする新物質アーキタイプの謎を介してそれぞれの考えをチャットを重ねていくシーンもまた大量の情報をやり取りしつつそれを簡潔に示しています。それだけでユンとメイが卓越した見識と洞察力を備えているというのが伝わるこのシーンは何時も観ていて舌を巻きます。

破局か未来か?シンギュラポイント

 まだ全ての謎は解明されていません。解決策?の一つとして示されるオーソゴナル・ダイアゴナライザーはゴジラに対して有効なのかどうかも気になりますけれど、そもそもの発起点である葦原破局点の回避は出来るのか?超計算機は未来から過去へ何かを送れるのか?数列のコードがニコラス・ケイジの『ノウイング』を想起させる人もいたようですが、やはり未来の事を予想しているという点で、そこから逆行してくるという部分はすごく『TENET テネット』っぽい。いや逆行させてくるのか順行なのか。まだ全てのピースが全部はまった状態ではありません。かなり埋まってきてはいますけれど。それだけに残り話数でどう決着を付けるのか?今なら間に合うので是非ご覧いただきたいと思います。もちろん最終回後はネタバレ込みで考察感想エントリをアップしたいと思います。


『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』エンディング映像(ノンクレジット)/EDテーマ:「青い」ポルカドットスティングレイ/TOHOanimationチャンネル/YouTube

EDにはゴジラに関連するネタがてんこもり。幾つ分かりましたか?tonbori堂は全部分からなかったんで後で調べ直しました(笑)

※NETFLIXにて1週先行配信中。(NETFLIX)

※劇中、大活躍のジェットジャガー(改修前バージョン)のソフビ。|バンダイ(BANDAI) ムービーモンスターシリーズ ジェット・ジャガー -ゴジラS.P-/Amazon

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